魔王様、勇者を育てる。

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第一章

18.魔王様、獣人を救う。

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ーーガサガサッ


すると村を襲っていた男達がいなくなったことで、茂みに身を隠していた獣人じゅうじん達が次々に姿を見せる。


キース達が男達の仲間ではないと認識しているようだった。


「・・・僕達の村が・・・」


そして、村の有り様を知った獣人の一人が悲しそうに呟いた。


それに釣られて泣く者も現れる。


集まった獣人達は皆、まだ幼い獣人達であり、大人が一人も見当たらない。


「ーー君達の親はどこに?」


その様子を見てキースは、悲しみに暮れている獣人の子供達にそう質問した。


「皆、さっきみたいな男達に連れ去られました・・・」


「そうか・・・」


キースの質問に答えてくれたのは、一人の獣人の男の子。


予想はできていたが、あの男達が獣人を襲ったのはこれが初めてではなく、何度も訪れていたのだろう。


それで度々、獣人をさらっていた。


今回、集まっている獣人達が子供だけなのをみるに、村に火を放ったのは根絶ねだやしにする予定だったのではないかと考えられた。


「ーー君達はこれからどうする?」


村が焼かれ、これから生活していくのに子供達だけでは厳しいのではないかと思える。


「・・・わかりません、一体どうすれば・・・」


先程からキースの質問に答えてくれているのが、今この獣人達のリーダーを務めている子なのだろう。


途方に暮れた様子で俯いていた。


「どうしましょうか、キース様・・・」


関わってしまった以上はこのままにしておくわけにはいかない。


それにこのままではになってしまうとキースは懸念する。


「とりあえずはローナに相談してみよう。
あの場所ならかくまってもらえるかもしれない」


獣人達を襲っていた男達の話が本当なら獣人と人の間には何かあると思うが、シャルに対しても偏見がなかったローナならきっと大丈夫と思えた。


獣人の子供達の人数は七人ほどで、あの宿屋なら十分泊まれるだろう。


『ーーご主人様・・・終わったよ・・・』


するとちょうどいいタイミングで、シャルからグリーン・ボアの狩猟が終わったとテレパシーのようなものでキースに報告が入った。


あらかた狩り尽くしたようだ。


『ちょうどよかった。
少しこちらに来てもらえるか』


『わかった・・・』


キースもシャルにテレパシーのようなもので返事を返し、この場所に呼ぶ。


獣人達を人里に連れていくことをシャルに説得してもらおうと考えたのだ。


シャルの外見は獣人であり、人の姿をしたキース達が説得しても警戒するかもしれないと思えたからだ。


ーーその会話からすぐのこと。


キースの足元にある影がブワッと広がったと思うとその中からシャルが姿を現す。


使い魔契約つかいまけいやくの利点であり、シャルの能力。


「どうしたの?・・・」


シャルはグリーン・ボアの狩猟に夢中で、キース達が行なっていた出来事を見ていなかったようで、そう質問してきた。


キース達はこれまでのこと、これからやってもらうことをシャルに説明する。


「ーーわかった・・・まかせて・・・」


説明後すぐにシャルは理解したように、焼けた村をずっと見つめる獣人達の元へと向かった。


最初は突然現れたシャルの存在に驚いている様子だったが、その似た外見と同じ歳ぐらいということもあり、すぐに上手く打ち解けている様子だった。

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