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第1章
猿の活用方法
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姫様に拾われて初日、城に着いた俺は最初に湯に浸かることに。
ということになったのも、姫様と乗馬している間、ずっと姫様は見事なバランス力で片手乗馬し、もう片手で鼻をつまんでいたからだ。
久しく湯に浸かるという機会を与えられた俺はしっかり隅々まで身体を洗い、湯船から出る頃には再び眠気に襲われた。
泊まる部屋に案内されるとそのまま布団に横になり夜を明かした。
日がのぼり始めた時のこと、
ドタドタドタッ
廊下を駆け巡る足音で目が覚めると、身支度を整え外にでた。
「であえ!であえ!姫様が城から抜けなさった!姫様を城へ連れ戻すのじゃ!」
そう叫ぶのは昨日姫様を探しにきた家老だった。今日も姫様を探す羽目になるとは何とも苦労人である。
「じいよ、私は一国を支える主であるが故、国の治安も見張る必要があるのじゃ」
まだ城からギリギリ出ていなかった姫様は、城の屋根に登るとそう言って飛び降り城の外へと逃げていく。
身支度を整え、ちょうど手が空いていた俺は姫様を連れ戻しに駆り出されることになった。
城の外へ出るが、昨日来たばかりでこの国をよく知らない俺はどうしていいか分からないので、直感で道を進むしかなかった。
とりあえず見晴らしの良い高い屋根に登ると姫様がいないか見渡してみた。
「登るの早いねぇ。まるで猿みたいな身のこなしだよ」
見下ろすと少し腰が曲がった百姓のお爺さんがこちらを見ていた。
「へぇ、あいにく猿みたいな動きが出来るのが私の取り柄なのですよ」
少し人見知りの俺は愛想笑いをしながら丁寧に答えた。
屋根からスパッと飛び降りて、事情を話すと百姓のお爺さんから良い情報を聞くことができた。
「もしかしたら団子屋に居るかもしれないのぉ」
「団子屋ですか」
「あぁ、ここからずっと真っ直ぐ進んで紫山の看板がある所を右に曲がるとあるよ。姫様はお忍びでよく食べにこられる」
「ありがとう御座います」
お辞儀をすると素早く団子屋まで駆け出した。
百姓のお爺さんの言う通りに小走りで道を進んでいくと、桜の様な見覚えのある髪が瞳にうつった。
「姫様~!こんなところで何をしておられるのです?皆んな心配してらっしゃいます」
姫をみると遠くの千本桜を見ながら団子を食べうっとりした表情を浮かべていた。
ということになったのも、姫様と乗馬している間、ずっと姫様は見事なバランス力で片手乗馬し、もう片手で鼻をつまんでいたからだ。
久しく湯に浸かるという機会を与えられた俺はしっかり隅々まで身体を洗い、湯船から出る頃には再び眠気に襲われた。
泊まる部屋に案内されるとそのまま布団に横になり夜を明かした。
日がのぼり始めた時のこと、
ドタドタドタッ
廊下を駆け巡る足音で目が覚めると、身支度を整え外にでた。
「であえ!であえ!姫様が城から抜けなさった!姫様を城へ連れ戻すのじゃ!」
そう叫ぶのは昨日姫様を探しにきた家老だった。今日も姫様を探す羽目になるとは何とも苦労人である。
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まだ城からギリギリ出ていなかった姫様は、城の屋根に登るとそう言って飛び降り城の外へと逃げていく。
身支度を整え、ちょうど手が空いていた俺は姫様を連れ戻しに駆り出されることになった。
城の外へ出るが、昨日来たばかりでこの国をよく知らない俺はどうしていいか分からないので、直感で道を進むしかなかった。
とりあえず見晴らしの良い高い屋根に登ると姫様がいないか見渡してみた。
「登るの早いねぇ。まるで猿みたいな身のこなしだよ」
見下ろすと少し腰が曲がった百姓のお爺さんがこちらを見ていた。
「へぇ、あいにく猿みたいな動きが出来るのが私の取り柄なのですよ」
少し人見知りの俺は愛想笑いをしながら丁寧に答えた。
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「あぁ、ここからずっと真っ直ぐ進んで紫山の看板がある所を右に曲がるとあるよ。姫様はお忍びでよく食べにこられる」
「ありがとう御座います」
お辞儀をすると素早く団子屋まで駆け出した。
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