目が覚めたらそこは未来

美和

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契約

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ベッドに横たわりながら必死に過去を思い出す。しかし、自分の中には答えは見つからない。

両親もいたはず。兄弟だって。顔も思い出せない。

存在は頭の中に、記憶の中に確かに残っている。大切な部分が分からない。

「君はどこまで回復したのかな?体の調子はどうだい?」

どこからか声がする。部屋の天井に付けられたスピーカーからだった。ついでに監視カメラも発見した。

「体は重たいです。それと記憶があやふやです…」

反抗的な態度では、先程のように、放置される。そう思った僕は相手の質問に素直に答えた。

「ふむ、会話ができるレベルまで回復しているようですね」

色々と質問をしたい気持ちでいっぱいではあったけれど、大人しく話を聞く事にした。

「とりあえず、ご飯でも食べて下さい。と言っても、粥ですが」

壁の一部がスライドして、穴から粥と水が出てくる。

そこでスピーカーからの音はなくなった。お腹が空いているのか分からない感覚ではあったけれど、言われた通りに粥を食べる。

味はしなくて正直、美味しいと言えるものではなかった。それを水で流し込む。

食事も終わり、再びベッドに横になって記憶を探る。

相変わらず、家族の顔すら思い出せない。記憶喪失にでもなっているのだろうか。

カツカツと足音が聞こえる。再びドアの上部がスライドしてこちらを覗く目が現れる。

「両手を上げて、壁まで下がって下さい」

言われるがままに、両手を上げて部屋の奥まで下がる。

そして待ちに待ったドアが開く。そこには、銃をこちらに向けて構えた人が二人。その後ろに白衣を着た若い男。

「元気になられたようで良かった。場所を移して話をしませんか?」

怪しい空気。銃を向けられている僕は了承するしかない。しかし、やっと独房から出る事はできるのだ。

白衣の男が先頭を歩く。銃を持った人は僕の前後に歩く。

何がなんだか分からない状況ではあるが、とにかくついて行くしかない。

次に案内されたのは、まるで刑事ドラマで見るような取調室。警護された白衣の男と僕は机に座り向かい合う。

「西山…アキラ君。記憶はどこまであるのかな?」

「えっと…日常生活に必要な記憶はあります。でも、家族が思い出せなかったり、過去にどんな事をしたのか、全く思い出せないです」

「ふむ。記憶に問題がある。体は見た感じ、問題なさそうだね」

机の上にあった書類に目を通しながら答える白衣の男。

「これを見たら少しは思い出すかな?」

その書類を渡された。そこには、僕の家族構成や写真があった。その他には在学情報なども記載されていた。

「君についての書類の一部だ。全てを見せる訳にはいかないが、その範囲なら見せられる」

じっくりと書類に目を通す。そうだ。僕の家族。思い出してきた。

顔写真を見て、間違いなく家族だった。どのように育てられたのか、それはまだ思い出せないが。

〇〇高校在学。
そう、俺は高校生だ。学生生活は思い出せないが、そこに僕が存在していた事は間違いないだろう。

少しずつではあるが、記憶が戻ってきている。この調子でいけば、すぐに全てを思い出せそうな気がする。

「他に、僕に関する情報はないのですか?」

白衣の男は、頭をぼりぼりと掻きながら答える。

「んー、今の段階で見せられるのはこれが最後かな」

渡された書類には、全く記憶にない署名がされていた。

何をされても、異論を唱える事なく従います。西山アキラ

丁寧に母印と印鑑も押されている。

「そう言う事だから、君は私達に逆らっては契約違反だからね」
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