魔王様、勇者を育てる。

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第一章

31.魔王様、勇者の魔法を見る。

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ーー勇者ゆうしゃであるティアと、しばらく狩猟を共にすると約束したその帰り道。


「お姉さんは勇者なんですか!?
聖魔法せいまほうが使えるの?」


キース達の話を聞いていた獣人じゅうじんの子供が、興味を持ったようにティアに聞いていた。


ティアと獣人の子供達は訓練を共にしたこともあって、打ち解け合い、すっかり仲良くなっている。


「うん、初級の魔法まほうなら使えるよ」


あまり自信はなさそうだけど、一応使えるとアピールしていた。


【聖魔法】というのは勇者だけが持つことが許されている魔法。


魔族まぞくに対抗できる魔法として勇者にだけ授けられる力なのだ。


その名の通り、聖なる魔法といって、を持つものを浄化し、清める魔法。


「凄い凄い!
見てみたい!」


すると、獣人の子供が強請ねだるようにお願いしていた。


それだけ興味を持つのには理由がある。


実は、勇者という存在は人間の間でおとぎ話になっている。


何百年も前の話で、先代の勇者が先代の魔王を倒し、世界を平和にしたという物語。


その話は子守唄代わりに子供達に聞かせることが多く、勇者に憧れる子供が多くいる。


獣人の子供達も同じで、勇者に詳しいのはそれが理由だ。


「ーーじゃあ、少しだけだよ」


ティアはそんな子供達の期待に応えるために、聖魔法を見せるようだ。


本来なら、魔族との戦い以外で使用することはない。


腰に携えていた白い剣を鞘から抜き、構える。


ーー『ホーリー・レイ』


そう魔法を唱えるとティアの持つ剣に光の粒子が集まっていく。


そして、その光の粒子は剣を包み込むような光になり、剣が光を纏った。


「綺麗!」


子供達がそう反応したように、その光はどこか神秘的で美しく見える。


ギャァァァァァッ


そんな時、突然大きな魔物の鳴き声が聞こえてきた。


上を見上げると空から一羽の大きなワシ型の魔物が雄叫びを上げて、キース達の元に急降下してきている。


「あれは、ビッグ・イーグルか」


その魔物は【ビッグ・イーグル】と呼ばれる魔物で、別名『森の掃除屋』といわれている。


冒険者達がよく狩りを行なうような場所に現れては、冒険者が狩り残した魔物を空から狙ってくる魔物。


『森の掃除屋』と呼ばれるのは、冒険者が必要な素材を持ち帰った後、余った素材を処理してくれるからだ。


今こうして冒険者自身を直接襲ってくるのは珍しい光景。


「きゃぁぁぁぁぁ」


ビッグ・イーグルの降下地点から推測するに、狙いは獣人の子供達。


パッと見、子供ばかりの集団だから、獲物として認識されたのかもしれない。


「私に任せてください」


ティアもビッグ・イーグルの狙いがわかったようで、子供達を守るように前に出た。


「聖魔法は魔物狩りに向いていないのですが、仕方ないですね」


ティアが構える剣は今、聖魔法を纏っているため、攻撃すれば魔法の効果が発動することになる。

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