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第51話 助けて
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「はい、今日の先生はなんと!あのキックボクシング世界チャンピオン、そしてダーツ界でも知らない者はいないという奇跡の足を持つ男でおなじみ、アン・ジールさんに来ていただきました!」
俺とカレンはアンの収録DVDを鑑賞している。
とは言ってもカレンはほとんど見てないけど…
芸人の司会によって早速アンが出てきた。
でも拍手がまばらだな…
全然盛り上がってないぞ?
他のゲストや生徒役のタレントもみんな首を傾げている…
いや呼ばれたやつの予習くらいしとけよ!
「アンさんはなんと!キックボクシングで世界をとり、あの有名な観光地の落葉パークの社長までなったというのに、株価大暴落と倒産劇で今は数百億円の借金を抱えたのちに自己破産するという波乱万丈な人生を送られております!」
ん?
いや、ネタバレしすぎだろこいつ!?
もう喋ることなくなっちゃうだろ?
「アンさんは何をされてそんな歯がボロボロになったんですか?」
いや質問がズレてるぞ?
今は歯のことはいいだろ!?
「歯ぎしり」
え、格闘家が踏ん張りすぎてとかそんなんじゃないの?
どんだけ歯ぎしりうるさいんだあいつ!?
「そうですか。さぁアンさんの今の職業は何か、問題です!」
いやちゃんと拾ってやれや!
アンがすべったみたいになってるぞ?
それでアンの職業?多分ピザ屋だよ!
「1.釣り人 2.整体師 3.投資家 さぁどれ!?」
え!?このどれかなの!?
まてそれなら整体師か?
「さぁアンさん、正解は!?」
「…」
やっぱないんじゃないか!
おい、この番組大丈夫か?
「アンさん、今までのファイトマネーは億を超えると聞きますがそのお金はどこに行ってしまったんですか?」
「…」
言えねえよな…
校長に搾取されてるとは…言えねえよな…
「アンさんは休日は何されてるんですか?」
「…」
休みないんだよこの人!
ちゃんと調べてから質問考えてこいよ!
「アンさんは今までの失敗で一番辛かったことってなんですか?」
お、たまにはいい質問するじゃないか。
でも一日天下で遊園地潰れたことだろうな…
「ドタキャン」
いやまぁまぁこの番組楽しみにしてたんだな!
それ一番辛いこと!?
もっとあるだろ!
「ドタキャンする人間ってちょっと底が知れるといいますか、なんか信用できないですよねー」
いやお前らだよ!棚に上げて話を進めるな!
「アンさんの趣味とかってあるんですか?」
「ギャルサーチ」
いやそれ全国ネットで言っちゃう?
あーあ、スタジオドン引きしてるじゃないか…
「最近の自分を一言で言えばどんな感じですか?」
「生活苦」
でしょうね!
しかも一番ウケてる…
失礼なやつらだな!
「最後の質問になりますが、アンさんの今後の目標、教えてください。やっぱりもう一度世界をとるとか、いっぱいありますもんね!」
「ギャルと結婚」
あーあ、もうダメだ…
あれ、なんでかスタジオが結構共感してる…
みんなギャル好きなんだな…
「今のアンさんの夢は?」
「蓮水様の幸せ」
いや蓮水さん出してもわからんて!
「嫌いな食べ物は?」
「パスタ」
パスタ相当嫌いだな!もう作るな!
あと、最後の質問ってのはなんだったんだよ!
あれから何個質問してんだこいつ!?
なんだこのグダグダな番組…
「いやぁアンさんみたいな人にはならないように、みんな気をつけないといけないですよー」
いやそれは本人が「俺みたいになるなよー」って言うやつだって!
他人が言ったらただの侮辱だよ!
「アンさん、最後に一言」
「助けて」
重い!
これほんとにテレビでやるの!?
放送が終わってタイトル画面に戻った…
「快斗、終わった?」
「ああ…お前らアンに優しくしてやれよ…」
見てられないなこれは…
「あ、なんか特典映像ある」
「ん?ほんとだ…」
メニュー画面に特典映像という文字がある。
一応見てみるか。
「はい、DVDをお買い上げしてしまった全国のしくじりさんにお届けするアンさんのNG集です!」
無茶苦茶に貶《けな》してくるなこの番組!
いやこいつらアンのこと嫌いだろ!?
でもNG集か、どんなこと言ったんだあいつ?
「アンさんがこれだけは続けてきたというこだわりはなんですか?」
「キックボクシング」
「アンさんの一番の趣味は?」
「釣り」
「アンさんの最近のこだわりは?」
「ピザの焼き加減」
いやまともじゃねえか!
こっちを本編で出してやれよ!
印象操作がえぐいぞこいつら!
まぁ番組的にはつまらんのだろうけど…
「快斗、もう終わる?」
「ああ…終わりであってほしい…」
アンのDVDを見ると、今の自分がどれだけ幸せかということが実感できた…
もしかしたらそういう番組なのか?
いや、せめてそうであってくれ…
「快斗、もやし有名人だね」
「うん…多分変な人気は出るかもな…」
もうアンのことを今日は話したくはなかった…
アンに教えられた幸せを噛みしめながらその日は平和にすごした…
翌日はなぜか早くに目が覚めた。
カレンは朝から旅行が楽しみなせいでテンションが高かった。
「沖縄行ったら海行く!」
「向こうはまだ暑いもんな。海は綺麗だし色々回ってみたいなー」
「海でチューする!」
「う、うん…」
沖縄の海辺でカレンと…なんか新婚旅行みたいだな、童貞だけど…
「あ、サリーから電話」
「どうせ高村さんを紹介しろって電話だろ…」
カレンが電話に出るとサリーさんの大声が漏れてくる。
内容はどうやらその通りのようで、カレンも電話を切ったあと、すぐに高村さんに電話していた。
「じい、今からくるって」
「俺たちは学校いかない?立ち会いたくないんだけど…」
二人の行く末は見届けずに登校した。
帰った時にどうなっているかはもう知らない…
「おはよー、快斗沖縄にカレンちゃん連れて行くんだって?いいよなーラブラブだなー」
純也はいつもの調子に戻っていた。
「ああ、目を離せないからな…。そういえば昨日先輩たちは大丈夫だったのか?」
「薬師寺さんたち?なんか二人で『修学旅行ではいい女捕まえてやるぞー』って逆にやる気になってたぞ?」
「ちょっとまて、なんであの人らが修学旅行に来るんだ!?それに学年トップの一人しか来れないだろ!?」
「いや、三年生は学年トップが何人かいるからな。その中にあの二人もいるからくるのは当然だろ?」
当然なのか?
それにあのバカな先輩達、勉強できたんだ…
頼むから沖縄を選ぶのはやめてくれ…
昼休み終わりに修学旅行の説明会があった。
俺たちが行く沖縄班には校長がついてくるらしい。
これは想定内だが…
なぜか沖縄にいくメンツに薬師寺さんと命先輩と蓮水さんがいる…
なんでみんな沖縄くるんだよ!
なんか薬師寺さんがこっち見てるし…
「む、チェリーよなぜお前がいる!?」
「いや二年生だからね!?あんたらの方が立場的に特殊なの自覚してる!?」
はぁ…また嫌な旅行になりそうだ…
説明会終わりにアランさんが俺のところに来た。
「快斗くん、サリーは今日は休みなのかい?朝から姿がないが…」
「あれ、連絡きてないんですか?寮で昨日言ってた男の人と会ってるはずですけど」
「な、なんだと…い、いやこれでいいんだ…サリーの幸せのため…ふふ、ふふふふふ、ふははははははは…」
ダメだなこの人も…
お願いだからまともな人をこの学校にください…
学校が終わり寮に帰ると、二人の姿はもちろんなかった。
どうなったんだろうか…
「じいに電話してみる」
「んー、怖いけどやっぱり結果は知りたいかな…」
カレンが電話をかけると高村さんは一言「お嬢様が姪っ子になりますな」と言ったそうだ。
うん…サリーさんよかったね…
そんなこんなで数日は遠足の前日のように浮かれたカレンとまったりすごし、旅行当日を迎えた。
「飛行機乗るの久しぶりだなー」
「快斗、お土産買う!」
「いや、それは向こうで買おうよ…」
引率の先生に連れられて飛行機に乗った。
沖縄と言っても飛行機だと本当に早く、すこしウトウトしているとすぐに到着したような感覚だった。
到着してすぐに点呼をしてから自由行動になった。
「快斗、ソーキそば!」
「沖縄と言えばこれだなー。食べに行こうか」
いや、まさかな…
ここは沖縄だからな…
そんななんとも言えない不安を抱えながら店内に入ると…アンが働いていた…
「めんそーれ」
「なんでここにまでいるんだよ!」
「んみゃーち」
「言い方変えても意味一緒だよ!」
「まーさんどー」
「ウチナーグチしっかりマスターしてんじゃねえよ!」
まーさんどーは、おいしいよーって意味なんだとさっき雑誌で読んだところだ…
「そば二つちょうだい」
「ピザは?」
「ここでピザ食べるか!」
「あ、DVD」
「あ、ああ見たよ…」
「感想聞きにきた」
「わざわざそのために沖縄くんなよ!」
「感想」
「いや、まぁ色々とすごかったな…」
「買って」
「え、いやもう見たし…」
「五千枚」
「はぁ?それがどうしたんだよ?」
「ノルマ」
「いや自主制作CDか!え、そんなノルマがゲストに課せられるの!?詐欺だろ!」
「売れないと買取」
「あの番組に出たことがしくじってないか…?」
そばよりもDVDを売りたいせいか観光客にしつこくアピールしていた…
はぁ…アンもなんで校長なんかに仕えてるんだろ?
高村さんもだけど意外と人望あるのかあの人?
ソーキそばをおいしくいただいたあと、タクシーで那覇市内に移動した。
「快斗、商店街広ーい!」
「すごいなー、市場とかたくさんあるな!」
「やっほー」
「いやそれは山でやるやつね!」
二人でぶらぶらして買い物を楽しんだあと、カレン念願の?タコライスを食べに行った。
「あ、おいしそう!いただきます」
「…」
「どうしたのカレン?おいしいぞ?」
「トマト嫌い…」
「子供だなぁ…食べてあげるからちょうだい」
「やた!えへへ、いただきます」
沖縄の料理って独特なんだけど味が濃くて美味しいなぁ。
あーなんか来るまでは不安だったけど来てよかった。
ほんとにカレンと旅行してるって感じだ。
「あ、チェリー!」
水をさすように蓮水さんと薬師寺さんが店にきた…
「あ、インラン」
「もうなによガキ、旅行中くらい大人しくしてな」
二人が睨み合っている間に薬師寺さんがこっちにきた。
「おいチェリー、校長から伝言を預かってるぞ」
「え、旅行中になんの用事ですか?…ていうかあんたらすっかり仲良くなりましたよね…」
「それは言うな…。でだな、今日の夜ホテルで校長が何か企画しているそうなんだが手伝ってほしいとのことだ。チェックインしたら校長の部屋まで来いということだ」
「え、自由行動じゃないの?沖縄まできて何を考えてるんだあの人は…」
一通り市内を散策したあと、ホテルに向かい校長に会いにいくのだが…
次回 なんで沖縄でそれ!?
更に沖縄に潜む敵まで登場!?
でもそのあとはカレンと二人きりの時間が…
アンのDVD売れてるのかな?
俺とカレンはアンの収録DVDを鑑賞している。
とは言ってもカレンはほとんど見てないけど…
芸人の司会によって早速アンが出てきた。
でも拍手がまばらだな…
全然盛り上がってないぞ?
他のゲストや生徒役のタレントもみんな首を傾げている…
いや呼ばれたやつの予習くらいしとけよ!
「アンさんはなんと!キックボクシングで世界をとり、あの有名な観光地の落葉パークの社長までなったというのに、株価大暴落と倒産劇で今は数百億円の借金を抱えたのちに自己破産するという波乱万丈な人生を送られております!」
ん?
いや、ネタバレしすぎだろこいつ!?
もう喋ることなくなっちゃうだろ?
「アンさんは何をされてそんな歯がボロボロになったんですか?」
いや質問がズレてるぞ?
今は歯のことはいいだろ!?
「歯ぎしり」
え、格闘家が踏ん張りすぎてとかそんなんじゃないの?
どんだけ歯ぎしりうるさいんだあいつ!?
「そうですか。さぁアンさんの今の職業は何か、問題です!」
いやちゃんと拾ってやれや!
アンがすべったみたいになってるぞ?
それでアンの職業?多分ピザ屋だよ!
「1.釣り人 2.整体師 3.投資家 さぁどれ!?」
え!?このどれかなの!?
まてそれなら整体師か?
「さぁアンさん、正解は!?」
「…」
やっぱないんじゃないか!
おい、この番組大丈夫か?
「アンさん、今までのファイトマネーは億を超えると聞きますがそのお金はどこに行ってしまったんですか?」
「…」
言えねえよな…
校長に搾取されてるとは…言えねえよな…
「アンさんは休日は何されてるんですか?」
「…」
休みないんだよこの人!
ちゃんと調べてから質問考えてこいよ!
「アンさんは今までの失敗で一番辛かったことってなんですか?」
お、たまにはいい質問するじゃないか。
でも一日天下で遊園地潰れたことだろうな…
「ドタキャン」
いやまぁまぁこの番組楽しみにしてたんだな!
それ一番辛いこと!?
もっとあるだろ!
「ドタキャンする人間ってちょっと底が知れるといいますか、なんか信用できないですよねー」
いやお前らだよ!棚に上げて話を進めるな!
「アンさんの趣味とかってあるんですか?」
「ギャルサーチ」
いやそれ全国ネットで言っちゃう?
あーあ、スタジオドン引きしてるじゃないか…
「最近の自分を一言で言えばどんな感じですか?」
「生活苦」
でしょうね!
しかも一番ウケてる…
失礼なやつらだな!
「最後の質問になりますが、アンさんの今後の目標、教えてください。やっぱりもう一度世界をとるとか、いっぱいありますもんね!」
「ギャルと結婚」
あーあ、もうダメだ…
あれ、なんでかスタジオが結構共感してる…
みんなギャル好きなんだな…
「今のアンさんの夢は?」
「蓮水様の幸せ」
いや蓮水さん出してもわからんて!
「嫌いな食べ物は?」
「パスタ」
パスタ相当嫌いだな!もう作るな!
あと、最後の質問ってのはなんだったんだよ!
あれから何個質問してんだこいつ!?
なんだこのグダグダな番組…
「いやぁアンさんみたいな人にはならないように、みんな気をつけないといけないですよー」
いやそれは本人が「俺みたいになるなよー」って言うやつだって!
他人が言ったらただの侮辱だよ!
「アンさん、最後に一言」
「助けて」
重い!
これほんとにテレビでやるの!?
放送が終わってタイトル画面に戻った…
「快斗、終わった?」
「ああ…お前らアンに優しくしてやれよ…」
見てられないなこれは…
「あ、なんか特典映像ある」
「ん?ほんとだ…」
メニュー画面に特典映像という文字がある。
一応見てみるか。
「はい、DVDをお買い上げしてしまった全国のしくじりさんにお届けするアンさんのNG集です!」
無茶苦茶に貶《けな》してくるなこの番組!
いやこいつらアンのこと嫌いだろ!?
でもNG集か、どんなこと言ったんだあいつ?
「アンさんがこれだけは続けてきたというこだわりはなんですか?」
「キックボクシング」
「アンさんの一番の趣味は?」
「釣り」
「アンさんの最近のこだわりは?」
「ピザの焼き加減」
いやまともじゃねえか!
こっちを本編で出してやれよ!
印象操作がえぐいぞこいつら!
まぁ番組的にはつまらんのだろうけど…
「快斗、もう終わる?」
「ああ…終わりであってほしい…」
アンのDVDを見ると、今の自分がどれだけ幸せかということが実感できた…
もしかしたらそういう番組なのか?
いや、せめてそうであってくれ…
「快斗、もやし有名人だね」
「うん…多分変な人気は出るかもな…」
もうアンのことを今日は話したくはなかった…
アンに教えられた幸せを噛みしめながらその日は平和にすごした…
翌日はなぜか早くに目が覚めた。
カレンは朝から旅行が楽しみなせいでテンションが高かった。
「沖縄行ったら海行く!」
「向こうはまだ暑いもんな。海は綺麗だし色々回ってみたいなー」
「海でチューする!」
「う、うん…」
沖縄の海辺でカレンと…なんか新婚旅行みたいだな、童貞だけど…
「あ、サリーから電話」
「どうせ高村さんを紹介しろって電話だろ…」
カレンが電話に出るとサリーさんの大声が漏れてくる。
内容はどうやらその通りのようで、カレンも電話を切ったあと、すぐに高村さんに電話していた。
「じい、今からくるって」
「俺たちは学校いかない?立ち会いたくないんだけど…」
二人の行く末は見届けずに登校した。
帰った時にどうなっているかはもう知らない…
「おはよー、快斗沖縄にカレンちゃん連れて行くんだって?いいよなーラブラブだなー」
純也はいつもの調子に戻っていた。
「ああ、目を離せないからな…。そういえば昨日先輩たちは大丈夫だったのか?」
「薬師寺さんたち?なんか二人で『修学旅行ではいい女捕まえてやるぞー』って逆にやる気になってたぞ?」
「ちょっとまて、なんであの人らが修学旅行に来るんだ!?それに学年トップの一人しか来れないだろ!?」
「いや、三年生は学年トップが何人かいるからな。その中にあの二人もいるからくるのは当然だろ?」
当然なのか?
それにあのバカな先輩達、勉強できたんだ…
頼むから沖縄を選ぶのはやめてくれ…
昼休み終わりに修学旅行の説明会があった。
俺たちが行く沖縄班には校長がついてくるらしい。
これは想定内だが…
なぜか沖縄にいくメンツに薬師寺さんと命先輩と蓮水さんがいる…
なんでみんな沖縄くるんだよ!
なんか薬師寺さんがこっち見てるし…
「む、チェリーよなぜお前がいる!?」
「いや二年生だからね!?あんたらの方が立場的に特殊なの自覚してる!?」
はぁ…また嫌な旅行になりそうだ…
説明会終わりにアランさんが俺のところに来た。
「快斗くん、サリーは今日は休みなのかい?朝から姿がないが…」
「あれ、連絡きてないんですか?寮で昨日言ってた男の人と会ってるはずですけど」
「な、なんだと…い、いやこれでいいんだ…サリーの幸せのため…ふふ、ふふふふふ、ふははははははは…」
ダメだなこの人も…
お願いだからまともな人をこの学校にください…
学校が終わり寮に帰ると、二人の姿はもちろんなかった。
どうなったんだろうか…
「じいに電話してみる」
「んー、怖いけどやっぱり結果は知りたいかな…」
カレンが電話をかけると高村さんは一言「お嬢様が姪っ子になりますな」と言ったそうだ。
うん…サリーさんよかったね…
そんなこんなで数日は遠足の前日のように浮かれたカレンとまったりすごし、旅行当日を迎えた。
「飛行機乗るの久しぶりだなー」
「快斗、お土産買う!」
「いや、それは向こうで買おうよ…」
引率の先生に連れられて飛行機に乗った。
沖縄と言っても飛行機だと本当に早く、すこしウトウトしているとすぐに到着したような感覚だった。
到着してすぐに点呼をしてから自由行動になった。
「快斗、ソーキそば!」
「沖縄と言えばこれだなー。食べに行こうか」
いや、まさかな…
ここは沖縄だからな…
そんななんとも言えない不安を抱えながら店内に入ると…アンが働いていた…
「めんそーれ」
「なんでここにまでいるんだよ!」
「んみゃーち」
「言い方変えても意味一緒だよ!」
「まーさんどー」
「ウチナーグチしっかりマスターしてんじゃねえよ!」
まーさんどーは、おいしいよーって意味なんだとさっき雑誌で読んだところだ…
「そば二つちょうだい」
「ピザは?」
「ここでピザ食べるか!」
「あ、DVD」
「あ、ああ見たよ…」
「感想聞きにきた」
「わざわざそのために沖縄くんなよ!」
「感想」
「いや、まぁ色々とすごかったな…」
「買って」
「え、いやもう見たし…」
「五千枚」
「はぁ?それがどうしたんだよ?」
「ノルマ」
「いや自主制作CDか!え、そんなノルマがゲストに課せられるの!?詐欺だろ!」
「売れないと買取」
「あの番組に出たことがしくじってないか…?」
そばよりもDVDを売りたいせいか観光客にしつこくアピールしていた…
はぁ…アンもなんで校長なんかに仕えてるんだろ?
高村さんもだけど意外と人望あるのかあの人?
ソーキそばをおいしくいただいたあと、タクシーで那覇市内に移動した。
「快斗、商店街広ーい!」
「すごいなー、市場とかたくさんあるな!」
「やっほー」
「いやそれは山でやるやつね!」
二人でぶらぶらして買い物を楽しんだあと、カレン念願の?タコライスを食べに行った。
「あ、おいしそう!いただきます」
「…」
「どうしたのカレン?おいしいぞ?」
「トマト嫌い…」
「子供だなぁ…食べてあげるからちょうだい」
「やた!えへへ、いただきます」
沖縄の料理って独特なんだけど味が濃くて美味しいなぁ。
あーなんか来るまでは不安だったけど来てよかった。
ほんとにカレンと旅行してるって感じだ。
「あ、チェリー!」
水をさすように蓮水さんと薬師寺さんが店にきた…
「あ、インラン」
「もうなによガキ、旅行中くらい大人しくしてな」
二人が睨み合っている間に薬師寺さんがこっちにきた。
「おいチェリー、校長から伝言を預かってるぞ」
「え、旅行中になんの用事ですか?…ていうかあんたらすっかり仲良くなりましたよね…」
「それは言うな…。でだな、今日の夜ホテルで校長が何か企画しているそうなんだが手伝ってほしいとのことだ。チェックインしたら校長の部屋まで来いということだ」
「え、自由行動じゃないの?沖縄まできて何を考えてるんだあの人は…」
一通り市内を散策したあと、ホテルに向かい校長に会いにいくのだが…
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