家を訪ねて三千里

Lam

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28.辺境の街①

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あれから約1時間で国境近くの街に着きました。
時間は午後の2時過ぎですが、街の近くに来た頃には天気が悪く今にも雨が降りそうに周囲が薄暗くなって来ました。この天候は、季節が春から夏に変わる頃で日本の梅雨?みたいな時期のせいらしいです。
なので、2、3日はこの街に泊まることにしました。 ハリーが街の門番に、貴族などの泊まる宿屋を聞いておいたらしく、真っ直ぐ宿屋に向かいましたが、急な天候の変化に宿を求めた人が多く満室で部屋がとれませんでした。
このまま、この街に泊まらず進んでも良いのですが、隣国の情報もなく進むのは少々不安です。
その為、少し割高ですが商業ギルドで、厩舎のある家を借りる事にしました。借りる期間は料金先払いの1週間ですが途中で出てもいいし、1週間ごとの延長も出来るそうです。ただし、途中で解約しても良いけれど、その場合日割り計算はしないのでお金は戻ってきません。
まあ、この街に逗留するなら食料(野菜のみ!)の補充とか服を作るのに布地を買っても良いなど、色々出来ます。
家の候補が3件あったので、商業ギルドの職員の案内付きで家を周り、最後に見た物件で家は小さ目ですが厩舎が広い家に決めました。
小さ目の家と言っても、貴族に貸すような物件です。家具付きでマスターベットルーム1つとツインの客室が3つ、4人用の使用人部屋が2つありました。
これに応接間、主食堂、キッチンがあり、そのキッチンの奥には使用人用の食堂らしき部屋もありました。
十分ですよね?と言うか、大きすぎます!私達5人ですから…人が増えたら使いますか…
まあ、隣国状況や帝国を通り抜ける事を考えたら今後は護衛を増やした方がいいのかもしれません。
この街にも奴隷商はいるので、1度みんなで行ってみるかとも話してました。
ちなみに、商業ギルドでは情報も売っていたので、サリレーヌ国周辺の治安や政情も仕入れて来ました。その結果が護衛を増やそうって思うほど治安が悪いとのものでした。
やはりサリレーヌ国が帝国に滅ぼされた事が大きく周りの国々も戦々恐々しているようです。何と言っても周りは小国家が多いので、帝国に攻められたらひとたまりもありませんしね…
さて、契約が済んだので家に向かいますが、その途中に大きな布地の問屋さんがあるというので、紹介状を書いてもらって寄ることにしました。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆



どうしましょう!この店の倉庫を買い占めたいです!!
いきなり大人買いな事を言ったベルです!
この問屋さんの、倉庫にはサリレーヌ国特有のレース生地や透かしの入った薄絹の生地が彩り豊かに揃っています。鑑定で見ましたが、原材料はやはりシルクスパイダーでした。
ちなみに隣の倉庫は、綿や毛織の布地が多くこれは帝国からの輸入品でした。どうやら帝国の西側は山岳地帯が多く、そこは羊の放牧などが盛んで毛織物が有名らしいです。また綿は、帝国でも少し北寄りの大きな川沿いに綿花の栽培から織物までの一大生産地が有ってそこの特産品だそうです。
私達の旅の予定では、この秋までには帝国の山岳地帯を抜けて反対側の国へ入るお急ぎコースなので、南側は通るのですが綿花を栽培している北側は遠回りになるので周りません。
その他、帝国ではあまり目立ちたくないので、余程のことがない限り大物買いはしない予定…予定は未定ですが…です。
なので、この街で買ってしまう事にしました。
しかし、今買って収納するとアイテムボックスがバレたり商人たちに目をつけられる可能性大なので、倉庫2つ分の中身を買って、布地は置いたまま2つの倉庫をレンタルして保管する事にしました。そして、この街を出る時に寄って一気にアイテムボックスに収納する予定です。
あーー!夢が広がります!私、前世では色々あって医者になりましたが、本当は洋服のデザイナーになりたかったんですよね!今世では貴族の柵がなくなったので大人になったら服のデザイナーになりたいと思っているんです。
ただし、こちらにはミシンのような機械を見ないので手縫いなら、お針子さんを雇わなければならないかも…いや、お兄ちゃんならミシンくらい作れたりして?まあ、私はまだ3歳なのでミシンが出来ても出来なくても、成人までに人材をゲットすれば良いかな?
さて、布地問屋さんで契約書を交わし、買った布地を少しだけお兄ちゃんが収納してくれたので、暇なうちに少し服を作ろうと思います。
今度は作る前に獣人さんにも意見を聞いてみましょう。

あ!雨が降ってきました。
急いで家に向かいましょう。借りた家は厩舎の大きさで選んだ物件だったので、家の場所が街中ではなく郊外にあるので少し時間がかかるんですよね…
おまけに街の中でも道は舗装されていない…舗装されてても石畳ですが…ために泥濘んだ轍に車輪が取られて馬車が走りづらいそうです。
日本は良かったな…
街の中で舗装してない道は、ほとんどなかったよね…
アスファルト万歳!コンクリート万歳!って今なら言えるなー!
そんな事を考えていたら、いきなり馬車が横にスライドして、急停車しました!
魔道具のお陰で、揺れは少ないですが、流石に急停車すれば、分かります。
何?何があったの?
慌てて御者席を見ますが、いるはずのジークが見えません!え?何で?ハリーとヒルダも不審に思ったのか様子を見に慌てて外に出て行きます。
その中で、ヒルダだけがすぐに戻ってきて状況を説明してくれました。

「若様(外ではこのように畏まって呼ばれます)大変です!民家から飛び出してきた子供2人が前を走っていた馬車と接触しました!」

「え?ウチの馬車じゃ無くて?前の馬車?」

お兄ちゃんとヒルダが真剣に話し合っています。
確かにここは、街の大きな通りですから何台かの馬車が走っていますが、今私達の馬車以外は停まっていません。どう言う事?

「でも…前に馬車なんて停まっていないけど?」

「はい、ジークが『前に走っていた馬車と人が接触したのを見て急停車したのに、前の馬車は停まらずに走り去った』と言ってます。」

「何だってー!?轢き逃げかよ!」

「はぁ…ただ、貴族の馬車のようで…そうなると何も言えません…」

「あー貴族かぁ…」

お兄ちゃんも困っています。

「接触した人は大丈夫なの?」

私はそちらの方が心配になって聞きました。

「今、手当をしていますが2人とも危険かと…」

「え?2人?複数なの?お家の人は?出てきた家に知らせたの?」

ヒルダに話を聞いていると、外から厳しい顔をしたハリーが馬車に乗って来ました。

「お嬢様、お話中すみません。今の話ですが、出てきた家は轢かれた子供達の家ではなく、町医者の家で母親の病気を見てもらいたくて訪ねて来ていたようです。ですが、お金が払えないからと追い出された直後に馬車に接触したようで…事故を見ていた者達の中に子供達を知っている人がいたようで、母親に知らせに行ったそうです。」

「なんて事!!その町医者に治療して貰えないの?」

「無理なようです。2人とも全身を打ち付けていますし、兄の方は片腕が妹の方は両足の膝から下がかなりの重傷です。ポーションや回復魔法でもかなり高度な治療になると…どうやら町医者が言うには、その子供達と母親は外国からの移住者で身寄りは病気の母親だけしか居らず治療費も取れないからと無理だと最初から治療する気が無いようです。それよりも重傷過ぎて町医者程度では治せないかと…」

そんな話をハリーから聞いていると

「イヤーーー!ジョー!!アンジー!!しっかりしてー!!」

開いているドアの外から女性の悲鳴が聞こえて来ました。2人のお母さんでしょうか?
どうしよう…多分私なら何とか出来ます。でも、ハリー達とは違い、怪我をした場面を沢山の人が見ています。2人が元気になれば誰が治療したかとの話になるでしょう。そこで、治療したのが私だと分かれば大変な騒ぎになるはずです。
それは、これからの私達の旅には最悪な状態です。
そんな時、お兄ちゃんが抱きしめてくれました。

「ベル、泣かないで!治したいんでしょ?いいよ!回復魔法がバレても、他の国の情報は手に入れたんだから、この街から素早く逃げればいいんだよ!」

そう言って、お兄ちゃんがハリー達に指示を出しますした。
ハリーとジークには毛布を渡し子供達をこれに包んで連れてくるように、その間にヒルダが後部座席をベットに変えていきます。
そして、お兄ちゃんは子供達のお母さんに話をしに行きました。



大変な事になりました。
将来の事を考えて、浮かれていた気分が吹き飛ぶ事件です。
とにかく、今は家に戻って治療する事に専念します。









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