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37 溺れるくらい愛して、尽くす

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 俺の下。
 真っ白なシーツの上に銀色の髪を広げたユージィンの姿は可愛いとか綺麗を通り越して妖艶だった。
 壮絶な色気に満ち満ちていた。
 俺の気持ちに応えると決意してくれた彼を抱き上げベッドに降ろした、それだけでも俺の心臓は早鐘を打つように大変だったのに、こうして触れることを許された。
 抱いていいのだと、受け入れられたことが、逆に夢なのではないかとさえ思えてしまう。

 素肌を晒し、首筋から肩へ手を滑らせるだけでユージィンの吐息は熱を帯びた。
 脇から腕へ、手首へ、指先へキスをしていけば甘く揺れる声が聞こえてくる。

「ぁっ、……!」

 手の指先を口に含む。
 信じられないくらいユージィンが感じている。
 それが嬉しくて、楽しくて、爪先から指の付け根まで舌を這わせ――。

「んぁっ」
「気持ちい?」
「やっ……ぞわぞわするだけだ……!」
「そう?」
「……ぅっく……」

 もう片方の手で口元を覆い声を抑えようとしたらしいが、そんな抵抗すら可愛いだけだ。
 手のひらにまで舌を這わせ、口づけ、手首を甘噛みする。

「は、ぁんっ」

 小刻みに震える体が感じているのは密着した下半身から如実に伝わってくると言うのに、ユージィンはまだ認めない。
 本人は無意識なのだろう押し付けられるような腰使いには眩暈すら覚えた。

「ユージィン、可愛い。好き。もっと感じさせたい」
「も、もういいっ……することをしたらいいだろう……っ」
「だめ」
「なんで……っ」
「まだまだこれからだよ、……ここだって」
「ぁっ」

 わざと音を立てて乳首に舐め取るようなキスすると、それだけでユージィンの声が跳ねた。
 指で両方を抓んで弄れば必死に声を殺し、なんとか耐えようとして目を瞑る。

 視界が閉ざされたら尚更感度が上がる気もするけれど。

「わた、しは……女性ではない……っ」
「男だって愛された分だけ気持ちよくなれるし、俺はやる気充分なので」
「リント……ッ」
「だーめ。……あぁでも、きついなら一回出そうか」
「なにを……」
「腰上げて」

 言い、下履きを丸ごと引き下ろすとプルンッと勢いよく飛び出した男の証。
 成人男性だと判っていても中心が高められた状態でヒクヒクしている姿には可愛い以外の感想が出て来ない。

 下履きを完全に脱がしてベッドの下に放り、ついでとばかりに自分の下も脱いでいる間に、ユージィンが掛け布団の中に身体を隠そうとしていた。
 隠せるものなんて邪魔、と布団全部を下に落としてやれば涙目で睨まれる。
 煽ってる?
 いやいや、何の思惑もないだろう。そうだとも判っているけれどもさ!

「全部見せて」
「だ、なっ……恥ずかしい、だろ……っ」
「全然。可愛くてどうしてくれようかと思うだけで」
「かわ……」
「ほら、足開いて」
「っ」

 膝裏を持って開かせた足の間に身体を割り入れ、性器で性器に触れる。

「ふぁっ……あっ……」
「…っ……気持ちいい?」
「やっ、あ、んあっ」

 覆い被さるようにして互いのを擦り合せればユージィンからは甘い喘ぎ声が上がった。
 次第に先走りが混ざり合い、ぐちゅぐちゅと淫靡な水音が擦り合う音に重なる。

「や、やめ……っ、離っ…で……」
「出していいよ」

 拒む言葉を口にするユージィンの唇を唇で塞ぎ、逃げる腰を抑える代わりに二人分を片手で一緒に扱く。

「んんっ、んっ、んんんっ」

 ユージィンの身体が弓なりにしなる。痙攣を起こしたように全身が震えて、腹に白いものが飛び散った。
 他人の手で達した事にユージィンが茫然としているのは判ったが、ここまで火を付けられた状態で「終わり」なんて選択肢は存在しない。

 俺はまだイってないし。

 リントは遅漏かもしれないと思ったけど、その辺の確認は後にする。
 何故って、正直それどころじゃないんだ。
 しっとりと汗ばんだ身体を抱き締めながらキスを繰り返すうちに、ユージィンの遠慮がちな腕が抱き締め返してくれたから。
 キスにも応えようとしてくれるから。
 どこまで本当に許してくれるか、それを確認する方が万倍重要なのだ。


 背中から腰に、尻、その割れ目へと手を這わせると、さすがに怯えたのか身を捩られた。
 なので、これ幸いとうつ伏せにさせて背中を味わう事にする。
 ほどよく筋肉のついた背中が快感に震える姿はひどく淫靡だった。
 右脇腹の六花の紋は、背中からの方が鮮明に見える。
 世界すら異なる俺達を繋げてくれた奇跡の印に口付けると、ユージィンの唇が震えた。

 ……ん?

 ふと、その六花の紋が淡い光りを放っている事に気付いた。
 部屋が明るいので気付かなかったが、いつからだろう。
 戦闘中でもなければ力を使った覚えもない。俺自身の左二の腕の紋を確認するが、こちらには何の変化もなかった。

 ……んん?

 左手を背中に回し、そこに刻まれている扇六花——神子の紋に触れると、心なしか熱を感じる。
 え。
 もしかしてこっちと連動してる?
 それってどういう状況??

「……リント……?」

 動きの止まった俺に不安そうな顔を見せるユージィン。
 何でもないよと答えようとして、だが、ふと思い至る。
 数時間前のとある台詞が思い出されたのだ。

「……ユージィン、もっと気持ちよくしてあげてもいい?」
「っ、も、もう、充分、だ」
「正直に言って」

 少し強く言うと、触れている紋が一度だけ明滅した。
 すると――。

「……し、て……ほし……っ」
「――」

 真っ赤な顔で恥じらいながらも、泣きそうな声で吐露するユージィン。
 うわ……っ、これは、やばい。

 やばい。
 俺の中の支配欲、征服欲がこれでもかって勢いで溢れ出て来た。
 独占欲も。
 どうしよう、きっと”命令”したらユージィンを閉じ込めるのも容易だ。このままベッドに繋いで自分のためだけに啼かせたい。
 この綺麗な体全部に俺を刻み込んで、俺がいないと生きていけなくしてやりたい。
 たぶん出来る。

 でも。

 同様に、俺だけがっていう、傲慢な多幸感が俺自身を支配する。

「……っ」
「リント……?」
「……ユージィン、ごめん。俺みたいな奴が好きになったせいで……でも、絶対に幸せにする」
「ぁっ」
「ユージィンが溺れるくらい愛して、尽くすよ」
「あ、ああっ」

 きつく吸いつき、今宵初めて残した鬱血の跡はユージィンの六花の紋の上。
 もう、決して放さない。


 俺はユージィンの身体全部に触れていく。
 手で、指で、唇で。
 僅かにも余すことなく。

「ユージィン、うつ伏せのまま膝を立てて」
「……っぅ」
「大丈夫、気持ちいい事しかしないよ」

 想像するだけでも羞恥を煽られるだろう姿勢も、ユージィンは拒めない。
 尻を突き出すような恰好をさせられても、そのまま足を開くよう言われても。
 拒めない。
 拒ませない。

 足の間から再び熱を溜めているユージィンの欲が揺れて見える。

「気持ちよかったら我慢しないで声を出して。……聞かせて。気持ちいいのも、教えてくれたら、嬉しいな」
「んうっ……」

 後方、足の間から手を差し入れて彼自身に触れればゆらりと腰が揺れた。

「っぁん……っ」
「可愛い。ユージィンの身体は、どこもかしも全部可愛い」

 手で扱いてあげると、すっかり火照った体が辛くなっていたのだろうユージィンは本能に動かされるように腰を振って喘いだ。
 たまんない。
 俺の手でこんなにもユージィンが乱されてる。
 感じてる。
 俺のユージィン。

「ああっ」

 ゆるゆると扱きながら、尻の割れ目に舌を這わした。
 その先、後孔にキスをするとユージィンがすすり泣くように喘ぐ。
 唾液を含ませ、舌で愛撫し、窄まった小さな入口から中を犯す。

「やっ、あっ、あんぁ……っ、やぁ……!」

 わざと水音を立てて羞恥を煽りながら少しずつ侵入する深さを増す。
 その間もユージィンは喘いだ。
 強すぎる刺激に涙まで零しながら喘ぎ続けた。

 俺が、聞きたいって言ったからだ。

 ゾクゾクする。
 もっと感じさせたい。
 もっと苛みたい。
 もっと、愛したい。

 これぐらいかなと舌を抜き、ヒクヒクしているその場所に右人差し指を置く。

「ひぅっ……」

 反射的な収縮が俺の指を中に引き込んだ。

「ぁ、あっ、あんっ」

 そのまま指を付け根まで押し入り唾液を擦り付けながら内壁を探っていれば、そこはすぐにみつかった。
 ユージィンが一際高い声を上げて啼く。
 ここがユージィンの気持ちいいところ。

「やっ、やだっ、ああっ」
「大丈夫、気持ち良いのは良い事だよ」
「や、あああんっ」
「可愛い。ユージィン、ほんと、可愛すぎ」
「ああんぁっ」

 感じすぎて、自ら足を大きく広げたユージィンの腰が揺れる。そのあまりにも扇情的な姿に俺の下腹部もいい加減はちきれそうだが、さすがに指一本でこんなにもきつい後孔に俺のを挿れる気にはなれない。
 それでなくとも、以前の俺と比べてリントのそれはデカいのだ。
 傷つけたり痛い思いをさせるのは論外。
 そのまま指一本の抽挿を続けて、反対の手でユージィンの張りつめた中心を扱いて追い立てる。

「あっ、はっ、はぁんっ、んんっ」
「気持ち良い? イキそう?」
「イっ……っ、イイ……っ、イクっ」
「いいよ、イって」
「あぁんっ」

 背中をしならせ、切ない声を上げて達したユージィン。
 後孔は、俺の指が食いちぎられるんじゃないかと思うような締まり方だった。

 挿れたい、けど。
 今日はダメだと自制する。
 その代わりにもうしばらくこの体勢を維持して欲しいと頼んで指を抜こうとしたが、それを阻むようにきゅうっと呑み込もうとするやらしい体に愛しさがこみ上げてくる。

 可愛い。
 好き。
 だからこそ傷つけない。

「足、閉じてて」
「ふぁっ……あんっ」

 いわゆる素股だ。
 ユージィンの腰を抱え、足の間に俺のを挟んで前後に動かせば疑似的でも繋がっている気持ちになれる。

「あんっ、あっ、はんっ、あっ」
「……っ」

 ユージィンのにも擦れるから、イッたばかりの其処にも強い快感が襲ってくるのだろう。甘い喘ぎが動きに合わせて跳ねるのがあまりにもエロい。
 熱く火照った白い背中はひどく淫らだ。

「……ユージィン、好きだよ。大好き、だ……っ」

 擦り擦られ、煽られて。
 白いシーツに二人分の染みが広がる頃にはユージィンの意識は飛んでしまっていた。
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