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第七章
しおりを挟む検査の結果は殆ど末期状態だったそうだ。
担当医が言うには、専門用語で Scheuer 分類のⅢ型 だそうである。
難しいことは私には分からない。
美咲は今、個室に移されて静かに寝息を立てている。
私は、静かに扉を閉めて病室を出た。
今はリュックの中にいるぺペンギンさんも何も語ろうとはしない。
私達は、黙って歩き、黙ってマンションの一室に入り、部屋の中で黙って別れた。
ぺペンギンさんは、目覚まし時計の中に入った。
そして今日も目覚まし時計は、どんなに足掻こうとも変わらない未来に向かって正確に時を告げている。
暗い未来に向かって。
私は寝室に入り、美咲と共同で使っている机の、私専用の引き出しから日記帳を取り出した。
もう、何も書くことなど無いという、美咲のいない日々なのに。
虚ろな時間の中で、最近のいろんなことが浮かんでくる。
全て美咲と過ごした日々だった。
其の思い出の中で、時々ぺペンギンさんがひょっこり顔を出してくる。
思わず苦笑してしまう。
こんな時だというのに。
そう、こんな時だと言うのに。
こんな時だからこそ?
ふとぺペンギンさんの言った言葉を思い出した。
不運に見舞われた時、何んでこんな事になるんや、ではなくてな、それやったらどないしたらええんか、だと言われた日。
何もせずに最後に泣き叫ぶだけでは無く、何かを始めなければならないんだ。
土壇場で私は泣くだろう、泣き叫ぶに違いない。
しかし何もせずに泣くのか?
そうなんだ、今の自分にできることは何んなんだ?
私は、机に置きっぱなしにしていた日記帳を開いて、美咲と過ごした日々を読み進めていった。そうか、答えはここにもあったんだ。
ただ悲しむのではなく、今を生きて動くことのできる自分にできること、何んでもいい、美咲の為になるなら何んでもやろう。
私は、私の決意を聞いてもらおうと、同意を求めたく、目覚まし時計の方へ急ぎ足で歩み寄った。
ところが、目覚まし時計の中から大きな怒鳴り声が聞こえてきた。
「お前みたいな分からず屋は何処探しても居らへんわ、このボケ! カス! ドアホ! お前は底抜けのボケカスドアホじゃ!」
「・・・・・・・・?」
誰と話をしているのだろう?
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