目が覚めたらそこは未来

美和

文字の大きさ
13 / 18

足りない情報、何が正しい?

しおりを挟む
「おーい、そろそろ起きな」

ユウトさんの声で目を覚ます。体の痛みで眠気は吹き飛ぶ。

「どうしたんですか?」

「エサの時間や」

ユウトさんが目の前までご飯を運んでくれる。

粥に具が少なく色も薄い味噌汁。

メニューを見る限り、日本、いやヤマト国は本当に貧しいようだ。

味はほとんどないが、食べなければ死んでしまう。とにかく食べる。

過去の死にたいなんて気持ちが嘘のようだ。今は生きたい。自分の死に直面して、希死念慮は消えていた。

「えらい痛そうやな、大丈夫か?」

ユウトさんは笑いながら言った。そんなユウトさんの体は傷跡、痣、酷いものだった。

「ユウトさんこそ酷いじゃないですか…」

「あー、これな。酷いもんよな」

二人は無言で食事をする。食べ終えた時、ユウトから質問された。

「アキラ君はNo.なんぼなん?」

「えと、僕は21って言われました」

「そかそか。何の順番で付けてる番号なんやろな…俺は32や」

言われてみれば、何の順番だろうか。蘇生された順番であれば、ユウトさんの番号は僕より若いはず。

「まぁ、どうでもええか…」

ユウトさんは食べ終えた食器を壁に戻して横になる。

「あの、ここは本当に日本だった国なんでしょうかね…?」

僕は世間話程度に、松下から聞かされた話をネタにした。

「多分そうなんやろうなあ。考えられんわ」

「ですね、僕の時代からは考えられないです…」

ネガティヴな話になってきて、僕は黙ってしまった。

「…どこまで話聞いたか知らんけど、鵜呑みにしたらあかんで」

「どういう意味ですか?」

「アイツら言うとる事が全部正しいなんて思ったらあかんって事や」

僕は思い返す。特におかしな事はなかったような…要するに、ヤマト国は他国の奴隷国家になってしまっている。その状況を打破したいヤマト国家。

「嘘を教えられてるって事ですか?」

「それは分からん。けど、人権も何もないようなこの環境がおかしいやろ?」

「はぁ…」

「歴史は専門ちゃうかったけどな、民主主義から独裁国家になってる、その可能性もあるわな」

正直、よく分からない事だった。とりあえず相槌を打っておいたけど。

痛む体を休ませるために、静かに横になる。

本当に松下から教えられている情報は正しいものなのか。しかし、僕達の情報源はそこしかない。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

恋愛リベンジャーズ

廣瀬純七
SF
拓也は、かつての恋人・純への後悔を抱えたまま生きてきた。ある日、過去へ戻れる不思議なアプリを手に入れるが戻った先で彼を待っていたのは、若き日の純ではなく――純そのものになってしまった自分自身だった。かつての恋人とやり直すはずが、過去の自分を相手に恋をするという奇妙で切ない関係が始まっていく。時間と心が交差する、不思議な男女入れ替わりストーリー。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

処理中です...