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第一章
32.魔王様、勇者の力を見抜く。
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「ここです。
ーーせやぁぁぁぁぁっ!」
勇者ティアが獣人の子供達をターゲットに襲ってくるビッグ・イーグルに対して、聖魔法をまとった剣を振るった。
ギャァッ・・・
ティアが振った剣から光の斬撃が放たれ、ビッグ・イーグルに命中。
その瞬間、ビッグ・イーグルは消滅するように跡形もなく消え去った。
「すごい!」
子供達が驚くように、聖魔法は浄化の力をもつだけに効果は絶大。
そのおかげで、何の被害もなく全員が無事に助かった。
「よかった、上手くいった・・・」
ティアが安心するように構えを解くと、剣にまとっていた光が消えていた。
効果が発動したからだ。
見ての通り、この魔法が狩猟に向かない理由がそこにある。
ビッグ・イーグルを跡形もなく消し去ったように、魔族以外にも魔物に対しても効果が発動する。
そのため、狩猟でこの魔法を使うと痕跡を残すことなく消滅させてしまう。
魔物を持ち帰ることができないのはもちろん、必要な素材を回収することも不可能。
今回、ビッグ・イーグルは討伐対象外だったため使用したが、本来、危機的な状況や魔族との戦闘以外で使用することはない。
ティアが魔法発動に安心したのも、まだ使う機会がなく、初めての使用ではないかと考えられた。
「ーーあれが勇者達だけが使えるという聖魔法の力なのですね」
魔族の一人として勇者の魔法を初めて見たベルがそう呟いた。
その呟きは近くにいるキースにしか聞こえない。
「そうだ。
だが、思った通り効果が弱まっているな・・・」
キースはティアの使った聖魔法を見て、そう分析していた。
「そうなのですか?」
「集まる力が少なすぎる」
キースの見立てではビッグ・イーグルに対しては上手く発動したようだが、それ以上の力を持つ魔物になると効果が出ないと推測。
例えば、ティアを襲ったキラー・タイガーにこの魔法を使ったとして、無意味だっただろう。
浄化という効果の性質上、対象の魔力量を上回る力を発揮する必要があり、それができなければ打ち消され、効果が出ない。
今のままでは魔王を倒すどころか、魔族や高ランクの魔物すら倒すことができないだろう。
いつから力が弱まっているかはわからないが、これまでの勇者が弱かったのもこれが原因ともいえる。
「では、本来の力を発揮するには、人間を救う必要があるわけですね」
「そういうことだ」
聖魔法は魔族に対抗できる魔法だけに、他の魔法とは作りが違う。
力の源が魔力ではないのだ。
では何が力の源になっているのかというと、人間達の絆にある。
勇者は人間を救うために生まれた存在として、多くの人間を救うことで力を得るといわれている。
その象徴が聖魔法なのだ。
先代の勇者が強く、又おとぎ話になるほど人間に愛されていたのはそれが理由。
しかし、今の人間達はその理を知らないように、絆を壊し、勇者の存在意義があべこべになっている。
ーーせやぁぁぁぁぁっ!」
勇者ティアが獣人の子供達をターゲットに襲ってくるビッグ・イーグルに対して、聖魔法をまとった剣を振るった。
ギャァッ・・・
ティアが振った剣から光の斬撃が放たれ、ビッグ・イーグルに命中。
その瞬間、ビッグ・イーグルは消滅するように跡形もなく消え去った。
「すごい!」
子供達が驚くように、聖魔法は浄化の力をもつだけに効果は絶大。
そのおかげで、何の被害もなく全員が無事に助かった。
「よかった、上手くいった・・・」
ティアが安心するように構えを解くと、剣にまとっていた光が消えていた。
効果が発動したからだ。
見ての通り、この魔法が狩猟に向かない理由がそこにある。
ビッグ・イーグルを跡形もなく消し去ったように、魔族以外にも魔物に対しても効果が発動する。
そのため、狩猟でこの魔法を使うと痕跡を残すことなく消滅させてしまう。
魔物を持ち帰ることができないのはもちろん、必要な素材を回収することも不可能。
今回、ビッグ・イーグルは討伐対象外だったため使用したが、本来、危機的な状況や魔族との戦闘以外で使用することはない。
ティアが魔法発動に安心したのも、まだ使う機会がなく、初めての使用ではないかと考えられた。
「ーーあれが勇者達だけが使えるという聖魔法の力なのですね」
魔族の一人として勇者の魔法を初めて見たベルがそう呟いた。
その呟きは近くにいるキースにしか聞こえない。
「そうだ。
だが、思った通り効果が弱まっているな・・・」
キースはティアの使った聖魔法を見て、そう分析していた。
「そうなのですか?」
「集まる力が少なすぎる」
キースの見立てではビッグ・イーグルに対しては上手く発動したようだが、それ以上の力を持つ魔物になると効果が出ないと推測。
例えば、ティアを襲ったキラー・タイガーにこの魔法を使ったとして、無意味だっただろう。
浄化という効果の性質上、対象の魔力量を上回る力を発揮する必要があり、それができなければ打ち消され、効果が出ない。
今のままでは魔王を倒すどころか、魔族や高ランクの魔物すら倒すことができないだろう。
いつから力が弱まっているかはわからないが、これまでの勇者が弱かったのもこれが原因ともいえる。
「では、本来の力を発揮するには、人間を救う必要があるわけですね」
「そういうことだ」
聖魔法は魔族に対抗できる魔法だけに、他の魔法とは作りが違う。
力の源が魔力ではないのだ。
では何が力の源になっているのかというと、人間達の絆にある。
勇者は人間を救うために生まれた存在として、多くの人間を救うことで力を得るといわれている。
その象徴が聖魔法なのだ。
先代の勇者が強く、又おとぎ話になるほど人間に愛されていたのはそれが理由。
しかし、今の人間達はその理を知らないように、絆を壊し、勇者の存在意義があべこべになっている。
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