魔王様、勇者を育てる。

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第一章

25.魔王様、罠を張る。

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「ーーキース様、本当によろしかったのですか?」


獣人じゅうじんの子供達の模擬戦を終えた広場からの帰り道。


ベルがグリーン・ボアの狩猟に同行することを認めたキースに対して質問していた。


「どういうことだ?」


「【獣人狩りビースト・ハンター】の存在でございます」


ベルは【獣人狩りビースト・ハンター】の連中がいる中で、まだ狙われているであろう獣人の子供達を街の外に出していいのかと心配していた。


十中八九じゅっちゅうはっく、見つかったら襲ってくるだろうな」


「でしたら・・・」


キースはベルの言い分をわかっていながら、あえて子供達の同行を認めたのだ。


獣人狩りビースト・ハンター】達はきっとまだ姿を消した子供達を探している。


「【獣人狩りビースト・ハンター】の規模が大きいのはわかった。
闇雲に探しても、主犯にたどり着くまでに時間がかかってしまうだろう。
そこで逆に相手から来てもらおうと考えた。」


キースはあえて子供達を外に出すことで【獣人狩りビースト・ハンター】をおびき出す作戦にしたのだ。


「ーーそれに俺達の側にいる方が安全だろ?」


もし仮にキース達がいない間に【獣人狩りビースト・ハンター】の襲撃を受けてしまったら対応することができない。


それなら常に一緒に行動することで安全確保できるわけだ。


「そういうことでしたか。
かしこまりました、誠心誠意お守りいたします」


「頼む」


キースの説明でベルは納得した様子だった。


ーーそして、広場から屋台へと戻ってくると誰かと話すローナの姿があった。


「お、帰ってきたみたいだね」


ローナが戻ってきたキース達を見つけると一度話を止め、迎え入れてくる。


様子から察するにキース達を待っていたように見えた。


「紹介するわね、この子はティアーー」


「初めまして、旅人さん。
ティアと申します」


突然ローナが先程まで話していた相手ーー【ティア・ミス】をキース達に紹介した。


まだ少し幼い顔立ちで青い瞳、白に近い銀色の長い髪をした見覚えの少女だ。


「・・・勇者ゆうしゃと知り合いだったのだな」


そう、その少女は昨日壇上で演説を行なっていた勇者である。


二人が話していた雰囲気は初対面という感じではなく、どこか馴染みのある感じに思えた。


「そうそう、ティアとは勇者に任命される前からの付き合いでね。
ーーそれで、あなた達に話があるそうよ?」


ローナは勇者ことーーティアとは昔馴染みであり、たまたまローナの店に訪れるとキース達の噂を聞いたそうだ。


「話?」


ローナの話では、キース達に用があるのはティアのようだ。


「はい、噂を聞きました。
今日この街の危機を救っていただいたようで、ありがとうございました」


ティアはそう言ってキース達に頭を下げた。


ティアが言っているのはグリーン・ボアの狩猟のことだろう。


冒険者ギルドに大量に納品したことが結果的に街の危機を救ったことになったようだ。


「不甲斐ないことに、街の危機を知りながら勇者である私が狩猟に出ることができず、申し訳ないです」


ティアは勇者として街を救えなかったことに責任を感じており、手助けできなかったことを悔やんでいる様子だった。

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