校長からの課題が娘の処女を守れ…だと!?

明石龍之介

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第23話 日頃の恩返し

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「静粛に、静粛に!」

グランドでざわつく生徒たちに先生が呼びかけている。

「これからすぐ投票になるんですか?」

「いや、おそらく薬師寺と校長先生が最終プレゼンを行ってからだと思う。だからチャンスはその時一度だけだ。それまでに俺たちも準備はしておく。」

いよいよだ…

いよいよこの学校の命運と、そして俺の人生が決まる。

薬師寺さんが勝てば俺の高校生活は普通でつまらないものになるだろう。
そしてカレンとはもぅ一緒にはいられない…

校長が勝てば俺はまたカレンとこの日々を過ごすことができるかもしれない。
しかしまたここからの長い一年の無茶な生活が始まる。

でも俺は過酷でもカレンといれるかもしれない未来をとりたい…

キーンとハウリングしたマイクを調整しながら、校長がまず話し出した。

「えー、これから私と薬師寺くんで最終プレゼンを行う予定ですが、普通にしてはつまらないとのことで、応援演説形式といたします。それぞれ代理人を立てて、その人に話してもらうのです。そして、その内容を踏まえての投票とします。この中央のラインより右は私、左は薬師寺くんとする、支持する方の陣地へ足を運ぶがよい。」

応援演説だと?
薬師寺さんはあの二人がするとして、校長は一体誰を使う?アンは人気があっても喋れない…高村さんが出てきても生徒は誰だこいつとしかならんだろう…

「薬師寺くんはその二人だな。私は桜庭くんにお願いする。」

え、俺!?

「おい、桜庭ってチェリーか!?」
「なんでチェリーなんだ?」
「あいつ校長の娘と付き合ってんだろ?だからか」

全校生徒がざわついた。
ラブ高に巣食うツチノコ以上の珍獣、天然記念チェリーこと桜庭快斗は認知度だけなら誰にも負けてはいない。
いやめちゃくちゃ不名誉なんですけどね!

俺は何も言われてなかったので呆然としていたが、命先輩はチャンスだと喜んだ。

「これであれを皆に見せるチャンスがきたぞ!俺がプロジェクターで映し出す準備をしておく。だからお前はタイミングを見てスイッチを押せ。そうすれば必ず勝てる!」

あれを見せるのか…
まだ心の決心がつかない…

「大丈夫、これ使お」
「カレン…」

俺はその言葉で踏ん切りがついた。

俺が決心を決めたあたりで薬師寺さんが話し出した。

「時間の無駄だが、それくらいは許してやる。さぁ雷火《らいか》、風子《ふうこ》、早速演説を頼む!」

いきなり応援演説が始まった。

「…であるからして、この学校はより良く生まれ変わる時がきています。」

取り巻き二人の女性は美人だった。
彼女たちも5061人の中に含まれているのだろうか…
しかしはっきりいって取り巻き二人の話はつまらない。
生徒もみんなあくびをしている。

これは勝てるかも?
そう思った瞬間だった。

「えー、薬師寺様が勝った暁には、私たち、脱ぎます。」

「おおー!!」

いやセコッ!?
そんな色仕掛けありか?

「しかも触らせます」

「おおおー!!?」

男子は今ほとんど薬師寺に傾いている…

「もうなんなら、ヤラせます。」

「うおおおおー!」

いやダメだろそれ!?
そしてなんで先生らも興奮してんだよ!止めろよ!

「女性の皆様には、薬師寺様ご自身をデリバリーします。もちろんヤッてくれます」

「きゃー!やったー!」

もう無茶苦茶だな…
ここの生徒全員下半身に脳味噌ついてんのか!

買収というか売春だろこれ!!
それに清い学校生活目指すんじゃねぇのか!校長より酷いわ!

生徒のほとんどが薬師寺さんの方へ流れていった…

「さあチェリーよ、君はこの状況をどう覆す?」

自信満々に薬師寺さんが俺に向かって話してくる。
でも一言だけ言いたい…クソみたいな演説させといてイバるな!!

なんなんだあの演説は…
ヤラせてやるから票いれろ?お前の理念もクソも全く関係なかったわ!

俺は壇上に上がった。

「おいチェリーもういいぞー帰れ!」
「お前の童貞でもくれるってかー?」

爆笑している生徒達のことは大して気にならない。
俺はいつも笑われてきたからな。
しかし俺のこの秘策を見て泣きながら物乞いしても許してやらんからな。
はっきり言う、これはそこの二線級の女とのセックスよりもっとすごいぞ。

「校長に票を入れたらこいつをくれてやる」

くらいやがれ!
ポチッとな。
俺は一枚の写真を命先輩が用意したスクリーンに映し出した。

命先輩が撮ったメラニーさんのヌード写真だ。
以前校長の依頼で撮影したらしく、データが残っていたのだという。

しかもこれ、大事なところは全く見えないのだがなぜか恐ろしいほどにエロい。
もうこれは脳に直接働きかける劇薬である。

メラニーさんに迫られて俺よく我慢したよな…
ほんと一体命先輩の写真の撮り方ってどうなってんの?

「なによ、ただの写真じゃない。そんなものに私達が負けるわけ…」

「うほおおおおおー!!!!」

「!?」

男たちが雪崩のように校長側に流れていった。

「な、なんでよ!ただの写真よ!私達とはヤレるのよ!」

真生徒会の二人が焦っている。

「お前らごときがいくら何をしようとも、メラニーさんの写真と比べれば子供のお遊びなんだよ!」

なぜか命先輩がめっちゃイキッていた…

「う、うそ、私たちヤラせてあげても写真にすら勝てないの…?」

二人は膝から崩れ落ちた。

俺はこの写真を見せられた時に、相手がどんな条件を出してきても男は全員取り込める確信をすぐに持った。

なぜなら写真を持ってきた時、あれだけ裸を見慣れている命先輩のアソコが、自分で撮った写真のクセにビンビンだったからだ!
(もちろん俺もだ!)

こんな写真はこの世に二枚と存在しない。
あの目を見ただけで男の意識が朦朧とするメラニーさんが生まれたままの姿でカメラ目線でポーズまで決めているのだ。それだけで並大抵の男ならイッてしまうレベルだろう。
加えて命先輩が撮ったのだから、もうこれはこの世の奇跡である。

「そこまで、皆動くな!」

校長がそう言った時、学校の男子生徒は全員校長陣営にいた。

ラブ高の男女比率は6:4。

校長の勝利だ…

「やったー!校長勝ちましたよ!」

「おお、よくやった快斗くん!さすが我が心の友じゃ」

俺達は勝った… 寮もカレンとの日々も守られた…

俺はカレンの方に向かおうとした瞬間に全校の男子から囲まれた。

「おいチェリー!早くあの写真を出せ!」
「あれは誰だ!おい、俺に早く!早くしろ、もう我慢できない…」

グランドがいつしかのフードコートのようにパンデミックを起こしていた…
もう全員の焦点があっていなかった…

いやメラニーさん絶対テレビとか出たらダメだな…日本の機能が停止してしまう…

「わかったわかった!後日配りますから!」

あれ、薬師寺さんはどこだ?
負けを認められず一人でどこかに逃げたのか?

「チェリー、俺にも寄越せ、頼む寄越せー!」

迫りくるゾンビの群れの中にしっかりと薬師寺さんもいた。
え、こわっ!あんな人でもこうなるの!?
メラニーさん恐るべし…

なんとか全員を散らしてからカレンのところに合流した。

「いやぁさすがメラニーさんだ。男子票ねこそぎ行けると思ったけど予想以上だったなぁ」

「ビッチが役に立った」
「いやほんとにね!あんだけ苦しめられた分ちょっとは元を取らせてもらいましたよ!」

そこに命先輩が俺を呼びにきた。

「お疲れー!校長先生がチェリー呼んでたぞ。褒美でもくれるのかな?いいなーお前」

そうだ校長に聞かないと…
メラニーさんの写真を勝手に使って怒ってないだろうか。
でも元はと言えば人気のないあいつがいけないんだ。
だから勝たせてやったんだから借金はきっと…

「快斗、パパと仲良い」

「う、お前までそれを言わんでくれ…」

俺は期待と不安が入り混じる中、校長室に向かった。

「失礼します!」

「おお、これは円卓の騎士 快斗殿ではないか。まぁ座りたまえ。」

毎回何を基準に呼び方決めてるんだ?

「あ、あのー…校長、どんな形であれ選挙には勝ちましたから、俺の借金は帳消しってことでいいですよね?」

「もちろん君は本当によくやった!君の機転がなければ
私は負けていたよ。感謝する。」

「ありがとうございます。で、借金は…」

「なかなかどうしてあれだけ薬師寺に傾いていた票をこちらに全て持ってくるなど圧巻じゃった、君は現代を生きる策士じゃな。」

「いえいえ、そんなぁ…、じゃあ借金は…」

「佐津江くんとの連携も見事なり、写真を出すタイミングも完璧じゃったの。あれで大衆の心を一気に掴んだわい。」

「いやだから借金は!?」

「んなもん帳消しにするわけあるかー!!なんじゃあの写真は!?あれは私のためだけの秘蔵写真じゃぞ!?妻の裸を全校に晒しておいてよーそんなことが言えるもんじゃの!?」

やっぱり怒っていた…

「で、でもあれしか方法なかったでしょ!?」

「なぜそう言い切れる?もっとほら、私の素晴らしい部分をアピールしたり気高い理念を周知したり、やり方は色々あったじゃろが。」

素晴らしい部分…気高い理念…?

「いやねーわそんなもん!あったら逆にこっちが知りたいよ!」

「とにかく!借金棒引きはなし!最近調子乗ってチュッチュした分と合わせて三億円、きっちり払わすぞい!」

え、三億円?

宝くじでも当たらないと無理じゃん…

「なんじゃ、払えんのか?」
「払えると思ってたんですか!?」

「精算できればカレンとのチュッチュライフが待っておったのにのー?残念じゃったな。払えんのなら、死をもって償うしかないのー。それが嫌なら誰か代わりに払ってくれる人でも探すんじゃの。」

こんなやりとりをしているが、校長の目はマジだ…
なんか携帯で誰かに連絡してる、多分高村さん達だ…

ヤバい…終わった…
ああ、こんなことならあの日、いやあの日も、カレンとしておけばよかった…

「ちょっと待って」

なんとカレンが部屋に入ってきた。

「おお、カレン。今この背徳の騎士を追い詰め八つ裂きにしてやらんとしていたところじゃ。」

ああ、俺ってランスロットなのか?
いやあんたの奥さんには手を出してねーよ!
そしてお前はアーサー王に謝れ!

「パパ、お金いるの?」

「うん?まぁの、しかしそれはとてもじゃないがこやつには払えん額じゃ。カレンには新しい護衛を用意するよ。」

「パパ、お金あるよ」

!?

後ろから高村さんが大きなケースを担いで入ってきた。

そこにはなんと札束がビッシリと入っていた。

「こ、これは!?こんな大金どうしたのじゃ!?もし悪いことをしたのなら私は受けとらんぞ!」

「賭場で当てた。」

「え、賭けてたの!?どんだけ!?」

「10口」

「校長に1000万!?あんたギャンブラーだな!?」

ちょうど目の前には三億円あった。
こ、これで俺は…

「いや、これは受け取れないよ…」

「なんで?」

「なんでって…」

男の最後のプライドだ。
女の子に借金の肩代わりなんてそんな恥ずかしいことできるわけないだろ…
しかもカレンからなんて…

俺は魂まで腐らすわけにはいかない!

「その金は…」
俺が何か言おうとした瞬間首に冷たいものが当たった…

「おい小僧、お嬢の恩情がうけとれねぇのか!?だったらここで首飛ばすぞ!」
「はい受け取りますありがとうございますカレン様どうか僕のためにお支払いください!」

高村さんに危うく首をはねられそうになった…
やっぱり俺この人も苦手だわ…

「うん、わかった。はいパパこれでいい?」

「んぐぐ…しかし…くっ、わかったわい、これで借金はなしじゃ!」

カレンと高村さんのミラクルアシストに救われて俺は借金からなぜか解放された…

「ほれ、ここに捺印せい。それで借金はチャラ、チューもおとがめなしじゃ。くそ、この女衒師め。」

「教育者がそんな言葉使うなよ!」

契約書には三億円返済の証明と、今後のチューは咎めないという誓約が書かれていた。
でもこれでやっと…

「なあカレン、なんで俺のために大金用意してくれたんだ?」

「日頃の恩返し」
「恩返しで三億円ですか!?鶴がケチくさく見えてくるわ!」

しかしかっこ悪いなぁ…
少しだけ印鑑を押すのを躊躇しているとカレンが俺の手をそっと握った。

「困った時はお互い様、快斗の役に立ちたいの…」
「カレン…うん、ありがとうな。」

よし、これを押して夢のカレンとのイチャイチャライフだ!
その瞬間俺の唇にカレンが飛び込んできた。

「んん!?んー!どはっ!カレン何してんの!?」
「褒められたから、嬉しい」

そうかそうかと思った瞬間俺は大事なことに気が付いた。

まだ印鑑押してないんですが…

「こ、校長…これはもういいですよね…」

「うん、ダメ。契約成立前だからね!」

カレンのバカ―!!

カレンの勇み足のせいで、借金が1000万円残った…
校長曰くそれについては後日相談するということだった…

チューしようと迫るカレンをなんとか制止しながら捺印し、俺の借金は1000万円にまで減額に成功した…
そしてなんとかチューで借金が増えることは無くなった…
いや、マジでかっこ悪い…

「校長、大変です!!」
先生が一人飛び込んできた。

「な、なんじゃ騒々しい!私は気分が悪いのじゃ。」

「そ、それが…テニス部が活動を再開したんです!!」
「なんじゃと!!?」

そして校長は俺たちのことなど無視して飛び出していった。

え、テニス部が活動して悪いこととかあるんですか!?

次回 新章開幕!? 

チェリーVS体育会
学校に蔓延る魔の手からカレンを救え!

そして俺の童貞に危機が襲い掛かる!

淫乱集団アマゾネスの脅威から俺は耐え切れることが出来るのか!?

いや早く童貞は捨てたいんですけどね…















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