解決屋

福猫

文字の大きさ
4 / 7

第4話

しおりを挟む
━自宅━

日曜日、解決屋は休み、ゆっくり部屋のベッドで解歌(かいか)が寝ていると三毛猫の决得(けっとく)が現れベッドにあがった。

「解歌、起きてくれ」

「今日は休みだから寝かせて」

「会ってほしい人が居るんだ」

「解決屋に来ることになってんだ」

「わかった、起きるよ」

「……」

上半身裸で身体を起こす解歌(かいか)の姿を見て三毛猫の胸がドキドキと高鳴った。

「どうしたの?」

「早く準備をしろ」

そう言ってベッドからおりると三毛猫の决得(けっとく)は部屋を出ていった。

「変な猫」

ベッドからおりるとクローゼットから上下のスーツを取り出し着ると部屋を出ていき洗面所に向かった。

その後、解歌(かいか)は歯を磨き髪をセットすると洗面所を離れ玄関に向かった。

「行こうか」

そう言って解歌(かいか)が靴を履こうとしたその時、「危ない!」と言って三毛猫が飛びかかり解歌を倒すと黒い槍がドアを突き破りそのまま床に突き刺さった。

「何だよこれ」

「解歌、1人で解決屋に行ってくれ」

「决得(けっとく)は?」

「あとで行くから先に行っててくれ」

「わかった」

靴を履きゆっくりドアを開くと解歌は走って解決屋に向かった。

三毛猫は玄関から外に向かって口を開いた。

「シホ、居るんだろ出てこい」

「……」

黒い髪に黒い瞳、黒い長服に黒い尻尾がはえた男が姿を見せた。  

「ホズミ、猫目石は見つかったのか」

「なぜ槍を飛ばしたここの住人に当たったらどうするんだ」

「別に当たっても構わないだろ」

「シホ」

「それより猫目石は見つかったのか?」

「まだだ」

「なぜ三毛猫の姿で人間と一緒に居るんだ」

「俺のせいでさっき出ていった男の弟を事故で死なせた…だから俺は彼が幸せになるまで側に居るそう決めたんだ」

「その人間は知ってるのか?」

「知らない、だから言うなよ」

「わかった」

「シホ」

「俺は俺で探す、じゃあな」

そう言ってシホが三毛猫の前から姿を消したその頃、解歌(かいか)は解決屋の前で白い髪に白い瞳、白い長服に白い尻尾がはえた男性に出会っていた。

「尻尾がはえてる、猫?」

「小島解歌さんですか?」

「そうですが」

「ホズミに言われてあなたに会いに来ました」

「ホズミ?」

「三毛猫の名前です」

「名前ないと言ってたのに…中へどうぞ」

そう言ってドアを開き解歌(かいか)が中に入ると男性も中に入りドアが勝手に閉まった。

「さっそく試させてもらいますね」

「試すって何を?」

「失礼します」

「……」

男性の顔が近づくと解歌(かいか)の唇は奪われた。

その後、男性の唇が離れ解歌が驚いた顔で見つめると男性が口を開いた。

「解歌さんの身体の中に猫目石があります」

「猫目石?」

「詳しいことはホズミに聞いてください」

そう言って男性がドアを開こうとしたその時、ドアが開き三毛猫が現れた。

「遅くなってすまない」

「ホズミに言われた通り解歌(かいか)さんの身体の中を調べたよ」

「それで」

「猫目石、あった」

「やっぱり」

「シホと合流するからホズミ、わかりやすく解歌さんに説明してあげて」

「ありがとうリアン」

出ていくリアンを見送ると三毛猫は解歌に近づき口を開いた。

「俺の正体と何で俺が决得(けっとく)を知っているのかを話すよ」

「……」

無言で解歌(かいか)が見つめると三毛猫は白黒茶の髪に薄い緑の瞳、白黒茶の長服に白黒茶の尻尾がはえた人間に変身した。

       続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

happy dead end

瑞原唯子
BL
「それでも俺に一生を捧げる覚悟はあるか?」 シルヴィオは幼いころに第一王子の遊び相手として抜擢され、初めて会ったときから彼の美しさに心を奪われた。そして彼もシルヴィオだけに心を開いていた。しかし中等部に上がると、彼はとある女子生徒に興味を示すようになり——。

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

優秀な婚約者が去った後の世界

月樹《つき》
BL
公爵令嬢パトリシアは婚約者である王太子ラファエル様に会った瞬間、前世の記憶を思い出した。そして、ここが前世の自分が読んでいた小説『光溢れる国であなたと…』の世界で、自分は光の聖女と王太子ラファエルの恋を邪魔する悪役令嬢パトリシアだと…。 パトリシアは前世の知識もフル活用し、幼い頃からいつでも逃げ出せるよう腕を磨き、そして準備が整ったところでこちらから婚約破棄を告げ、母国を捨てた…。 このお話は捨てられた後の王太子ラファエルのお話です。

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

処理中です...