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2巻
2-3
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「全部購入します!」
「かしこまりました。それではどうぞ、こちらの今回ご注文いただきました材料をお渡しいたしますね」
支払いを済ませ、材料が入った籠を受け取ると、初老の男性がニッコリ笑う。
「ヤマザキさん、魔法薬師になった一年目は、当協会が指定する魔法薬を調合し、それを協会へ提出しなければならない――ということを覚えていらっしゃいますか?」
「え? あ、はい。もちろん覚えていますが?」
魔法薬を調合する時、調合方法や魔力の流し方などは人によって千差万別。
だから、一年間色々な魔法薬を提出させ、試験の時に提出されたものと徹底的に比べて、不正が行われていなかったかを見極める。
そんな説明をされたことを思い出し、それがどうしたのだろうと首を傾げていると、驚きの言葉を告げられた。
「それでは、最初に提出していただく魔法薬の出題をいたします」
「ほぇ?」
思わず間の抜けた声が出てしまった。
「提出していただく魔法薬ですが……今回作ろうとしているものと全く同じものを、同じ材料で調合し、提出してください。ちなみに、通常であれば材料を揃えるところからが提出課題で行う作業ですが、今回に限り、協会の負担で同じ材料を一回分、ご用意いたしましょう」
なるほど、同じものか。それなら色々と調べる必要もないから楽かな。
……って、そうじゃなくて。
「え、材料……いいんですか?」
そう。こんなに高級な材料を用意してくれるというのに、僕は驚いてしまった。
「ええ。今回購入された材料を使ってどんな魔法薬を調合するのか、上の者が気になったようでして。今回は協会で購入したもので同じものを作るようにとの上の者の指示でしたので、材料はこちらでご用意いたします。もちろん、完成した魔法薬は買い取りとして扱わせていただきます……ああ、ご安心ください。次に出題する魔法薬は、他の魔法薬師と同じく、街でも手に入れやすい材料を使ったものとなりますので」
タダで材料を手に入れて調合するのに、買取までしてもらえるなんてラッキーじゃん!
『上の者』ってのが気になったけど、まぁ聞いても教えてもらえないよね。
そうだ。せっかくだから、以前から気になっていたことを聞いてみよう。
「あの、自分が調合した魔法薬を売る時の値段って、基準とかあるんですか?」
「……ふむ。そういえば、ヤマザキさんの故郷はここからとても離れた場所にあり、魔法薬師についてあまり知識がないとおっしゃっていましたね」
男性は、魔法薬師試験を受けた時にグレイシスさんから聞いた、僕が田舎から出てきたという嘘の身の上話を思い出しているのだろう。
試験官をしてくれたエドガーさんは、悪気は全くない感じで「田舎」発言してたけど……彼とは違って、気を遣った表現をしてくれて好印象だった。
うん、気遣いって大事よね。
……まぁ、別に本当に田舎から出てきたわけじゃないから、いいんだけど。
そんなことを考えていると、男性は納得したように頷く。
「……おそらく、シャム様も当たり前のこと過ぎて、ご説明を省いてしまったのでしょう」
そう言うと、僕に色々と教えてくれた。
「まず、『魔法薬の値段の基準』でございますが、答えは――『ない』です」
「えっ、そうなんですか!?」
僕が驚いた表情をすると、頭の上のハーネも僕を真似してビックリした風の動きをする。
そんな僕達を見て笑いながら、男性は続ける。
「はい。なぜならばご存知の通り、魔法薬の作り方は千差万別、人によって全く違います。とすれば当然、同じ薬でも質が変わってくるでしょう。必要最低限の材料費を考慮した最低価格のようなものはありますが、魔法薬の出来栄えによって買取価格が変わってくるのが普通になります……そういった意味で、基準は『ない』と言えるのですよ」
なるほど、同じ名前の魔法薬だからといって、効果が違うのに買取価格が同じでは魔法薬師のモチベーション低下にも繋がるか。
「……とはいえ、買取側も鑑定が出来る者ばかりではありません。そのため、魔法薬の種類と、それを作った者の魔法薬師としての経歴や格によって、買い取り額を固定している店も少なくないのです。なので、販売する店は慎重に選んだ方がいいですね。それと――」
それから僕は、おそらく魔法薬師としては常識なのであろう事柄を、いくつも彼に教えてもらい、提出用の魔法薬の材料も受け取ってから、協会を後にしたのだった。
ケント特製魔法薬をお届け
《シュシュ~》
たっぷり色々と教えてもらってから、魔法薬師協会の建物から出ると、頭上のハーネが羽を動かして籠の側まで近寄ってきた。
気になる匂いでもするのか、クンクンと熱心に嗅いでいる。
ピコピコと尻尾を振る姿は、とても機嫌が良さそうだ。
受付窓口に籠が置かれた時も、嬉しそうに嗅いでいたし。
そういえば、いつかフェリスさんが言ってたな。
ハーネの種族――葉羽蛇は、その鋭い嗅覚によって、嗅いだものの品質を判断することが出来るんだって。
だから、魔法薬の材料や植物、野菜なんかを街で買う時は、ハーネに嗅がせて判別させたらいいそうだ。
ハーネって可愛いってだけじゃなくて、戦闘の時や買い物の時にも大変役立つ魔獣だよね。
「よし、あとは魔法薬を入れる瓶を購入して、さっさと帰って調合しちゃおう」
《シュー!》
「よし、これで全部揃ったぞ」
僕は家に着くなり、自分の部屋の机の上に、『魔力抑制剤』の材料や瓶などの容器を並べる。
ついでに事前に調べておいた『体力増加』や『貧血改善』なんかの魔法薬の材料も並べる。
結構な量の材料が並んだ机を見て、今回は失敗出来ないぞと改めて気合いを入れた僕は、机上へと手を翳した。
「『調合』!」
そんな僕の声と共に、机の上全体に魔法陣が浮かび上がり――光が収まれば、そこには透明な液体の入ったガラス瓶数本だけが置かれていた。
出来上がった魔力制御剤を手に取り、早速『カメラ』で撮って『情報』の『その他』の項目から確認する。
【魔力抑制剤】
・調合者 :魔法薬師 ケント・ヤマザキ
・入手難易度 :――
・効果 :魔力の過剰な放出を抑え、鎮静させるはたらきがある
・用法 用量 :瓶一本を数回に分けて飲むことで、一ヶ月効果持続
・魔法薬ランク :A
・治癒速度 :B
「お、ランクがAになってる。それに効果の持続期間も一ヶ月って、かなり長いよね? ……これくらいのランクの魔法薬なら、アッギスさんの奥さんも治るかな?」
腕を組んで画面を見ながら、そういえばこの『入手難易度』って、ここでも書かれてないけど何だろうと首を傾げる。
もしかしたら、街やどこかで売ってみたら、表示されるようになるのかもしれない。
ちなみに、同時に調合した提出用の魔力抑制剤や、体力増加薬なんかの他の魔法薬も、同じような魔法薬ランクだった。
今の僕のレベルで調合出来る魔法薬は、ここまでということなんだろう。
もし異世界の材料を使わずに、この世界のものだけで作っていたら、もう少しランクは低かったんだろうな。
もし、これでもダメだったら……グレイシスさんが帰ってきてから、魔法薬を調合してもらえるように頼もう。
僕は瓶が割れないように気を付けながら、魔法薬をミニショルダーに入れる。
「よし、それじゃあ行くか!」
《シューッ!》
アッギスさんの元へ向かうために、ハーネと共に家を出た。
地図を頼りにアッギスさんの家を捜すことしばし、無事に辿り着くことが出来た。
僕がこの世界で最初にお世話になった警ら隊の派出所から、そんなに離れていない場所だったおかげで、迷わずに済んだ。
アッギスさんの家は、周囲が小さめの垣根で囲われていて、玄関横にはロッキングチェアが置かれている。
大柄なアッギスさんには似合わない、こぢんまりとしたカントリー風の可愛らしい家だった。
「ここで間違いないよな?」
不安になりながら玄関のドアを叩く。
「――ちょっと待ってくれ、今出るから」
少しして、中から聞き慣れた声が聞こえてきた。
ドアが開くとアッギスさんが出てきて、僕を見た瞬間ポカンとした表情になった。
「……ケント?」
驚くアッギスさんを見て笑いながら、僕はミニショルダーから薬を取り出して、そのまま彼へと手渡す。
「アッギスさん、奥さんの症状を治すケント特製魔法薬……持ってきました!」
アッギスさんはすぐに、奥さんが寝ている部屋に僕を通してくれた。
部屋に置かれたベッドには、お腹の大きな女性――アッギスさんの奥さんが、青白い顔で息苦しそうに横になっていた。
アッギスさんは奥さんを気遣うようにそっと起こすと、肩を支えながら、僕が渡した魔法薬を飲ませた。
その表情は、ちょっと心配そうだ。
奥さんは相当具合が悪いのだろう、瓶に入った少量の魔法薬を飲むのにも苦労している感じだった。
コクリッ、と喉を動かし薬を一口飲んだ彼女は、再びベッドに横になる。
それからしばし様子を見ていると、魔法薬が無事に効き始めたのか、青白かった顔に赤みが戻ってきた。
苦しそうに息をしていたのも、徐々に穏やかになる。
そんな奥さんを見て、僕とアッギスさんは同時に安堵の息を吐き出す。
こうして効果が出たのならば、ここから一気に悪くなることはないはずだ。
これで、ひとまずは大丈夫だろう。
あとは、瓶に残っている魔法薬を数日かけて飲めば、体調も元通りになるはずだ。
「ゆっくり寝ていろ。俺はケントと居間に行ってるから、何かあれば呼んでくれ」
肩まで毛布を掛けながら奥さんにそう声をかけたアッギスさんは、僕を促して寝室を出たのだった。
奥さんの寝室を出て廊下を奥に進み、外装と同じ可愛らしい感じの居間に通される。
きっと奥さんの趣味なんだろうな。
勧められて椅子に座ると、アッギスさんが立ったまま頭を下げてきた。
「ありがとな、ケント」
「そんな……僕がアッギスさんに受けた恩に比べたら、こんなのお安い御用ですよ。それにお礼を言うなら奥さんの体調が本当によくなって、無事にお子さんが生まれてからですね」
「ははは。俺こそ、そんな大したことはやってねーよ。でも、本当にありがとな」
アッギスさんは苦笑しつつそう言うと、棚の中から革袋を取り出してテーブルの上に置く。
それから、テーブルを挟んだ僕の向かいの椅子に腰を下ろす。
「俺は……魔法についてはとんと疎くてな。魔法薬に関しても、仕事で使う以外の知識がある方じゃない。でもよ、さっきケントから貰った魔法薬を妻に飲ませただけでも分かることがある。それは――お前が作ったものはスゲー魔法薬だってことだ」
アッギスさんはそう言うと、デーブルの上に置いていた革袋を僕の目の前に移動させる。
中に何が入っているのかと気になって袋の口を開けて――驚く。
だって、革袋の中には一番金額の高い札束がギッシリ入っていたからだ。
「アッギスさん、これって……」
「あぁ、これは魔法薬の代金だ。ほら、魔法薬師協会で働いてる知り合いがいるって言っただろ? そいつに相談した時に言われたんだよ。急な依頼時は手元に調合出来る材料がなくて、協会で調達することがあるから、高位の魔法薬師の場合でも、依頼金が馬鹿高くなる場合があるってな。それで、いくらくらいになるのかも聞いてたんだよ」
それで、この金額を用意していたのだとアッギスさんは言う。
「妻や子の命が助かるなら安いもんだ。だから、これは魔法薬を作ってくれたケントが受け取るべき、正当な報酬だよ」
受け取ってくれ、と言うアッギスさんに慌てる。
いやいや、これはどう見ても貰い過ぎだし!
僕は革袋の口を閉め直してから、アッギスさんの前へ戻した。
「これは……受け取れません。僕は、アッギスさんを助けたくてこの魔法薬を作ったんです。アッギスさんだって、グレイシスさんやフェリスさんに依頼をしに来たんであって、僕自身には依頼をしなかったでしょ?」
「だが……」
「本当に、あの時アッギスさんに声をかけてもらえなかったら……僕は今頃どうなっていたか分からないんですよ。あのまま野垂れ死んでいたかもしれないし、犯罪に手を染めていたかもしれない。そのことを考えれば、この金額以上の恩を僕はアッギスさんに受けています」
だから、お金は受け取れないと首を横に振る。
「それに、子供が生まれたらお金がかかるでしょ? 貯めておかなきゃダメですよ」
僕がそう付け加えると、アッギスさんはしばらく革袋と僕を見ていたが、はぁ~っと息を吐き出した。
「……分かった。そこまで言うなら、今回はありがたく魔法薬をいただくことにするよ」
「はい。そうしてください……それと、こちらもどうぞ」
僕はアッギスさんが受け取ってくれたことにホッとしながら、ミニショルダーの中から、他に作っておいた魔法薬を取り出してテーブルの上に並べていく。
「これは……?」
不思議そうにしているアッギスさんに、どういったものか説明したら――
「それじゃあ、これはちゃんと金を払うからな?」
そう言って、革袋の中から十万レンを取り出して僕の前に置いた。
「そのラインナップなら、この金額が妥当だろう。これは譲らないからな」
どうやら、魔法薬に疎いと自認するアッギスさんでも、おおよその適正価格は分かるらしい。
とはいっても……十万レンは多い気がするんですが。
確かに『異世界のもの』を使っているから、同レベルの魔法薬師が作るものよりランクは高いかもしれないけど、それはアッギスさんには分からないことだ。
「でも、そんなに高い材料で調合したわけじゃないから、これは貰い過ぎですよ」
僕が困惑してそう言うと、アッギスさんは呆れたような怒ったような表情を浮かべる。
「はぁ……いいか? ケント。お前の魔法薬は、さっきの魔法抑制剤を見れば、ド素人でも凄いもんだと分かる。しかも、凄い魔法薬師だっていう人物に師事してるんだろ?」
そこで一度言葉を切って、まっすぐに僕を見つめるアッギスさん。
「お前だって、俺の妻を治せる自信があるから、魔法薬を作って持ってきてくれたんだろ? だったら、自分が作る魔法薬に対する評価を――自分で下げるな。『いいものは高い』なんて当たり前のことだ」
そのアッギスさんの言葉に、僕はハッとする。
「それにな、これからお前が魔法薬師として魔法薬を売ることを考えてみろ。たとえば、街で売られている魔法薬よりも効果が良いものも含め、全て低価格に設定したとする。お前の魔法薬はたちまち噂になって、買い求める客が増えるだろう。だが、そうしたらどうなるか……」
「それは……今まで適正価格で売っていた魔法薬師から恨まれるかもしれない、ってことでしょうか?」
僕がそう言うと、アッギスさんは頷く。
「そうだ。街で売られている魔法薬は、お前が作る魔法薬よりも効果が弱いものが多いだろう。だが、一般の魔法薬としてはそれが普通なんだ」
ここまではいいか? と確認してくるアッギスさん。
「誰だって安くて良いものを買いたいと思うし、特に魔法薬は比較的高価なものだ。ケントの品質の良い魔法薬が安いと分かれば、今まで贔屓にしていた魔法薬師から買わなくなる……そうなれば、魔法薬師にしてみれば商売上がったりだ」
誰だって、そんなことをされたら面白くない。
「魔法薬師は、ある程度魔力を抑えて調合することが出来るって聞いたことがある。お前が魔法薬を高く売るのに抵抗があるんだったら、魔力を調整しながら、街で売っている程度のものを作って売ればいいんじゃないかと、俺は思うぞ」
目から鱗が落ちるとはこのことだ。
確かに彼の言う通り、この街の魔法薬師に迷惑をかけ、いらない喧嘩を売ることになってしまっていたかもしれない。
それに、魔力を抑えて調合すればいいってことも気付かなかった。
「……そうですね、アッギスさんの言う通りだと思います。色々と教えてくださりありがとうございます」
僕はそう言って頭を下げ、ありがたく十万レンを頂戴することにした。
受け取ったお金をお財布に仕舞いながら、アッギスさんに大事なことを伝えていなかったのを思い出す。
「あぁ、それと、今回調合した魔法薬は全て妊婦さんでも服用して大丈夫なものばかりです。安心してください」
「何から何まですまねぇな。恩に着る」
「いえいえ。あと、魔力を抑える魔法薬の効果は一ヶ月続くとは思うんですが……流石に奥さんの体調を全て把握出来るわけじゃないので、医師にもきちんと見てもらってくださいね。それでもまだ何かあれば――魔法薬が必要なら、僕に声をかけてください。その時はグレイシスさんをご紹介しますので」
「あぁ、分かったよ」
アッギスさんは、ホッとしたように頷くのだった。
それからしばらく、出会った頃の懐かしい話をしたり、使役獣となったハーネを紹介したりと、僕とアッギスさんはリビングで話し込んでいた。
とはいえ、あまり僕が長くいたら奥さんがゆっくり休めないことに気が付き、お暇することにした。
玄関まで見送ってくれる途中、アッギスさんが口を開く。
「……なぁ、ケント」
「はい?」
「もしお前が、魔法薬師として金を稼ぎたいって言うなら力になる。こう見えても俺はいろんな人間と交流があるからな。お前が作る魔法薬なら、俺達みたいな職業に就いている者や、冒険者なら欲しがると思うし、名前も知れ渡ると思うぞ」
そう言うアッギスさんに、僕は首を横に振った。
「ん~……ありがたいお言葉なんですが、僕は魔法薬師ではなく、暁の一員――冒険者なので、そっちをまず優先しようかと思います。でもそう言ってくれて嬉しいです。ある程度魔法薬師として力が付いてから、アッギスさんの力を借りたいと思うので、その時はよろしくお願いします!」
僕がそう言えば、アッギスさんは一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに笑ってくれた。
「ああ、分かった。その時を楽しみにしてるよ」
僕も笑い返して、玄関扉のノブに手をかけたところで、再び声をかけられる。
「ケント、困ったことがあったら、いつでも連絡してこい……それに、子供が生まれたら知らせるから、顔を見に来てくれ」
「はい、ありがとうございます、なるべくお世話にならないように頑張ります……赤ちゃんに会えるのを楽しみにしてますね」
そうして、僕は、ハーネと共にアッギスさんの家を後にしたのだった。
「かしこまりました。それではどうぞ、こちらの今回ご注文いただきました材料をお渡しいたしますね」
支払いを済ませ、材料が入った籠を受け取ると、初老の男性がニッコリ笑う。
「ヤマザキさん、魔法薬師になった一年目は、当協会が指定する魔法薬を調合し、それを協会へ提出しなければならない――ということを覚えていらっしゃいますか?」
「え? あ、はい。もちろん覚えていますが?」
魔法薬を調合する時、調合方法や魔力の流し方などは人によって千差万別。
だから、一年間色々な魔法薬を提出させ、試験の時に提出されたものと徹底的に比べて、不正が行われていなかったかを見極める。
そんな説明をされたことを思い出し、それがどうしたのだろうと首を傾げていると、驚きの言葉を告げられた。
「それでは、最初に提出していただく魔法薬の出題をいたします」
「ほぇ?」
思わず間の抜けた声が出てしまった。
「提出していただく魔法薬ですが……今回作ろうとしているものと全く同じものを、同じ材料で調合し、提出してください。ちなみに、通常であれば材料を揃えるところからが提出課題で行う作業ですが、今回に限り、協会の負担で同じ材料を一回分、ご用意いたしましょう」
なるほど、同じものか。それなら色々と調べる必要もないから楽かな。
……って、そうじゃなくて。
「え、材料……いいんですか?」
そう。こんなに高級な材料を用意してくれるというのに、僕は驚いてしまった。
「ええ。今回購入された材料を使ってどんな魔法薬を調合するのか、上の者が気になったようでして。今回は協会で購入したもので同じものを作るようにとの上の者の指示でしたので、材料はこちらでご用意いたします。もちろん、完成した魔法薬は買い取りとして扱わせていただきます……ああ、ご安心ください。次に出題する魔法薬は、他の魔法薬師と同じく、街でも手に入れやすい材料を使ったものとなりますので」
タダで材料を手に入れて調合するのに、買取までしてもらえるなんてラッキーじゃん!
『上の者』ってのが気になったけど、まぁ聞いても教えてもらえないよね。
そうだ。せっかくだから、以前から気になっていたことを聞いてみよう。
「あの、自分が調合した魔法薬を売る時の値段って、基準とかあるんですか?」
「……ふむ。そういえば、ヤマザキさんの故郷はここからとても離れた場所にあり、魔法薬師についてあまり知識がないとおっしゃっていましたね」
男性は、魔法薬師試験を受けた時にグレイシスさんから聞いた、僕が田舎から出てきたという嘘の身の上話を思い出しているのだろう。
試験官をしてくれたエドガーさんは、悪気は全くない感じで「田舎」発言してたけど……彼とは違って、気を遣った表現をしてくれて好印象だった。
うん、気遣いって大事よね。
……まぁ、別に本当に田舎から出てきたわけじゃないから、いいんだけど。
そんなことを考えていると、男性は納得したように頷く。
「……おそらく、シャム様も当たり前のこと過ぎて、ご説明を省いてしまったのでしょう」
そう言うと、僕に色々と教えてくれた。
「まず、『魔法薬の値段の基準』でございますが、答えは――『ない』です」
「えっ、そうなんですか!?」
僕が驚いた表情をすると、頭の上のハーネも僕を真似してビックリした風の動きをする。
そんな僕達を見て笑いながら、男性は続ける。
「はい。なぜならばご存知の通り、魔法薬の作り方は千差万別、人によって全く違います。とすれば当然、同じ薬でも質が変わってくるでしょう。必要最低限の材料費を考慮した最低価格のようなものはありますが、魔法薬の出来栄えによって買取価格が変わってくるのが普通になります……そういった意味で、基準は『ない』と言えるのですよ」
なるほど、同じ名前の魔法薬だからといって、効果が違うのに買取価格が同じでは魔法薬師のモチベーション低下にも繋がるか。
「……とはいえ、買取側も鑑定が出来る者ばかりではありません。そのため、魔法薬の種類と、それを作った者の魔法薬師としての経歴や格によって、買い取り額を固定している店も少なくないのです。なので、販売する店は慎重に選んだ方がいいですね。それと――」
それから僕は、おそらく魔法薬師としては常識なのであろう事柄を、いくつも彼に教えてもらい、提出用の魔法薬の材料も受け取ってから、協会を後にしたのだった。
ケント特製魔法薬をお届け
《シュシュ~》
たっぷり色々と教えてもらってから、魔法薬師協会の建物から出ると、頭上のハーネが羽を動かして籠の側まで近寄ってきた。
気になる匂いでもするのか、クンクンと熱心に嗅いでいる。
ピコピコと尻尾を振る姿は、とても機嫌が良さそうだ。
受付窓口に籠が置かれた時も、嬉しそうに嗅いでいたし。
そういえば、いつかフェリスさんが言ってたな。
ハーネの種族――葉羽蛇は、その鋭い嗅覚によって、嗅いだものの品質を判断することが出来るんだって。
だから、魔法薬の材料や植物、野菜なんかを街で買う時は、ハーネに嗅がせて判別させたらいいそうだ。
ハーネって可愛いってだけじゃなくて、戦闘の時や買い物の時にも大変役立つ魔獣だよね。
「よし、あとは魔法薬を入れる瓶を購入して、さっさと帰って調合しちゃおう」
《シュー!》
「よし、これで全部揃ったぞ」
僕は家に着くなり、自分の部屋の机の上に、『魔力抑制剤』の材料や瓶などの容器を並べる。
ついでに事前に調べておいた『体力増加』や『貧血改善』なんかの魔法薬の材料も並べる。
結構な量の材料が並んだ机を見て、今回は失敗出来ないぞと改めて気合いを入れた僕は、机上へと手を翳した。
「『調合』!」
そんな僕の声と共に、机の上全体に魔法陣が浮かび上がり――光が収まれば、そこには透明な液体の入ったガラス瓶数本だけが置かれていた。
出来上がった魔力制御剤を手に取り、早速『カメラ』で撮って『情報』の『その他』の項目から確認する。
【魔力抑制剤】
・調合者 :魔法薬師 ケント・ヤマザキ
・入手難易度 :――
・効果 :魔力の過剰な放出を抑え、鎮静させるはたらきがある
・用法 用量 :瓶一本を数回に分けて飲むことで、一ヶ月効果持続
・魔法薬ランク :A
・治癒速度 :B
「お、ランクがAになってる。それに効果の持続期間も一ヶ月って、かなり長いよね? ……これくらいのランクの魔法薬なら、アッギスさんの奥さんも治るかな?」
腕を組んで画面を見ながら、そういえばこの『入手難易度』って、ここでも書かれてないけど何だろうと首を傾げる。
もしかしたら、街やどこかで売ってみたら、表示されるようになるのかもしれない。
ちなみに、同時に調合した提出用の魔力抑制剤や、体力増加薬なんかの他の魔法薬も、同じような魔法薬ランクだった。
今の僕のレベルで調合出来る魔法薬は、ここまでということなんだろう。
もし異世界の材料を使わずに、この世界のものだけで作っていたら、もう少しランクは低かったんだろうな。
もし、これでもダメだったら……グレイシスさんが帰ってきてから、魔法薬を調合してもらえるように頼もう。
僕は瓶が割れないように気を付けながら、魔法薬をミニショルダーに入れる。
「よし、それじゃあ行くか!」
《シューッ!》
アッギスさんの元へ向かうために、ハーネと共に家を出た。
地図を頼りにアッギスさんの家を捜すことしばし、無事に辿り着くことが出来た。
僕がこの世界で最初にお世話になった警ら隊の派出所から、そんなに離れていない場所だったおかげで、迷わずに済んだ。
アッギスさんの家は、周囲が小さめの垣根で囲われていて、玄関横にはロッキングチェアが置かれている。
大柄なアッギスさんには似合わない、こぢんまりとしたカントリー風の可愛らしい家だった。
「ここで間違いないよな?」
不安になりながら玄関のドアを叩く。
「――ちょっと待ってくれ、今出るから」
少しして、中から聞き慣れた声が聞こえてきた。
ドアが開くとアッギスさんが出てきて、僕を見た瞬間ポカンとした表情になった。
「……ケント?」
驚くアッギスさんを見て笑いながら、僕はミニショルダーから薬を取り出して、そのまま彼へと手渡す。
「アッギスさん、奥さんの症状を治すケント特製魔法薬……持ってきました!」
アッギスさんはすぐに、奥さんが寝ている部屋に僕を通してくれた。
部屋に置かれたベッドには、お腹の大きな女性――アッギスさんの奥さんが、青白い顔で息苦しそうに横になっていた。
アッギスさんは奥さんを気遣うようにそっと起こすと、肩を支えながら、僕が渡した魔法薬を飲ませた。
その表情は、ちょっと心配そうだ。
奥さんは相当具合が悪いのだろう、瓶に入った少量の魔法薬を飲むのにも苦労している感じだった。
コクリッ、と喉を動かし薬を一口飲んだ彼女は、再びベッドに横になる。
それからしばし様子を見ていると、魔法薬が無事に効き始めたのか、青白かった顔に赤みが戻ってきた。
苦しそうに息をしていたのも、徐々に穏やかになる。
そんな奥さんを見て、僕とアッギスさんは同時に安堵の息を吐き出す。
こうして効果が出たのならば、ここから一気に悪くなることはないはずだ。
これで、ひとまずは大丈夫だろう。
あとは、瓶に残っている魔法薬を数日かけて飲めば、体調も元通りになるはずだ。
「ゆっくり寝ていろ。俺はケントと居間に行ってるから、何かあれば呼んでくれ」
肩まで毛布を掛けながら奥さんにそう声をかけたアッギスさんは、僕を促して寝室を出たのだった。
奥さんの寝室を出て廊下を奥に進み、外装と同じ可愛らしい感じの居間に通される。
きっと奥さんの趣味なんだろうな。
勧められて椅子に座ると、アッギスさんが立ったまま頭を下げてきた。
「ありがとな、ケント」
「そんな……僕がアッギスさんに受けた恩に比べたら、こんなのお安い御用ですよ。それにお礼を言うなら奥さんの体調が本当によくなって、無事にお子さんが生まれてからですね」
「ははは。俺こそ、そんな大したことはやってねーよ。でも、本当にありがとな」
アッギスさんは苦笑しつつそう言うと、棚の中から革袋を取り出してテーブルの上に置く。
それから、テーブルを挟んだ僕の向かいの椅子に腰を下ろす。
「俺は……魔法についてはとんと疎くてな。魔法薬に関しても、仕事で使う以外の知識がある方じゃない。でもよ、さっきケントから貰った魔法薬を妻に飲ませただけでも分かることがある。それは――お前が作ったものはスゲー魔法薬だってことだ」
アッギスさんはそう言うと、デーブルの上に置いていた革袋を僕の目の前に移動させる。
中に何が入っているのかと気になって袋の口を開けて――驚く。
だって、革袋の中には一番金額の高い札束がギッシリ入っていたからだ。
「アッギスさん、これって……」
「あぁ、これは魔法薬の代金だ。ほら、魔法薬師協会で働いてる知り合いがいるって言っただろ? そいつに相談した時に言われたんだよ。急な依頼時は手元に調合出来る材料がなくて、協会で調達することがあるから、高位の魔法薬師の場合でも、依頼金が馬鹿高くなる場合があるってな。それで、いくらくらいになるのかも聞いてたんだよ」
それで、この金額を用意していたのだとアッギスさんは言う。
「妻や子の命が助かるなら安いもんだ。だから、これは魔法薬を作ってくれたケントが受け取るべき、正当な報酬だよ」
受け取ってくれ、と言うアッギスさんに慌てる。
いやいや、これはどう見ても貰い過ぎだし!
僕は革袋の口を閉め直してから、アッギスさんの前へ戻した。
「これは……受け取れません。僕は、アッギスさんを助けたくてこの魔法薬を作ったんです。アッギスさんだって、グレイシスさんやフェリスさんに依頼をしに来たんであって、僕自身には依頼をしなかったでしょ?」
「だが……」
「本当に、あの時アッギスさんに声をかけてもらえなかったら……僕は今頃どうなっていたか分からないんですよ。あのまま野垂れ死んでいたかもしれないし、犯罪に手を染めていたかもしれない。そのことを考えれば、この金額以上の恩を僕はアッギスさんに受けています」
だから、お金は受け取れないと首を横に振る。
「それに、子供が生まれたらお金がかかるでしょ? 貯めておかなきゃダメですよ」
僕がそう付け加えると、アッギスさんはしばらく革袋と僕を見ていたが、はぁ~っと息を吐き出した。
「……分かった。そこまで言うなら、今回はありがたく魔法薬をいただくことにするよ」
「はい。そうしてください……それと、こちらもどうぞ」
僕はアッギスさんが受け取ってくれたことにホッとしながら、ミニショルダーの中から、他に作っておいた魔法薬を取り出してテーブルの上に並べていく。
「これは……?」
不思議そうにしているアッギスさんに、どういったものか説明したら――
「それじゃあ、これはちゃんと金を払うからな?」
そう言って、革袋の中から十万レンを取り出して僕の前に置いた。
「そのラインナップなら、この金額が妥当だろう。これは譲らないからな」
どうやら、魔法薬に疎いと自認するアッギスさんでも、おおよその適正価格は分かるらしい。
とはいっても……十万レンは多い気がするんですが。
確かに『異世界のもの』を使っているから、同レベルの魔法薬師が作るものよりランクは高いかもしれないけど、それはアッギスさんには分からないことだ。
「でも、そんなに高い材料で調合したわけじゃないから、これは貰い過ぎですよ」
僕が困惑してそう言うと、アッギスさんは呆れたような怒ったような表情を浮かべる。
「はぁ……いいか? ケント。お前の魔法薬は、さっきの魔法抑制剤を見れば、ド素人でも凄いもんだと分かる。しかも、凄い魔法薬師だっていう人物に師事してるんだろ?」
そこで一度言葉を切って、まっすぐに僕を見つめるアッギスさん。
「お前だって、俺の妻を治せる自信があるから、魔法薬を作って持ってきてくれたんだろ? だったら、自分が作る魔法薬に対する評価を――自分で下げるな。『いいものは高い』なんて当たり前のことだ」
そのアッギスさんの言葉に、僕はハッとする。
「それにな、これからお前が魔法薬師として魔法薬を売ることを考えてみろ。たとえば、街で売られている魔法薬よりも効果が良いものも含め、全て低価格に設定したとする。お前の魔法薬はたちまち噂になって、買い求める客が増えるだろう。だが、そうしたらどうなるか……」
「それは……今まで適正価格で売っていた魔法薬師から恨まれるかもしれない、ってことでしょうか?」
僕がそう言うと、アッギスさんは頷く。
「そうだ。街で売られている魔法薬は、お前が作る魔法薬よりも効果が弱いものが多いだろう。だが、一般の魔法薬としてはそれが普通なんだ」
ここまではいいか? と確認してくるアッギスさん。
「誰だって安くて良いものを買いたいと思うし、特に魔法薬は比較的高価なものだ。ケントの品質の良い魔法薬が安いと分かれば、今まで贔屓にしていた魔法薬師から買わなくなる……そうなれば、魔法薬師にしてみれば商売上がったりだ」
誰だって、そんなことをされたら面白くない。
「魔法薬師は、ある程度魔力を抑えて調合することが出来るって聞いたことがある。お前が魔法薬を高く売るのに抵抗があるんだったら、魔力を調整しながら、街で売っている程度のものを作って売ればいいんじゃないかと、俺は思うぞ」
目から鱗が落ちるとはこのことだ。
確かに彼の言う通り、この街の魔法薬師に迷惑をかけ、いらない喧嘩を売ることになってしまっていたかもしれない。
それに、魔力を抑えて調合すればいいってことも気付かなかった。
「……そうですね、アッギスさんの言う通りだと思います。色々と教えてくださりありがとうございます」
僕はそう言って頭を下げ、ありがたく十万レンを頂戴することにした。
受け取ったお金をお財布に仕舞いながら、アッギスさんに大事なことを伝えていなかったのを思い出す。
「あぁ、それと、今回調合した魔法薬は全て妊婦さんでも服用して大丈夫なものばかりです。安心してください」
「何から何まですまねぇな。恩に着る」
「いえいえ。あと、魔力を抑える魔法薬の効果は一ヶ月続くとは思うんですが……流石に奥さんの体調を全て把握出来るわけじゃないので、医師にもきちんと見てもらってくださいね。それでもまだ何かあれば――魔法薬が必要なら、僕に声をかけてください。その時はグレイシスさんをご紹介しますので」
「あぁ、分かったよ」
アッギスさんは、ホッとしたように頷くのだった。
それからしばらく、出会った頃の懐かしい話をしたり、使役獣となったハーネを紹介したりと、僕とアッギスさんはリビングで話し込んでいた。
とはいえ、あまり僕が長くいたら奥さんがゆっくり休めないことに気が付き、お暇することにした。
玄関まで見送ってくれる途中、アッギスさんが口を開く。
「……なぁ、ケント」
「はい?」
「もしお前が、魔法薬師として金を稼ぎたいって言うなら力になる。こう見えても俺はいろんな人間と交流があるからな。お前が作る魔法薬なら、俺達みたいな職業に就いている者や、冒険者なら欲しがると思うし、名前も知れ渡ると思うぞ」
そう言うアッギスさんに、僕は首を横に振った。
「ん~……ありがたいお言葉なんですが、僕は魔法薬師ではなく、暁の一員――冒険者なので、そっちをまず優先しようかと思います。でもそう言ってくれて嬉しいです。ある程度魔法薬師として力が付いてから、アッギスさんの力を借りたいと思うので、その時はよろしくお願いします!」
僕がそう言えば、アッギスさんは一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに笑ってくれた。
「ああ、分かった。その時を楽しみにしてるよ」
僕も笑い返して、玄関扉のノブに手をかけたところで、再び声をかけられる。
「ケント、困ったことがあったら、いつでも連絡してこい……それに、子供が生まれたら知らせるから、顔を見に来てくれ」
「はい、ありがとうございます、なるべくお世話にならないように頑張ります……赤ちゃんに会えるのを楽しみにしてますね」
そうして、僕は、ハーネと共にアッギスさんの家を後にしたのだった。
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