半妖の猫丸

福猫

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第1話

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妻と別れた杜和(とわ)は会社帰り同僚と酒を飲んだ。

「俺の何がいけないのかな、刹那(せつな)、教えてくれ」

酒を飲みながら杜和が問いかけると刹那が口を開いた。

「別れたのなら私と結婚する?」

「え!」

驚いた杜和は見つめる刹那と目が合った。

「どう?」

刹那の誘いが入ると杜和は椅子から立ち上がり口を開いた。

「刹那、帰る、お金は明日、払うから払っといて」

口にすると杜和は居酒屋を出ていき道を歩き始めた。

「刹那があんなことを言うなんて思わなかった」

暗い道を歩きながら杜和は人気のない道に出た。

「ここどこだ?」

知らない道に杜和は立ち止まった。

その時、前方に空間が現れた。

「何だ?」

興味で杜和が空間に近づいたその時、空間に吸い込めれた。

「うあああー」

叫びながら空間を出ると杜和は道に倒れた。

「何なんだよ」

文句を言いながら立ち上がり杜和が乱れた衣服を整えると半妖の猫人間が現れた。

「……」

「……」

杜和と半妖の猫人間は見つめ合った。

「キャー」

半妖の猫人間は人間の杜和に驚き逃げ出した。

「猫人間?…ここはどこだよ」

口にすると杜和は道を歩き出した。

「人間よ」

「何で人間がここにいるんだ」

「人間」

半妖の猫人間達は杜和の姿を見つめその後、家の中に隠れた。

杜和は立ち止まりスマホを見つめた。

「圏外か」

「何で人間がいるんだ」

「……」

声の方に目を向けた杜和は猫耳に猫の尻尾に長い服姿の半妖、猫丸を見つめた。

「答えろ、何で人間がここにいるんだ」

「俺が聞きたいよ、何で俺はここにいるんだ」

口にすると杜和はスマホを見つめながら歩き出し猫丸の側を通った。

「待て」

猫丸は杜和の手首を掴み動きを止めた。

「何だよ」

「この先は危険だ」

「スマホが圏外だからこの先に行けば使えるかと思って」

「この先は黒猫丸(くろねこまる)が管理している街だ、そんなところにお前みたいなただの人間が行ったら黒猫丸の仲間に狙われるぞ」

「じゃあどこに行けば良いんだよ」

「俺の家に来い」

手を離し猫丸が歩き出すと杜和も歩き出し猫丸についていった。

その姿を猫丸を見張っていた黒猫丸の仲間が見つめていた。

「人間だ、黒猫丸に知らせないと」

口にすると猫耳に猫の尻尾に長い服姿の半妖、猫人間は黒猫丸の元に急いで戻った。

ー黒猫丸が管理している街ー

草原で猫耳に猫の尻尾に長い服姿の半妖、黒猫丸が身体を倒しながら空を見つめていた。

「良い空だ」

「黒猫丸」

猫耳に猫の尻尾に長い服姿の女の半妖、ロハは黒猫丸に近づき側に座った。

「用でもあるのか」

身体を倒しながら黒猫丸が口にするとロハが口を開いた。

「用事がないと黒猫丸に話しかけちゃいけないの?」

「嘘だよ」

身体を起こし黒猫丸はロハに顔を近づけ唇を重ねた。

そこへ猫丸を見張っていた半妖の猫人間が現れた。

「黒猫丸、大変だ」

「……」

「……」

互いの唇が離れると黒猫丸とロハは半妖の猫人間を見つめ黒猫丸が口を開いた。

「何かあったのか」

「猫丸が人間を連れて家に戻った」

「俺達だって半妖の猫人間じゃないか」

「半妖じゃなくてただの人間」

「何だと」

驚いた黒猫丸は立ち上がった。

「今すぐ見に行くぞ」

黒猫丸は半妖の猫人間を連れて猫丸の家に向かった。

「やれやれ」

ロハは身体を倒し休んだ。

ー猫丸の家の中ー

「質問いいか?」

「何だ」

「ここどこ?」

「半妖の猫人間が暮らす街だ」

「半妖の猫人間が暮らす街」

「俺は猫丸、あんたの名前は?」

「松本杜和」

「杜和が元の場所に帰れるように手伝うよ」

「ありがとう」

こうして杜和の半妖の猫人間が暮らす街での生活が始まった。
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