326 / 471
おかしな日常
しおりを挟む
sideリラ
「リラ!今日の晩飯!」
小さな小屋の前でにっこりと笑うルディ。
その手の中には血まみれのウサギが何羽かいる。
「ありがとう!」
私は薪になる木を手でへし折っていた。
「最初はどうなるかと思ったけど案外生活できるな!」
ルディは私に帰ろうとか冷静になれとか言わない。
寄り添ってくれる。
「ルディだけでも帰っていいんだよ?」
私に合わせる必要ないのに。
「リラ何言ってんの?俺らチーム☆ゴーストじゃん。置いていかないよ。それに、置いていけないよ。あんなとこ見たら。」
ルディは私が失踪した日のことを言ってる。
確かに酷かったけど…
「もう大丈夫!ちゃんと生活できるよ!!」
必死になる私をルディは笑った。
「そうかなー?ね、ねぇ、ルディ!すぐ崩れるの!」
ルディは数日前の私の真似をする。
「そ!そんなこと言ってないよ!!」
「言ってたよ!可愛かったなー。」
「もう!からかわないで!!」
********************
sideルディ
~7日前~
リラが指輪をルシアスに返して出て行ってしまった。
静まり返り、気まずさで押しつぶされそうな空気なのにライアスはニコニコ上機嫌だ。
「離婚決定だね。」
ライアスは命が惜しくないのか?
さすがにルシアスがキレた。
ルシアスがカレンの髪飾りを引き抜く。
細い金の棒で留められていた長い髪は解けてカレンは動揺する。
ルシアスが何をするかと思えば、その髪飾りをライアスの心臓のギリギリのところに突き刺した。
「っ!!!」
「ちょっとした意見の食い違いだ。俺がリラを手放す時はリラに死なれた時だ。わかったか?」
ルシアスの気迫は今まで見てきた中で一番すごいものだった。
「それ、リラに言わないでね?ルシアスに手放されたくてうっかり自殺されたら困るから。」
ライアスは一瞬痛そうにして、自ら髪飾りを自らの胸から引き抜いた。
そのタイミングで、カレンがルシアスの手から逃れて走り出す。
それが一番やっちゃいけない対応だって馬鹿でも分かるはずなのに、あの女はわかってない。
本当に怖くて冷静さを失っているんだろう。
でも、俺はどんなに怖くても切羽詰まっていても、唯一の武器の髪飾りをライアスが持っていると知ってたら死んでも動かない。
ライアスは予想通り、髪飾りをカレンに投げた。
弓で打ったよりも速く飛んだ髪飾りは…
「ひっ!!!」
カレンの背に命中して、髪飾りは見事に背中に埋まっていた。
「あ゛っ!!」
貫通せずに体内に入ったもんだから痛いなんて言葉じゃ済まない。
いっそ貫通した方が痛みは少なかっただろう。
「ライアス様、ルシアス様。私にあのアバズレを預けてください。悪いようにはしません。」
この中で一番の適任が名乗りを上げた。
ダリアだ。
「ダリアなら僕は賛成だよ。逃すようなヘマはしないだろうし、情が湧くなんてことも絶対にないからね。」
ライアスは賛成している。
ここにいる誰よりも適任なのは確か。
生かさず殺さずがうまいからだ。
ライアスもその道のプロだけど、多分いや、絶対に殺すからダリアに任せるのが無難だ。
「情が湧いてると思うか?こんな女、どこでどう死のうが俺にはどうでもいい。情報が欲しいだけだ。」
ルシアスはそれだけ言い残すとこの広間から消えてしまう。
きっとリラを追った。
「全く。変なところで真面目だから困るよね。本当に僕の弟なのか不思議だよ。」
ライアスはニコニコと笑いながら…
「ひっ…!!あっ!!」
カレンの髪を掴んでこっちへ引きずってきた。
「じゃあこれ好きにしていいよ。うっかり殺してルシアスに怒られても僕が庇ってあげるから安心して。」
ライアスはそう言ってダリアにカレンを引き渡した。
「わかりました。…それよりライアス様。リラちゃんを探しに行ってください。心配です。」
ダリアは最初から容赦ない。
「ぎゃぁぁぁぁぁあっ!!!!」
カレンを引き取ったらすぐに目ん玉に自分のナイフを突き立てた。
ライアス以外はドン引き。
もちろん俺も引いてる。
「じゃあ遠慮なく。」
ライアスもこの場からすぐに消えた。
「ラルフ、ルディ。あんたたちも。」
やった、俺はリラを探しに行っていいらしい。
「はーい、んじゃ、後でな。」
俺はすぐさま広間を出た。
そして、俺はこの後すぐにリラを見つけることになる。
リラは何を間違えたのか断崖絶壁から落ちて瀕死の状態だった。
もちろん心臓が凍るかと思ったよ。
いや、むしろ止まったかも。
リラが怪我しているのを見るのは本当に嫌いだ。
それからなんとか下に降りて回復するまで待つと夜中になってしまい、帰るタイミングを完全に無くした俺たち。
次の日、体力をつけるため俺は狩りに出かけたけどその後が大爆笑。
俺が戻るとリラは大量の木材の中で四苦八苦していた。
その時にトドメの一言。
「ね、ねぇ、ルディ!すぐ崩れるの!」
おかしすぎて俺が崩れ落ちたわ。
今まで物作りすらした事のない女の子がどうして家を作れると思ったのか。
リラはボロボロだし泣きそうだしなんか可愛かった。
そんなリラのために俺は小さな小屋を作って今は2人で呑気に暮らしてる。
これが一連の流れだった。
「リラ!今日の晩飯!」
小さな小屋の前でにっこりと笑うルディ。
その手の中には血まみれのウサギが何羽かいる。
「ありがとう!」
私は薪になる木を手でへし折っていた。
「最初はどうなるかと思ったけど案外生活できるな!」
ルディは私に帰ろうとか冷静になれとか言わない。
寄り添ってくれる。
「ルディだけでも帰っていいんだよ?」
私に合わせる必要ないのに。
「リラ何言ってんの?俺らチーム☆ゴーストじゃん。置いていかないよ。それに、置いていけないよ。あんなとこ見たら。」
ルディは私が失踪した日のことを言ってる。
確かに酷かったけど…
「もう大丈夫!ちゃんと生活できるよ!!」
必死になる私をルディは笑った。
「そうかなー?ね、ねぇ、ルディ!すぐ崩れるの!」
ルディは数日前の私の真似をする。
「そ!そんなこと言ってないよ!!」
「言ってたよ!可愛かったなー。」
「もう!からかわないで!!」
********************
sideルディ
~7日前~
リラが指輪をルシアスに返して出て行ってしまった。
静まり返り、気まずさで押しつぶされそうな空気なのにライアスはニコニコ上機嫌だ。
「離婚決定だね。」
ライアスは命が惜しくないのか?
さすがにルシアスがキレた。
ルシアスがカレンの髪飾りを引き抜く。
細い金の棒で留められていた長い髪は解けてカレンは動揺する。
ルシアスが何をするかと思えば、その髪飾りをライアスの心臓のギリギリのところに突き刺した。
「っ!!!」
「ちょっとした意見の食い違いだ。俺がリラを手放す時はリラに死なれた時だ。わかったか?」
ルシアスの気迫は今まで見てきた中で一番すごいものだった。
「それ、リラに言わないでね?ルシアスに手放されたくてうっかり自殺されたら困るから。」
ライアスは一瞬痛そうにして、自ら髪飾りを自らの胸から引き抜いた。
そのタイミングで、カレンがルシアスの手から逃れて走り出す。
それが一番やっちゃいけない対応だって馬鹿でも分かるはずなのに、あの女はわかってない。
本当に怖くて冷静さを失っているんだろう。
でも、俺はどんなに怖くても切羽詰まっていても、唯一の武器の髪飾りをライアスが持っていると知ってたら死んでも動かない。
ライアスは予想通り、髪飾りをカレンに投げた。
弓で打ったよりも速く飛んだ髪飾りは…
「ひっ!!!」
カレンの背に命中して、髪飾りは見事に背中に埋まっていた。
「あ゛っ!!」
貫通せずに体内に入ったもんだから痛いなんて言葉じゃ済まない。
いっそ貫通した方が痛みは少なかっただろう。
「ライアス様、ルシアス様。私にあのアバズレを預けてください。悪いようにはしません。」
この中で一番の適任が名乗りを上げた。
ダリアだ。
「ダリアなら僕は賛成だよ。逃すようなヘマはしないだろうし、情が湧くなんてことも絶対にないからね。」
ライアスは賛成している。
ここにいる誰よりも適任なのは確か。
生かさず殺さずがうまいからだ。
ライアスもその道のプロだけど、多分いや、絶対に殺すからダリアに任せるのが無難だ。
「情が湧いてると思うか?こんな女、どこでどう死のうが俺にはどうでもいい。情報が欲しいだけだ。」
ルシアスはそれだけ言い残すとこの広間から消えてしまう。
きっとリラを追った。
「全く。変なところで真面目だから困るよね。本当に僕の弟なのか不思議だよ。」
ライアスはニコニコと笑いながら…
「ひっ…!!あっ!!」
カレンの髪を掴んでこっちへ引きずってきた。
「じゃあこれ好きにしていいよ。うっかり殺してルシアスに怒られても僕が庇ってあげるから安心して。」
ライアスはそう言ってダリアにカレンを引き渡した。
「わかりました。…それよりライアス様。リラちゃんを探しに行ってください。心配です。」
ダリアは最初から容赦ない。
「ぎゃぁぁぁぁぁあっ!!!!」
カレンを引き取ったらすぐに目ん玉に自分のナイフを突き立てた。
ライアス以外はドン引き。
もちろん俺も引いてる。
「じゃあ遠慮なく。」
ライアスもこの場からすぐに消えた。
「ラルフ、ルディ。あんたたちも。」
やった、俺はリラを探しに行っていいらしい。
「はーい、んじゃ、後でな。」
俺はすぐさま広間を出た。
そして、俺はこの後すぐにリラを見つけることになる。
リラは何を間違えたのか断崖絶壁から落ちて瀕死の状態だった。
もちろん心臓が凍るかと思ったよ。
いや、むしろ止まったかも。
リラが怪我しているのを見るのは本当に嫌いだ。
それからなんとか下に降りて回復するまで待つと夜中になってしまい、帰るタイミングを完全に無くした俺たち。
次の日、体力をつけるため俺は狩りに出かけたけどその後が大爆笑。
俺が戻るとリラは大量の木材の中で四苦八苦していた。
その時にトドメの一言。
「ね、ねぇ、ルディ!すぐ崩れるの!」
おかしすぎて俺が崩れ落ちたわ。
今まで物作りすらした事のない女の子がどうして家を作れると思ったのか。
リラはボロボロだし泣きそうだしなんか可愛かった。
そんなリラのために俺は小さな小屋を作って今は2人で呑気に暮らしてる。
これが一連の流れだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
58
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる