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22話
しおりを挟むコミネはビールを飲み終わると約束通りにメグの部屋へ行く。
約束通り秘密の合図で扉をノックする。
「どうぞ」
と少女の可愛らしい声がする。
「失礼しまーす」
とコミネが入ると
「なーんだ、ぺぺちゃんじゃないんだ」
「ごめん、ごめん、ぺぺさん、何処かへ行って帰ってこないんだよ。でね先生で良かったら一緒に勉強しないかなぁ、って思ってさ」
「お勉強? 宿題だったら、もう終わったよ」
「えっ、いつもそうなの?」
「うん、そうだよ。でも分からないところがあったら残しといてぺぺちゃんに教えてもらうの。ぺぺちゃん凄いよ。なーんでも知ってるんだよ」
「ぺぺさんなら、そうかもしれないね。昨日は何を習ったの?」
「昨日は算数だよ。一番大きな数字はね、無量大数って言ってね、10の68乗でね、一番小さな数字はね涅槃寂静って言ってね、10のマイナス28乗なんだって。でもぺぺちゃんの住んでいたところは、もっともーっと大きな数も小さな数もあるんだって」
「うーん、それって小学生で必要なことかなぁ。他に何か習った?」
「うん、社会のお勉強でね、人を虐めたりする人が居たらね、南無阿弥陀仏って心の中で言ってね、その人が安らかに今すぐに天国へ行ってくれるように祈るんだって」
「うーん、ますます小学生に必要な勉強から離れていっているような気がする」
「先生も、いっぱい知ってる?」
「まぁ、少しくらいは。でもぺぺさんには敵(かな)わないかな」
「ふーん、先生、英語喋れる?」
「まぁ、それも少しくらいかな」
「へぇ、全部少しなんだね。メグのお父さんなんか英語いっぱい喋れるんだよ。ずっとアメリカに居たんだよ。その時のことは、メグは小さ過ぎて覚えてないんだって。でもね、中学生になったら、お父さんが英語を教えてくれるんだって」
「それは凄いね。で、お勉強をしない時はぺぺさんと何してるの?」
「いろんな事してるよ、ねぇ?」
「何?」
「先生、遊ぼ」
その言葉にコミネはハッとしてしまう。
先生、遊ぼ。
コミネは会話を続けることができず、目を泳がすように部屋を見渡すと。
メグのベッドの上には大きな目覚まし時計、おそらく、この時計がぺペンギンの言っていたシェルターなのだろうと思う。そして、その横には、白い小さな犬のぬいぐるみ。
コミネは目眩を覚える。
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