トップ冒険者の付与師、「もう不要」と言われ解雇。トップ2のパーティーに入り現実を知った。

70話

※【付与師ふよしのライド】視点に戻ります。


◇◇◇


ーー１日目の模擬戦を終えて、２日目に突入する。


1日目の最後に、【竜の爪ドラゴン・ネール】対【幻影ファントム】でハプニング的な出来事があったものの、模擬戦は続く。


今日の1戦目は、僕達【パレード】に敗れた冒険者パーティー【虎の牙タイガー・ファング】の試合だった。


総動員しているギルド医療班のおかげか【虎の牙タイガー・ファング】メンバーの怪我はすっかり回復しているようだ。


そして試合内容だが、【虎の牙タイガー・ファング】のチームワークが驚きの変化を遂げていた。


僕達【パレード】との戦いでは蔑ないがしろになっていた後衛職の2人ーー【魔法使いのアカリ】と【回復職ヒーラーのエリカ】が活躍している。


初手の攻めからアカリが魔法による妨害で相手を翻弄させ、有利な状況を作り出している。


エリカは負傷したパーティーメンバーがいれば瞬時に回復。


命令されるがままだった2人はもういなくて、自身の判断でしっかりとした行動ができていた。


僕達との試合後、2人が言った「次は負けません」の言葉通り、次戦えばどうなるかわからないほどに強くなっていた。


試合結果は、もちろん【虎の牙タイガー・ファング】の勝利。


1日目の出場者パーティーの戦いを見る感じ、今の【虎の牙タイガー・ファング】に勝てる者はいないだろう思う。


もし【幻影ファントム】がいればどうなったがわからないが、既に辞退している・・・。


「あの2人、変わったみたいですね」


【虎の牙タイガー・ファング】の試合結果を見た僕は、関わりの深い【大剣使いのクイナ】に話を振る。


クイナはアカリとエリカの心配をしていて、今の変化にどう思っているのかわからない。


「そうですね。
負けられないパーティーになったみたいです」


今日の試合を見て、クイナにはもう2人の心配はなく、ライバルとなる冒険者パーティーとして高く評価したようだ。


試合を終え、見守っていた僕達に対してガッツポーズを見せる2人は、クイナ同様ライバルと思っているのかもしれない。


そして、次々に試合が進んでいき、僕達の試合の番が迫ってくる。


今回僕達が戦うのは最終戦。


相手は僕の因縁の相手でありライバル。


【竜の爪ドラゴン・ネール】だ。


昨日、1人メンバーを失ったが、プライドの高い彼らのことだから4人でも出場してくると確信があった。


それに相手が僕達ということで、なおさら棄権はしないと思えた。