校長からの課題が娘の処女を守れ…だと!?

明石龍之介

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第24話 愛妻弁当

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唐突に消えた三億円の借金
なぜか残された1000万円の借金
そして俺が勝ち得たカレンとのチューの権利

これが俺の戦績だ…

「快斗、おはよう。ご飯できたよ。」

「おはようカレン、よし食べに行くよ。」

カレンは今日も朝早くからゴゾゴゾしていた。
俺もいつも通りカレンに起こされた。

日常?が守られたのだ。
だからといって節操もなくキスをしまくったりはしない。
なにせ俺は童貞なのだ。
自分からそんなアクションを起こせるわけもない…

「でも昨日校長たち慌ててたけど、何があったんだ?」

「わかんない。あ、快斗に手紙が来てたよ。」

カレンがそう言って持ってきたのは大量の手紙だった。

「え、これ全部俺宛て!?なにこれファンレター!?」

「快斗、学校中の人気者だね」

昨日目立ちすぎたかな…
まぁ、メラニーさんの写真を出すときなんかキマってたもんなー

「さぁて、どんな内容の手紙なんだー、案外ラブレターなんかも混じってたりして…っておおー!?」

中をあけると、全部脅迫状だった…

新聞を切り取って貼り付けたやつや、赤いインクで書かれたものまでそれぞれだったが、内容は等しく『あの写真を渡さなければ殺す』というものだった…

怖すぎるだろこれ!!何百通あるんだよ…

「快斗、人気者だね」

「いや、どうやったらそう思えるの!?みんなに脅されてるんだよ!」

まぁあの写真は…俺もあとでこっそり一枚もらっておこうかと思うくらいだし、命先輩に言って早めに焼いてもらおう…じゃないと命がいくつあってももたない…

あとは借金だな…
頭のおかしな金額はカレンのおかげで返済できたけど、あと1000万円だけか…いや、待て三億円で感覚バグッたわ!1000万ってどうやって払うんだよ!?

「はぁ…でもあの時カレンが来てくれて助かった。じゃないと俺今頃太平洋で魚の餌になってたよ…」

「快斗海好きなの?じいに連れて行ってもらう?」
「いや高村さんに海に連れていかれるとそれって底に沈む未来しか見えないからいいです!」

そしてふと、改めて気が付いた。
カレンとキスし放題…
もちろん俺からはしたりしないが、もうキスに怯えることもない。
早くカレンからしてこないかなぁ…

「快斗、にやにやしてる、変」

「はっ!いかんいかん、いや何でもない…」

今日に限ってカレンは何もしてこない。
まぁ慌てる必要はないか。

「学校いくぞー。」

「あ、快斗待って。」

お、この流れはいってらっしゃいの…

「パンツ履くの忘れた」
「いやそんな忘れ物聞いたことねぇよ!え、履いてないの今!?」

クソッ…意識しすぎだな俺。
まぁ帰りにラーメンでも食べたら喜んでチューしてくるかな?

選挙翌日もまた、皆疲れていたのか学校が静かだった。
しかしながら当然の如く向けられる殺意しかない大量の視線に怯え、俺は急いでカレンを送り届け教室まで走った。

「はぁ、マジでみんな怖いよ…純也、お前だけは変わらないな。」

「何言ってんだよ?あんな写真誰だって血眼になってほしがるに決まってるだろ?しかもあれ、校長の奥さんなんだって?さすが金持ちは違うよなー。」

他の生徒は今にも俺を食いちぎらんとする野犬のようだが、純也だけはいつも通りだった。

「持つべきものは友、だな。」
決して心の友などというものではなく、だ…

「何を今更、それよりいつあの写真配るんだ?」

「え、まぁそれはこれから準備するんだけど…」

「なぁ、いつだ?」

「いや、だからそれは今日これから…」

「なぁ、いつだ?」

「いや怖いって!お前が一番怖いまであるわ!!」

結局正気を保てている男子はいないのか…?

「それより純也、お前テニス部について何か知ってるか?」

「それよりってなんだ。なぁ、いつ…」

「もうそれいいから!」

純也の肩を思いきりゆすって正気に戻した後、テニス部について改めて情報を聞いた。

「テニス部?そういえばここのテニス部は全国でも有名らしいぞ。」

「へー、そんなに強いんだな?全然知らなかった。」

「いや、全国屈指なのは性欲がだそうだが。」

「そうでしょうね!でもそれテニス部に限らないと思うよ!!」

でもそんな程度の部活この学校ならゴロゴロあるだろ?校長のあの慌てようは尋常じゃなかったし…行きたくないけどあとで校長室に行ってみようか…

休み時間の度に教室の前には大勢の男子生徒が押し寄せた。
もちろん俺への督促だった…

事情を一人一人説明しながらなんとか気を静めていった。
いやメラニーさんがもし参観日なんかに来たらこの学校どうなるんだ!?

なんとか昼休みになるころには訪れる人も減ってきた。
そしてカレンが教室にやってきた。

「あ、カレンちゃんだ。かわいいなー」
「いいよなーチェリーの奴、勝ち組だよなー」

いや、多分この学校で唯一の負け組だと思うよ俺は…

「どうしたカレン?」

「今日お弁当つくったの、一緒に食べよ?」

愛妻弁当
全ての未婚男性の憧れであり、童貞にとってはもはや都市伝説のような存在である。

深い愛情でつながったパートナーへの、純なる愛の形、それが愛妻弁当である(その新鮮さは結婚すると途端に消えるとか消えないとか…)

「おいチェリー、愛妻弁当とは見せつけてくれるなー」
「えー、二人ってもうそんな仲なの!?なんか憧れる―」

「い、いや…カレン弁当なんか作ったの?と、とにかく座れよ。」

「うん、わかった。」

クラスの男女たちから悲鳴やヤジが飛ぶ中、俺の一人掛けの椅子に、狭そうに小さなおしりを入れてきた。

「おおー!」

寄り添うというかもはやべったり隣にくっついた状況のカレンと俺を見て、さらにクラスは盛り上がった。

「なんだよ、どうしたんだよ!?今日お前ちょっとおかしいぞ、いやいつもおかしいけどさ!」

「お弁当食べよ?」

い、いかん。スベスベしたカレンの足の感触が…

「快斗、バリカタになってる。」
「それ気に入ったんだね!でもやっぱり食べ物に失礼だからやめよ!?」

俺のツッコミなど聞いてもいなく、カレンは俺の机に弁当を広げだした。

「こ、これは…!?」

眼前の光景が俺の脳を強く刺激した。

普通の弁当箱にご飯とおかずが分けてきれいに並べられているのだが、その白米の上には大きなハートが描かれていた。

そしてこれはシャケだ、シャケでハートを作ってやがる…

「うわーラブラブじゃねえか!もうチェリーから強チェリーに昇格だな!」
「いや人をスロットの小役みたいに言うなよ!高確率でボーナス連れてきませんからね!?」

いやしかしこれは嬉しいが…死ぬほど恥ずかしい!

「カレン、こういうのはだな、人前では…」
「食べたくない?」

うっ、その上目遣いを至近距離でするのはやめろ!
俺なんか出そうだったぞ…

「い、いや、いただくよ。うん、おいしい。」
「えへへ、よかったぁ」

ぐおー!
これこそが夢にまでみた高校生活だ!
童貞万歳!おれは今日まで童貞であったことを誇りに思う!

「でも急にどうしたんだ?また俺なんかした?」
「ううん、違うの…」

ん?なんか思わせぶりだな…

「いや、なんもないならいいけど。でもこういうのは人が少ないところでやってくれよ…」
「うん、今度からはそうする」

カレンは俺が食べ終えるまでずっと隣に座っていた。

俺が完食したのを見届けると、さっさと教室に帰ってしまった。
なんだったんだほんと…

「おい、お前らすげーじゃん。もう毎晩ヤリまくりなんだろ!?」
「い、いや…相変わらず童貞ですが…」

クラスの冷やかしも当然か…でも天地がひっくり返ろうとも俺は童貞なんだよね…

放課後になり、まず俺はカレンを迎えに行き写真部へ行った。
用件はもちろん、メラニーさんの写真の現像をお願いするためだ。
でもあれって校長の許可なしで配っていいものなのだろうか…(確認したわけではないがメラニーさん本人の許可はいらないとなぜか確信していた。)

「また変な撮影会とかしてないよな…あのスタジオも恐怖だよ。」

「またなんかコスプレ借りてくる?」
「いや、それはしばらくNGでお願いします…」

俺の身がもたない…

「失礼します…っておぇー…」

そこには美男子たちが数名生まれたままの姿で立っていた。

「ああ、命君。これで…いいかい?」
「いいぞ君、その広背筋のラインなんてもはや芸術だ。」

「なにやっとんじゃいワレ!?」

思わず叫んでしまった…

「快斗、チン…」
「見るな―!そして言うなー!」

カレンにまた目隠しをして男たちに服を着させた(全員少女漫画に出てきそうな美男子ばかりだった…どっから沸いてくるんだよこいつら!)

「なんだ、チェリーか。どうせ写真の件だろ?あれなら今夜全校生徒に一斉配信されるように手配してある。」

「仕事はやっ!てか配信なの!?そんなシステムもあるんだ!」

こういう事に関してはこの人たちは仕事が早い…

「でも、よく校長が許してくれましたね?俺なんかクソ怒られましたよ?」

「校長は俺の熱狂的信者だからな。俺の言うことには逆らえないさ」
「いやそれなら最初からあんたについてきてもらえば良かったわ!てかそれならあんたが一番この学校で偉くないか!?」

借金のことも頼もうかな…
エロは身分すら超越するのか…

その足で校長室に向かった。
昨日のことで確認したいことがあったからだ。
借金のことは…触れてくるまでスルーしとこう…

「失礼します。」

「おお、これは女衒の極み快斗師ではないか。カレンまで連れてどうしたのじゃ?」

女衒はやめろよ…極めてもねえよ…

「校長、昨日慌ててましたけどテニス部って何かやばい部活なんですか?」

「ほう、飛んで火に入るカスのウジじゃな快斗くんは」
「いやめちゃくちゃな悪口だな!」

でもやっぱりなにかヤバい案件だったか…好奇心が災いしたか?

「どのみち君には動いてもらわねばならなかった。体育会の中でも特に問題だったテニス部が、最近活動を再開したのじゃ。」

「そのテニス部って何がやばいんですか?」

どうせ大したことないんだろ…

「あやつらは…他校の生徒を誘惑するのじゃ」

「は?」

意味がわからん。別に今更乱れまくったここの生徒が他校の連中とヤリまくって何の問題があるんだ?

「意味がわからんという顔じゃな。説明しよう。すでにテニス部の連中は他校生徒と交わり、そして味方につけてある標的を襲おうと企てておるのじゃ。」

「え、それって…」

「そう、その標的こそがカレンじゃ。やつらは指揮者がいる限りゾンビの如く増殖する。他校生徒からカレンを守りつつテニス部の部長の首をとるのじゃ!」

え、俺この学校以外からもカレンを守れと!?

「私狙われてる?」
「いやなんかそうらしいけど!?いやいや校長、あの寮じゃひとたまりもないですよ!?」

「そう思っての、私からもささやかながら贈り物を渡す。これを使うのじゃ。」

そういって何か木箱を渡された。
またスタンガンとか言うんじゃ…

包丁…

「あの、これは…」
「わからせてやれよ、グサッとな。」
「いやほんとこういうのやめて!!もうちょっとまともな対策考えてよ!」

「とにかく、カレンの処女を守り切らねば貴様に明日はないぞ!他校生徒の攻撃は週明けから始まる。頼むぞい。」

「あのー、なんで標的がカレンなんですか?まぁ可愛いからってことでしょうが…」

「それには深いワケがあっての…」

「ワケ?」
なにか校長の顔も曇っている。なにか事情が深そうだ。

「ふむ、私のことを学生時代にいじめてきておったのがテニス部での、ラケットを持つやつを見ると無性に腹が立ったから予算をゼロにしてやったのじゃ。すると恨まれての、娘を犯してやると言ってきたから強制的に休部にしたのじゃが、また勝手に活動しはじめてのぅ…」

「いやそれはあんたが悪いわ!!え、いじめられてたの!?でもそれここのテニス部関係ないですよね!?トラウマあるんならテニス部作るなよ!」

結論、全部お前のせいだよ!

「いや、俺自信ないんですけど…」

「じゃ1000万円、今すぐ払って」


俺たちは依頼を引き受けて寮に戻っていた…
くそ、借金を早くどうにかしないとまたゆすられる…

そして束の間の平和な週末に突入するはずだったのだが…

次回 休日の甘々な一日がついに!? 一番の敵はやっぱり己自身だった…

更に俺の童貞を狙う輩まで登場…頼むから可愛い子よ来ないでくれ!


























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