日記帳

福猫

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第5話

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楓はベッドに近づき袋から上服とズボンと下着を取り出した。

勉もベッドに近づき声をかけた。

「あの人、良い人ですね」

「そうですね」

そう言って楓が下着を掴むと背を向けながら勉が口を開いた。

「見ないので安心して着替えてください」

「……」

楓はバスローブを脱ぎ下着とズボンと上服を着始めた。

「家まで送ります」

背を向けながら勉が口にすると着替えを終えた楓が抱きついた。

「楓さん?」

「慎一は二度も俺を裏切った、俺は慎一を忘れたい」

「……」

勉は振り向き楓を抱きしめた。

「勉さん、俺の心と身体を癒してください」

涙を流しながら楓が見つめると勉は手で涙を拭いその後、顔を近づけ唇を重ねた。

「……」

「……」

互いの唇が離れ楓と勉は見つめ合った。

そして勉が口を開いた。

「家まで送ります、帰りましょう」

「他の男に身体を奪われた者と身体を重ねたくないですよね」

「楓さん、ゆっくり休んだ方が良い」

「勉さん、ありがとう、1人で帰ります」

そう言って楓がドアに向かって歩き出すと勉が口を開いた。

「楓さん」

「……」

立ち止まり楓が振り向くと勉が口を開いた。

「メールの日記帳を始めませんか?」

「メールの日記帳?」

「俺から始めますね」

「俺のスマホ…」

楓が口にしたその時、ドアをノックする音がした。

楓はドアに近づき「はい」と返事をした。

「スタッフの者ですが、楓様のスマホをお預かりしています」

「……」

ドアの鍵をあけ楓はドアを開いた。

「……」

「これを」

「ありがとうございました」

楓がスマホを受け取るとスタッフはその場を離れていった。

楓はスマホを見つめながらスマホを預けたのは洸介だと思い笑みがこぼれた。

その後、楓は振り向き勉に向かって口を開いた。

「勉さん、ありがとう、さようなら」

そう言って楓が部屋から出ていくと勉は楓の言葉に驚き立ち尽くした。

ー車の中ー

洸介は助手席に座り慎一は運転席に座り運転をしていた。

「……」

「……」

慎一と洸介は黙り込んだ。

5分後、洸介が口を開いた。

「なぜ、二度も裏切るようなことをしたんだ」

「楓を見てるとムカつくんだよ」

「ムカつくから身体をむりやり奪ったっていうのか」

「お前には関係ないのに何で楓のことで怒るんだ」

「楓さんじゃなくても怒るに決まってるだろ、お前のやってることは人を傷つける」

「……」

突然、車を止め慎一が口を開いた。

「洸介、楓に惚れたか」

「あぁ、惚れた」

真剣な顔で答えると洸介は助手席からおりドアを閉め車から離れていった。

運転席から歩いていく洸介を見つめながら慎一の顔が険しい顔になった。

その頃、自宅に戻った楓はベッドに座りながら洸介が手紙を残しているメールを読んでいた。

「……」

この時、楓の心は勉から洸介に奪われていた。

そして楓はメールの日記帳を勉ではなく洸介に送った。
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