輝き

福猫

文字の大きさ
8 / 9

第8話

しおりを挟む
命が消えゆく中、黒猫が口を開いた。

「とどめをさせ」

「……」

光輝はじっと見つめダイヤモンドの矢を抜いた。

その姿にミルクは驚き声をかけた。

「光輝、何してんだ!」

「闇を浄化します」

ダイヤモンドの矢を握りしながら力を送ると光輝は黒猫の身体にダイヤモンドの矢を突き刺しその後、矢を抜き見つめた。

「うあああ」

叫びながら黒猫の身体の中は浄化され黒猫から本当の姿、闇の玉に戻った。

その後、闇の玉は上空に消えていった。

光輝は上空を見つめた。

ミルクは光輝に近づき声をかけた。

「何でとどめをささず浄化したんだ、浄化しても闇は…」

「再び闇が現れたら俺が浄化する」

光輝は振り向きミルクを見つめた。

「初めて会ったときまさかお前が輝くハート型のダイヤモンドの持ち主だと思わなかったよ」

「ミルクから輝くハート型のダイヤモンドの話を聞いて、実際、俺の身体から輝くハート型のダイヤモンドが現れたときは驚いたよ」

「……」

「……」

会話後、光輝とミルクは見つめ合った。

「ミルク」

「光輝」

互いの顔が近づき唇が重なろうとしたその時、気を失い光輝が倒れた。

「光輝!」

ミルクは光輝をお姫様抱っこしそのまま森林から姿を消し光輝の家の寝室に姿を現し光輝をベッドに寝かせた。

その後、ミルクは立ったまま心配そうな顔で光輝を見つめた。

「光輝…」

口にした後、光輝が持っていたダイヤモンドの矢が現れ光輝の身体の中に入っていった。

ミルクは驚いた。

「光輝!」

「……」

闇を突き刺したダイヤモンドの矢は光輝の身体の中で浄化されその後、光輝の身体から輝く宝石のダイヤモンドが現れた。

「身体の中に入っていったダイヤモンドの矢が浄化され宝石のダイヤモンドに変身して現れた」

ミルクが驚いた顔で見つめると光輝は目を覚まし身体を起こした。

「……」

「光輝、大丈夫か?」

「大丈夫」

目線をミルクから輝くダイヤモンドに向けると光輝は輝くダイヤモンドに触れその後、掴み自分の身体の中に送り込んだ。

「ミルク」

「何だ?」

「疲れたから少し眠りたい」

「眠りたいって永遠に寝るわけじゃないよな」

「永遠に寝てどうするんだよ、バカ」

「リビングにいるから起きたら来てくれ」

「わかった、お休み」

「お休み」

ミルクが寝室から出ていくと光輝は身体を倒し眠りについた。

ミルクはリビングのソファーに座りうつ向いた。

それから暫くして宙に浮いたまま輝くハート型のダイヤモンドが現れた。

「……」

気配を感じたミルクは顔をあげ宙に浮いている輝くハート型のダイヤモンドを見つめた。

「光輝の輝くハート型のダイヤモンドが何でここに」

ミルクがじっと見つめると輝くハート型のダイヤモンドはミルクの心臓に光を当てた。

ミルクは驚いた。

「俺の輝くハート型のダイヤモンド、そうなのか」

ミルクは宙に浮いている輝くハート型のダイヤモンドを見つめた。

輝くハート型のダイヤモンドはミルクに近づき身体の中に入っていった。

「……」

ミルクはソファーから立ち上がり力を感じた。

「輝くハート型のダイヤモンドの力を感じる」

ミルクが口にしたその時、ミルクの姿が腰まで長い白い髪、白い猫耳に白い瞳に足首まで長い白い服姿の人間に変身した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

魅了の対価

しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。 彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。 ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。 アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。 淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。

後悔などありません。あなたのことは愛していないので。

あかぎ
恋愛
「お前とは婚約破棄する」 婚約者の突然の宣言に、レイラは言葉を失った。 理由は見知らぬ女ジェシカへのいじめ。 証拠と称される手紙も差し出されたが、筆跡は明らかに自分のものではない。 初対面の相手に嫉妬して傷つけただなど、理不尽にもほどがある。 だが、トールは疑いを信じ込み、ジェシカと共にレイラを糾弾する。 静かに溜息をついたレイラは、彼の目を見据えて言った。 「私、あなたのことなんて全然好きじゃないの」

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

処理中です...