校長からの課題が娘の処女を守れ…だと!?

明石龍之介

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第35話 鈍感!

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競技開始の合図と共に俺たちを含めた3チームに説明係の人がきた。

「はい、まず各競技開始10分前までに参加者の名前を出してそこのポストに入れておいてください。一人の参加競技数に制限はありませんので、何回同じ人が出ても構いません。あとは点数を競って合計点の多いチームが勝利です。」

係の人は話を終えるとすぐに何処かへ行ってしまった。

「点数っていっても、10種競技とかって記録毎に点数が違うんだろ?早見表とかないのか?」

「パンフレットに書いてる」

「え、どれどれ」

『一位三点、二位二点、三位一点』

いや運動会か!

それに3チームしかないから点数全員もらえちゃうよね?
全然デッドヒートしないなこれ…

「おい、お前らが命知らずのルーキーって野郎か?」

なんか悪役みたいな人がきたんですけど…

「俺の名は我聞《がもん》、この道10年のベテランだ。よろしくな」

この10年間ずっとアホやってたのかあんたは…

なんか色々熱い話をされたが耳に入ってはこなかった…


「あのー…君が新人さんかい?」

「は、はい?あなたは?」

なんかガリガリのやつがきたな…

「私はロンド次郎、この大会のために命をかけて鍛錬を積んだ。貴様らには負けん。」

なんか強そうだな…

「次郎」

「あ、お前はアン!」

え、アンと知り合い?

「アン、どんな知り合いだよ…」

「世界タイトルで戦った男。でも弱い」

「え、キックボクサー?」

「いや、ダーツ」

「え、お前ダーツでも世界獲ってんの!?」

ならこの前のはなんだったんだ…

それにダーツのプロはこの大会向いてないんじゃないか!?

とりあえず一種目目の内容がわからないので、アンに行ってもらうことにした。

100m 逆走《さかさばしり》
簡単にいえば逆立ち歩きで100m走りきるという内容だった…いや最初から過酷だな!

もう結果だけ話そう。
アン以外誰も完走できなかった…

なんか負け惜しみを言っている奴らがいたが、無視した。

続いては走横跳びという種目
助走して最後に踏み切る時にどこまで横に舵が切れるかというなんとも説明しにくい競技だったのだが、これは要するに着地する砂場から避けて飛ぶ競技だった。

結果だけ話そう
アンも含めて全員負傷した…

しかし角度の差でこれもアンが制した。

続いての答案投げは、要するに紙ヒコーキレースというやつだ。

アンが治療を受ける間に適当にカレンに投げさせたところ何故か一位だった。
もう他のやつの試技は見なかった…

高飛びの意味はもちろん違った…
短時間でできるだけ遠くに逃げろというものだったが、もちろん結果は採点不能。
この競技に参加した奴は行方不明になった…

もういい加減にしてくれと言いたかったが最後の400mだけはまともだった。

ただ走らされた…
とは言ってもこれもアンが一人で走り一位をとった。

45秒82という、日本選手権でも優勝を狙えるタイムだったそうだが、朝の4時過ぎに行われたこの種目に誰も関心はなかった…

こうして1日目はトップで終了した。

「アン、お疲れ様!すごいなぁやっぱり」

「はぁ…はぁ…」

さすがにこき使いすぎたかな…

「ま、まだ朝にもなってないし今日はゆっくりしろよ?」

「このあとバイト」

「え、今から!?どこの?」

「遊園地」

「いやここにオーナーいるから休ませてもらえ!」

「有給ない」

「いやまじでブラックだな!」

チラッと高村さんを見たが早く行けと言わんばかりにアンを見ていた…この人が一番鬼なのかもしれない…

カレンは答案投げが終わったあとにまた寝てしまっていた。

「カレン、一回帰ろう。お昼から改めてこような」

「…うん?おはよう快斗。なんか目が覚めたからこのまま文化祭行く」

「え、まだ朝の5時にもなってないのに…ってあらー!?」

競技に集中していて気がつかなかったが無駄に広いグランドの俺たちが競技しているところ以外は既に出店で埋め尽くされていた…

櫓《やぐら》が立ち太鼓を叩く人に合わせて盆踊りのようなものが繰り広げられいたり、早速キャンプファイアーを開始していたり、怪しげな予想師が俺たちの競技で賭場を開いていたり…

いや夏祭りだろこれ!
文化祭ってこんなもんでいいのか!?

そして体育館の方にはパトカーが何台も止まっていた。

「くそ、間に合わなかったか!あの卑猥な写真を押収するチャンスだったのに」

「でも先輩押収するフリしてくすねるつもりだったんでしょ?ま、俺もですけど。」

「当たり前だ、ラブ高の佐津江と言えば知らぬやつなどそうおるまい。あの写真を見て正気でいられる大人などいない!」

いやまじでなんか薬でも入ってないかその写真!?
警察も冷静になれてないじゃん!
でもどんな写真があったのかはすごく気になる…

チラチラと体育館の方を気にしているとカレンにお尻をつねられた…

「あれ食べたい!」

カレンが急に指差した先ではお好み焼きを焼いていた。

そして何故かお好み焼き屋が二つ並んでいた…

「おい、こっちで広島風とかすんなや!あれほとんどキャベツやないかい!?」

「ああ?関西のモンはほとんど小麦粉やろがい!ヘルシーな上に見栄えもあって広島の方がブチうまいけんの!」

お好み焼きの広島対関西ってほんとにあったんだ…

「どっちが美味しいの?」

「しっ!こう言うところではどっちがいいとか言っちゃダメ!」

みんな違ってみんないいの精神じゃないとこういう場は収まらない…

「お、可愛いお嬢ちゃん。どや?関西のお好み焼きはうまいでー。可愛いからちょいサービスしといたるわ。」

「出た、関西の人間はすぐサービスサービスちゅうて困るんじゃい。本当にうまいおもとんなら味で勝負せんかい!」

なぜかまた喧嘩になっていた…

とりあえず一つずつ買うことにしたが、二人の視線が怖くてその場では食べられなかった…

「カレン、どう?美味しい?」

「うん、美味しい!このキャベツの方がいい!」  

はっきり勝敗を決めてしまった…
俺は関西の方が好みなんだが、やはり好みは人それぞれだな。

そう、好みは人それぞれ…だから俺は…

って無理矢理お好み焼きから話広げようとしたけど無理だわ!


「快斗、次あれ食べたい」

朝からお好み焼きを食べて胃もたれがしそうなのだが、とりあえずまだ食べるらしい…

「アイスが食べたいのか。カレンが食べてたら子供みたいだよな、可愛いけど」

「むむ、バカにした」

「あ、いや、可愛いなって思ったんだよ…」

最近カレンの鋭い目に俺も怯えている…
アンよ、お前の気持ちは少しわかるぞ…

「バニラ美味しい、快斗のもちょーだい」

「ああ、俺はチョコの方がやっぱり好みだな」

やはり人の好みはそれぞれ。そう、だから俺は…
ってさっきからこのくだりなんなの!?
何もうまいこと繋がっていかないんだけど!?

強いて言うなら蓮水さんとカレンのどっちがいいかって感じか?
いや贅沢な悩みだな!
悩んでる時点でバチがあたりそうだ…

朝の文化祭を楽しんでいると、校長が話しかけてきた。
両手に串をもって何かむしゃむしゃと頬張っている…

いや、あんた普通に文化祭楽しんでるな!

「へーい、今日は余裕だったね。でも明日はもっと過酷なサバイバルが待ってるよん!頑張ってね。」

「あのー、あれのどこが地獄なんですか?なんかよくわからないのばっかりでしたし。」

「ノンノン、地獄はこれからです!ま、そのうちわかるでしょう。それより文化祭実行委員が次なる手を考えているそうですので警戒しといてねー」

お祭りモードの校長はどこかへ消えていった…

文化祭実行委員って結局誰だよ…

「快斗、なんか楽しそうなのある!」

「どれどれ?占いかぁ、女の子って占い好きだよな。」

「占いしたい!」

「はいはい…」

中は薄暗く黒いカーテンで仕切りをしていて、いかにもな雰囲気は出ていた。

そして奥にいくとローブを見に纏ったこれまたいかにもな占い師が出てきた。

「私は名も無き占い師…あなた方を占って見せましょう。」

水晶玉をなんか愛でている。
ちょっと胡散臭いな…

「あ、あのいくらですか?」

「一人1万5000円です。」

「いや結構高いよ!文化祭のノリじゃないよね!?」

そんなに持ち合わせねぇよ…

「カレン、帰ろう…俺手持ちがない…」

「ヤダ、占いする!私払うもん!」

あ、この人お金持ちだったんだ…

「では早速お二人の未来について見させていただきます。」

なにか水晶玉を凝視して…ん?なんかすごく不快そうな顔をしたのは気のせいか?

「あ、あのー…なんか見えました…?」

「え、ええ…まず一つ、なぜ毎日毎日そんなにイチャイチャしていて童貞と処女のままなのですか?」

「え、そんなこと見えるの!?あんたすごい占い師だな!」

いや、それについては理由があるんだけど…そっちは占えんのか?

「あと貴方達の相性ですが…」

「は、はい…」

案外相性がよくなくて、付き合った途端にうまくいかなくなるとかそんなこと言われないかな…  

「いやめっちゃ相性ええやんあんたら!なんで付き合ってないん!?いや喧嘩の内容とかも単なるノロケやわそんなの!見てて恥ずかしいんすけど!こんなとこで占う前にさっさとやることやってこい!」

急に占い師に怒られた…

水晶玉になにが映っていたのかは知らないが、甘々な生活を見せられて不快だと言われて追い出された。

「快斗、相性いいって言われた」

「ああ、なんだかんだ俺たちって…」

カレンを見ると顔が真っ赤だった…
さらになんか俺の袖をキュッと掴んで何か言ってほしそうなのが丸わかりだ…

「ど、どうしたカレン?」

「快斗、私達相性いいって…」

「いや、それはさっき聞いたけど…」

これはもしかして…告白しろって流れ?

いや絶対そうだ…
いやでもとりあえず明日が終わるまでは…
でもタイミング逃すと…

ぐおー、世間の奴らっていっつもどうしてんの!?

「快斗、好き?」

「ひぇっ?な、何をですか…?」

「もう、鈍感!」

「え、あ、ごめんなさい…」

なんかムードが崩れたのかカレンは一人で行ってしまった。

ああ、これはさすがにいかん…
帰ったら改めて謝ろう…

「快斗、あれ買ってかえる!」

「ん?綿菓子か。いかにもお祭りって感じだな」


綿菓子を買って顔中をベタベタさせながら一生懸命食べているカレンがなんとも言えず可愛かった。

「楽しかった!明日もいくー」

「いや明日も深夜から強制的に行かないといけないから…」

ほんとあのクソ競技を早く終わらせたい…

「カレン、顔に綿菓子いっぱいついてるぞ。」

「じゃ快斗がとって」

「え、はいはい」

そう言ってハンカチで口元を拭いてやると何故か機嫌が良かった。

「えへ、快斗やっぱり優しい。」

おおおおお、もうすぐ、もうすぐ俺はこの笑顔に好きだと叫ぶのか!?

そんなことが俺にできるのか…
ていうかさっきからタイミングいっぱいあったような…
いや、明日の競技が終わってから考えよ…

寮に帰ると玄関にやりが刺さっていた…

手紙を見ると「アンの仕事場を教えろ」と書いてあった。
これ思うんだけどどうやって返事したらいいんだ!?

俺もやり投げ返すの?無理だろ!

部屋に入るとまたやりが刺さっていた…

手紙を見ると「アンとのデートをセッティングしろ」と書いていた…
いやだからどうやって返事するの?こんな何回もやり投げられたら寮が壊れるわ!

とりあえず明日アンに聞いてみよう…

明日に備えて寝ようとしたが、時間が早くなかなか寝付けない。

「快斗、ギュッてして…」

布団の中でカレンが甘えてきた。

「え、あ、ああ…こうか?」

「うん、あったかい…ずっとこうがいい…」

「カレン…」

俺は決意した。
告白するぞ、今だ!
こんなお膳立てがあって出来なければ二度と無理だ!
みんな、オラに力を分けてくれ!

思い切り息を吸って吐いた。

「カレン…俺、俺お前が好きだ。だからさ俺とつ、付き合おう!」

言えたー!
俺言えたよ、ちゃんとできたよお母さん…

「…カレン?」

寝ていた…

おい、寝るなよと思い切りツッコミたかったが、俺はその幸せそうな寝顔を見ると幸せな気分になった。

そして深夜に起きて再び文化祭へ向かうのだが…

次回 地獄10種競技 完全決着!

さらに文化祭には様々なトラップが!?

そして快斗は再びカレンに…

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