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曖昧
五
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不意に爆発音が鳴り響いた。魂たちが静まり返る。私たちも自然と会話をやめ、彼らに習って口の大きな鉄砲を持ったチルギに視線を送った。
「勘違いしているようですがこれは血ではありません。君たちの記憶、人間の中には血がある、という記憶から見えているものです。実際は魂なんかに色なんてありませんよ、はい、ほら、怖くないでしょう?」
ニコニコと身振り手振りに説明をして、最後には両腕を広げて同意を求めた。横ではカツギがうんうんと頷いている。
根本的な恐怖はきっと色ではないのに、この人たちには分からないのだ、と思った。生々しい、人間として生成された色のせいで怯えているのだと思っているのだろう。もしかしたらそういう魂もいるかもしれないが、とにかくチルギの有無を言わせない声音にみんな黙った。
「さあ、次は誰が入りますか?」
はっとした気配がそこかしこで伝わった。誰も話していないのにこの場か騒がしく感じる。緊張し、逃れたがり、誰かになすりつけたがっている。でも誰も話せない、口を開けば、その時自分が指されそうで。
「勘違いしているようですがこれは血ではありません。君たちの記憶、人間の中には血がある、という記憶から見えているものです。実際は魂なんかに色なんてありませんよ、はい、ほら、怖くないでしょう?」
ニコニコと身振り手振りに説明をして、最後には両腕を広げて同意を求めた。横ではカツギがうんうんと頷いている。
根本的な恐怖はきっと色ではないのに、この人たちには分からないのだ、と思った。生々しい、人間として生成された色のせいで怯えているのだと思っているのだろう。もしかしたらそういう魂もいるかもしれないが、とにかくチルギの有無を言わせない声音にみんな黙った。
「さあ、次は誰が入りますか?」
はっとした気配がそこかしこで伝わった。誰も話していないのにこの場か騒がしく感じる。緊張し、逃れたがり、誰かになすりつけたがっている。でも誰も話せない、口を開けば、その時自分が指されそうで。
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