ホワイトストーン

福猫

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第3話

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森林の中に家がポツンと1軒ある。

誠と恭一は20時間かけて瑠璃の家にたどり着いた。

恭一は声をかけた。

「瑠璃、いるか」

「何かようか」

「……」

「……」

背後から声が聞こえ恭一と誠は振り返り人間と同じ大きさの灰色のキジトラ猫、瑠璃を見つめた。

「何のようだ」

「渉から聞いてないのか?」

恭一が問いかけると笑いながら瑠璃が口を開いた。

「聞いてるよ、ついてきて」

瑠璃が歩き出すと恭一と誠も歩き出しついていった。

家から歩いて10分後、砂浜に出た瑠璃と恭一と誠は海に浮かんでいる船に近づいた。

「渉に言われてすぐ作ったのか?」

「俺は天才だ、船なんてすぐに作れる」

「そうか」

「渉から聞いたんだけど、龍二、さらわれたんだって」

「……」

誠が黙り込むと瑠璃が誠に向かって口を開いた。

「龍二は美しいから気をつけないと」

「お前に言われなくてもわかってる」

怒った口調で口にすると誠は船に乗り込んだ。

「龍二がさらわれてイライラしてるのに更にイライラさせるなよ」

恭一が口にすると瑠璃が口を開いた。

「ゴメンって謝っといてくれ」

そう言って瑠璃はその場を離れ家に帰った。

「……」

恭一も船に乗り込み恭一の運転で海の上を船が動き出した。

誠が近づくと運転をしながら恭一が口を開いた。

「瑠璃がゴメンって言ってたぞ」

「瑠璃は今でも龍二のこと好きなのかな」

「さあな…」

恭一が口にした後、恭一と誠は無言になり海を見つめた。

ー宇宙船、地下の部屋ー

ジュノに身体を奪われ続けた龍二は部屋で1人、全裸姿で眠っていた。

「……」

ゆっくり目を覚ました龍二は身体を起こし自分の全裸姿に涙した。

その時、男の声がした。

「女じゃあるまいし身体を奪われたくらいで泣くなんて」

「……」

龍二は涙を拭いジュンに目線を向けた。

ジュンの目線が顔から身体に向くと龍二は立ち上がり引き裂かれた白い服を着た。

ジュンは龍二に近づき口を開いた。

「そんな格好で皆の前に出たら狙われるよ」

「あいつが服を引き裂くから」

「……」

ジュンは無言で足首まで長いマントを外し差し出した。

「……」

龍二が見つめるとジュンが口を開いた。

「早く隠さないと襲っちゃうよ」

「……」

龍二はジュンからマントを受け取り引き裂かれた服を隠すようにマントを身につけた。

「ありがとう」

「……」

「ついでにここから逃してくれたら嬉しいけど…バレたら困るから無理だよね」

そう言って龍二が背を向けるとジュンは龍二を自分の方に向かせ口を開いた。

「俺に身体を捧げたら逃してやってもいいよ」

「そんなことできるわきないだろ」

怒った口調で口にすると龍二はジュンから離れた。

「それじゃあ諦めな」

そう言ってジュンが部屋を出ていくと龍二は壁に近づき体育座りで座ると「誠」と言って顔をうずめた。

「ジュン」

部屋の前でジュノが声をかけるとジュンは立ち止まり「何?」と言って見つめた。

「部屋の中で何をしてた」

「何も」

「部屋に入るなと言ったはずだが」

「何もしてないから心配しないで」

そう言ってジュンが離れていくとジュンは険しい顔でジュンを見つめた。

その頃、恭一と誠は瑠璃が作った船で宇宙船を追いかけていた。

1時間後、恭一と誠は宇宙船を見つけた。

「誠!宇宙船だ」

「あの船に龍二がいる」

「築かれないように側につける」

そう言って恭一は見事な運転で宇宙船の側につけ恭一と誠は宇宙船に乗り込んだ。

その頃、龍二はジュノに唇を奪われていた。

「……」

「……」

ジュノは龍二が身につけているジュンのマントにイラッとしマントを外した。

「何するんですか」

「お前は俺のものだ」

そう言ってジュノは龍二の身体を倒し覆い被さり唇を奪った。

そして龍二の身体を奪おうとしたその時、ジュノは龍二から離れ部屋を出ていった。

「……」

龍二は身体を起こし立ち上がりマントを掴んだ。

そして龍二は引き裂かれた服を隠すようにマントを身につけドアに近づいた。

「……」

緊張を落ち着かせると龍二はゆっくりドアを開き部屋を出た。

そしてゆっくり階段を上がり左右を見つめた。

「誰もいない」

龍二は階段を離れゆっくり歩いた。

そして龍二は突然、現れた恭一と誠にぶつかった。

「……」

「……」

顔を合わせた龍二と恭一と誠は驚いた。

「龍二?」

「龍二、その髪、どうしたんだ」

「話はあとだ早くここから出よう」

そう龍二が口にしたその時、ジュノとジュンと仲間のヴァンパイア達が現れた。

「やはりくせ者がいたか」

「お前ら誰だ、宇宙船の持ち主達はどうした」

「始末した」

口にした後、ジュノは人間と同じ大きさの三毛猫、誠の後ろに隠れる龍二の姿を見てジュノが口を開いた。

「あんたが彼の愛する者か」

「……」

誠が険しい顔で見つめるとジュノが口を開いた。

「龍二、こちらにおいで」

「……」

「龍二」

ジュノが口にしたその時、首筋の傷が痛みだした龍二は苦しんだ。

「龍二、大丈夫か?」

「龍二?」

心配そうな顔で恭一と誠が見つめる中、ジュノが口を開いた。

「龍二、おいで」

「……」

ジュノの言葉と同時に龍二はジュノに近づいた。

「龍二!」

誠と恭一は驚いた顔で見つめた。

ジュノは龍二を抱き寄せながら口を開いた。

「彼は俺のものだ、君のものではない」

そう言ってジュノが龍二を連れて離れていくと誠が叫んだ。

「龍二!」

「諦めて帰んな」

そう言ってジュンは魔法で誠と恭一を宇宙船からおろし誠と恭一は海に落ちた。

恭一と誠は船まで泳ぎ船に乗り込んだ。

「急にどうしたんだ龍二」

「作戦を練り直そう」

そう言って恭一は渉に相談をするため通った方向に船を動かし宇宙船から離れていった。

ー宇宙船、地下の部屋ー

ジュノは龍二の唇を奪いながら身体も奪った。

その姿をジュンは魔法の玉で見つめていた。

それから暫くして宇宙船は人気のない森林の砂浜に着いた。
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