クリスマスの恋

福猫

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第9話

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その後、茜は浩司にソファーに倒され覆い被され再び唇を奪われた。

浩司は唇を離し口を開いた。

「茜さんと交わりたいです、良いですか?」

「……」

行為の誘いに茜は無言で浩司から離れ立ち上がり背を向けながら口を開いた。

「ゴメンなさい、浩司さんとの行為はできません」

「どうしてですか?」

浩司が問いかけると茜は背を向けたまま「ゴメンなさい」と言い続けた。

「わかりました」

浩司はソファーから離れ口を開いた。

「今年の12月25日、駅の前のクリスマスツリーの前で待っています、俺と付き合ってもいいと思ったら来てください、もし茜さんが来なかったら俺は茜さんを諦めます」

そう口にすると浩司は茜の家を出ていった。

「……」

茜は振り向かずリビングで立ち尽くした。

それから何日も過ぎ浩司が言っていた12月25日がやって来た。

薔薇の花束を持って浩司は駅の前にあるクリスマスツリーの前で茜を待っていた。

「……」

浩司はまわりにカップルがたくさんいても気にせず茜を待ち続けた。

その頃、茜は駅ではなく別のクリスマスツリーの元に向かっていた。

1時間後、茜はクリスマスツリーの前で立っている悠斗に近づいた。

「遅くなってすみません」

「茜さんが来るなら何時でも待つよ」

「悠斗さん」

悠斗の言葉に茜が頬を赤らめると悠斗が口を開いた。

「それじゃあ浩司の元に行こうか」

「はい」

真剣な顔で見つめ合うと茜と悠斗は浩司の元に向かった。

ー駅の前にあるクリスマスツリーの前ー

「……」

茜は来ないそう思った浩司がその場から去ろうとしたその時、茜の声が聞こえた。

「浩司さん」

「……」

振り向いた浩司は悠斗と一緒にいる茜に驚き口を開いた。

「茜さん」

「浩司さん…」

「浩司…」

「……」

茜と悠斗の仲を感じ取った浩司は笑顔で口を開いた。

「2人とも何してんだ?」

「浩司さん」

「言わないでください」

「……」

「あなたの好きな人は悠斗」

「……」

「悠斗は優しい男です、あなたを幸せにします」

「浩司さん」

「茜さん、幸せになってください」

口にした後、浩司は目線を茜から悠斗に向け小さな声で口にした。

「茜さんは俺よりお前を選んだ、悠斗、茜さんを幸せにしろよ」

「お前に言ってなかったことがある」

「言ってなかったこと?」

「お前と同じ俺もクリスマスツリーの前で茜さんを目撃し恋に落ちた」

「何で言わなかったんだ」

「お前とライバルになりたくなかったから言えなかった」

「お前らしいな」

優しい顔で浩司と悠斗は見つめ合い浩司が口を開いた。

「結婚式をするなら俺を招待してくれよ」

「結婚式をするならお前を呼ぶ、当たり前だ、だって俺とお前は友達だから」

「じゃあな」

薔薇の花束を悠斗に渡すと浩司はその場を離れていった。

「茜さん」

「……」

悠斗から薔薇の花束を受け取ると茜と悠斗は歩き出しデートを始めた。

午後10時、デートを楽しんだ茜と悠斗は悠斗の家に向かった。

ー悠斗の家ー

玄関先で悠斗は茜をお姫様抱っこしそのまま寝室に向かいベッドに仰向けで寝かせた。

「悠斗さん」

「……」

茜が持っている薔薇の花束を掴み机の上に置くと悠斗は茜の唇に唇を重ねた。

「悠斗さん」

「茜、愛してる」

「俺も悠斗を愛してる」

口にした後、茜は悠斗の唇と行為を受け入れ続けた。
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