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十. 2313年6月 スペイン
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カズたち3人が、香港→横浜→ロサンゼルス→ニューオーリンズ→マイアミ経由でブラジルのベレンを目指している頃、残りのメンバー2人はスペインからアフリカのシエラレオネ経由でブラジルのベレンを目指していた。
スペインではすでに軍隊を退役し民間の航空会社に勤めるセバスチャンがメンバーとしての行動を開始していた。
・セバスチャンについて
本名:ドン・セバスチャン
年齢:35歳
性格:熱血漢
職業:現在は民間のパイロットであるが、かつて空軍パイロットでも宇宙飛行士でもあ
った。
出生:スペインのマドリッド
その他:軍隊時代には惑星間航行の経験があり、海王星までなら行ったことがある
軍隊時代の親友で現在はヨーロッパでも発言力を持つ政治家となっていたフィリップの妻が謎の病気に冒されており、セバスチャンはフィリップ夫婦を救いたい一心でこのメンバーに加わった。セバスチャンにも妻子がいたが、フィリップとは家族ぐるみの付き合いをしていた。
ある日、彼もじいさんのHPを見つけ、即座に意を決して、その日の夜、妻子に語りかけた。
「イサベル。カルメン。よく聞いてほしいんだ。オレには、どうしてもやらなきゃならないことがあって、しばらく旅にでることにしたんだ。おまえたちも知ってるとおり、フィリップの奥さんが謎の病気にかかっているんだが、それは人工的に作られたウィルスのせいらしいんだ。世界中で、同じようなことがおきている。それで、どうしてもその抗ウィルス剤を取りに冥王星へ行かねばならなくなったんだ。いや、行くことにしたんだ。おそらく、このミッションをこなせる宇宙飛行士は、オレしかいないんだ。頼む。苦労かけるが、許してほしいんだ」
娘のカルメンは、あまりにも急激な悲壮感に頭脳を支配されて、その顔は悲しみと恐怖でひきつった形相に変わっていた。
「おとうさん。何を言ってるの。ダメよ。そんなの絶対ダメよ。私のおとうさんは、おとうさんしかいないのよ。おかあさんも、なんとか言ってよ」
妻のイサベルは、ここ数日、セバスチャンの様子から、ただならぬ何かが起こる予感がしていた。
「カルメン、落ち着いて聞いてね。男の人にはね、危険を覚悟でどうしてもやらなきゃならいことがあるのよ。おとうさんはね、私たちのおとうさんだけど、それだけじゃないのよ。世界中で、おとうさんたちの助けを待っている人たちがいるのよ。だから、カルメンも気持ち良くおとうさんを旅立たせてやってちょうだい」
「でも、あなた。あなたは、昔のあなたじゃないのよ。わかっていると思うけど。どんなに危険な状態にあっても、今はあなたがいないと正確な判断でロケットを飛ばせる人はいないのよ」
「1つだけ約束してちょうだい。どんなことがあっても無事に帰ってくることを」
「必ず、帰ってくるよ。約束するよ。おまえたちのために」
セバスチャンは、二人を堅くだきしめた。
セバスチャン達はマドリッドに住んでいたが、セバスチャンが帰ってくるまで、彼の奥さんであるイサベルと娘のカルメンはイサベルの実家コルドバで過ごすことにした。
セバスチャンはフィリップや現職士官のコネで戦闘機を一機借用し、セビーリャというスペインの南西部にある町から、アフリカのシエラレオネを目指すことになった。もちろん、月のじいさんの指示だった。シエラレオネにはこのプロジェクトにかかせない人物がいた。その人物を確保するためのアフリカ行きだった。
セバスチャン家族は、マドリッドからLーAVEというスペインのリニアモーターカー新幹線にのって、コルドバ経由でセビーリャへ行くことになった。
コルドバでは1泊し、家族でコルドバの街・宮殿などで団らんの時を過ごした。夜は、カルデナルというフラメンコを見せる店で深夜まで楽しんだ。そういった店のことをスペインでは、タブラオという。イサベルは、数年前の学生時代にフラメンコのスペイン大会で優勝したことがあり、タブラオの関係者でイサベルのことを知らない者はいなかった。
もちろん、セバスチャン達が入った店のマスターもイサベルのことをよく知っていた。
「イサベルさん、是非踊ってくれませんか」
「いいわよ。カルメン、やるよ」
イサベルは、カルメンの手をひきながら舞台に立ち踊りだした。
二人は、セバスチャンに視線を送りながら踊り続けた。二人の姿は、セバスチャンの脳裏にしっかりと焼き付けられた。そして、踊り疲れて、彼女達は、実家に帰りぐっすり眠ってしまった。
セバスチャンは、翌朝コルドバ駅で、彼女達に見送られて再びLーAVEに乗り、セビーリャを目指すことにしていた。
心配そうな彼女達に、セバスチャンは微笑みかけた。
「必ず、無事に帰ってくるから。そんなしみったれた顔をするな」
「俺を誰だと思っているんだ。百戦錬磨のスペースマタドールと呼ばれているんだぜ。必ず来年の春頃には、いろんな星の宝石を土産に持って帰ってきてやるから、心配するな」
セバスチャンは、カルメンの頭を優しく撫ぜた。
イサベルは、10年前に瀕死の重傷で彼が帰ってきたことを思い出していた。
彼女は学生時代に、ボランティアで養護の児童施設をまわってフラメンコを教えたりしていた。セバスチャンも養護施設でアストロノーツとしての宇宙飛行体験談を話すことにより子供に夢を与えるボランティアもしていた。そんな中、2人はマドリッドのとある施設で出会い友達になった。
10年前の宇宙事故で、イサベルはセバスチャンの看病とリハビリに全力をつくした。イサベルにとっては片思いであったが、さすがのセバスチャンもイサベルの献身的な助けを受け、自然と二人は恋に落ち、付き合いゴールインした。
イサベルにとって、セバスチャンが仕事で宇宙へでかける時、多少の不安はあったが、かなりのパーセンテージで彼の腕前を信じていた。しかし、今回のフライトだけは、通常の任務のようにはいかないことはわかっていた。LーAVEが出発するまでこらえていたが、出発すると同時に見送るカルメンの後ろでイサベルの頬にも涙が伝っていた。
「あなた、・・・」
セバスチャンは、L-AVEにのってセビーリャ駅へ到着した。そして、そこからはタクシーでセビーリャの空軍基地へ向かった。セビーリャ空軍基地には、フィリップにもらった入場許可証で入場した。そこでは、セバスチャンが入隊していたころの教官が少佐になっており、その少佐から戦闘機を預かり、テイクオフする手筈になっていた。
少佐は、セバスチャンが入隊中、フィリップの教官でもあった。
「必ず、無事に帰ってこいよ。これは、お守りだよ」
少佐は、無敵艦隊の航海日誌を手渡し見送ってくれた。
無論、レプリカではあったが。
スペインではすでに軍隊を退役し民間の航空会社に勤めるセバスチャンがメンバーとしての行動を開始していた。
・セバスチャンについて
本名:ドン・セバスチャン
年齢:35歳
性格:熱血漢
職業:現在は民間のパイロットであるが、かつて空軍パイロットでも宇宙飛行士でもあ
った。
出生:スペインのマドリッド
その他:軍隊時代には惑星間航行の経験があり、海王星までなら行ったことがある
軍隊時代の親友で現在はヨーロッパでも発言力を持つ政治家となっていたフィリップの妻が謎の病気に冒されており、セバスチャンはフィリップ夫婦を救いたい一心でこのメンバーに加わった。セバスチャンにも妻子がいたが、フィリップとは家族ぐるみの付き合いをしていた。
ある日、彼もじいさんのHPを見つけ、即座に意を決して、その日の夜、妻子に語りかけた。
「イサベル。カルメン。よく聞いてほしいんだ。オレには、どうしてもやらなきゃならないことがあって、しばらく旅にでることにしたんだ。おまえたちも知ってるとおり、フィリップの奥さんが謎の病気にかかっているんだが、それは人工的に作られたウィルスのせいらしいんだ。世界中で、同じようなことがおきている。それで、どうしてもその抗ウィルス剤を取りに冥王星へ行かねばならなくなったんだ。いや、行くことにしたんだ。おそらく、このミッションをこなせる宇宙飛行士は、オレしかいないんだ。頼む。苦労かけるが、許してほしいんだ」
娘のカルメンは、あまりにも急激な悲壮感に頭脳を支配されて、その顔は悲しみと恐怖でひきつった形相に変わっていた。
「おとうさん。何を言ってるの。ダメよ。そんなの絶対ダメよ。私のおとうさんは、おとうさんしかいないのよ。おかあさんも、なんとか言ってよ」
妻のイサベルは、ここ数日、セバスチャンの様子から、ただならぬ何かが起こる予感がしていた。
「カルメン、落ち着いて聞いてね。男の人にはね、危険を覚悟でどうしてもやらなきゃならいことがあるのよ。おとうさんはね、私たちのおとうさんだけど、それだけじゃないのよ。世界中で、おとうさんたちの助けを待っている人たちがいるのよ。だから、カルメンも気持ち良くおとうさんを旅立たせてやってちょうだい」
「でも、あなた。あなたは、昔のあなたじゃないのよ。わかっていると思うけど。どんなに危険な状態にあっても、今はあなたがいないと正確な判断でロケットを飛ばせる人はいないのよ」
「1つだけ約束してちょうだい。どんなことがあっても無事に帰ってくることを」
「必ず、帰ってくるよ。約束するよ。おまえたちのために」
セバスチャンは、二人を堅くだきしめた。
セバスチャン達はマドリッドに住んでいたが、セバスチャンが帰ってくるまで、彼の奥さんであるイサベルと娘のカルメンはイサベルの実家コルドバで過ごすことにした。
セバスチャンはフィリップや現職士官のコネで戦闘機を一機借用し、セビーリャというスペインの南西部にある町から、アフリカのシエラレオネを目指すことになった。もちろん、月のじいさんの指示だった。シエラレオネにはこのプロジェクトにかかせない人物がいた。その人物を確保するためのアフリカ行きだった。
セバスチャン家族は、マドリッドからLーAVEというスペインのリニアモーターカー新幹線にのって、コルドバ経由でセビーリャへ行くことになった。
コルドバでは1泊し、家族でコルドバの街・宮殿などで団らんの時を過ごした。夜は、カルデナルというフラメンコを見せる店で深夜まで楽しんだ。そういった店のことをスペインでは、タブラオという。イサベルは、数年前の学生時代にフラメンコのスペイン大会で優勝したことがあり、タブラオの関係者でイサベルのことを知らない者はいなかった。
もちろん、セバスチャン達が入った店のマスターもイサベルのことをよく知っていた。
「イサベルさん、是非踊ってくれませんか」
「いいわよ。カルメン、やるよ」
イサベルは、カルメンの手をひきながら舞台に立ち踊りだした。
二人は、セバスチャンに視線を送りながら踊り続けた。二人の姿は、セバスチャンの脳裏にしっかりと焼き付けられた。そして、踊り疲れて、彼女達は、実家に帰りぐっすり眠ってしまった。
セバスチャンは、翌朝コルドバ駅で、彼女達に見送られて再びLーAVEに乗り、セビーリャを目指すことにしていた。
心配そうな彼女達に、セバスチャンは微笑みかけた。
「必ず、無事に帰ってくるから。そんなしみったれた顔をするな」
「俺を誰だと思っているんだ。百戦錬磨のスペースマタドールと呼ばれているんだぜ。必ず来年の春頃には、いろんな星の宝石を土産に持って帰ってきてやるから、心配するな」
セバスチャンは、カルメンの頭を優しく撫ぜた。
イサベルは、10年前に瀕死の重傷で彼が帰ってきたことを思い出していた。
彼女は学生時代に、ボランティアで養護の児童施設をまわってフラメンコを教えたりしていた。セバスチャンも養護施設でアストロノーツとしての宇宙飛行体験談を話すことにより子供に夢を与えるボランティアもしていた。そんな中、2人はマドリッドのとある施設で出会い友達になった。
10年前の宇宙事故で、イサベルはセバスチャンの看病とリハビリに全力をつくした。イサベルにとっては片思いであったが、さすがのセバスチャンもイサベルの献身的な助けを受け、自然と二人は恋に落ち、付き合いゴールインした。
イサベルにとって、セバスチャンが仕事で宇宙へでかける時、多少の不安はあったが、かなりのパーセンテージで彼の腕前を信じていた。しかし、今回のフライトだけは、通常の任務のようにはいかないことはわかっていた。LーAVEが出発するまでこらえていたが、出発すると同時に見送るカルメンの後ろでイサベルの頬にも涙が伝っていた。
「あなた、・・・」
セバスチャンは、L-AVEにのってセビーリャ駅へ到着した。そして、そこからはタクシーでセビーリャの空軍基地へ向かった。セビーリャ空軍基地には、フィリップにもらった入場許可証で入場した。そこでは、セバスチャンが入隊していたころの教官が少佐になっており、その少佐から戦闘機を預かり、テイクオフする手筈になっていた。
少佐は、セバスチャンが入隊中、フィリップの教官でもあった。
「必ず、無事に帰ってこいよ。これは、お守りだよ」
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