能力が基本となった世界4

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体を動かすことができない俺はただ倒れていることしかできなかった。
………………………
「能力を奪うだけでもいいんだがそれだとなんだか気持ちが収まらない気がしてな」
「そう…なら最後に聞かせて、お母さんを殺したのは、あなたたちなの?」
楓恋は下を向きながら空城に問いた。
「俺たち、ではないがおそらく元子の能力の持ち主だろう。この能力を使っていると元の持ち主の記憶が流れ込んでくる。そこにお前の母親らしき人物がいる」
「そう、なら私の復讐相手は居ない、ということだね。
アイリや未来さんのこともあるけどそこまで関わりがないから私が怒るのも違うし」
「恐怖はないのか」
「別に、復習が終わったら死ぬつもりだったし」
「そうか…」
そうして目の前の男、空城は手のひらに黒い何かを集めだした。
私は目をつむってその時を待った。…でも
「お前!?」

痛みはなかった。ただ空城が叫んでいる。それだけは分かった。
「っち」
私がそっと目を開けるとそこには……
「勝…」
そこには、血だらけの瑠璃川勝が立っていた。

「はぁはぁはぁはぁはぁ、っ」
俺は力なくその場に倒れた。足がもう立つことはできないと言っているかのように。
「勝!?」
目を覚ました星野達が俺を見て叫ぶ。
「おい、何があった!」
星野が俺を起こしあげながら言う。
「なぁに、あいつとやり合って負けただけだ。
…しかし、俺は、いや、俺達はまだ…負けてないっ」 
そう言って何とか胸ポケットから銃を取り出し弾をこめる。
「おい、何をする気だ」
星野が叫ぶがそんなのお構い無しに銃を構える。
「これは、俺がやらないといけない。
他のやつに任せることは、できない。」
「やめろ!勝、お前、その銃を使えばお前は…」
「吉沢、これは俺にしか務まらないんだ。
これは融獄家にしか務まらない」
そうだ、これは融獄家にしか務まらない。俺の祖先がやったと言うのなら、腹立たしいが融獄家の俺にはこれをなす義務がある。
「銃よ、弾の能力、俺の、カイリ能力を吸い、力となれ!」
すると銃は光を放ち、銃口にはエネルギーと見られる弾ができ、段々と大きくなっていく。
「もっと、もっともっともっともっと!全てを吸え!」
俺の、いやカイリの能力を吸い付くし、姉さんの能力が込められ弾を全て装填し、それも吸わせた。
それは1つになり、強大な力となった。
その時に何となく分かった。能力が不明だった俺の能力が
「そうか、俺の能力は…
空城健人!俺たちが、融獄家の力を込めた一撃!
お前はこれを避けるのか!それとも受け止めるか!これは俺だけの力じゃない!姉さん、カイリ、そしてアイリ。
子供の頃から一緒だった人達の力が詰まっている!まさか、これを避けるなんて言わねぇよなぁ!」
そう叫ぶように言うと空城は受けるというように正面を向いた。
「さぁ、これを撃てば俺はおそらく死ぬ、そしておそらく空城もな」
トリガーに指をかけゆっくりと引き金を引く。
すると特大のビームが放たれそれは空城を貫いた。
…しかし俺の視界はそこで捉えた。
気付けば俺は倒れていて、ゆっくりと目を開けることができた。
『勝!?』
楓恋が俺を抱き抱えるように上半身を起き上がらせた。
「勝、お前…」
「吉沢、空城はどうなった…」
「その銃の攻撃に貫かれた。
死んだかどうか、星野さんと姫野が見に行った」
「そうか…」
俺は深く息を吸おうとしたが、上手く出来なかった。
「なぁ楓恋、お前の復讐相手は居なくなった。
前にも聞いたが、どうするんだ?これから」
俺がそう訊くと楓恋は
「分かんない、分かんないよ…あなたの、あなたたちのそばにこれからも居たらわかると思ってた。
見つけられるって。でもあなたが死んだら意味ないじゃん!」
楓恋は叫ぶように言った。
「その場に俺が居ようと居まいと関係ない。
その組織に関わって行くのならそうしたらいい。
いいか?復讐は何も生まない。ただ復讐は復讐を呼ぶ。今みたいにな…だからお前は、お前の人生を探せ、広い世界だ。この広さだけ、それ以上のお前の人生の選択肢がある。
俺がここで死ぬのも、お前がこれから生きていくのも。俺の、お前の選択だ。
何かを選択したら、そのまま進め、あとを振り返っても何もない」
「勝…」
様子を見てきた星野と姫野が戻ってきた。
「勝、あいつは…死んでいた。お前の、お前達の勝利ということだ」
「そうか…」
それを聞くとすごく安心し、全身の力が抜けたような感触があった。
「吉沢、姫野、これからこの組織の主力として頼むぞ?こう見えて星野は抜けてるからな、サポートしてやっくれ。もちろん、タメ口でな」
「これからって、あんた!あんたも居るんでしょ?
あんたが居ないと、私達は…勝」
「この状況見れば分かるだろ?
俺はもう死ぬ。喋るのも辛いんだがな、最後に何か残そうと思ってな」
「バカっ…そんなのなくたって私達の記憶、経験、色んなものが残ってる。だから…」
「姫野、最後くらい勝の好きにさせてやれよ。まぁこいつはいつも好きにやってたがな」
吉沢が姫野を抱きしめながら言う。
やっぱりこいつらはお似合いだよ。こいつらが居れば何とかなるだろう。
「星野、言わなくても分かるだろうがあとは頼むぞ?
この世界を、能力者、無能力者が生きやすい世界に…
してやってくれ…」
「言われずともやってやる!お前の分まで、戦って、より良いものにして、幸せになってやらァ!」
「それは頼もしい…ものだ」
ゆっくりと腕をあげる俺に星野は強く手を握った。
「言いたいことも言えたし、敵も倒した。
俺に心残りはないな…」
もう目が霞んできた。段々と寒くなってきた。
「はぁ……っ!」  
俺が横を見るとそこに姉さん、カイリ、アイリが立っていた。
「はぁはぁはぁ、俺はやったぞ、あのクソみたいな融獄家への恨み、打ち消した。
これで、この社会は平和になる…よね」
俺がそう小さく言うと
「そうね、そうなればいいね」
姉さんは優しく俺の頭を撫でた。
「はっ……」
その時、俺の体は重力によって落ちるのだった……
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