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第36話 彼女なの!
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「快斗どうしたの?なんか変」
「な、なんでもないって!それより早く行かないと競技始まるぞ」
俺は謎の布団の中での告白という、もうプレイの最中に告白してしまうエロ漫画の如き恥ずかしいシチュエーションを一人で勝手に体験してしまいほとんど寝付けなかった…
カレンの様子からすると多分聞こえてなかったのだろうが、それが余計にイタい…
あー、あんな恥ずかしいこともう一回やるの!?
照れと気まずさでカレンの顔があまり見れなかった…
会場につくと、少し減ったが(高飛びのせいで)昨日のメンツが既にスタンバイしていたが、もう疲弊しきっていた…
何もしていない高村さんは元気そうだったが、アンは寝袋で死んだように寝ていた。
いや、これもう死んでないか!?
全く動かないんですが…
参加チームは3チームだけなのに、またしても深夜の学校には溢れんばかりの人だかりが出来ている。
今日もまた展示会でもするのかな…
案の定、命先輩がこっちに向かってきた。
「また展示会ですか?それにしても人気エグいですね…」
「いや、今日は弟子の作品の品評会だ。未来の写真家の発掘に向けて多くのファンが集っている。」
「弟子!?あんた弟子までいるの!?」
「ああ、全国に200人程度だがな」
「いや多いな!その200人があんたみたいな写真撮るようになるの!?」
そいつらが順調に育ったら日本の危機だな…
「まぁ激励の一環としてお前に昨日のサンプルを一枚やるよ。これみて元気だせよ。」
そういって渡してくれたのはメラニーさんの写真だった。
これがまたやばいくらいにエロく仕上がっている…
布一枚を巧みに使い、隠しているというよりは見せれる限りを晒しているといった方が良い芸術的な一枚だった。
これがサンプルだと…?俺も展示会に行きたい…
ていうかメラニーさんの写真売ってていいの!?ほんと校長もこの人には甘いな…
「快斗、顔デロデロ」
「え、そんな溶けるほどになってた!?いや、これは…まぁしまっておくか」
「私が預かる」
カレンに写真を取り上げられた。ああ、あとでじっくり楽しみたかったのに…
時間が迫ってくるとアンが目を覚ました。
「お前大丈夫か?今日はできる限り出番がないようにするから…」
「同情するなら金をくれ」
「お前が言うと重いんだよ!」
高村さんはアンに「もっと働け」と言わんばかりの圧をかけていた。
やっぱり極道はタテの関係がきついな…
競技が始まる合図で呼ばれた。
しかしあまりにもくだらなかったのでダイジェストでお届けしよう…
今日の最初は高村さんに出てもらうことにした。
110個ハードル、これは説明の通り110個ハードルを並べているだけだった。
もう運営も考えるのがめんどくさくなったのだろう…
結論から言えば、高村さんは負けた。
ご自慢の仕込み刀でハードルを薙ぎ払っていたのだが、そもそも障害を破壊する行為は禁止と言われて失格になった。(一応ルールはあるんだ…)
そして気になる競技 円盤いる? にはカレンを出場させた。
これはもっと単純だった。円盤いる?と聞かれるので、「いる」と答えて購入していくだけの競技だ。
基本的にアスリートは一部を除いて裕福ではない。カレンのポケットマネーで全て回収し見事勝利した。
さらに投げやりという種目ではどれだけ人生を投げやりになれるかというただのネガティブ自慢だったのでもちろんアンに行かせた。
出場者たちが「どうにでもなれ」「人生おわったよ」と叫んでいる中で、一言「死にたい」と発せられたアンの呟きに、場は凍り付いた。
圧勝も圧勝だった…
最後のスペシャルコースはどんなものか期待していたのだが、なんのひねりもなくマ○オをやらされた…
自称ゲーマーのアンは軽々とクリアし、なぜか今日一番テンションが高かった…
そしてなにもせずに勝利を収めた…
本当は出場者たちの負け惜しみやその後芽生える友情などがあったのかもしれないが、学外のアホにまで関わりたくないからと、高村さんに追い出してもらった…
いやほんとこの競技やる必要あったかな!?
なにが名物なの?校長が流行らせたいだけじゃないか!?
それに文化祭実行委員も大概やばそうだな!
「快斗、勝ったよ!」
「ああ、なんかそんなに喜ぶことでもないとは思うけど…」
「文化祭回ろ!」
「あ、そうだな今日はどこに行こっか…」
思い出した。
この後おれ告白するんだった…
うわ、そっちの方がよっぽどプレッシャーだわ…
うっ、胃が…
「快斗、大丈夫?」
「だ、大丈夫大丈夫!さあてどこに行こうかなー」
今キスなんかされたら頭真っ白なるわ!
見事?キスを回避して出店の方へ向かっていった。
「あ、見て見て!」
はしゃぐカレンの視線の先では美術部が似顔絵を描いていた。
「あ、カレンちゃんだね?似顔絵描こうか?」
「猫描いて!」
カレン猫好きなんだ…
「はいよー、イメージだからあんまり上手じゃないかもだけど、こんなのでどう?」
渡された絵の中の猫は…いやリアルだな!
もっとデフォルメして可愛くするもんじゃないのこういうのって…
もう絵の中の猫の目が怖いよ…飛び出してきそうな迫力だ。
「お、チェリーじゃねえか。お前の似顔絵も描いてやろうか?」
そう話しかけてくるのは舞生律枝子屋《まうりつえしや》先輩だ。
騙し絵を超える騙し絵として、もう見る人がなにが正解なのか迷宮に彷徨ってしまうほどの絵画を開発したことで一躍有名になったスーパー高校生画家だ。
命先輩とはライバル関係にあるそうだが、たまに写真展とのコラボを実施すると、多くの人間がその芸術に骨抜きにされてしまうとかなんとか…
「はい、どうぞ。」
「あ、ありがとうございます…ってやっぱりめっちゃうまいすね!」
「おいおい、こんなことで驚かれたら困るぞ?その絵ひっくり返してみろ」
「こうですか…ってえ、どうなってんの!?」
なぜか逆さにするとカレンに見える…
はぁ?どうなってんのこれ?
「可愛いカップルさんにプレゼントだ。寮にでも飾っておけよ」
逆さ絵も描けるんだ…っていうかほんとどういうトリックなんだこれ!?
似顔絵コーナーは大盛況だった。
いや、この文化祭で世紀の名画が誕生するんじゃないのか?
「カップルだって、えへへ」
もうカレンは乙女になっている…
どこでいつ告白しようか…
恐ろしいほどにリアルな猫の絵を大事そうに抱えるカレンをみて、俺はドキドキしていた。
「あ、パパだ。」
前から校長が歩いてくる。
腰にバルーンアートを刺しまくっていてどこかのカーニバルの恰好みたいになっている…
「これはこれは、よくやったぞ快斗クン。しかしまだ文化祭実行委員の脅威を忘れてはならんぞ。彼らは文化祭が無事終了するかをずっと監視しておる。」
「もし何か事件やトラブルが起きたら出てくる、というわけですか…?」
「いや、監視しておる。」
「いや、それで問題が起きたら取り締まりにくるんですね?」
「いや、監視しておる。」
「一体いつ出てくるんだよ!?ただの監視カメラじゃねえかそれ!」
やっぱりくだらない連中だった…
「でもどうして実行委員の言うことに逆らえなかったんですか?」
「あやつらは言うことをきかんと佐津江くんの展示会を中止にすると言ってきおったのじゃ!あれは私の人生の楽しみそのものじゃ!あれがないと私は…私は!」
「わかったって!なんで写真にそんな中毒性があるんだよ怖いよ!」
結局くだらない理由だった…
「しかしカレンを景品にした意図はよくわからんままじゃ。一応は気をつけておくのじゃぞ。」
校長はどこかへ消えていった…
いなくなったすぐ後にメールが来た。
校長から?さっき言えよ…
『告白がんばっ』
いやだからツレかよ!
え、いいの?
校長の感覚がよくわからんわ!娘の処女はやらないけど付き合うのはむしろ早くしろと!?
あいつ心のどこかで失敗するとか考えてんじゃないかな…
「どうしたの快斗、怒ってる?」
「いや、なんでもないよ…」
結局うろうろしていたら昼になった。
売店で飯を買って二人で食べていると何か人だかりができていた。
「はーい、ギャラクシーピザの出張店舗開店しまーす。今日はピザ職人が直々に生地から作ってくれますよー」
すごい人気だな…アンの働いてる店ってこんなこともやってたんだ。
「おもしろそう!行こ!」
「え、今飯食ってるのに…」
二人で見に行くとピザ職人がクルクルと生地を回して手際よく伸ばしている。
「おおー」と歓声を受け得意げな顔をするやつに俺はひどく見覚えがあった…
「アン、こんなこともするの…」
数時間前までこのグランドでくだらない競技をしていたアンが職人の恰好をしてピザを作っていた。
いや出前まで自分でする職人とかいんの!?
華麗にピザ生地を窯に入れて一息着くアンに話しかけた。
「なにしてんの…」
「ピザ作ってる」
「見ればわかるよ!出前じゃないの?職人までしてたの?」
「ピッツァイオーロと呼べ」
「いやかっこいいな!」
アンのパフォーマンスで飛ぶようにピザが売れていたのでつい一枚買ってしまった。
カレンはむしゃむしゃとおいしそうに食べていた…
「おい、食べかすだらけじゃないか。きれいに食べろよ」
「快斗がとってくれるからいいの」
もう甘えられることにも慣れた。
でも慣れていてもかわいいものはかわいい。
「カレン、ちょっと話があるんだけど…」
「ん?どうしたの?」
いや、これは…まだ昼間だぞ…いや時間なんて関係あるのか?
そうやって言い訳してきて今日に至るんだろ…
「あのさ…」
「快斗」
なぜか俺はカレンにキスをされた…
「え、なんで今?」
「快斗、すごく真剣な顔してた。かっこいい」
カレンの白い顔が真っ赤になっている。
「カ、カレン!俺、お前が好きだ!つつつ、付き合ってくれないか?」
必死に目を瞑ったまま告白した
言った…
今度こそ言った…
怖くて目が開けられない…
あれ、何も言ってこない
俺は目を開けた
「カレン?」
カレンが泣きそうだ…
「うう、遅いよう…ずっと待ってたのに…でも嬉しいよ…嬉しい、うう、うわーん!」
またカレンが号泣しだした…
真昼間から女の子を泣かせる童貞はそれはそれは周囲から変な目で見られた…
「いや、カレンあのだな…とりあえず泣きやんで!」
「ぐすっ…うん、付き合う。私快斗の彼女」
い、今なんて…?
「あ、あの…」
「付き合うの!彼女なの!」
また目が腫れて子供みたいにぐすぐす言っているカレンは俺から離れなかった。
桜庭快斗 16歳 高校2年生
童貞だけどこの日、初めて彼女ができました。
天にも登る気持ちでカレンと手を繋ぎ文化祭デートを満喫していた。
もう薬師寺さんが何か言ってきていても、海神《わだつみ》さんがやりを投げてきても、命先輩が写真を撮ってきても俺はお構いなしだ。
ああ、薔薇色の高校生活が幕をあげたんだとグランドを駆け回っていたところで俺は意識を失った。
「…うん?あれ、カレンは!?」
目の前には知らない女がいた…
俺は…なぜか椅子に縛られていた。
いやなんで!?
次回 文化祭実行委員登場!
彼女のために意地を見せる!?
そして付き合った二人の甘い寮生活が!?
なんで普通に喜ばせてくれないの…
「な、なんでもないって!それより早く行かないと競技始まるぞ」
俺は謎の布団の中での告白という、もうプレイの最中に告白してしまうエロ漫画の如き恥ずかしいシチュエーションを一人で勝手に体験してしまいほとんど寝付けなかった…
カレンの様子からすると多分聞こえてなかったのだろうが、それが余計にイタい…
あー、あんな恥ずかしいこともう一回やるの!?
照れと気まずさでカレンの顔があまり見れなかった…
会場につくと、少し減ったが(高飛びのせいで)昨日のメンツが既にスタンバイしていたが、もう疲弊しきっていた…
何もしていない高村さんは元気そうだったが、アンは寝袋で死んだように寝ていた。
いや、これもう死んでないか!?
全く動かないんですが…
参加チームは3チームだけなのに、またしても深夜の学校には溢れんばかりの人だかりが出来ている。
今日もまた展示会でもするのかな…
案の定、命先輩がこっちに向かってきた。
「また展示会ですか?それにしても人気エグいですね…」
「いや、今日は弟子の作品の品評会だ。未来の写真家の発掘に向けて多くのファンが集っている。」
「弟子!?あんた弟子までいるの!?」
「ああ、全国に200人程度だがな」
「いや多いな!その200人があんたみたいな写真撮るようになるの!?」
そいつらが順調に育ったら日本の危機だな…
「まぁ激励の一環としてお前に昨日のサンプルを一枚やるよ。これみて元気だせよ。」
そういって渡してくれたのはメラニーさんの写真だった。
これがまたやばいくらいにエロく仕上がっている…
布一枚を巧みに使い、隠しているというよりは見せれる限りを晒しているといった方が良い芸術的な一枚だった。
これがサンプルだと…?俺も展示会に行きたい…
ていうかメラニーさんの写真売ってていいの!?ほんと校長もこの人には甘いな…
「快斗、顔デロデロ」
「え、そんな溶けるほどになってた!?いや、これは…まぁしまっておくか」
「私が預かる」
カレンに写真を取り上げられた。ああ、あとでじっくり楽しみたかったのに…
時間が迫ってくるとアンが目を覚ました。
「お前大丈夫か?今日はできる限り出番がないようにするから…」
「同情するなら金をくれ」
「お前が言うと重いんだよ!」
高村さんはアンに「もっと働け」と言わんばかりの圧をかけていた。
やっぱり極道はタテの関係がきついな…
競技が始まる合図で呼ばれた。
しかしあまりにもくだらなかったのでダイジェストでお届けしよう…
今日の最初は高村さんに出てもらうことにした。
110個ハードル、これは説明の通り110個ハードルを並べているだけだった。
もう運営も考えるのがめんどくさくなったのだろう…
結論から言えば、高村さんは負けた。
ご自慢の仕込み刀でハードルを薙ぎ払っていたのだが、そもそも障害を破壊する行為は禁止と言われて失格になった。(一応ルールはあるんだ…)
そして気になる競技 円盤いる? にはカレンを出場させた。
これはもっと単純だった。円盤いる?と聞かれるので、「いる」と答えて購入していくだけの競技だ。
基本的にアスリートは一部を除いて裕福ではない。カレンのポケットマネーで全て回収し見事勝利した。
さらに投げやりという種目ではどれだけ人生を投げやりになれるかというただのネガティブ自慢だったのでもちろんアンに行かせた。
出場者たちが「どうにでもなれ」「人生おわったよ」と叫んでいる中で、一言「死にたい」と発せられたアンの呟きに、場は凍り付いた。
圧勝も圧勝だった…
最後のスペシャルコースはどんなものか期待していたのだが、なんのひねりもなくマ○オをやらされた…
自称ゲーマーのアンは軽々とクリアし、なぜか今日一番テンションが高かった…
そしてなにもせずに勝利を収めた…
本当は出場者たちの負け惜しみやその後芽生える友情などがあったのかもしれないが、学外のアホにまで関わりたくないからと、高村さんに追い出してもらった…
いやほんとこの競技やる必要あったかな!?
なにが名物なの?校長が流行らせたいだけじゃないか!?
それに文化祭実行委員も大概やばそうだな!
「快斗、勝ったよ!」
「ああ、なんかそんなに喜ぶことでもないとは思うけど…」
「文化祭回ろ!」
「あ、そうだな今日はどこに行こっか…」
思い出した。
この後おれ告白するんだった…
うわ、そっちの方がよっぽどプレッシャーだわ…
うっ、胃が…
「快斗、大丈夫?」
「だ、大丈夫大丈夫!さあてどこに行こうかなー」
今キスなんかされたら頭真っ白なるわ!
見事?キスを回避して出店の方へ向かっていった。
「あ、見て見て!」
はしゃぐカレンの視線の先では美術部が似顔絵を描いていた。
「あ、カレンちゃんだね?似顔絵描こうか?」
「猫描いて!」
カレン猫好きなんだ…
「はいよー、イメージだからあんまり上手じゃないかもだけど、こんなのでどう?」
渡された絵の中の猫は…いやリアルだな!
もっとデフォルメして可愛くするもんじゃないのこういうのって…
もう絵の中の猫の目が怖いよ…飛び出してきそうな迫力だ。
「お、チェリーじゃねえか。お前の似顔絵も描いてやろうか?」
そう話しかけてくるのは舞生律枝子屋《まうりつえしや》先輩だ。
騙し絵を超える騙し絵として、もう見る人がなにが正解なのか迷宮に彷徨ってしまうほどの絵画を開発したことで一躍有名になったスーパー高校生画家だ。
命先輩とはライバル関係にあるそうだが、たまに写真展とのコラボを実施すると、多くの人間がその芸術に骨抜きにされてしまうとかなんとか…
「はい、どうぞ。」
「あ、ありがとうございます…ってやっぱりめっちゃうまいすね!」
「おいおい、こんなことで驚かれたら困るぞ?その絵ひっくり返してみろ」
「こうですか…ってえ、どうなってんの!?」
なぜか逆さにするとカレンに見える…
はぁ?どうなってんのこれ?
「可愛いカップルさんにプレゼントだ。寮にでも飾っておけよ」
逆さ絵も描けるんだ…っていうかほんとどういうトリックなんだこれ!?
似顔絵コーナーは大盛況だった。
いや、この文化祭で世紀の名画が誕生するんじゃないのか?
「カップルだって、えへへ」
もうカレンは乙女になっている…
どこでいつ告白しようか…
恐ろしいほどにリアルな猫の絵を大事そうに抱えるカレンをみて、俺はドキドキしていた。
「あ、パパだ。」
前から校長が歩いてくる。
腰にバルーンアートを刺しまくっていてどこかのカーニバルの恰好みたいになっている…
「これはこれは、よくやったぞ快斗クン。しかしまだ文化祭実行委員の脅威を忘れてはならんぞ。彼らは文化祭が無事終了するかをずっと監視しておる。」
「もし何か事件やトラブルが起きたら出てくる、というわけですか…?」
「いや、監視しておる。」
「いや、それで問題が起きたら取り締まりにくるんですね?」
「いや、監視しておる。」
「一体いつ出てくるんだよ!?ただの監視カメラじゃねえかそれ!」
やっぱりくだらない連中だった…
「でもどうして実行委員の言うことに逆らえなかったんですか?」
「あやつらは言うことをきかんと佐津江くんの展示会を中止にすると言ってきおったのじゃ!あれは私の人生の楽しみそのものじゃ!あれがないと私は…私は!」
「わかったって!なんで写真にそんな中毒性があるんだよ怖いよ!」
結局くだらない理由だった…
「しかしカレンを景品にした意図はよくわからんままじゃ。一応は気をつけておくのじゃぞ。」
校長はどこかへ消えていった…
いなくなったすぐ後にメールが来た。
校長から?さっき言えよ…
『告白がんばっ』
いやだからツレかよ!
え、いいの?
校長の感覚がよくわからんわ!娘の処女はやらないけど付き合うのはむしろ早くしろと!?
あいつ心のどこかで失敗するとか考えてんじゃないかな…
「どうしたの快斗、怒ってる?」
「いや、なんでもないよ…」
結局うろうろしていたら昼になった。
売店で飯を買って二人で食べていると何か人だかりができていた。
「はーい、ギャラクシーピザの出張店舗開店しまーす。今日はピザ職人が直々に生地から作ってくれますよー」
すごい人気だな…アンの働いてる店ってこんなこともやってたんだ。
「おもしろそう!行こ!」
「え、今飯食ってるのに…」
二人で見に行くとピザ職人がクルクルと生地を回して手際よく伸ばしている。
「おおー」と歓声を受け得意げな顔をするやつに俺はひどく見覚えがあった…
「アン、こんなこともするの…」
数時間前までこのグランドでくだらない競技をしていたアンが職人の恰好をしてピザを作っていた。
いや出前まで自分でする職人とかいんの!?
華麗にピザ生地を窯に入れて一息着くアンに話しかけた。
「なにしてんの…」
「ピザ作ってる」
「見ればわかるよ!出前じゃないの?職人までしてたの?」
「ピッツァイオーロと呼べ」
「いやかっこいいな!」
アンのパフォーマンスで飛ぶようにピザが売れていたのでつい一枚買ってしまった。
カレンはむしゃむしゃとおいしそうに食べていた…
「おい、食べかすだらけじゃないか。きれいに食べろよ」
「快斗がとってくれるからいいの」
もう甘えられることにも慣れた。
でも慣れていてもかわいいものはかわいい。
「カレン、ちょっと話があるんだけど…」
「ん?どうしたの?」
いや、これは…まだ昼間だぞ…いや時間なんて関係あるのか?
そうやって言い訳してきて今日に至るんだろ…
「あのさ…」
「快斗」
なぜか俺はカレンにキスをされた…
「え、なんで今?」
「快斗、すごく真剣な顔してた。かっこいい」
カレンの白い顔が真っ赤になっている。
「カ、カレン!俺、お前が好きだ!つつつ、付き合ってくれないか?」
必死に目を瞑ったまま告白した
言った…
今度こそ言った…
怖くて目が開けられない…
あれ、何も言ってこない
俺は目を開けた
「カレン?」
カレンが泣きそうだ…
「うう、遅いよう…ずっと待ってたのに…でも嬉しいよ…嬉しい、うう、うわーん!」
またカレンが号泣しだした…
真昼間から女の子を泣かせる童貞はそれはそれは周囲から変な目で見られた…
「いや、カレンあのだな…とりあえず泣きやんで!」
「ぐすっ…うん、付き合う。私快斗の彼女」
い、今なんて…?
「あ、あの…」
「付き合うの!彼女なの!」
また目が腫れて子供みたいにぐすぐす言っているカレンは俺から離れなかった。
桜庭快斗 16歳 高校2年生
童貞だけどこの日、初めて彼女ができました。
天にも登る気持ちでカレンと手を繋ぎ文化祭デートを満喫していた。
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ああ、薔薇色の高校生活が幕をあげたんだとグランドを駆け回っていたところで俺は意識を失った。
「…うん?あれ、カレンは!?」
目の前には知らない女がいた…
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