煙草屋さんと小説家

男鹿七海

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番外編 

午後三時

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 霧弥は煙草に火を点け、カウンターの端に溜まった灰をちらりと確認する。

「………ふぅ」

 手元のコーヒーカップをそっと置くと、カチャリと小さな音が響き、香ばしい香りがゆっくりと店内に広がった。
 煙草の煙はゆらりと立ち、香りとともに窓の隙間から外へ漂っていく。
 二階に居る龍二のキーボードの音は、今日は聞こえなかった。

 店内は静寂に包まれ、外の通りのわずかな音だけがかすかに届く。
 灰皿の灰を軽く揺すり、煙草を吸い終えた霧弥は、椅子に腰かけて短く息を吐いた。

 何も起きない、ただ静かに流れる三十分。午後三時の余白。
 霧弥は椅子にもたれ、目の前の静寂と、煙草とコーヒーの香りの混ざり合いを味わった。
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