トップ冒険者の付与師、「もう不要」と言われ解雇。トップ2のパーティーに入り現実を知った。

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10話

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ガキンッッッッッ


40階層のボスーー【ミノタウロス】が、いきなり先制攻撃としてジャンプからの全体重を乗せた両刃の斧の振り下ろし攻撃を行なってきた。


それを咄嗟とっさに【大剣使いのクイナ】が防いだ。


「ぐっ・・・」


どうにか防げているようだけど、力負けしていて大きなダメージを追っている。


「大丈夫ですか、クイナさん!?」


「くっ・・・。
ライドさんの『ステータス上昇バフ』のおかげでなんとか防げましたが、ダメージが・・・」


攻略道中、クイナは防御に徹する機会が何度かあったが、どれも無傷で見事に防いでいた。


クイナの話では僕の『付与ふよ』のおかげだといって・・・。


しかし、今回の階層ボスの攻撃は『付与』を込みにしても無傷で防ぎ切れない強力な攻撃だった。


クイナの見事な判断でパーティーメンバーが助けられたことになる。


あのままクイナが防いでくれなければ突然の攻撃に誰も反応できず、パーティーが壊滅する危険もあっただろう。


「っ!
【ミノタウロス】にあんな攻撃あったでしょうか?」


「わかりません。
クイナが防いでくれて本当に助かりました。
すぐに『回復ヒール』を行ないます」


僕は前回の攻略の際に、先程の【ミノタウロス】の攻撃を全く見たことがなく、反応できなかった。


近くにいた【回復職ヒーラーのエレナ】に聞いても知らない様子で、皆の被害を肩代わりしてくれたクイナの回復に専念している。


今の攻撃が始めてみものだけに、一度突破している階層ボスだけど動揺が隠せない。


「クイナさん、回復が終わればそのまま攻撃を防ぐ感じで、【ミノタウロス】の動きを止めていてください。
ステータス低下デバフ』を使います」


「わかりました」


僕は他にも初めて見るような攻撃がないかを警戒して、早速『ステータス低下デバフ』を使い、【ミノタウロス】を弱らせることにした。


ーー『身体能力低下フィジカルアビリティ・ディクライン


まずは【ミノタウロス】の全体的な能力を低下させる。


モォォォォォッ


すると、【ミノタウロス】の動きに切れがなくなっていく。


ーー『攻撃力低下オフェンス・ディクライン


さらに、【ミノタウロス】の脅威である攻撃力を低下させる。


「これは!」


そのタイミングで、【ミノタウロス】の攻撃を防いでいたクイナが力の弱まりに気付いたようだ。


防ぐことに精一杯の様子から一変して、クイナの大剣が【ミノタウロス】の斧を押し返していく。


「アルさん、ルアさん、この後に隙ができるはずですから、よろしくお願いします」


「まかせて!」


「うん!」


ステータス低下デバフ』の効果でクイナの力が【ミノタウロス】の力を上回ったと確信した僕は、【双剣使いのアル】、【双剣使いのルア】の前衛2人に指示を出した。


この後、クイナが隙を作ってくれると信じて・・・。


「はぁぁぁぁぁっ!」


その時、クイナの大剣が【ミノタウロス】の斧を大きく弾き返して、懐をがら空きにした。

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