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第40話 就職難
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「おい、飯はまだか!?」
「あれ、お前俺のパンツ持っていってないか?」
なんかこの奇妙な共同生活が続いている…
命先輩は大広間を占拠して簡易スタジオにしてしまったし、大石さんは世界戦に向けて台所の水道を針金でグルグル巻きにして総スカンをくらったり(それは力○だから!)、薬師寺さんなんて開き直って女を寮に連れ込む始末。
しかも一時間毎に違う女がずっと出入りするのだ…
そんなに体力が持つものなのか!?
カレンはもう俺と同化してしまったのかというくらい側を離れない。
所構わずイチャイチャしてくるので、俺が一方的に恥ずかしかった…
不思議なのはこんな変人たちでもカレンには手を出そうなどとしないことだ。
曰く「後輩の彼女に手を出すほど野暮ではない」そうだが、そんな良識がこいつらにもあったのか…
てか校長の嫁は手を出してもいいのか!?
後輩の彼女でも盗撮はいいのか?
分別する基準が一切分からんわ!
そして今日も慌ただしい一日が終わろうとしていたのだが…
夕食前に誰かが玄関をノックした…
「はーい、…って、ついにきましたね…」
そこにいた三人組はもう一言で言えば新撰組のコスプレをした高校生だ…
多分ラブ高新撰組というやつらだろう。
しかし勝負を挑んできたこいつらはあまりにも弱かったので、何が起きたかをダイジェストでお送りしよう…
まず三人がきたタイミングに俺たちはピザを頼んでいた。
ほどなくピザを持ったアンがきたのだが、勝負の邪魔だと彼らの一人がピザを薙ぎ払った。
それに怒ったアンはすごかった…
真剣を足で真っ二つに折ってしまい、右足だけでボコボコにしてしまった。
そしてアンはピザを焼き直しに帰っていった…
そして捕獲した三人から情報を聞こうとしている俺たちがいる、という感じだ。
「おい、風紀委員は誰だ!?」
「…しらない」
「言え!言わないと…」
縛られている武士もどきに熱くなる薬師寺さんを命先輩が制止した。
そして無言で何かの写真をピラピラして三人に見せている…
「な、そ、それは…それを…我々に?」
「どうしよっかなー」
「はっ、はっ、た、頼む、それを、それをくれ!」
「む、私が先だ!頼むなんでも喋るから、もうはちきれそうだ!武士の情けだと思って俺にくれ!」
禁止薬物級の命先輩の写真にて、発狂しそうな三人の武士もどきは簡単にゲロった…
この人の写真は脳にどんな影響を与えているのか科学検証されるべきだと思う…
聞けた情報はこうだ。
風紀委員は深夜1時から3時に活動する。
風紀委員の部屋が学校のどこかにある。
委員長は誰もあったことがない。
これだけじゃなんともだな…
三人は写真を手に走って帰っていった。
そこに焼き直したピザを持ったアンがきた。
「いや、なんか面倒なことに巻き込んでごめんな」
「いいよ」
「なんかお礼しないとな」
「…」
アンが居候になりたそうにこちらをみている!
居候にしてあげますか?
「はい」 「いいえ」
「ダメ!帰るの!」
カレンに速攻で却下された…
アンはさびしそうにさっていった…
アン…ごめん…
届いたピザを食べたあと、それぞれ部屋に戻ったあと、
カレンと二人で買い物に行こうとしたらまた誰か来た…
「やほー、あ、今から出かけるの?」
蓮水さんがきた…
カレンは既に殺気立っていた…
「出たストーカー、しっしっ」
「あら、この靴なぁに?チェリーだけじゃ物足らずに他の男まで連れこんでるの?淫乱ねあんた」
「い、いやこれは…」
もう面倒なことになる気しかない…
「帰って!快斗は私の彼氏!」
「知ってるわよ、でも彼女いる人好きになっちゃいけない決まりなんてないでしょ?」
「ダメ!私がダメなの!」
ヤバイ、日頃のストレスもあってカレンが爆発しそうだ…
「私がここに何しにこようがあんたに関係ないでしょ?」
「あるもん!ここ私と快斗の家なの!なのにみんな勝手ばっか!うう、うわわーん!!」
カレンが号泣しだしてそこらにあるものを蓮水さんに投げ出した。
「こ、こらこらカレン」
「嫌だ、帰れ!もうくんな!みんな邪魔する!」
「な、何よ痛いわね!このっ!」
なんか蓮水さんも応戦して投げられたものを投げ返していた…
玄関でプチ戦争が起こりだした。
「二人ともやめてやめて!こら、人の靴投げないの!」
「こんなの捨てる!こいつも捨てる!」
「あんたよくも!」
カレンさんがヤバイ…
蓮水さんも怒ってるし…
誰か助けてー!
そんな時に薬師寺さんが部屋から出てきた。
「なんだうるさいぞ!?まだやってんのか、今日はもう帰らせろ…ってお、お前…」
「はぁ?なんであんたがここにいるのよ!?私はチェリーに会いに来たのになんであんたとここで会うのよ!?」
蓮水さんの手が止まった…
俺はその隙に泣き喚くカレンを必死で止めた。
「おい、チェリーに会いに来たってどういうことだ?お前まさかこいつのことが好きなのか!?」
「何よあんたには関係ないでしょ!?」
薬師寺さんと蓮水さんが睨み合っている。
カレンもようやく泣き止んだあと、意味のわからない状況に首を傾げながら俺の腕にしがみついていた。
「あ、あのー…お二人はお知り合い?」
まぁ同級生だしお互い有名人だから知ってはいるか…
「こ、こいつと知り合いだと!?こんなやつ知らん!」
「そ、そうよ別に善《ぜん》とは昔ちょーっとだけ遊んだことがあるだけで、元カレとかそんなんじゃ一切ないから!」
「なに!?お前あの時は『あんたはかっこいいね』とかいってたくせに!」
「なによ!あんただって『お前が一番だよ』とか言いながら散々浮気しまくっといてそれ言う!?」
え、あれ?
「お前なんか『善といれるこの時間が私の全て』とか顔真っ赤にしていってただろうが!」
「あんたこそ『もう浮気はしないから』って何百回も頭下げといて全然やめないくせに昔の男気取りしないでくれる!?」
あ、そう…
まさかだったが、蓮水さんの元カレって薬師寺さんなんだ…
「お前チェリーが好きとか正気か!?こんな冴えない童貞坊やのどこがいいんだ!?」
「あら、あんたみたいに下半身で物事考えてるようなドスケベよりマシよ!チェリーの前で元カレ面するのやめてくんない!?」
犬猿の…いや、この場合は喧嘩するほど仲がいいという方が正しい表現のようだ。
一見喧嘩をして罵りあっているようにしか見えないが、会話を聞いていると、お互い「まだお前が好きなのに」としか聞こえない…
「で、でも薬師寺さんはいっぱい彼女いますよね…」
「何をいう!?俺の抱いた5226人は全員付き合ってなんかいない!俺が付き合ったことあるのはこいつだけだ!」
え、なにピュアそうにゴミみたいなこと言ってんのこの人…
てか増え方どうにかしろよ!
てかそんなに抱いて蓮水さんとしか付き合ってないの!?
これを一途と呼んでしまいそうだった俺はもう頭がおかしいのだろうか…
「で、でも女の人ってそんなに浮気されたらさすがに気持ち離れるんじゃ…」
「わかってないわねチェリー、なんだかんだ腐れ縁ってのもあるのよ、だからこいつのことはなんでか…なんで憎めないのよバカー!」
いやあんたらめっちゃラブラブなんじゃないか!?
え、蓮水さん俺のこと好きとかってのは何だったの!?
俺完全に間男にされるところだったよね!?
散々俺をかき乱したあの日々を返せよ!
ライブとかマジでなんだったの!?
ああ…この人になびかなくてよかったよ…
痴話喧嘩をしている二人を大石さんと命先輩も出てきて陰から見ているが何故か大石さんはショックを受けていた。
この人も蓮水さん好きだったんだ…
命先輩に後から聞くと、蓮水さんは薬師寺さんと喧嘩別れした日にヤケになって俺を襲ったけど、それもそもそもは薬師寺さんの気を引きたかっただけだという…
ミイラ取りがミイラになった典型だったというわけだ…
俺に惚れる要素まじでどこにあった!?
なんか喧嘩が一周回って世間話になり二人でどこかに消えていった…
どうか末長くお幸せに…そして二度と戻ってくるな!
うるさい薬師寺さんと厄介な蓮水さんが自壊してくれたおかげでカレン大爆発が防がれた…
そして機嫌も戻った。
「カレン、もう邪魔な人たちは消えたから大丈夫だよ」
「うん、お星様になった」
「いや多分心中しにいったわけではないと思うよ!?」
表現が所々ズレてるんだが…可愛いからいっか。
「快斗、お腹すいた。今度こそなんか買いにいこ?」
「ああ、コンビニでもいこうか。先輩、留守番頼みますね!」
二人で買い物に出かけるとカレンのイチャイチャが加速していく。
「快斗、チューしたい」
「え、外なのに?まぁ人はいないか…」
カレンとキスをした。
頬を赤くした可愛い女の子が俺にスリスリしてくる。
ああ、早くこれを寮で存分に堪能したい…
とりあえず蓮水さんという驚異?は薬師寺さんが引き受けてくれそうだと思うと少し体が軽くなった。
軽い足取りでコンビニに入ると…アンがバイトしていた…
こいつもどこにでもいるな…
「いらっしゃい」
「お前ピザ屋は…?」
「さっき終わった」
「…コンビニ何時まで?」
「朝5時」
「遊園地は?」
「5時半から19時」
「…ピザ屋は?」
「20時から」
「タイトだな!地獄だよそれ!人間やめてるって!マジでどっか就職しよ!?」
「就職難」
「まぁ時代がなぁ…」
こいつは世界一のフリーターでもあるな…
売れ残りそうなホットスナックをたくさん買ってあげたけど…多分意味はない。
もうちょっとぶらぶらしたいとカレンが言うので、二人でしばらく散歩した。
その間も人目のつかない場所を見つけてはカレンがキスしてきた。
しばらくして寮に戻り、二人でムシャムシャと買ってきたものを食べながらまったりした。
「でもカレンよく食べるよな。」
「泣いたらお腹すいた…」
最近よく泣くよなカレン…でもまぁ…可愛いからいっか。
お腹いっぱいになって泣きつかれるとそのまま寝てしまうのもカレンである。
でもまぁ…可愛いからいっか。
最近のぐちゃぐちゃな生活で思考が少し停止していた…
朝目が覚めると何やら居間が騒がしい。
「なんでいるの!?」
「いいじゃない!ちょっと遅くなったから善のとこに泊めてもらっただけよ!」
「インラン!」
なぜかカレンと蓮水さんが朝から喧嘩していた…いやなんでいるの!?
「薬師寺さん…連れ込みましたね?」
「人聞きの悪いことをいう童貞だな。勝手についてきた、の間違いだ。」
俺からすれば一緒のことだよ!
なんか蓮水さんのイメージ崩れたわ…
「お前もハスミンのファンなのか?心配しなくても俺はあいつに手出ししておらん。」
「ハスミンって呼ぶんだ…薬師寺さんが手を出さないなんてことがあるんですか?」
「……あいつの前ではどうもいかんのだ…」
うわー…このカップルもだいぶめんどくさそうだな…
大石さんは今日はアンとの世界戦があるとのことで、朝早くに出発していた。
いや昨日ピザ食べてなかったか!?いいのそれ?
命先輩は二人が喧嘩する中、我関せずで朝食を食べていた。
収集が着かなくなる前にカレンを連れて学校に向かった。
そして学校に着くとすぐに東先生に職員室に呼ばれた。
職員室って先生多いから苦手なんだよな…
「失礼します。」
「おお、寮長の快斗さん。まぁ座りたまえ。」
なぜか校長がいる…いつ戻ってきた?
「え、なんでここに?校長室は!?」
「ふむ、校長室は風紀委員に差し押さえされたわい…」
「え、ほんとにあんたの学校なのか!?そんな権限生徒に持たすなよ!」
風紀委員ってほんと何者なの!?
「わしも自室がないと色々不都合での…今夜皆を集めて深夜の学校に忍び込むぞい」
「自分の学校に忍び込む校長って…でもわかりました。とりあえずみんなには帰ったら話しておきますよ。」
いよいよか…でもそんなにうまくいくのか?
でもさっさとしないと蓮水さんまで寮に居座りかねないからな…
「念のためアンとセバスチャンも呼んでおく」
「え、でも今日世界戦があるんじゃ…」
「うむ、終わり次第合流させる」
「鬼だな…ちゃんと給料払えよ!」
「ピザ窯の10年ローンが返済できれば楽になると思うのじゃが…」
「そのピザ窯いくらしたんですか?」
「確か5000万円くらいじゃったの」
「高すぎだろ!? え、それ10年で!?いやマジでファイトマネーは本人に譲ってやれよ!」
フリーターで年間500万円返済…そりゃ土管生活になるよな…
学校が終わって寮で全員に今日の0時学校に集合という校長の指令を告げるとやる気に…満ちていなかった。
「えーもう行くのか?」
「やっとここの生活に慣れてきたところだというのに!」
「慣れるな!早く出て行けよ!」
こいつらはどこでも住めば都な連中なのだな…
夕方の中継でアン・ジールVS大石徹《おおいしとおる》 (徹って名前だったんだ…)の世界戦の中継をみんなで見た。
カレンはすごく退屈そうで、俺の膝の上で寝ていた。
結果はアンが判定勝ちだった。
勝ったのはアンなのに、アンのKOを阻止した初の日本人としてなぜか大石さんに記者が群がっていた…
そしてアンはインタビューの途中で急に走って会場から消えていった。
多分飛行機の時間があるのだろう…アン…すまない。
そして何の対策もせずに深夜の学校に集合するのだが…
次回 ついに風紀委員と対決の時!
ようやく寮での甘い生活を取り戻す!?
カレンとのラブラブ勉強会も!?
「あれ、お前俺のパンツ持っていってないか?」
なんかこの奇妙な共同生活が続いている…
命先輩は大広間を占拠して簡易スタジオにしてしまったし、大石さんは世界戦に向けて台所の水道を針金でグルグル巻きにして総スカンをくらったり(それは力○だから!)、薬師寺さんなんて開き直って女を寮に連れ込む始末。
しかも一時間毎に違う女がずっと出入りするのだ…
そんなに体力が持つものなのか!?
カレンはもう俺と同化してしまったのかというくらい側を離れない。
所構わずイチャイチャしてくるので、俺が一方的に恥ずかしかった…
不思議なのはこんな変人たちでもカレンには手を出そうなどとしないことだ。
曰く「後輩の彼女に手を出すほど野暮ではない」そうだが、そんな良識がこいつらにもあったのか…
てか校長の嫁は手を出してもいいのか!?
後輩の彼女でも盗撮はいいのか?
分別する基準が一切分からんわ!
そして今日も慌ただしい一日が終わろうとしていたのだが…
夕食前に誰かが玄関をノックした…
「はーい、…って、ついにきましたね…」
そこにいた三人組はもう一言で言えば新撰組のコスプレをした高校生だ…
多分ラブ高新撰組というやつらだろう。
しかし勝負を挑んできたこいつらはあまりにも弱かったので、何が起きたかをダイジェストでお送りしよう…
まず三人がきたタイミングに俺たちはピザを頼んでいた。
ほどなくピザを持ったアンがきたのだが、勝負の邪魔だと彼らの一人がピザを薙ぎ払った。
それに怒ったアンはすごかった…
真剣を足で真っ二つに折ってしまい、右足だけでボコボコにしてしまった。
そしてアンはピザを焼き直しに帰っていった…
そして捕獲した三人から情報を聞こうとしている俺たちがいる、という感じだ。
「おい、風紀委員は誰だ!?」
「…しらない」
「言え!言わないと…」
縛られている武士もどきに熱くなる薬師寺さんを命先輩が制止した。
そして無言で何かの写真をピラピラして三人に見せている…
「な、そ、それは…それを…我々に?」
「どうしよっかなー」
「はっ、はっ、た、頼む、それを、それをくれ!」
「む、私が先だ!頼むなんでも喋るから、もうはちきれそうだ!武士の情けだと思って俺にくれ!」
禁止薬物級の命先輩の写真にて、発狂しそうな三人の武士もどきは簡単にゲロった…
この人の写真は脳にどんな影響を与えているのか科学検証されるべきだと思う…
聞けた情報はこうだ。
風紀委員は深夜1時から3時に活動する。
風紀委員の部屋が学校のどこかにある。
委員長は誰もあったことがない。
これだけじゃなんともだな…
三人は写真を手に走って帰っていった。
そこに焼き直したピザを持ったアンがきた。
「いや、なんか面倒なことに巻き込んでごめんな」
「いいよ」
「なんかお礼しないとな」
「…」
アンが居候になりたそうにこちらをみている!
居候にしてあげますか?
「はい」 「いいえ」
「ダメ!帰るの!」
カレンに速攻で却下された…
アンはさびしそうにさっていった…
アン…ごめん…
届いたピザを食べたあと、それぞれ部屋に戻ったあと、
カレンと二人で買い物に行こうとしたらまた誰か来た…
「やほー、あ、今から出かけるの?」
蓮水さんがきた…
カレンは既に殺気立っていた…
「出たストーカー、しっしっ」
「あら、この靴なぁに?チェリーだけじゃ物足らずに他の男まで連れこんでるの?淫乱ねあんた」
「い、いやこれは…」
もう面倒なことになる気しかない…
「帰って!快斗は私の彼氏!」
「知ってるわよ、でも彼女いる人好きになっちゃいけない決まりなんてないでしょ?」
「ダメ!私がダメなの!」
ヤバイ、日頃のストレスもあってカレンが爆発しそうだ…
「私がここに何しにこようがあんたに関係ないでしょ?」
「あるもん!ここ私と快斗の家なの!なのにみんな勝手ばっか!うう、うわわーん!!」
カレンが号泣しだしてそこらにあるものを蓮水さんに投げ出した。
「こ、こらこらカレン」
「嫌だ、帰れ!もうくんな!みんな邪魔する!」
「な、何よ痛いわね!このっ!」
なんか蓮水さんも応戦して投げられたものを投げ返していた…
玄関でプチ戦争が起こりだした。
「二人ともやめてやめて!こら、人の靴投げないの!」
「こんなの捨てる!こいつも捨てる!」
「あんたよくも!」
カレンさんがヤバイ…
蓮水さんも怒ってるし…
誰か助けてー!
そんな時に薬師寺さんが部屋から出てきた。
「なんだうるさいぞ!?まだやってんのか、今日はもう帰らせろ…ってお、お前…」
「はぁ?なんであんたがここにいるのよ!?私はチェリーに会いに来たのになんであんたとここで会うのよ!?」
蓮水さんの手が止まった…
俺はその隙に泣き喚くカレンを必死で止めた。
「おい、チェリーに会いに来たってどういうことだ?お前まさかこいつのことが好きなのか!?」
「何よあんたには関係ないでしょ!?」
薬師寺さんと蓮水さんが睨み合っている。
カレンもようやく泣き止んだあと、意味のわからない状況に首を傾げながら俺の腕にしがみついていた。
「あ、あのー…お二人はお知り合い?」
まぁ同級生だしお互い有名人だから知ってはいるか…
「こ、こいつと知り合いだと!?こんなやつ知らん!」
「そ、そうよ別に善《ぜん》とは昔ちょーっとだけ遊んだことがあるだけで、元カレとかそんなんじゃ一切ないから!」
「なに!?お前あの時は『あんたはかっこいいね』とかいってたくせに!」
「なによ!あんただって『お前が一番だよ』とか言いながら散々浮気しまくっといてそれ言う!?」
え、あれ?
「お前なんか『善といれるこの時間が私の全て』とか顔真っ赤にしていってただろうが!」
「あんたこそ『もう浮気はしないから』って何百回も頭下げといて全然やめないくせに昔の男気取りしないでくれる!?」
あ、そう…
まさかだったが、蓮水さんの元カレって薬師寺さんなんだ…
「お前チェリーが好きとか正気か!?こんな冴えない童貞坊やのどこがいいんだ!?」
「あら、あんたみたいに下半身で物事考えてるようなドスケベよりマシよ!チェリーの前で元カレ面するのやめてくんない!?」
犬猿の…いや、この場合は喧嘩するほど仲がいいという方が正しい表現のようだ。
一見喧嘩をして罵りあっているようにしか見えないが、会話を聞いていると、お互い「まだお前が好きなのに」としか聞こえない…
「で、でも薬師寺さんはいっぱい彼女いますよね…」
「何をいう!?俺の抱いた5226人は全員付き合ってなんかいない!俺が付き合ったことあるのはこいつだけだ!」
え、なにピュアそうにゴミみたいなこと言ってんのこの人…
てか増え方どうにかしろよ!
てかそんなに抱いて蓮水さんとしか付き合ってないの!?
これを一途と呼んでしまいそうだった俺はもう頭がおかしいのだろうか…
「で、でも女の人ってそんなに浮気されたらさすがに気持ち離れるんじゃ…」
「わかってないわねチェリー、なんだかんだ腐れ縁ってのもあるのよ、だからこいつのことはなんでか…なんで憎めないのよバカー!」
いやあんたらめっちゃラブラブなんじゃないか!?
え、蓮水さん俺のこと好きとかってのは何だったの!?
俺完全に間男にされるところだったよね!?
散々俺をかき乱したあの日々を返せよ!
ライブとかマジでなんだったの!?
ああ…この人になびかなくてよかったよ…
痴話喧嘩をしている二人を大石さんと命先輩も出てきて陰から見ているが何故か大石さんはショックを受けていた。
この人も蓮水さん好きだったんだ…
命先輩に後から聞くと、蓮水さんは薬師寺さんと喧嘩別れした日にヤケになって俺を襲ったけど、それもそもそもは薬師寺さんの気を引きたかっただけだという…
ミイラ取りがミイラになった典型だったというわけだ…
俺に惚れる要素まじでどこにあった!?
なんか喧嘩が一周回って世間話になり二人でどこかに消えていった…
どうか末長くお幸せに…そして二度と戻ってくるな!
うるさい薬師寺さんと厄介な蓮水さんが自壊してくれたおかげでカレン大爆発が防がれた…
そして機嫌も戻った。
「カレン、もう邪魔な人たちは消えたから大丈夫だよ」
「うん、お星様になった」
「いや多分心中しにいったわけではないと思うよ!?」
表現が所々ズレてるんだが…可愛いからいっか。
「快斗、お腹すいた。今度こそなんか買いにいこ?」
「ああ、コンビニでもいこうか。先輩、留守番頼みますね!」
二人で買い物に出かけるとカレンのイチャイチャが加速していく。
「快斗、チューしたい」
「え、外なのに?まぁ人はいないか…」
カレンとキスをした。
頬を赤くした可愛い女の子が俺にスリスリしてくる。
ああ、早くこれを寮で存分に堪能したい…
とりあえず蓮水さんという驚異?は薬師寺さんが引き受けてくれそうだと思うと少し体が軽くなった。
軽い足取りでコンビニに入ると…アンがバイトしていた…
こいつもどこにでもいるな…
「いらっしゃい」
「お前ピザ屋は…?」
「さっき終わった」
「…コンビニ何時まで?」
「朝5時」
「遊園地は?」
「5時半から19時」
「…ピザ屋は?」
「20時から」
「タイトだな!地獄だよそれ!人間やめてるって!マジでどっか就職しよ!?」
「就職難」
「まぁ時代がなぁ…」
こいつは世界一のフリーターでもあるな…
売れ残りそうなホットスナックをたくさん買ってあげたけど…多分意味はない。
もうちょっとぶらぶらしたいとカレンが言うので、二人でしばらく散歩した。
その間も人目のつかない場所を見つけてはカレンがキスしてきた。
しばらくして寮に戻り、二人でムシャムシャと買ってきたものを食べながらまったりした。
「でもカレンよく食べるよな。」
「泣いたらお腹すいた…」
最近よく泣くよなカレン…でもまぁ…可愛いからいっか。
お腹いっぱいになって泣きつかれるとそのまま寝てしまうのもカレンである。
でもまぁ…可愛いからいっか。
最近のぐちゃぐちゃな生活で思考が少し停止していた…
朝目が覚めると何やら居間が騒がしい。
「なんでいるの!?」
「いいじゃない!ちょっと遅くなったから善のとこに泊めてもらっただけよ!」
「インラン!」
なぜかカレンと蓮水さんが朝から喧嘩していた…いやなんでいるの!?
「薬師寺さん…連れ込みましたね?」
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俺からすれば一緒のことだよ!
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「……あいつの前ではどうもいかんのだ…」
うわー…このカップルもだいぶめんどくさそうだな…
大石さんは今日はアンとの世界戦があるとのことで、朝早くに出発していた。
いや昨日ピザ食べてなかったか!?いいのそれ?
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収集が着かなくなる前にカレンを連れて学校に向かった。
そして学校に着くとすぐに東先生に職員室に呼ばれた。
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「失礼します。」
「おお、寮長の快斗さん。まぁ座りたまえ。」
なぜか校長がいる…いつ戻ってきた?
「え、なんでここに?校長室は!?」
「ふむ、校長室は風紀委員に差し押さえされたわい…」
「え、ほんとにあんたの学校なのか!?そんな権限生徒に持たすなよ!」
風紀委員ってほんと何者なの!?
「わしも自室がないと色々不都合での…今夜皆を集めて深夜の学校に忍び込むぞい」
「自分の学校に忍び込む校長って…でもわかりました。とりあえずみんなには帰ったら話しておきますよ。」
いよいよか…でもそんなにうまくいくのか?
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「え、でも今日世界戦があるんじゃ…」
「うむ、終わり次第合流させる」
「鬼だな…ちゃんと給料払えよ!」
「ピザ窯の10年ローンが返済できれば楽になると思うのじゃが…」
「そのピザ窯いくらしたんですか?」
「確か5000万円くらいじゃったの」
「高すぎだろ!? え、それ10年で!?いやマジでファイトマネーは本人に譲ってやれよ!」
フリーターで年間500万円返済…そりゃ土管生活になるよな…
学校が終わって寮で全員に今日の0時学校に集合という校長の指令を告げるとやる気に…満ちていなかった。
「えーもう行くのか?」
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戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
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