クリスマスの恋

第8話

「浩司、大丈夫か？」

柄崎が声をかけると浩司は柄崎に背を向け口を開いた。

「暫く1人にしてくれ」

「わかった」

柄崎も個室から出ていき1人になった浩司はソファーに座りうつ向いた。

「どうして俺のこと知らないって…」

うつ向きながら浩司が口にするとドアが開いた。

「浩司さん」

「……」

うつ向いている顔をあげ浩司は茜に目線を向けた。

「……」

茜は浩司の側に座り口を開いた。

「さっきはすみませんでした」

「なぜ知らないふりをしたんですか？」

「柄崎さんに知られたくなかったから…すみません」

「どうして知られたく…もしかして…」

「……」

無言で茜が頷くと浩司が口を開いた。

「柄っちゃんはヤクザのこと知り尽くしているから茜さんが村井さんの元愛人だと知っても驚かないと思いますよ」

浩司が口にしたその時、柄崎が現れ「知ってるよ」と口にした。

「柄崎さん！」

茜が目線を向けると柄崎はドアを閉め茜と浩司に近づいた。

「知ってて何で俺を雇ったんですか？」

茜が問いかけると立ったまま柄崎が口を開いた。

「俺も村井さんの元愛人なんだ」

「え！」

「知らなかった！」

茜と浩司が驚いた顔で見つめると柄崎が口を開いた。

「村井さんから1度だけ茜の写真を見せられたことがあったんだだから茜を雇った」

「そうだったんですか」

「茜、今日は早めに仕事を終えていいから浩司と一緒に帰りなさい」

「これから忙しくなるのに」

「良いから浩司と一緒に帰りなさい」

「わかりました」

茜が返事をすると柄崎は個室から出ていった。

茜はソファーから立ち上がり口を開いた。

「私服に着替えてくるから待っててください」

「茜さん」

名を口にしソファーから立ち上がると浩司は茜を抱きしめた。

「どうしたんですか？」

茜が問いかけると浩司は茜から離れ口を開いた。

「店の前で待ってます」

浩司が個室を出ていくと茜も個室を出ていき控室に向かった。

その後、茜はスーツを脱ぎ私服に着替え浩司の元に向かった。

「お待たせしました」

「家に送ります」

「あの家を出たんです」

「それじゃあ今は別の家に住んでるんですか？」

「はい」

「家に行っても良いですか？」

「良いですよ」

茜が歩き出すと浩司も歩き出し茜についていった。

「……」

「……」

茜と浩司は無言で歩き続けた。

30分後、マンションの前に着いた茜は中に入り浩司も中に入りエレベーターに乗った。

ドアが閉まり茜は2階のボタンを押した。

エレベーターは動き出し2階に着くとドアが開き茜と浩司はおりた。

その後、茜は3番目の家に近づきドアを開き中に入った。

「どうぞ」

「……」

無言で浩司は中に入りドアを閉めた。

その後、茜と浩司は靴を脱ぎリビングに向かった。

「飲み物を持ってきますからソファーに座って待っててください」

口にした後、茜がリビングを離れようとしたその時、浩司に背後から抱きしめられた。

「浩司さん？」

「クリスマスツリーの前であなたを見てから俺は変わらずあなたに恋をしている」

口にした後、浩司は茜を振り向かせ浩司と茜は見つめ合った。

「茜さん、愛しています」

告白をすると浩司はゆっくり顔を近づけ茜の唇に唇を重ねた。

「……」

茜は抵抗せず浩司の唇を受け入れた。