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第1章 王国叙勲式

アイシクルエデンとクリムゾンブラッド⑤

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俺はフェアリーを凍てつくような視線で見ていたにもかかわらずフェアリーは能天気に喜んでいた。




<主人しゃま、しょんなに見りゃれたら照れりゅの。>




と言いながらも視線を俺から外さないフェアリーに内心呆れながら、再度武器作りの手助けを頼むと"アイアイサー"と器用に手を額に当て敬礼し今度はルージュの心臓部を覆う鱗をフェアリーが光で指し示す位置から剥がすとルージュもどうやら全く痛みはなかったようでフロストとルージュは早くも心臓部の鱗が無くなった箇所に新たな鱗となる甲殻らしきものがカサブタのように覆い取った鱗よりも頑丈そうな鱗が2人の心臓部に現れていた。




俺がミストのジジイに2人の鱗を見せるとジジイは、拳大ほどの透明な石を2つ俺の足元に転がした。




「なんだこの透明な石は?」




<さすがに材料と脳内の想像力だけでは武器にしにくいからな。これは魔結晶といって純度が極めて高くなかなかお目にかかれない代物じゃ。


今回はたまたまコヤツら龍の鱗に引っかかっておって手に入ったが、王族ですら持っていない貴重な石じゃな。



これを武器の核として使え。この石を両手で握ってコヤツらに合いそうな武器を想像して創造するのじゃ。



上手くいけば魔結晶の純度に比例した高威力で相性抜群の武器ができるぞ。>



「おい、上手くいけばってなんだ!?上手くいかなかったら魔結晶はど、どうなるんだよ?」





<聞くまでもないじゃろう。木っ端微塵じゃろうな…やり直しはきかんぞ?>



ジジイのせいで皆の視線が俺を捉え俺に要らん心労がたたったのだった。
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