野生の子供

福猫

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第6話

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1時間後、車は倉庫の前に止まった。

「ここはどこですか?」

「あんた野性のライオンに育てられたんだって」

「……」

驚いた顔で朝が見つめるとカリンは自分と朝のシートベルトを外し運転席からおりドアを閉めた。

その後、カリンは助手席のドアを開き口を開いた。

「おりて」

「……」

無言で朝がおりるとカリンはドアを閉め口を開いた。

「ついてきて」

「……」

カリンが倉庫に向かって歩いていくと少し警戒しながら朝はついていき中に入った。

そして朝はたくさんの機材に驚いた。

「全裸になってベッドに寝て」

「何で全裸にならないといけないんですか」

「……」

カリンは朝に近づき耳元で囁いた。

「今から俺に身体を奪われる君の姿を撮影する」

「え…」

「野性のライオンに育てられた男が金髪のイケメンモデルに身体を奪われる姿を撮影しYouTubeに投稿したら人気になるよ」

「帰ります」

危険を察知した朝は背を向け歩き出した。

カリンは朝の手首を掴み口を開いた。

「帰さないよ」

そう言ってカリンは朝をベッドに連れていき倒した。

朝は身体を起こし愛生から貰ったスタンガンを出しカリンに向けた。

「俺に近づかないでください」

「……」

笑みを浮かべるとカリンは朝からスタンガンを奪い取り投げ捨て朝の身体を倒し覆い被さった。

「準備ができるまでおとなしくしててね」

そう言ってカリンは朝の左右の手をバンザイさせネクタイで左右の手を縛ると左右の足もネクタイで縛った。

その後、カリンはベッドから離れビデオカメラをセットすると上下の服とズボンを脱ぎ全裸になった。

カリンはビデオカメラのボタンを押しベッドに近づくと朝に覆い被さり口を開いた。

「始めようか」

そう言ってカリンは朝の左右の足を縛っているネクタイを外しズボンを脱がせた。

「やめてください」

「野性の動物に身体、狙われたりしてた?」

「俺はライオンの子供だ、簡単に交わったりしない」

「動物はないなら人間は?」

「……」

カリンの言葉に朝は愛生と深く交わったことを思いだし頬を赤らめ顔をそらした。

「人間と交わったことあるんだ、可愛いね」

そう言ってカリンはそらした朝の顔を自分の方に向かせ唇を重ねた。

その後、カリンは唇を離し朝の上服を引き裂き身体を重ねた。

その頃、リンのあとを追い続けた愛生はマンションの前に着いた。

「ここは…」

愛生が驚くなかリンはマンションの中に入っていった。

愛生はリンを追いかけエレベーターに乗り込もうとするリンの手首を掴みエレベーターから離れさせた。

「愛生さん、どうしたんですか?」

「朝さんをどこに連れていったんですか」

「知りません」

「知らないって、朝さんに用事があったんじゃなかったのか」

「私は誘い出しただけ、彼に用事があるのはカリン」

「騙したのか」

「彼の居場所、知りたい?」

「……」

怒りが爆発した愛生はリンを壁に押しつけながら口を開いた。

「朝さんの居場所を教えろ」

「私とデートしてくれたら教えてあげる」

「誰が最低な女と」

「私は最低じゃない」

「君は最低だ、朝さんに何かあったら俺は君を許さない」

「……」

愛生の言葉にリンは涙を流しながら朝の居場所を教えた。

愛生はリンから離れマンションを出るとスマホで倉庫の道筋を調べ見つけ歩き出した。

ー倉庫の中ー

「可愛いね…君の身体、独り占めしたいよ」

「……」

抵抗できない朝はカリンに耳元で囁かれ身体を奪われ続けた。

「…愛…生…さん…」

涙を流しながら朝が気を失うとカリンは朝から離れ全裸姿でビデオカメラに近づき録画を止めた。

その時、倉庫のドアが開き愛生が現れた。

カリンは愛生に目線を向け声をかけた。

「誰ですか?」

「……」

愛生はカリンの問いに返事をしないままベッドに近づき左右の手を縛っているネクタイを外し朝を抱き起こし声をかけた。

「朝さん…朝さん…朝さん」

「……」

「……」

目を覚まさない朝の身体を寝かせ愛生はカリンに近づき顔を殴った。

顔を殴られたカリンは「何すんだよ」と怒った口調で口にすると愛生が口を開いた。

「朝さんを傷つけた罰だ」

「俺はリンに頼まれてやっただけだ俺は悪くない」

「リンさんに頼まれたとしても君は朝さんを傷つけた」

「……」

「俺は警察官だ、逮捕されたくなかったら2度と朝さんに近づくな」

そう言って愛生はベッドに近づき全裸姿の朝をお姫様抱っこするとそのまま倉庫から出ていった。

「モデルの顔を殴りやがってあいつ許さねえ」

そう言ってカリンはビデオカメラに目線を向け企みの笑みを浮かべた。

その頃、愛生は全裸姿の朝をお姫様抱っこしながら険しい顔で人中を歩いていた。

そこへパトロール中の速水が近づいてきた。

「伊藤」

「速水さん」

愛生は立ち止まり速水を見つめた。

「何かあったのか?」

「速水さん、家まで送ってください」

「わかった」

「……」

愛生は全裸姿の朝をお姫様抱っこしたまま速水と共にパトカーに近づき速水は運転席に乗り込み愛生は朝を後部座背に乗せ愛生は助手席に乗り込んだ。

「俺の家、わかりますよね」

「わかってる」

返事をすると速水はパトカーを動かし愛生の家に向かった。

1時間後、パトカーは愛生の家の前に止まった。

「ありがとうございました」

「伊藤」

「はい」

「俺に相談したいことがあったらいつでも俺に相談してこい」

「ありがとうございます」

そう言って速水にお辞儀をすると愛生は助手席をおり後部座席のドアを開いた。

朝をお姫様抱っこしながら後部座席からおろしドアを閉めると愛生は速水に向かってお辞儀をし家の中に入っていった。

速水はパトカーで警察署に向かい愛生は寝室に向かいベッドに仰向けで朝を寝かせた。

身体に掛け布団をかけ愛生はベッドに座り眠る朝の姿を見つめた。

その頃、カリンは自宅の寝室でビデオカメラで録画した動画を編集しパソコンでYouTubeに投稿した。
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