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第39話 土管
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「おーい、洗剤はどこだ?」
「チェリー、冷蔵庫が小さいぞ、大きいのを買え!」
居候にきた先輩たちはとんでもなく図々しい…
あれから数日経つが、なんか荷物がたくさん運び込まれてくるし勝手に模様替えするし、ほんとどういう神経してんだこいつら…
「あのね、勝手に上がり込んできてあれこれ言わないでください!」
せっかくカレンと付き合ってしばらくは二人でラブラブできると思っていたところでこれだ…
それにカレンの機嫌がずっと悪い…
料理も当てつけみたいに俺のだけ作って、二人にはカップ麺を渡すだけ。
それに部屋に戻ってもほとんど無言で、俺たちまでギスギスしていた…
「なぁカレン、しばらくの辛抱だからさ、我慢するしかないよ…」
「…みんなが邪魔する、イチャイチャを邪魔する!」
もう毛が逆立ちそうなほど怒っている…
早く何とかしないと…
俺が悩んでいると、勝手に台所を漁る命先輩が急に話しだした。
「そうだ、風紀委員について今日少しだけ情報があったぞ。」
「え、本当ですか?」
「ああ、あいつらの正体はわからないが活動時間は夜だということが判明している。」
どうやらここ数日夜中に学校に誰かが侵入した形跡が多数残っていたと、大石さんの学校中に張り巡らせた隠しカメラから判明したらしい。
いや、サラッとすごいこと言ってるけど隠しカメラって学校中にあるの!?
「誰かが俺のカメラを意図的に動かして死角を作っていた。相手は相当なプロだ。SNBなど比ではないだろうな。」
SNB…いたなーそんな奴ら…、あいつらはプロなのか?
「しかし腹が減っては戦はできぬという、カレンちゃん何か作ってよ。」
「うるさい勝手に作ればいいじゃん!!」
もうヒステリックカレンさんになっていた…
こんな状況じゃ風紀委員を探す前にカレンに殺されてしまいそうだよ…
夕食の前に俺とカレンは銭湯に出かけた。
「なぁ、今は協力することが先決だろ?いい加減…」
「快斗はイチャイチャできなくてもいいんだ…」
「違う違う、早くそうしたいから解決したいの!」
「うう…ちょっと我慢する。」
一時間後にと待ち合わせをして銭湯に入った。
「はぁー、生き返るー!ほんと一刻も早く出て行ってもらわないと俺の精神が持たんぞ…」
だいたいなんでみんな学校に住んでるんだよ…
「おい、チェリーよ何をしている?」
湯煙の向こうから見えたのは…また薬師寺さんだ…
なんか最近この人らと絡み多いよな…
「いえ、今寮に人が押しかけていて風呂も順番だからカレンと銭湯に来ただけですよ。そっちこそ呑気に風呂なんか入ってますけど何か風紀委員のことで進展でもあったんですか?」
「ふ、俺を誰だと思っている。まず風紀委員の一人について情報を入手したところだ。それに今日この後寮に伺う予定だったからな。」
え、お前まで来るなよ…
その情報は…後で聞こうか…それより
「なんの用ですか?」
「ふ、聞いて驚くなよ。俺の使っていた真・生徒会室も本日誰かの手によって封鎖された。よって住むところを追われたので厄介になろうと思ってな。」
「おいちょっと待て、あの学校は何人の生徒が寝泊まりしてるんだ!?今まで風紀委員のやつよく黙ってたもんだな!」
そんなお前に人を取り締まる資格はねぇよ…
「というわけで、しばらくの間世話になる。」
「勝手に決めるなよこれ以上は絶対嫌だからな!」
嫌だと言っても勝手にいくとワーワーいっている薬師寺さんを放って先に俺が風呂を出てカレンと合流した。
「あ、あのさカレン…薬師寺さんがな…」
「変態もうちにくるの?」
睨まれた…
う、怖い…
そして後ろを確認すると大きな荷物を持った薬師寺さんがついてきている…
はぁ…どうするんだこれ?
家について間もなく薬師寺さんが勝手に上がり込んできた…
カレンは「帰れ変態」と冷たく言い放っていたが、薬師寺さんの空気の読めない対応にあしらわれていた…
そして居間にいくと命先輩と大石さんが座って待ち構えていた。
ほどなく薬師寺さんもやってきた。
「え、何かするんですか?」
俺が尋ねると自信満々に命先輩が話を切り出した。
「何か、だと?ここに精鋭が集ったのだからやることと言えば一つしかあるまい。そう、円卓会議だ!」
なんかそういう中二病設定のアニメあったよな…
「会議って…今後の方針について、とかですか?」
「いや、まず風呂と洗濯機の時間割について相談しよう」
「はぁ…」
「風呂は他所《よそ》いって!!」
カレンが怒っていた…
大石さんは冷静になだめようとする。
「まぁまぁカレンさん、とりあえず食事当番も決めましょう。俺はこう見えて表の生徒会長として薬師寺君にこき使われたからね、家事は得意なんだ。」
よく考えたら大石さんと薬師寺さんという表裏の生徒会長がこの寮にいるのか…
どっちもアホなんだな結局…
「快斗のは私が作る!勝手に作って食べて!」
カレンは怒っている…
薬師寺さんの辞書の中には遠慮という文字はないようだ…
「うるさいぞ娘!生活の基盤がここになるのだから決め事は重要だろう。それに風紀委員を倒さねば我々に未来はない!」
「死ね、変態!」
カレンは薬師寺さんは特に罵倒しまくっていた…
なんか最近気性が荒いよな…
終始三人が勝手に話してカレンが噛みつくだけという会議とは程遠い内容の話し合い?は何とか終了した…
結局腹が減ったということでピザをとることにした。
今日は人数が多いのでピザを6人前(カレンが2枚食べる)頼んだから、アンの売り上げにも貢献してやれそうだ。
ほどなくしてアンがピザを届けに来た。
「今日はいっぱい、ありがとう」
「ああ、しばらくここに住むやつが増えてだな…また頼むよ」
「住む?ここに?」
「あ、ああ、学校で色々あってだな」
「俺も…いや、いい…」
「ん?」
なにか言いかけたアンの視線の先を見ると、俺の後ろで鬼の形相をしているカレンがいた…
お前まで来るなという睨みだろうか…
「アン、お前家ちゃんとあるのか!?」
「土管」
「いやダメだろそれ!ていうか最近土管なんかどこにあるんだ!?」
「公園」
「完全なホームレスじゃん…」
「慣れた」
「う…」
アンは仲間に加わらなかった…
帰っていくアンの背中は寂しそうだった…
居候したかったのかな、あいつも…
ホームレス世界チャンピオンか…なんか本にしたら売れそうだけどな…
その後全員でピザを食べる時もまぁ統率が取れていなかった…
こっちの方がチーズが多いだの、具が偏っているだの文句ばかり言うし、人のピザが気になってよこせと言って喧嘩になる始末…
まじで一個くらいまともなところを見せてくれ!
お腹いっぱいになったところで風紀委員についての情報を仕入れたという薬師寺さんが話し出した。
「俺は風紀委員長の弟の情報を入手したのだ。すごいだろ?その弟の名は風紀三春《かざのりみはる》、2年にいるらしいがお前知ってるか?」
「え、同級生にそんなやついたかな…明日純也にでも聞いてみるけどピンとこないな…」
話をしている間中カレンは俺の腕にしがみついてもじもじしている。
まだイライラしてるのかな…
「なるほどとりあえずそいつを追えばいいというわけか。よし、俺も後輩に探らせよう。」
「明日監視カメラの映像をくまなくチェックし直してみるか。なにか映っているかもしれないからな。」
「とにかく、そいつから情報を聞き出すのだ!そうすれば風紀委員長の素性もすぐにわかるはずだ。そしてだな…」
「あーもう長い!さっさと寝て!快斗とイチャイチャする時間なの!」
カレンが爆発した…
薬師寺さんも最初は言い返そうとしたようだがカレンのあまりに凄まじい睨みに急いで部屋に逃げ込んだ…
そしてみんな部屋に避難した…
「カレン、そんなに怒らなくても…」
「やだ!ここは快斗と私の家なの!全然イチャイチャしてない!」
確かに夜部屋に戻ってからちょっと話すだけでここ数日ろくにキスもしてなかったな…
「はいはい、ごめんごめん。でもみんな部屋に戻ったから今からゆっくりしよ?」
「うん、する!えへへ、撫でて撫でて」
急にデレた
うっわー、可愛いなぁ…
我が彼女ながら可愛いなぁー
薬師寺さんがどれだけ女を抱こうとも、命先輩がどれだけの裸体を撮ろうとも、このカレンは俺だけのものなんだ…
絶対に彼女の処女を守って…俺がもらい受ける!
朝は皆早い。
案外活動的な人種ばかりで、大石さんは朝からランニング、命先輩は機材の手入れ、薬師寺さんは夜な夜な抜け出して朝帰りという感じだ…
ていうか薬師寺さんは女の家に泊まれば!?
俺とカレンは朝食を食べてから学校に向かうのだが、三人はもうどこかに消えていた。
「なんかあの人らも住み慣れてしまった感じだな…」
「うう、やっぱり邪魔、じいに言う」
「いやこの世から消そうとするのやめよ!?」
しばらくの辛抱だ。
それに悪い人たちではないと…思いたい…
カレンを送ったあと教室に向かうと純也が俺にまた嬉しそうに絡んでくる。
「おい、なんか寮が凄いことになってるみたいだな!楽しそうだから俺も遊びに行ってみようかな」
「やめとけ、殺されるぞ…。」
もう噂は広まっていた。
早速薬師寺親衛隊が寮に乗り込むだの命先輩のファンや弟子が寮訪問の整理券を作りだすなどどうも賑やかになりそうだ…
「そういえば、大石さんってテニス以外は何かやってることあるのか?最近テニスの活動聞かないけど…」
「はぁ?お前知らないのか、キックボクシングに転身して来週アン・ジールとタイトルマッチだぞ?」
「知るか!なんだその情報!?え、キックボクシングの世界戦ってそんな簡単に出れるの!?」
みんな揃ってなにを目指してるんだ…
「なんか風紀委員が気に入らない人たちを排除するために剣道部をスカウトしてラブ高新撰組ってのを立ち上げたらしくてさ、それに対抗するために先輩たちも鍛えてるって話だぜ」
でた、また意味のわからん組織が登場した…
ラブ高新撰組
ラブ高の剣道部の精鋭達を集めて作った有志の組だと言う。
そしてその剣技は世界屈指と言われ既に多くの外国の軍隊からもスカウトが来ているとかなんとか
「これがそのパンフレットだ。」
なんでいちいちパンフレットあんの?
「どれどれ、んー…なんだこれ…」
組長 近藤勇足《こんどういさみあし》
副長 肘肩歳種《ひじかたとしだね》
隊長 斎藤始無《さいとうはじまらない》
名前だけ見たら弱そうなんだけど…
なんかのものまね芸人じゃないかこれ?
「これが先輩たちを狙ってると?」
「そうそう、だから寮にも来るかもな。用心しとけよ、キス魔人」
急に呼ばれた恥ずかしいあだ名はどこからきたのだと純也に聞こうとした瞬間、パンフレットに挟まっていたビラを見つけた。
そこには俺とカレンが昨日イチャイチャしているところを撮った写真と『このキス魔人許すまじ 殺せ カレン様ファンクラブ』と赤いインクで書かれた文字が掲載されていた…
いや、俺はこっちの人たちの方がよっぽど怖いわ…
めちゃくちゃついでに純也に風紀委員について薬師寺さんから聞いた話をしてみたが、心当たりはないということだった。
そして昼休みになる。
今の状況下では、昼休みはカレンと二人でゆっくりする貴重な時間である。
早速カレンの教室に向かおうとすると、先に蓮水さんに捕まってしまった…
「やほ、最近連絡あんまくれないから寂しいんだけど?彼女できた途端にポイってそれは辛いなー」
一度も貴方を拾った覚えはないんですがね…
「ちょっとこのあとカレンのとこに行かないと…というか最近あいつピリピリしてるからあんまり話してると…」
「あれ?もう喧嘩?なぁんだ案外チャンスありそうじゃん!今度寮に遊びに行こっかな!」
「い、いやそれはちょっと控えておいた方が…」
最近あの寮人口密度高すぎるだろ…
あんなところに蓮水さんまで来たらもうカレンが爆発するどころの騒ぎじゃなくなるぞ…
「ま、今日は彼女の機嫌でも取ってあげたら?じゃね!」
んー、いい女だなぁ。
ちょっと元カレがどんな人なのか気にはなる…(決して元カレを羨ましいとか思ってません)
急いでカレンを迎えにいって、二人で人目のつかない場所に行きお弁当を食べた。
帰りに校長室に寄ったのだが不在で、他の先生から聞くと校長はまたしても謎の出張に出かけたとのことだった。
なんか都合悪いこと押し付けて逃げる癖がないかあの親父…
学校が終わり寮に帰るとまた騒がしい日常が待っている…
相変わらずの先輩達と相変わらずのカレン、そして不気味なほど静かな風紀委員…
結局あれから手がかりはつかめないまま、新撰組とやらもどこにいったのか襲ってくることもない…
代わりにくるのは薬師寺親衛隊と命先輩のファンばかりだ…
そして10日ほどが過ぎた時、事態が動き出した。
まぁこのままというわけにはいかないわな…
次回 ラブ寮防衛戦 急襲する敵に立ち向かう!?
更に蓮水さんまで襲来しカレン大爆発!?
蓮水さんの意外な元カレが発覚し一同唖然…
全く風紀委員に辿りつかないんすけど…
「チェリー、冷蔵庫が小さいぞ、大きいのを買え!」
居候にきた先輩たちはとんでもなく図々しい…
あれから数日経つが、なんか荷物がたくさん運び込まれてくるし勝手に模様替えするし、ほんとどういう神経してんだこいつら…
「あのね、勝手に上がり込んできてあれこれ言わないでください!」
せっかくカレンと付き合ってしばらくは二人でラブラブできると思っていたところでこれだ…
それにカレンの機嫌がずっと悪い…
料理も当てつけみたいに俺のだけ作って、二人にはカップ麺を渡すだけ。
それに部屋に戻ってもほとんど無言で、俺たちまでギスギスしていた…
「なぁカレン、しばらくの辛抱だからさ、我慢するしかないよ…」
「…みんなが邪魔する、イチャイチャを邪魔する!」
もう毛が逆立ちそうなほど怒っている…
早く何とかしないと…
俺が悩んでいると、勝手に台所を漁る命先輩が急に話しだした。
「そうだ、風紀委員について今日少しだけ情報があったぞ。」
「え、本当ですか?」
「ああ、あいつらの正体はわからないが活動時間は夜だということが判明している。」
どうやらここ数日夜中に学校に誰かが侵入した形跡が多数残っていたと、大石さんの学校中に張り巡らせた隠しカメラから判明したらしい。
いや、サラッとすごいこと言ってるけど隠しカメラって学校中にあるの!?
「誰かが俺のカメラを意図的に動かして死角を作っていた。相手は相当なプロだ。SNBなど比ではないだろうな。」
SNB…いたなーそんな奴ら…、あいつらはプロなのか?
「しかし腹が減っては戦はできぬという、カレンちゃん何か作ってよ。」
「うるさい勝手に作ればいいじゃん!!」
もうヒステリックカレンさんになっていた…
こんな状況じゃ風紀委員を探す前にカレンに殺されてしまいそうだよ…
夕食の前に俺とカレンは銭湯に出かけた。
「なぁ、今は協力することが先決だろ?いい加減…」
「快斗はイチャイチャできなくてもいいんだ…」
「違う違う、早くそうしたいから解決したいの!」
「うう…ちょっと我慢する。」
一時間後にと待ち合わせをして銭湯に入った。
「はぁー、生き返るー!ほんと一刻も早く出て行ってもらわないと俺の精神が持たんぞ…」
だいたいなんでみんな学校に住んでるんだよ…
「おい、チェリーよ何をしている?」
湯煙の向こうから見えたのは…また薬師寺さんだ…
なんか最近この人らと絡み多いよな…
「いえ、今寮に人が押しかけていて風呂も順番だからカレンと銭湯に来ただけですよ。そっちこそ呑気に風呂なんか入ってますけど何か風紀委員のことで進展でもあったんですか?」
「ふ、俺を誰だと思っている。まず風紀委員の一人について情報を入手したところだ。それに今日この後寮に伺う予定だったからな。」
え、お前まで来るなよ…
その情報は…後で聞こうか…それより
「なんの用ですか?」
「ふ、聞いて驚くなよ。俺の使っていた真・生徒会室も本日誰かの手によって封鎖された。よって住むところを追われたので厄介になろうと思ってな。」
「おいちょっと待て、あの学校は何人の生徒が寝泊まりしてるんだ!?今まで風紀委員のやつよく黙ってたもんだな!」
そんなお前に人を取り締まる資格はねぇよ…
「というわけで、しばらくの間世話になる。」
「勝手に決めるなよこれ以上は絶対嫌だからな!」
嫌だと言っても勝手にいくとワーワーいっている薬師寺さんを放って先に俺が風呂を出てカレンと合流した。
「あ、あのさカレン…薬師寺さんがな…」
「変態もうちにくるの?」
睨まれた…
う、怖い…
そして後ろを確認すると大きな荷物を持った薬師寺さんがついてきている…
はぁ…どうするんだこれ?
家について間もなく薬師寺さんが勝手に上がり込んできた…
カレンは「帰れ変態」と冷たく言い放っていたが、薬師寺さんの空気の読めない対応にあしらわれていた…
そして居間にいくと命先輩と大石さんが座って待ち構えていた。
ほどなく薬師寺さんもやってきた。
「え、何かするんですか?」
俺が尋ねると自信満々に命先輩が話を切り出した。
「何か、だと?ここに精鋭が集ったのだからやることと言えば一つしかあるまい。そう、円卓会議だ!」
なんかそういう中二病設定のアニメあったよな…
「会議って…今後の方針について、とかですか?」
「いや、まず風呂と洗濯機の時間割について相談しよう」
「はぁ…」
「風呂は他所《よそ》いって!!」
カレンが怒っていた…
大石さんは冷静になだめようとする。
「まぁまぁカレンさん、とりあえず食事当番も決めましょう。俺はこう見えて表の生徒会長として薬師寺君にこき使われたからね、家事は得意なんだ。」
よく考えたら大石さんと薬師寺さんという表裏の生徒会長がこの寮にいるのか…
どっちもアホなんだな結局…
「快斗のは私が作る!勝手に作って食べて!」
カレンは怒っている…
薬師寺さんの辞書の中には遠慮という文字はないようだ…
「うるさいぞ娘!生活の基盤がここになるのだから決め事は重要だろう。それに風紀委員を倒さねば我々に未来はない!」
「死ね、変態!」
カレンは薬師寺さんは特に罵倒しまくっていた…
なんか最近気性が荒いよな…
終始三人が勝手に話してカレンが噛みつくだけという会議とは程遠い内容の話し合い?は何とか終了した…
結局腹が減ったということでピザをとることにした。
今日は人数が多いのでピザを6人前(カレンが2枚食べる)頼んだから、アンの売り上げにも貢献してやれそうだ。
ほどなくしてアンがピザを届けに来た。
「今日はいっぱい、ありがとう」
「ああ、しばらくここに住むやつが増えてだな…また頼むよ」
「住む?ここに?」
「あ、ああ、学校で色々あってだな」
「俺も…いや、いい…」
「ん?」
なにか言いかけたアンの視線の先を見ると、俺の後ろで鬼の形相をしているカレンがいた…
お前まで来るなという睨みだろうか…
「アン、お前家ちゃんとあるのか!?」
「土管」
「いやダメだろそれ!ていうか最近土管なんかどこにあるんだ!?」
「公園」
「完全なホームレスじゃん…」
「慣れた」
「う…」
アンは仲間に加わらなかった…
帰っていくアンの背中は寂しそうだった…
居候したかったのかな、あいつも…
ホームレス世界チャンピオンか…なんか本にしたら売れそうだけどな…
その後全員でピザを食べる時もまぁ統率が取れていなかった…
こっちの方がチーズが多いだの、具が偏っているだの文句ばかり言うし、人のピザが気になってよこせと言って喧嘩になる始末…
まじで一個くらいまともなところを見せてくれ!
お腹いっぱいになったところで風紀委員についての情報を仕入れたという薬師寺さんが話し出した。
「俺は風紀委員長の弟の情報を入手したのだ。すごいだろ?その弟の名は風紀三春《かざのりみはる》、2年にいるらしいがお前知ってるか?」
「え、同級生にそんなやついたかな…明日純也にでも聞いてみるけどピンとこないな…」
話をしている間中カレンは俺の腕にしがみついてもじもじしている。
まだイライラしてるのかな…
「なるほどとりあえずそいつを追えばいいというわけか。よし、俺も後輩に探らせよう。」
「明日監視カメラの映像をくまなくチェックし直してみるか。なにか映っているかもしれないからな。」
「とにかく、そいつから情報を聞き出すのだ!そうすれば風紀委員長の素性もすぐにわかるはずだ。そしてだな…」
「あーもう長い!さっさと寝て!快斗とイチャイチャする時間なの!」
カレンが爆発した…
薬師寺さんも最初は言い返そうとしたようだがカレンのあまりに凄まじい睨みに急いで部屋に逃げ込んだ…
そしてみんな部屋に避難した…
「カレン、そんなに怒らなくても…」
「やだ!ここは快斗と私の家なの!全然イチャイチャしてない!」
確かに夜部屋に戻ってからちょっと話すだけでここ数日ろくにキスもしてなかったな…
「はいはい、ごめんごめん。でもみんな部屋に戻ったから今からゆっくりしよ?」
「うん、する!えへへ、撫でて撫でて」
急にデレた
うっわー、可愛いなぁ…
我が彼女ながら可愛いなぁー
薬師寺さんがどれだけ女を抱こうとも、命先輩がどれだけの裸体を撮ろうとも、このカレンは俺だけのものなんだ…
絶対に彼女の処女を守って…俺がもらい受ける!
朝は皆早い。
案外活動的な人種ばかりで、大石さんは朝からランニング、命先輩は機材の手入れ、薬師寺さんは夜な夜な抜け出して朝帰りという感じだ…
ていうか薬師寺さんは女の家に泊まれば!?
俺とカレンは朝食を食べてから学校に向かうのだが、三人はもうどこかに消えていた。
「なんかあの人らも住み慣れてしまった感じだな…」
「うう、やっぱり邪魔、じいに言う」
「いやこの世から消そうとするのやめよ!?」
しばらくの辛抱だ。
それに悪い人たちではないと…思いたい…
カレンを送ったあと教室に向かうと純也が俺にまた嬉しそうに絡んでくる。
「おい、なんか寮が凄いことになってるみたいだな!楽しそうだから俺も遊びに行ってみようかな」
「やめとけ、殺されるぞ…。」
もう噂は広まっていた。
早速薬師寺親衛隊が寮に乗り込むだの命先輩のファンや弟子が寮訪問の整理券を作りだすなどどうも賑やかになりそうだ…
「そういえば、大石さんってテニス以外は何かやってることあるのか?最近テニスの活動聞かないけど…」
「はぁ?お前知らないのか、キックボクシングに転身して来週アン・ジールとタイトルマッチだぞ?」
「知るか!なんだその情報!?え、キックボクシングの世界戦ってそんな簡単に出れるの!?」
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でた、また意味のわからん組織が登場した…
ラブ高新撰組
ラブ高の剣道部の精鋭達を集めて作った有志の組だと言う。
そしてその剣技は世界屈指と言われ既に多くの外国の軍隊からもスカウトが来ているとかなんとか
「これがそのパンフレットだ。」
なんでいちいちパンフレットあんの?
「どれどれ、んー…なんだこれ…」
組長 近藤勇足《こんどういさみあし》
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隊長 斎藤始無《さいとうはじまらない》
名前だけ見たら弱そうなんだけど…
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急に呼ばれた恥ずかしいあだ名はどこからきたのだと純也に聞こうとした瞬間、パンフレットに挟まっていたビラを見つけた。
そこには俺とカレンが昨日イチャイチャしているところを撮った写真と『このキス魔人許すまじ 殺せ カレン様ファンクラブ』と赤いインクで書かれた文字が掲載されていた…
いや、俺はこっちの人たちの方がよっぽど怖いわ…
めちゃくちゃついでに純也に風紀委員について薬師寺さんから聞いた話をしてみたが、心当たりはないということだった。
そして昼休みになる。
今の状況下では、昼休みはカレンと二人でゆっくりする貴重な時間である。
早速カレンの教室に向かおうとすると、先に蓮水さんに捕まってしまった…
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「あれ?もう喧嘩?なぁんだ案外チャンスありそうじゃん!今度寮に遊びに行こっかな!」
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最近あの寮人口密度高すぎるだろ…
あんなところに蓮水さんまで来たらもうカレンが爆発するどころの騒ぎじゃなくなるぞ…
「ま、今日は彼女の機嫌でも取ってあげたら?じゃね!」
んー、いい女だなぁ。
ちょっと元カレがどんな人なのか気にはなる…(決して元カレを羨ましいとか思ってません)
急いでカレンを迎えにいって、二人で人目のつかない場所に行きお弁当を食べた。
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学校が終わり寮に帰るとまた騒がしい日常が待っている…
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結局あれから手がかりはつかめないまま、新撰組とやらもどこにいったのか襲ってくることもない…
代わりにくるのは薬師寺親衛隊と命先輩のファンばかりだ…
そして10日ほどが過ぎた時、事態が動き出した。
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――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
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