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ヒヨコのピー
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ある所にニワトリのお母さんと五匹のヒヨコがいました。末っ子のピーはいつも他のヒヨコからいじめられていました。末っ子なので体も小さくジャンプする高さも低いからです。ピーが見つけたミミズを他の兄弟が横取りしてしまう事も度々でした。
「お前は同じ兄弟なのに、体は小さいしジャンプする高さは低いし、何でダメな所ばかりなんだ?」
ピーのお兄さんはそう言ってはピーを突つくのでした。ピーはそうやっていじめられる度に泣いてお母さんの羽の中に逃げ込むのでした。そんなピーを見てお母さんは言いました。
「ピー。お前も時には勇気を出してお兄ちゃん達に負けないように頑張らなければなりませんよ」
ピーはお母さんの羽の中で泣きながらうなずくのでした。
ある日お母さんは草原に子供達を連れて行きました。みんなは広い草原に喜んで、あっちでピヨピヨ、こっちでピヨピヨ遊ぶのでした。ピーはみんなに付いて歩くだけで精一杯でしたが、とても楽しく感じました。草原は気持ちよく、ミミズはたくさんいるしポカポカして過ごしやすかったのです。
空を飛ぶ小鳥を見て、ピーはお母さんにその鳥の名前を聞きました。
「あれはヒバリと言う鳥なのよ」
ピーはヒバリの飛ぶ姿を見て、いつか自分も空を飛べるようになりたいなあと思いました。
遊んでいた兄弟の一匹が草原に大きな石を見つけました。その石はヒヨコの背丈の3倍くらいはある大きな石でした。みんなはその上によじ登ってはパタパタ羽ばたいてジャンプするのですが、ピーだけは怖くて跳ぶ事ができません。
「やっぱりピーは臆病だな。同じ兄弟なのに恥ずかしいや」
ピーはヒバリのように飛びたいのに跳べない自分に悲しくなり、またお母さんの所へ行きたくなりました。
その時です。お母さんの悲鳴が聞こえました。みんながお母さんの方を見ると、何と蛇がお母さんを食べようと狙っているのです。
「子供達! 早く逃げなさい!」
お母さんは身を犠牲にして子供達を守ろうとします。みんなは蛇に驚いてクモの子を散らすように一斉に逃げ出しました。
ピーは逃げる途中お母さんの方を振り返りました。すると蛇はお母さんの体に巻き付こうとしていました。その時ピーはみんなに大きな声で言ったのです。
「みんな! お母さんを助けよう!」
ピーはそう言うと踵を返してお母さんの元へ走り出しました。みんなは怖くてただその様子を見ている事しかできません。
「ピー! 逃げなさい!」
しかしお母さんの体に巻き付かんばかりの蛇を見て、ピーはますますお母さんを助けようと思うのでした。
お母さんの所に辿り着いた時蛇はお母さんの体を締め付けていました。ピーは蛇の顔や体を一生懸命突つきましたが蛇には全然効きません。それでも諦めずにピーは必死で蛇を突つきました。
「ピー、おまえが食べられてしまうわ。早く逃げて」
お母さんは苦しそうに言うのですが、ピーはそれを無視して蛇の体を突つきます。
全く効果が無いので、やっぱり助けられないのかと諦めかけたその時です。
「お母さんを助けるぞ!」
なんとピーの姿を見て兄弟達も蛇を突つきにやってきたのです。ピーは途端に元気が出て今まで以上に一生懸命蛇を突つきました。
みんなは蛇の頭からしっぽまで取り付いて必死で突つきました。すると偶然にもピーの一撃が蛇の目に突き刺さったのです。蛇は悲鳴をあげて草原の中へ逃げて行きました。
お母さんもヒヨコ達も幸運にも無傷で助かりました。
「子供達。助けてくれてありがとうね。お母さんみんなが強くなってくれて嬉しいわ」
「母さん、誉めるならピーを誉めてあげてよ。僕らピーが飛び出さなかったら草むらに隠れている事しかできなかったんだから」
お母さんはピーにお礼を言い羽で体中を撫でてやりました。
「お母さんが、時には勇気を出しなさいって言ってくれたから僕蛇と戦えたんだよ」
ピーは嬉しそうに言うのでした。
その日以来ピーは兄弟達にいじめられる事もなく、お母さんとみんなと幸せにくらしました。
「お前は同じ兄弟なのに、体は小さいしジャンプする高さは低いし、何でダメな所ばかりなんだ?」
ピーのお兄さんはそう言ってはピーを突つくのでした。ピーはそうやっていじめられる度に泣いてお母さんの羽の中に逃げ込むのでした。そんなピーを見てお母さんは言いました。
「ピー。お前も時には勇気を出してお兄ちゃん達に負けないように頑張らなければなりませんよ」
ピーはお母さんの羽の中で泣きながらうなずくのでした。
ある日お母さんは草原に子供達を連れて行きました。みんなは広い草原に喜んで、あっちでピヨピヨ、こっちでピヨピヨ遊ぶのでした。ピーはみんなに付いて歩くだけで精一杯でしたが、とても楽しく感じました。草原は気持ちよく、ミミズはたくさんいるしポカポカして過ごしやすかったのです。
空を飛ぶ小鳥を見て、ピーはお母さんにその鳥の名前を聞きました。
「あれはヒバリと言う鳥なのよ」
ピーはヒバリの飛ぶ姿を見て、いつか自分も空を飛べるようになりたいなあと思いました。
遊んでいた兄弟の一匹が草原に大きな石を見つけました。その石はヒヨコの背丈の3倍くらいはある大きな石でした。みんなはその上によじ登ってはパタパタ羽ばたいてジャンプするのですが、ピーだけは怖くて跳ぶ事ができません。
「やっぱりピーは臆病だな。同じ兄弟なのに恥ずかしいや」
ピーはヒバリのように飛びたいのに跳べない自分に悲しくなり、またお母さんの所へ行きたくなりました。
その時です。お母さんの悲鳴が聞こえました。みんながお母さんの方を見ると、何と蛇がお母さんを食べようと狙っているのです。
「子供達! 早く逃げなさい!」
お母さんは身を犠牲にして子供達を守ろうとします。みんなは蛇に驚いてクモの子を散らすように一斉に逃げ出しました。
ピーは逃げる途中お母さんの方を振り返りました。すると蛇はお母さんの体に巻き付こうとしていました。その時ピーはみんなに大きな声で言ったのです。
「みんな! お母さんを助けよう!」
ピーはそう言うと踵を返してお母さんの元へ走り出しました。みんなは怖くてただその様子を見ている事しかできません。
「ピー! 逃げなさい!」
しかしお母さんの体に巻き付かんばかりの蛇を見て、ピーはますますお母さんを助けようと思うのでした。
お母さんの所に辿り着いた時蛇はお母さんの体を締め付けていました。ピーは蛇の顔や体を一生懸命突つきましたが蛇には全然効きません。それでも諦めずにピーは必死で蛇を突つきました。
「ピー、おまえが食べられてしまうわ。早く逃げて」
お母さんは苦しそうに言うのですが、ピーはそれを無視して蛇の体を突つきます。
全く効果が無いので、やっぱり助けられないのかと諦めかけたその時です。
「お母さんを助けるぞ!」
なんとピーの姿を見て兄弟達も蛇を突つきにやってきたのです。ピーは途端に元気が出て今まで以上に一生懸命蛇を突つきました。
みんなは蛇の頭からしっぽまで取り付いて必死で突つきました。すると偶然にもピーの一撃が蛇の目に突き刺さったのです。蛇は悲鳴をあげて草原の中へ逃げて行きました。
お母さんもヒヨコ達も幸運にも無傷で助かりました。
「子供達。助けてくれてありがとうね。お母さんみんなが強くなってくれて嬉しいわ」
「母さん、誉めるならピーを誉めてあげてよ。僕らピーが飛び出さなかったら草むらに隠れている事しかできなかったんだから」
お母さんはピーにお礼を言い羽で体中を撫でてやりました。
「お母さんが、時には勇気を出しなさいって言ってくれたから僕蛇と戦えたんだよ」
ピーは嬉しそうに言うのでした。
その日以来ピーは兄弟達にいじめられる事もなく、お母さんとみんなと幸せにくらしました。
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