にゃんこ島に暮らす猫達

福猫

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第3話

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ーミッチャンの家ー

「ミッチャン」

「何だ?」

「散歩しても良いかな」

「危険だからにゃんこ島から出るなよ」

「わかった」

そう言って朔弥は家を出て歩き出すとにゃんこ島を見てまわった。

「にゃんこ島、広いのに猫が少ないな」

歩きながら口にした後、朔弥は1軒の家の前に着いた。

「俺が倒れた場所もそうだったけどこの草なんだろう」

「マタタビの草だ」

「マタタビの草?」

「……」

灰色と白の猫のハッチャンは朔弥に近づき口を開いた。

「俺の家に何か用か」

「散歩してたらハッチャンの家の前に着いたんだ」

「瑞姫の所に行かなかったのか?」

「行きました、今、瑞姫さんに帰れるグッズを作ってもらってます」

「そうか」

「散歩の続きをしますね」

「……」

歩いていく朔弥の姿を見つめるとハッチャンは家の中に入った。

30分後、朔弥のことが気になって用事ができないハッチャンは家を出て朔弥の元に向かった。

その頃、朔弥はにゃんこ島を離れ隣の島を歩いていた。

「荒れてる島だな」

歩きながら口にしたその時、話し声が聞こえ朔弥は声の方に歩いた。

そして朔弥は驚きの光景を目撃する。

「海賊…」

逃げないと…そう思った朔弥が海賊を見つめながら後ずさりしたその時、音をたて海賊に見つかった。

「誰だ」

「……」

海賊の言葉に朔弥が走り出すと海賊のボスが「追え」と命令し海賊達は朔弥を追いかけていった。

「ミッチャン、にゃんこ島から出るなよって言ったのに俺は」

走りながら朔弥はにゃんこ島に向かった。

しかし朔弥は海賊達に囲まれ立ち止まった。

「痛い目に遭いたくなかったら一緒に来てもらおうか」

「……」

ナイフを突きつけられ朔弥は海賊達と一緒にボスの元に向かった。

「ボス、連れてきました」

「……」

海賊にナイフを突きつけられ朔弥は背を向けながら立っているボスに近づいた。

「……」

ボスは振り向き朔弥を見て口を開いた。

「金になりそうだな、お前らこいつを船に乗せろ」

「わかりました」

そう言って海賊が朔弥を捕まえ船に乗せようとしたその時、ハッチャンが現れた。

「その人は俺の客人だどこに連れていくきだ海賊」

「ハッチャン!」

朔弥が叫ぶと海賊のボスが口を開いた。

「お前の客だと証拠があるのか」

「ある」

「何だ、言ってみろ」

「朔弥は俺の…俺の…」

「俺の何だ」

「俺の恋人だ」

「え…」

突然のハッチャンの言葉に朔弥は驚いた。

「恋人なら仕方ないな、お前達、ハッチャンに恋人を返してやれ」

ボスの言葉で解放された朔弥はハッチャンに近づき助かった。

「ハッチャン、恋人を1人で歩かせると他の海賊に連れていかれるぞ」

「お前で良かった」

「じゃあな…お前達、行くぞ」

そう言ってボスが船に乗り込み海賊達も乗り込むと船が動きだし離れていった。

「ハッチャン、助けてくれてありがとう」

「ミッチャンににゃんこ島から出るなと言われてないのか」

怒った口調でハッチャンが口にすると朔弥が口を開いた。

「言われました…ゴメンなさい…」

「ミッチャンの家に行くぞ」

落ち込む朔弥に声をかけるとハッチャンは歩きだし朔弥も歩き出した。

そしてハッチャンと朔弥は無言で歩きながらミッチャンの家に向かった。
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