転生エルフさんは今日も惰眠を貪ります

白波ハクア

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第1章

食事会です

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「──さて、これからどうしましょう」

 私とウンディーネの報告は、無事に終わりました。

 ですが、食事会まで絵はまだまだ時間があります。
 ……三時間くらいですか。うーん、暇ですねぇ。

 となると、やることは一つです。

「寝ますか」
「息をするように寝ようとするな」

 ミリアさんからツッコミが飛んで来ました。

「あなただって、さっきまで寝ていたでしょう?」
「余は疲れていたのだ。仕方がないだろう」
「では、私も疲れています。何処かの誰かが適当に招待を受けたせいで、私が裏で手を回すことになりました。とても疲れました」
「おまっ、それを引き合いに出すのはズルくないか!?」
「ズルくないですー、上司だからって不条理を押し付けて来る方がズルいんですー。やーい、ブラックー、忘れん坊ー、寝坊助ー、ばーか、子供ー」
「何だとう!? 子供なのは関係ないし、寝坊助だけはお前に言われたくないぞ!」

 ミリアさんは顔を真っ赤にして、私を指差します。

「…………へっ」
「上等だ! 表出ろ!」
「ああ、いいですよ? あなたが私に勝てるのなら、やってやりますよ? その代わり、負けたらお尻ペンペン30分ですからね」
「それだけは許してくれ! 頼むからそれ以外に……!」
「嫌ですー」
「……う、うわぁああん! アカネぇええええええ!」

 魔王のくせに、配下に泣きつくのはどうなのでしょうか?

「おーよしよし。……リーフィア、こいつをいじめるのも、それくらいにしてやってくれ」
「……別に、いじめているつもりはありませんよ。ただまぁ……アカネさんがそう言うのであれば、仕方ないです」
「ああ、すまな──」
「その代わりに、ミリアさんを少しお借りします」
「──っ! な、何ぶあ!?」

 ミリアさんをヒョイと持ち上げ、一緒にベッドへダイブします。

「うーん、相変わらず抱き心地が良いですねぇ……」
「おいコラ! 余を抱き枕にするな!」
「すやぁ……」
「聞けーーーー!!」

 ミリアさんが何かを喚いていますが、それを無視します。

 小さいし体の凹凸もないし、結構抱き心地が良いんですよねぇ。
 最高級の抱き枕です。

「魔王を抱き枕にするとは羨ま──じゃなくて、根性があるのぉ」
「……アカネさんも、来ますか? 川の字でも私は構いませんよー」

 アカネさんはアカネさんで、良い匂いがしそうです。
 きっと、安眠出来るでしょう。

「いや、誰かが来て、全員が並んで眠っていたら変じゃろう。そちらに行きたいのは山々じゃが、妾は我慢するとしよう」
「そうですかぁ……残念、です……ミリアさんも──って、もう寝ていますねぇ」

 最初はずっと喚いていたミリアさんでしたが、いつの間にかスヤスヤと静かな寝息を立てていました。
 とても安心したような表情です。
 なんかこう……母性というものを擽られますね。

「ふふっ……ミリアさんも、口ではああ言っていました……けど、素直ではな……ですねぇ」

 私も眠気が限界になって来ました。
 呂律も、上手く回りません。

「ふ、ぁあ……アカネさん、後はよろしくお願いします」

 そうして私は、突如襲って来た浮遊感に身を委ねたのでした。



          ◆◇◆



 夕刻になり、食事会が行われました。

 それまで思い思いに過ごしていた私達を呼びに来たのは、古谷さんだったようです。
 いくつもの料理が並ぶ、10メートル以上はありそうなテーブルがある大広間に、お二人のことを古谷さんが案内してくれたみたいですね。

 ……え、どうしてそんなに曖昧なのか、ですか?

 だって、何も知らなかったんですもの。
 寝て起きたら、私はいつの間にか大広間に居たんですよ。

 最初は全く意味がわかりませんでした。
 ベッドで気持ち良く眠っていたと思ったら、何故か目の前に豪華な食事が並んでいました。

 一瞬、まだ夢の中なのかと、私は再び寝ようとしましたが、それはアカネさんに止められました。

 私を運んだ──というか引きずったのはミリアさんらしいです。

 引きずるくらいなら起こして欲しいと思ったのですが、どうやら何度起こそうとしても、無駄だったようです。
 …………うん、それなら仕方ないですね。

 並んでいる料理の数々はどれも美味しそうで、見ているだけでお腹が空きます。
 まだ寝足りないのを、目を擦ってどうにか耐えながら、私達は席に座りました。

 国王とミリアさんは対になるように座り、その横にそれぞれの陣営が座ります。

 ミリアさんの左右には、私とアカネさんが。
 国王の左右には、側近の皆さんと古谷さんが。

「改めて、良くぞ遠い地より来てくれた、魔王ミリア殿」

 全員が落ち着いたのを見計らって、国王が重々しく口を開きました。

「招待に感謝するぞ、えっと……」
「…………ミスロウト・ボルゴースです」
「おお、そうだ。ミスロウト殿!」

 私が耳打ちしなければ、国王を変な名前で呼んでいたでしょう。
 それで空気を悪くするのは、避けたいところでした。

 私達の後ろには、何人もの兵士が控えています。
 失礼なことをすれば即座に、その剣を突きつけられるのは確実。

 沸点の低いミリアさんが我慢出来る筈がありません。

「……全く、相手の主要人物くらいは覚えてください」
「仕方がないだろう……余は名前を覚えるのが苦手なのだ……」
「ただ興味がないだけでしょう」
「うぐっ……そうとも言うな」

 コソコソと声を抑えながら会話しますが、あちらは特に怪しんでいる様子はありません。

 王様は全員のグラスに飲み物が注がれたのを見て、ゆっくりと立ち上がりました。
 ようやく、食事会が始まるようです。

「そろそろ、全員に飲み物が行き届いたか? それでは、かんぱ──」
「あ、ちょっと待ってください」
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