あなただけが私を信じてくれたから

樹里

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一度目の人生

第9話 お茶会から始まる悪夢

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 今日という日に合わせてきたかのように澄み切った青い空の下、ガゼボを取り囲む美しい花々が咲き誇る、まさに絶好のお茶会日和となった。
 参加者は、第一王女ミラディア殿下と第二王女のエレーヌ殿下。そして私とリーチェの四人だ。

「今日はお招きいただき、誠にありがとうございます」

 私とリーチェはそれぞれスカートを広げて丁重に礼を取り、ミラディア王女殿下とエレーヌ王女殿下にご挨拶する。

「こちらこそ。久々にあなたがお茶を淹れてくれると聞いて、とても楽しみにしていたのよ」
「え?」
「わたくしも楽しみにしておりました。アリシア嬢は、お茶を淹れるのが本当にお上手だとお姉様からお聞きしていましたもの。今日はよろしくお願いいたします」
「――あ、はい。承知いたしました。精一杯努めさせていただきます」

 ミラディア王女殿下の言葉に小さな違和感を覚えたが、エレーヌ王女殿下に笑顔でお声がけされて私は頭を垂れた。一方、ミラディア王女殿下はリーチェに視線を移される。

「リーチェ嬢も今日は楽しんでいってちょうだい」
「はい、ありがとうございます。今日という日を本当に心待ちしておりました」
「まあ、それは良かったわ」

 本当に嬉しそうに満面の笑みでリーチェは受け答えしていた。

「それでは始めましょう。アリシア、ではお願いね」

 ミラディア王女殿下のお言葉からお茶会が始まる。

「はい、承知いたしました」

 私たちは美しい景色の中、我ながら上手に淹れることができた香り高いお茶と美味しそうなお菓子の数々を口にし、そしてきっと他愛もない談話に興じるはずだった。
 ミラディア王女殿下がカップを口にされるその瞬間までは。

「きゃああああっ!?」

 誰が叫んだのだろう。
 私だったかもしれない。同席した誰かだったかもしれない。あるいは少し離れて見守っていた侍女たちだったかもしれない。もしかしたらその光景を見た全員だったかもしれない。甲高い声が上がり、辺りは騒然となる。

 それもそのはず。
 ミラディア王女殿下が震える手で喉を押さえるのが見えたからだ。

「あ、あ、あ……」

 ミラディア王女殿下は目を見開いたまま声にならない声を上げ、ぐらりとその体を揺らし、地面に崩れ落ちた。
 和やかに進行されていくだろうと思われていたお茶会から一変した惨状に、驚愕と恐怖とが一度に襲ってきて誰もが動くことができない。
 しかしようやく我を取り戻すと私は金切り声で叫ぶ。

「ミ、ミラディア王女殿下! 誰か! 誰か! お医者様を! 早くお医者様をお呼びください!」

 その声を合図に侍女や騎士たちが駆け寄り、エレーヌ王女殿下が続いて叫んだ。

「お、お姉様! お姉様! しっかりしてください! 誰か! 誰かお姉様を助けてっ!」


 そして今。
 私は尋問を受けたのち――監獄の中にいる。
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