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プロローグ
しおりを挟むボクの名前はロミリア・マル・フェア・ソルティキアで、エギザベリア神国のソルティキア公爵の五歳になったばかりの四男だ。
ボクには兄が三人と、姉が二人…違った。正確には三人の姉がいる。
まだ一度も会ったことがない二番目の姉であるルルリアナ姉さまはお母様のお腹の中にいるときに、ロクストシティ神様に選ばれ「雪の華様」として、神殿へと連れていかれてしまった…らしい。
雪の華様とは、エギザベリア神国の国母となられる方で、ルルリアナ姉さまはレオザルト皇太子殿下の婚約者の座に収まっている。
ボクは忘れたころに神様がお母さまに授けたため、一番年が近いベルリアナ姉さまですら十一歳も離れている。
ボクはベルリアナ姉さまが嫌いだ。
だって、ボクと遊んでくれないし、すぐ「あっちへ行きなさい」って言うんだもん。
だからボクは想像するんだ。一度も会ったことのないルルリアナ姉さまのことを。
それにお母さまたちは、ボクがルルリアナ姉さまと呼ぶとものすごく怒るんだ。「雪の華様」と呼びなさいって。それはとても変なことだと思う。とっても変!
ルルリアナ姉さまだってボクの家族なのに。家族なのに名前で呼ばずに敬称で呼ばないといけないなんて。赤の他人みたいじゃないか!
あぁ、ルルリアナ姉さまに会いたいな!
きっとルルリアナ姉さまはとっても優しいと思うんだ。それにとてつもなく美しいにちがいない!
ボクに自分の分の食後のデザートをくれるし、ショートケーキにのってる大好きな苺だって笑顔で譲ってくれるんだ。
遊んでってお願いしたらボクが飽きるまで遊んでくれるし、優しく抱きしめてくれる。
夜は絵本を読んでくれるし、眠るまで側にいて優しくおやすみのキスをしてくれる。
勉強だってわかりやすく教えてくれるし、ベルリアナ姉さまみたいに「そんなこともできないの!」なんて怒ったりも絶対にしない。
あぁ、ロクストシティ神様が雪の華様にと選んだのがルルリアナ姉さまはじゃなくて、ベルリアナ姉さまだったら良かったのに。
どうして神様はルルリアナ姉さまを選んだんだろう?
きっと、ルルリアナ姉さまの方がベルリアナ姉さまよりも綺麗で優しかったからかな?
でも、そんなベルリアナ姉さまだっていいところはたくさんあるし、ほんのちょびっと優しい時もある。だから、ボクもベルリアナ姉さまのことを本当には嫌いになれない。
なんだかんだ言ってベルリアナ姉さまはいいお姉さまだと思う。
それでもボクは、ルルリアナ姉さまに会ってみたい!
お願い、神様。ロクストシティ神様!
ルルリアナ姉さまに会わせてください。
会わせてくれたら苦手なカボチャだってちゃんと食べるし、ずっと欲しかった可愛い子犬も諦めます。
歯も磨いて寝るし、お兄様たちと一緒に夜更かししたいなんてこともう二度と言いません。
大嫌いなヴァイオリンだってしっかり練習もします!
だからお願い!ルルリアナ姉さまに会わせて!ねぇ?神様。
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