置いてけぼり

siroikuma

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夏祭り

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今日は夏まつり。雲一つない晴天。夏の最後を締めくくるのは、盛大な花火。毎年大きな河川敷で、この花火を見るために集まる、らしい。もう日が落ち始めた。屋台で買った水風船やお面、竹の鉄砲。真っ赤なりんご飴、バスケットボールくらいある大きな綿菓子にカラースプレーたっぷりのチョコバナナ。どんどん人が集まり始めてきた。
川の近くでは、花火の打ち上げ準備が始められている。一発だけ試し打ちされた。
そこまで大きくはない花火だが、観客席から歓声が上がる。僕も思わずつられそうになって慌てて口をふさぐ。
僕は初めてここに来た。今日が最初で最後の夏まつり。ここに来るまでいろんな想像をした。なつまつりってどんなだろう、やたいって何だろう、どれくらい人間が集まるんだろう。
完全に日が落ちた。花火が打ち上げられる。ドォオンという音とともに「たーまやー」とか「きれーい」とか聞こえてくる。でも、今はそんなことがどうでもいいくらいに緊張している。どうかみんなまだ帰らないで。そんなことを思っているうちに、花火も終盤に差し掛かった。「もうそろそろ終わるし帰るかー」とそんな声も聞こえてくる。待って、あと少しだけ!でも、僕の声は届かない。あ、やっと来た。
「はい、最後―。」
僕は手に取られる。
打ち上げられた。正直音は大きすぎてむしろ聞こえなかった。すごい勢いで空に向かう。僕は目をつむっていた。そして次の瞬間。開いた。
目に映る光景は、人が豆粒よりも小さく見えて、河川敷から少し離れたところにビルみたいなのがぽつぽつ建っていて暗い夜の中で電気がぽつぽつ光っていた。そして、星が見えた。とても近くで。とてもきれいに輝いていた。もっと見たい。
「あ、消える」
誰かがそんな風に言ったのが聞こえた気がした。

もっと長ければよかったのに。
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