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第34話 ちゃんと捕まえてて
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その週の俺たちは少し変だった。
カレンがチューしようとしてきても変に意識をしてしまい避けていた…
カレンは不機嫌になるのだが、なぜかまともに顔が見れないのだ。
もちろん機嫌をとるのだが、カレンもなぜか照れくさそうにするなど俺たちはどこかぎこちなかった…
それ以外は普通?の学校生活を送っていた。
文化祭に向けてか学校全体が大人しく、放課後になると皆どこかへ消えていった。
蓮水さんも連絡が少し来るだけで、寮へ来ることもなかった。
校長も連絡をすると言ってから全く連絡が来ないままだった。
やりの雨も…降らなかった。
そのせいもありカレンも俺も一応は狙われることなく週末を迎えるのだが…
「カレン、明日から文化祭だな。なにか行きたいところとかあるのか?」
「うーん、ハワイ」
「文化祭の中でいけるとこにしてくれる!?てかハワイ好きなんだなやっぱり親子だな!」
でも去年の出し物で『ハワイ気分になれる部屋』とかあったな…怪しくて入らなかったけど…
「でもすごい人だかりだからはぐれないようにしろよ?」
「快斗がちゃんと捕まえてて…」
え、かわいいなおい!
もうそれも聞こえ方によっちゃ告白ですよね!?
もう俺の心はがっつり捕まえられちゃってますよ!
それにこの文化祭でカレンを守ったら…
「なぁ、地獄十種競技ってなにか知ってる?」
「うーん、知らないけど、パパにこんなのもらった。」
うん?見るとパンフレットだった。
地獄十種競技
これに参加するために全国の猛者たちが文化祭に大勢押し寄せるという、真の男を決めるための競技である。
従来の十種競技よりもさらに過酷になるというこの競技のために多くのスポーツ選手が転向するという話まで聞くのだがこれ如何に…
1日目:100m逆走、走り横跳び、答案投げ、高飛び、400m
2日目:110個ハードル、円盤いる?、投げやり、スペシャルコース
と書かれているが、いや9個しかないよね!?
それにところどころおかしいなこれ!
円盤いる?ってなんだよ!これ競技なのか!?
最後のなんかスーパーマ○オだろ!
もう全国のキングオブアスリートに謝れよ!
ていうかそもそも文化祭一切関係なくないか!?
しかしこれに勝つしか俺の生きる道はない…
「快斗、これ出るの?」
「え、ああ校長に出ろって言われてて…でも一人では自信ないな…」
「これ、チーム戦」
「は?」
よく見ると応募要項に1チーム4人まで参加可と書かれていた…
しかも当日エントリー可だと…どんだけ適当なんだこれ?
いや十種競技って一人でやるから価値が出るんじゃねぇの!?
本当に過酷なのかすら怪しくなってきた…
「快斗、チーム作る」
「いやチームって言っても…」
真っ先に思い浮かんだのはもちろん…アンだった。
「もやし使う」
「ああ、俺もそう思ったけど…ちゃんと報酬やれよ?」
「ケチなのはパパ。私はちゃんと渡してるもん」
「いくらくらい?」
「月に三千円とか?」
「いやもっとやれよ!」
高校生の小遣いでももう少し多いぞ…
校長はそれ以下ってことか?
アンのことはちゃんとさせるとして…
後二人…誰にしたらいいんだ?
「じい呼ぶ。あと私」
「え、高村さんは歳だろ…それにカレン、お前スポーツできるのか?」
「うん、なわ跳び飛べる」
「いや大体のやつ飛べるわ!え、地獄とか書いてるやつ出て大丈夫か!?」
しかもお前景品にされてるんだぞ…
「でるの!」
「はいはい…」
早速アンに連絡を取るが電話に出ないので、ピザの出前を取った。
そして予想通りアンがピザを届けてくれた。
休みがないのはどうやら本当のようだな…
「いつもありがとう、アン。」
「いいよ」
「それでさ、明日からの競技に出てほしいんだけど…頼めたりする?」
「いいよ」
「え、いいの!?じゃ報酬は弾むようにカレンに言っておくからな。」
「蓮水様の写真」
「いや金にしろよ!」
「高く売れる」
「ファンの風上にも置けねぇな!」
アンは写真をくれるならと依頼をうけて帰っていった…
あとで写真部にでも頼もうか…
高村さんは「若い者には負けませぬ」と言って引き受けてくれた。
「カレン、この勝負が終わったら文化祭ゆっくりまわろうか。出店とかもすごいし、最終日は花火もあるんだ。」
「花火見たい!花火したい!」
「いや、花火は夏になってからにしようよ…」
「花火!」
「はいはい…」
二人でピザを食べた後、花火を探しにいったがどこにも売っていない…
時期外れもいいところで店員に聞いても笑われる始末だ…
「花火…」
「そんなにガッカリするなよ。」
「うう、花火…」
い、いかんこの前大泣きしてからこいつ涙腺がバグってるんだ…
「わかったわかった。もう少し探そう?」
「うん!」
しかしいくら探してもなぜか花火が置いていない…
さすがにこれだけ探せば一個くらいはあってもいいんだけどなぁ…
「もうあきらめるか…明日は大勝負だしゆっくりしようよ…」
「うん…」
なんかかわいそうだな…そうだ、ネットなら売ってるかも?
今日は間に合わないけど買っておいてやるか…
「でも明日の集合時間とかってどうするんだろう?」
「あ、パンフレットに時間書いてた。」
え、なんだよそれ…って嘘だろ!?
『早朝1時より開幕。一時間前集合厳守。』
「いやなんでこんな早いんだよ!誰か見に来るのこんな時間に!?」
「快斗、このまま学校行く?」
「そうですね…寮から寝袋もっていきましょう…」
アンにバイトを早上がりさせて高村さんと二人を学校に呼び寄せた…
グランドに着くとぽつぽつと人影が見え始めていた。
「でも最初から高村さんに花火の買い出し頼めばよかったんじゃないか?」
「うん…でも一緒に買い物したかったから…」
ぬぅ!なんだこのかわいい生き物は!?
白くて小さい超かわいいのが顔赤くしてる…
もういいんじゃないか?これで振られたら俺一生童貞だろ…
「カ、カレン!俺…」
「あ、もやしきた」
アンがすぐそこに立っていた。
くっそーアンのやつなんで来るんだよ!いや呼んだのは俺だけど…
「呼ばれたからきたのに」
「いやごめんごめん、ってお前勝手に人の心を読むな!」
高村さんも合流したところで俺たちはグランドで寝ることにした。
「アン、目の下が真っ黒だぞ。一日何時間睡眠なんだ?」
「2時間」
「いや死ぬって!もうちょっとどうにかならないのか?」
「餓死する」
「いやだからもうちょっと給料もらえよ!」
アンは横になった瞬間に死んだように寝ていた…
このまま死なないか心配だよ…
「高村さん、スポーツは何かされてたんですか?」
「ええ、私はこう見えても昔は乗馬とヨットとサイクリングに興じておりまして」
「へー、すごいですね。馬とか乗ったことないなー。何か大会とか出てたりしたんですか?」
「ええ、あの時のG1などすごかった。当時は3連単がなかったものですから私は組の財産を単勝にぶち込んだのですが…」
「まてまてそれって競馬と競艇と競輪じゃないの!?全然スポーツしてないじゃん!」
競艇をヨットと言い換えた人初めて見たわ!
ボートだろ普通!
「なんにせよ勝負ごとには強い、ということでございます。」
「あ、話すり替えたな…」
カレンは既に寝ていた。
続々と深夜のグランドに人が集まってくる。
「結構出場者いるんだな…ってあれ!?」
なんとアジア大会で100mチャンピオンに輝いて『アジアの台風』と呼ばれたコージー伊西《いにし》や、日本代表の鉄壁の守護神と呼ばれたゴールキーパー、折場可庵《おりばかあん》など早々たるアスリートがいた…
いやいや今から何すんの!?これ学校の文化祭だよね!?
懸かっているのがカレンだってみんな知ってるのか?
なんか数百人くらいいる…
こんな中で一位とれだなんて結構無茶だな…
急に校舎の方が明るく照らされて校長が現れた。
「全国から集まりし精鋭諸君!ここに第十回地獄10種競技の開幕を宣言する!」
すると会場のボルテージは一気に…上がらない…
みんなウトウトしていた…
いや、こんな時間に開幕するからだろ!
「ルールは簡単。各競技での点数を合計し、一番高いチームが勝利となる!そして映えある優勝チームには…」
校長が黙った?
まぁ娘やるよとは言えんわな…
インカムで誰かとヒソヒソ話している。が、丸聞こえだ…
「ねぇ…どうしてもカレンじゃだめ?ほら、二年のあの子とか可愛いじゃん。あ、三年の陽子ちゃん、あの子なら佐津江くんの言いなりだからあっちにしない?」
いや娘かわいさに他の生徒売るなよ!
しかし校長は何かを言われたようで渋々「娘のカレンを提供する」と宣言させられていた…
そして会場は全く盛り上がらない…
いや全員何しにきたの!?
アンとカレンもざわつく会場の気配で目が覚めた。
会場のメンバーも徐々にテンションが上がってきたようだ。
「ふぁー、眠いなー…おい、あのステージのおっさん誰だよ?俺たちは勝負しにきたんだ、下がれ!」
「なんか景品がどうこう言ってたな。俺たちが欲しいのは名誉だけだ!」
「金や物で人のやる気を出そうなど二流だ。我々は自らの信念のために戦うのみ!」
なんかアスリートが数名ざわついていた…
いや全員気高いな!
うちの学校の敷地跨いだらダメなやつばっかだよ!
それに信念ってなに!?この深夜の文化祭にそんなもの持ち込まないで!
あいさつが終わって校長が壇上から降りる時、無数の花火が点火された。
いやこの町の花火買い占めたのお前か!
壇上から降りた校長は俺たちの方へ来た。
「ほー、いいメンツじゃな。」
「全員あんたの身内だよ!」
「相変わらずうるさいのう。ま、カレンを頼んだぞい。」
すると高村さんとアンは片膝をついて頭を下げた。
いや忠誠心すげぇな!
特にアン、お前はもっと文句いっていいぞ!
弱みでも握られてんのか…?
「校長、なんでこんな時間からの開催なんですか?普通日中とかだと…」
「いやなに、最初はそうじゃった。しかしあまりにくだらないということで子供に見せたくないやら目に入る時間でするなやら苦情が殺到しての。試行錯誤の末にこの時間になったんじゃ。」
「もうそれやめた方がいいんじゃないの!?」
そのくだらない大会に信念燃やしてるやつらって一体…
校長が去った後、命先輩が俺たちの方にきた。
「いやぁこれに参加するなんて命知らずだな。ま、頑張れよ!」
「あんたも朝早いですね…」
なんでいるんだ?
「頑張りますけど…こんなに大勢の中で一番とるのなんて可能なんですかね…」
「は?チェリーのとこ入れて4チームしかエントリーしてないぞ?」
「はぁ?じゃあこの人らは?」
「俺の写真展示会のために並んでる客だよ。」
「いやそんなもんしてたのかよ!それに何時から並ばしてんの!?そんなにあんたの写真ってすごいの!?」
「展示会は3時からだ。朝には引き上げないとちょっと警察がな」
「そんな過激なのやるの!?俺もそっち見に行きたいっす!!」
どうりで盛り上がらないわけだ…
逆に残りの3チームどんなメンツなんだ…
そして程なくエントリー者が集められたのだがそのメンツには伊西も折場もいなかった…
いやいやあいつらも命先輩の写真目当てかよ!
なんか弱そうなアスリート崩れみたいな人ばかりだな…
あれ、2チームしかいない…
「もう一チームは電車が走っておらず間に合わないとのことで棄権となりました。」
いやいやなにギリギリにこようとしてんだよ!
もう3チームしかいないじゃん…
その時命先輩の展示会の整理券が配られ出した。
すると何百人もの猛者たちが一斉に飛び起きて、係員のところに走り出した。
「おい、佐津江様の写真を早くみせろ!」
「俺が先に買うんだ!いくらでも出すから先にチケットをよこせ!」
大盛り上がりだった…
いやもうこっちが今日のメインだろ!?
かくして地獄10種競技が盛大に?開幕したのだが、果たして無事に一位をとれるのか!?
いや取れる気がしてきたわ…
次回 地獄10種競技でアンとセバスチャンが大活躍!?
さらにトライデント再び…
さらに競技を終えてカレンと文化祭デートで二人は急接近!?
まず眠たいです…
カレンがチューしようとしてきても変に意識をしてしまい避けていた…
カレンは不機嫌になるのだが、なぜかまともに顔が見れないのだ。
もちろん機嫌をとるのだが、カレンもなぜか照れくさそうにするなど俺たちはどこかぎこちなかった…
それ以外は普通?の学校生活を送っていた。
文化祭に向けてか学校全体が大人しく、放課後になると皆どこかへ消えていった。
蓮水さんも連絡が少し来るだけで、寮へ来ることもなかった。
校長も連絡をすると言ってから全く連絡が来ないままだった。
やりの雨も…降らなかった。
そのせいもありカレンも俺も一応は狙われることなく週末を迎えるのだが…
「カレン、明日から文化祭だな。なにか行きたいところとかあるのか?」
「うーん、ハワイ」
「文化祭の中でいけるとこにしてくれる!?てかハワイ好きなんだなやっぱり親子だな!」
でも去年の出し物で『ハワイ気分になれる部屋』とかあったな…怪しくて入らなかったけど…
「でもすごい人だかりだからはぐれないようにしろよ?」
「快斗がちゃんと捕まえてて…」
え、かわいいなおい!
もうそれも聞こえ方によっちゃ告白ですよね!?
もう俺の心はがっつり捕まえられちゃってますよ!
それにこの文化祭でカレンを守ったら…
「なぁ、地獄十種競技ってなにか知ってる?」
「うーん、知らないけど、パパにこんなのもらった。」
うん?見るとパンフレットだった。
地獄十種競技
これに参加するために全国の猛者たちが文化祭に大勢押し寄せるという、真の男を決めるための競技である。
従来の十種競技よりもさらに過酷になるというこの競技のために多くのスポーツ選手が転向するという話まで聞くのだがこれ如何に…
1日目:100m逆走、走り横跳び、答案投げ、高飛び、400m
2日目:110個ハードル、円盤いる?、投げやり、スペシャルコース
と書かれているが、いや9個しかないよね!?
それにところどころおかしいなこれ!
円盤いる?ってなんだよ!これ競技なのか!?
最後のなんかスーパーマ○オだろ!
もう全国のキングオブアスリートに謝れよ!
ていうかそもそも文化祭一切関係なくないか!?
しかしこれに勝つしか俺の生きる道はない…
「快斗、これ出るの?」
「え、ああ校長に出ろって言われてて…でも一人では自信ないな…」
「これ、チーム戦」
「は?」
よく見ると応募要項に1チーム4人まで参加可と書かれていた…
しかも当日エントリー可だと…どんだけ適当なんだこれ?
いや十種競技って一人でやるから価値が出るんじゃねぇの!?
本当に過酷なのかすら怪しくなってきた…
「快斗、チーム作る」
「いやチームって言っても…」
真っ先に思い浮かんだのはもちろん…アンだった。
「もやし使う」
「ああ、俺もそう思ったけど…ちゃんと報酬やれよ?」
「ケチなのはパパ。私はちゃんと渡してるもん」
「いくらくらい?」
「月に三千円とか?」
「いやもっとやれよ!」
高校生の小遣いでももう少し多いぞ…
校長はそれ以下ってことか?
アンのことはちゃんとさせるとして…
後二人…誰にしたらいいんだ?
「じい呼ぶ。あと私」
「え、高村さんは歳だろ…それにカレン、お前スポーツできるのか?」
「うん、なわ跳び飛べる」
「いや大体のやつ飛べるわ!え、地獄とか書いてるやつ出て大丈夫か!?」
しかもお前景品にされてるんだぞ…
「でるの!」
「はいはい…」
早速アンに連絡を取るが電話に出ないので、ピザの出前を取った。
そして予想通りアンがピザを届けてくれた。
休みがないのはどうやら本当のようだな…
「いつもありがとう、アン。」
「いいよ」
「それでさ、明日からの競技に出てほしいんだけど…頼めたりする?」
「いいよ」
「え、いいの!?じゃ報酬は弾むようにカレンに言っておくからな。」
「蓮水様の写真」
「いや金にしろよ!」
「高く売れる」
「ファンの風上にも置けねぇな!」
アンは写真をくれるならと依頼をうけて帰っていった…
あとで写真部にでも頼もうか…
高村さんは「若い者には負けませぬ」と言って引き受けてくれた。
「カレン、この勝負が終わったら文化祭ゆっくりまわろうか。出店とかもすごいし、最終日は花火もあるんだ。」
「花火見たい!花火したい!」
「いや、花火は夏になってからにしようよ…」
「花火!」
「はいはい…」
二人でピザを食べた後、花火を探しにいったがどこにも売っていない…
時期外れもいいところで店員に聞いても笑われる始末だ…
「花火…」
「そんなにガッカリするなよ。」
「うう、花火…」
い、いかんこの前大泣きしてからこいつ涙腺がバグってるんだ…
「わかったわかった。もう少し探そう?」
「うん!」
しかしいくら探してもなぜか花火が置いていない…
さすがにこれだけ探せば一個くらいはあってもいいんだけどなぁ…
「もうあきらめるか…明日は大勝負だしゆっくりしようよ…」
「うん…」
なんかかわいそうだな…そうだ、ネットなら売ってるかも?
今日は間に合わないけど買っておいてやるか…
「でも明日の集合時間とかってどうするんだろう?」
「あ、パンフレットに時間書いてた。」
え、なんだよそれ…って嘘だろ!?
『早朝1時より開幕。一時間前集合厳守。』
「いやなんでこんな早いんだよ!誰か見に来るのこんな時間に!?」
「快斗、このまま学校行く?」
「そうですね…寮から寝袋もっていきましょう…」
アンにバイトを早上がりさせて高村さんと二人を学校に呼び寄せた…
グランドに着くとぽつぽつと人影が見え始めていた。
「でも最初から高村さんに花火の買い出し頼めばよかったんじゃないか?」
「うん…でも一緒に買い物したかったから…」
ぬぅ!なんだこのかわいい生き物は!?
白くて小さい超かわいいのが顔赤くしてる…
もういいんじゃないか?これで振られたら俺一生童貞だろ…
「カ、カレン!俺…」
「あ、もやしきた」
アンがすぐそこに立っていた。
くっそーアンのやつなんで来るんだよ!いや呼んだのは俺だけど…
「呼ばれたからきたのに」
「いやごめんごめん、ってお前勝手に人の心を読むな!」
高村さんも合流したところで俺たちはグランドで寝ることにした。
「アン、目の下が真っ黒だぞ。一日何時間睡眠なんだ?」
「2時間」
「いや死ぬって!もうちょっとどうにかならないのか?」
「餓死する」
「いやだからもうちょっと給料もらえよ!」
アンは横になった瞬間に死んだように寝ていた…
このまま死なないか心配だよ…
「高村さん、スポーツは何かされてたんですか?」
「ええ、私はこう見えても昔は乗馬とヨットとサイクリングに興じておりまして」
「へー、すごいですね。馬とか乗ったことないなー。何か大会とか出てたりしたんですか?」
「ええ、あの時のG1などすごかった。当時は3連単がなかったものですから私は組の財産を単勝にぶち込んだのですが…」
「まてまてそれって競馬と競艇と競輪じゃないの!?全然スポーツしてないじゃん!」
競艇をヨットと言い換えた人初めて見たわ!
ボートだろ普通!
「なんにせよ勝負ごとには強い、ということでございます。」
「あ、話すり替えたな…」
カレンは既に寝ていた。
続々と深夜のグランドに人が集まってくる。
「結構出場者いるんだな…ってあれ!?」
なんとアジア大会で100mチャンピオンに輝いて『アジアの台風』と呼ばれたコージー伊西《いにし》や、日本代表の鉄壁の守護神と呼ばれたゴールキーパー、折場可庵《おりばかあん》など早々たるアスリートがいた…
いやいや今から何すんの!?これ学校の文化祭だよね!?
懸かっているのがカレンだってみんな知ってるのか?
なんか数百人くらいいる…
こんな中で一位とれだなんて結構無茶だな…
急に校舎の方が明るく照らされて校長が現れた。
「全国から集まりし精鋭諸君!ここに第十回地獄10種競技の開幕を宣言する!」
すると会場のボルテージは一気に…上がらない…
みんなウトウトしていた…
いや、こんな時間に開幕するからだろ!
「ルールは簡単。各競技での点数を合計し、一番高いチームが勝利となる!そして映えある優勝チームには…」
校長が黙った?
まぁ娘やるよとは言えんわな…
インカムで誰かとヒソヒソ話している。が、丸聞こえだ…
「ねぇ…どうしてもカレンじゃだめ?ほら、二年のあの子とか可愛いじゃん。あ、三年の陽子ちゃん、あの子なら佐津江くんの言いなりだからあっちにしない?」
いや娘かわいさに他の生徒売るなよ!
しかし校長は何かを言われたようで渋々「娘のカレンを提供する」と宣言させられていた…
そして会場は全く盛り上がらない…
いや全員何しにきたの!?
アンとカレンもざわつく会場の気配で目が覚めた。
会場のメンバーも徐々にテンションが上がってきたようだ。
「ふぁー、眠いなー…おい、あのステージのおっさん誰だよ?俺たちは勝負しにきたんだ、下がれ!」
「なんか景品がどうこう言ってたな。俺たちが欲しいのは名誉だけだ!」
「金や物で人のやる気を出そうなど二流だ。我々は自らの信念のために戦うのみ!」
なんかアスリートが数名ざわついていた…
いや全員気高いな!
うちの学校の敷地跨いだらダメなやつばっかだよ!
それに信念ってなに!?この深夜の文化祭にそんなもの持ち込まないで!
あいさつが終わって校長が壇上から降りる時、無数の花火が点火された。
いやこの町の花火買い占めたのお前か!
壇上から降りた校長は俺たちの方へ来た。
「ほー、いいメンツじゃな。」
「全員あんたの身内だよ!」
「相変わらずうるさいのう。ま、カレンを頼んだぞい。」
すると高村さんとアンは片膝をついて頭を下げた。
いや忠誠心すげぇな!
特にアン、お前はもっと文句いっていいぞ!
弱みでも握られてんのか…?
「校長、なんでこんな時間からの開催なんですか?普通日中とかだと…」
「いやなに、最初はそうじゃった。しかしあまりにくだらないということで子供に見せたくないやら目に入る時間でするなやら苦情が殺到しての。試行錯誤の末にこの時間になったんじゃ。」
「もうそれやめた方がいいんじゃないの!?」
そのくだらない大会に信念燃やしてるやつらって一体…
校長が去った後、命先輩が俺たちの方にきた。
「いやぁこれに参加するなんて命知らずだな。ま、頑張れよ!」
「あんたも朝早いですね…」
なんでいるんだ?
「頑張りますけど…こんなに大勢の中で一番とるのなんて可能なんですかね…」
「は?チェリーのとこ入れて4チームしかエントリーしてないぞ?」
「はぁ?じゃあこの人らは?」
「俺の写真展示会のために並んでる客だよ。」
「いやそんなもんしてたのかよ!それに何時から並ばしてんの!?そんなにあんたの写真ってすごいの!?」
「展示会は3時からだ。朝には引き上げないとちょっと警察がな」
「そんな過激なのやるの!?俺もそっち見に行きたいっす!!」
どうりで盛り上がらないわけだ…
逆に残りの3チームどんなメンツなんだ…
そして程なくエントリー者が集められたのだがそのメンツには伊西も折場もいなかった…
いやいやあいつらも命先輩の写真目当てかよ!
なんか弱そうなアスリート崩れみたいな人ばかりだな…
あれ、2チームしかいない…
「もう一チームは電車が走っておらず間に合わないとのことで棄権となりました。」
いやいやなにギリギリにこようとしてんだよ!
もう3チームしかいないじゃん…
その時命先輩の展示会の整理券が配られ出した。
すると何百人もの猛者たちが一斉に飛び起きて、係員のところに走り出した。
「おい、佐津江様の写真を早くみせろ!」
「俺が先に買うんだ!いくらでも出すから先にチケットをよこせ!」
大盛り上がりだった…
いやもうこっちが今日のメインだろ!?
かくして地獄10種競技が盛大に?開幕したのだが、果たして無事に一位をとれるのか!?
いや取れる気がしてきたわ…
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さらにトライデント再び…
さらに競技を終えてカレンと文化祭デートで二人は急接近!?
まず眠たいです…
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