東京夕景

山崎ももんが

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東京夕景

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「クリスマスなのに悪いね」と、私の父親と丁度同じくらいの年齢と思われる設計会社の社長は言った。私はデザイナーだ。三十歳で自分の会社を起業してから、間もなく五期目を終える。笹塚にある雑居ビルの九階にあるクライアントのオフィスで、来年発行されるこの会社のパンフレットのデザインについての会議が終わり、帰り際に社長と雑談をしていた処だ。時計の針は、十二月二十五日の正午を指そうとしていた。

「あ、大丈夫です。特に予定はありませんので」

「モモカちゃん、年末はいつまで仕事してるの」

「個人経営なんで、年末年始の休みとか、自分で決めるんですよ。多分、大晦日と三が日以外は、ずっとモニターに向かってますね。外での打ち合わせは今日で終わりなので、明日からは内勤ですね。緊急の場合は連絡ください。移動中とかで出られない場合は折り返しますので、着信を入れておいていただければ」

「じゃあ、また来年。良いお年を。まあ、あんまり無理しないようにね、あ、メリークリスマス」と言った社長に、私は笑顔を作り、深く挨拶をしてオフィスを出た。エレベーターの扉が開くと、正面に設置されている鏡に自身の姿が映る。セミロングに薄化粧。控えめなリップグロス。カーキ色のコートに白いマフラー。スキニーのジーンズ。斜め掛けにした革の鞄には、使い続けて三年目のタブレットが入っている。

国道二十号に出ると、冷たい風が髪を巻き上げた。見上げると、通り沿いに並ぶビルと高架の首都高速の黒く太い線が私の上に覆い被さろうとしている。眼を細めると空を背景にした逆光の効果により、高速道路はまるで巨人の書芸家が空中に太筆で引いた黒い線のようにも見える。周囲で細く広がる電線は跳ねた墨汁だ。その隙間からは曇天が覗いていた。今年は秋が動画の編集で切り取られて消去されたかの如く、夏から冬へと突然季節が入れ替わった。そしてクリスマスのイルミネーションは今日で終わる。街は明日から正月の装いに変わるので、多くのディスプレイ業者は今夜、徹夜で作業を行うに違いない。

笹塚駅の自動改札機を通り過ぎたときに、スマートフォンが振動した。ムラモトからだった。

「あ、もしもし、モモカさん、時間ちょっと大丈夫ですか」

「あ、はい、大丈夫ですよ」

「もし可能だったらでいいんだけど、ちょっとこれからウチの事務所に来て、ダイレクトメールの版下を作る、なんていうことはできるかな」

「そうですね、大丈夫ですよ。事務所、品川のタワーマンションですよね」

「そうそう」

私は「これから向かいます」と言って京王線に乗った。新宿駅で内回りの山手線に乗り換えれば一時間弱で品川駅に着ける。ムラモトによると、印刷を発注する会社のデータ入稿の締切が今日の十八時までとなっており、明後日以降は年末年始の休業期間になるらしく、年内に印刷物を受け取るためには、逆算すると数時間以内に版下のデータを印刷会社のサーバーにアップロードしなければならないということだった。

* * *

京王線の改札からJR線の入口までを連結する地下道で、小さなテーブルの奥に座る中年女性の占い師を見た。通り過ぎて行く人々は、誰も彼女を気に留めない。クリスマスから師走へと衣替えを行う直前の空気が、東京を満たしている。

二十代の頃、姉と一緒にロンドンでクリスマスを迎えたことがある。ロンドンの聖夜は、皆が家族で過ごすという伝統もあり、街はゴーストタウンの様相を呈していた。コヴェント・ガーデン駅で、生まれたばかりの赤子を毛布に包み、抱きながら物乞いをしている若い母親がいた。私達は彼女を眼で追うだけで、何もせずに通り過ぎた。何もできなかったのだ。姉は「ああいう人は、募金で結構な額を稼いでいて、実は金持ちで、お屋敷に住んでいるって聞いたことがある」などと言った。しかしながら、それは日本では見られない光景に動揺してしまい、また募金をする勇気も持てなかった自分達への言い訳だった。パーティーを期待して着飾り、派手なメイクの装いで街に繰り出していた私達姉妹は、意気消沈してホテルの部屋に戻った。テレビを点けると、八十年代に流行したMTVの特集番組が放送されていた。画面の中ではビキニ・ウォリアーのコスチュームでケイト・ブッシュが『バブーシュカ』を歌い踊っている。私と姉はそれを眺めながらワインのボトルを開けた。

私は、過剰に演出された十二月の東京の方が好きだ、と思った。

* * *

JR品川駅の港南口を出て、右手に続く駅から直結しているスカイウェイを進む。その突き当りに位置するタワーマンションの最上階に、ムラモトの自宅兼オフィスがある。私は、彼がどの様な仕事をしてこの高級マンションに住んでいるのか把握していない。普段ムラモトが私に依頼するのは、彼が株主の数件の飲食店や、経営に関わっている芸能プロダクションが主催するファッションショーのWebデザインなどで、特に単価が高いというわけでもない。

昨年ムラモトからの仕事を請け負った際、アシスタントのスズキという二十代の女性に、彼の主な収入源について尋ねたことがある。彼女も実態を把握してはいなかったけれど、チェーン展開のラブホテルの経営に関わっているという情報は聞き出せた。「でもまあ、ちゃんとお給料が出てるから、私はいいんです」と言うスズキに、私はそれ以上のことを詮索する気を失ってしまったのだ。

エレベーターを四十階で降りて、何度か訪れたことのある部屋のインターフォンを鳴らす。ドアが開くと、ムラモトが出迎えてくれた。無精髭にベースボールキャップ、上下共に灰色のスウェットで小太りの身体を包んだ彼は、ドア正面の長い廊下を進み、オフィスとして使用されている左手の六畳の部屋へと案内した。右手には寝室、トイレ、浴室と、三つの扉が並ぶ。廊下の突き当りには、格子状の木組みにガラスが嵌め込まれた扉がある。その扉の先はリビングになっているらしいけれど、私は一度も入ったことがない。

「クリスマスなのに、御免ね、本当に申し訳ない」

「あ、大丈夫です。で、ソフトは揃ってますか」と私は部屋の扉を背にして、対面の壁沿いに設置されているテーブルの上に鎮座する二台のパソコンとプリンターを見て言った。

「こっちのパソコンにイラストレーターとフォトショップが入ってるけど、古いバージョンだから使えるかな」とムラモトは片方のパソコンを指しながら言った。

ちょっと見てみます、と言って私はパソコンを起動した。中身を確認すると、問題無く動作しそうだった。年明け早々に行われるDJイベントのダイレクトメールの版下を作る仕事だ。ムラモトから大まかなイメージを聞き、掲載事項を確認する。テーブルの上に無造作に放置されていたA4サイズの紙の上に、鞄から取り出したステッドラーの鉛筆を走らせる。

「こんな感じですか」と私はラフデザインを描いてみせた。

「あ、いいね、いいね、そんな感じ」

「じゃあ、作ってみますね」

終わったら声をかけてください、とムラモトは言って部屋を出て行った。私は深く息を吸い込み、口を閉じたままゆっくりと鼻の穴から空気を放出した。指定された印刷会社のホームページから、ダイレクトメール用のフォーマットデータをダウンロードした後、フリー素材のサイトから適当なイメージ画像を数点手に入れた。フォントも数種類追加しなければならず、実際にデザインの作業に取り掛かるまでに三十分以上を費やしてしまった。

* * *

私のミリウォッチの針は、十六時を指していた。出来上がった二案のデザインをパソコン脇のプリンターで印刷した後に、ムラモトに選択してもらおうと、この部屋のリビングへと続く扉を初めて開いた。

眼の前には、大音量で流れるビッグバンドのフランク・シナトラと共に、巨大なパノラマが広がっていた。リビングの一面が巨大な窓ガラスで占められていたのだ。映画のスクリーンを思わせる長方形の景色は、下の三分の二にはオフィスビルが並び、上の三分の一には灰色の空が広がっている。東京湾の方角に視点を移すと、羽田空港から離着陸する飛行機の白い機体が、絶え間なく飛びかっていた。窓に近付き覗き込むと、遥か下の品川セントラルガーデンの遊歩道を歩いている人々が蟻に見えた。

「できましたか」と左から声がしたので、身体を向けると、ムラモトを含めた十人の男女が、オードブルが並べられたテーブルを挟んで向かい合う長いソファに座り、談笑していた。景色に圧倒されて、気が付かなかったのだ。

「今日は合コンを兼ねたクリスマスパーティーなんですよ。紹介します、デザイナーのヤマザキモモカさん」と、ムラモトが皆に私を紹介したので軽く会釈をした。この部屋にいる人々に、それぞれ特徴を付けて区別することは難しく思えた。私にとっては匿名の人間達でしかない。

プリントしたA案とB案をムラモトに見せる。このような仕事では、A案を通すために捨て駒として手数を抑えたB案を作り、A案を選ばせるというのが私のやり方だった。テーブルの上のオードブルが左右に寄せられて、空いたスペースに二つのデザイン案が置かれた。パーティーの参加者達は新たに追加された珍しい料理を覗くかの如く、コピー用紙に顔を寄せた。

「へえ、凄い、ヤマザキさんって、藝大とか美大とか出てるんですか」と、モデルをしているという栗色の髪の痩せた女性が言った。彼女は続けて「凄い、凄い」と譫言うわごとのように繰り返した。

「ゲーダイだ、ゲーダイだ」と言う、酔って顔を赤く染めたスーツ姿の男に、私は「私立の美大なんです」と返事をする。

「どっちがいいかな」とムラモトは彼を除いた九人に選ばせると、全員が私の目論見通りにA案を支持した。

* * *

私はムラモトと一緒に、再びパソコンが設置されている部屋に戻り、彼が印刷会社のホームページの入稿フォームからデータのアップロードを行う様子を見届けた。続けてムラモトはクレジットカードの情報を入力して、支払いの手続きを終える。

「もっと安い印刷業者もあるんじゃないですか」と私が言葉を投げかけると、彼は「知り合いの会社だから良いんですよ」と言った。その後、「モモカさん、この後、予定あるんですか。良かったら一杯飲んでいってくださいよ」と続けた。

再びリビングに入ると、眼の前にアシスタントのスズキがバニーガール姿で現れた。私は思わず「凄い格好ですね」と言葉に出してしまった。

「そうなんですよ、私、胸が無いからおっぱいの両脇をガムテープで留めて寄せたりして、頑張って谷間を作ったんですよ」と言った後、彼女は微笑みながら「何を飲みますか」と私に訊ねた。ビールを注文した私は、パーティーの輪の中には入らずに窓の外を眺めていた。

白いタートルネックに黒い革のジャケットを羽織った、ストレートの黒髪の若い女性が、大きな瞳を上目遣いさせながら私に近付いて来る。

「こんにちは、私、カミタニです。ヤマザキさん、デザイナーなんですね」と女性が私に話し掛けた。

「あ、はい」

「凄いですね。社員さんとか、雇ってるんですか」

「いえ、私、一人です」

「へえ、でも起業されてるんですよね。凄いですね。絵とか、描いてるんですか」

「いえ、描きたい絵っていうのが見つからなくて、美大を出たのに結局何も描いてないんです。カミタニさん、ご職業は」と瞬間、少し不躾ぶしつけかと考えたものの、会話の流れで尋ねてしまった。

「小説を書いてます」

「へえ、小説家さんなんですね。カミタニさんの方が凄い」

「あ、小説家といっても、官能小説なんですよ。ほら、スポーツ新聞とかに載ってたり、電車の中でおじさん達が読んでる小説とか、です」

「え、カミタニさん、おいくつなんですか」と私は興味を抑えきれずに質問してしまった。

「二十四です」

彼女の話では、大学在学中に官能小説家のアシスタントのアルバイトを始めて、その流れでプロになってしまったのだと言う。官能小説を書くにあたり、使ってはならない表現やキーワードなどもあるらしく、師匠にあたる小説家からルールを教え込まれたそうだ。カミタニは、年明けに週刊誌に掲載する為の原稿を用意しなければならないにもかかわらず、アイデアが浮かばずに苦慮していた。

「官能小説って基本的にファンタジーですからね、と言うか、そもそも、そんなにエロいことなんて思い付かないですよ。ヤマザキさん、何かアイデアないですかね」

瞬間、数時間前に新宿駅の地下道で見掛けた占い師の姿が、私の脳裏に浮かんだ。

「え、そうですね。じゃあ、占い師の話はどうですか。あの、占いのテーブルって、あるじゃないですか。白いテーブルクロスで覆われて、水晶玉とか、置いてあったりするやつ。あのテーブルクロスの下で、見えないように男性客の下半身を触る美貌の変態女性占い師とか、どうですか」と私は言った。

「そのアイデア、貰っていいですか」と彼女は笑い声を上げた。

* * *

「デザインの仕事だけで食べていけるんですか」と官能小説家は私に質問を投げかけてくる。

「デザインの仕事を受注してるだけだと、ずっと営業しなきゃならないし、それは現実的じゃないから、私はクライアントのホームページの更新をサブスクリプションで引き受けるサービスを始めて、ひたすら営業したんですよ。そうしたら、それが上手くいって、私が普通に生活していけるくらいには契約数が取れて。それで毎年自動的に、私の会社の口座に入金される仕組みにしたんですけど、少し企業の顧問弁護士と似ているのかも」と、私は泡が消えた後の温いビールが少し底に残るグラスを持ちながらカミタニに説明した。ふと、彼女の口から思わぬ言葉が出た。

「ヤマザキさん、小説、書けばいいのに」

「はあ」

「話、面白いし、向いてると思うんだけどな」

「そうですかね」

文章を書くことを勧められたのは二度目だ。「ヤマザキ、お前、美大に行ったのか。お前は文学部とか、そっちに行って作家にでもなると思ってたよ。お前の作文、面白かったから、俺、未だに覚えてるよ。ちょっと書いてみれば」と、数年前に開かれた小学校の同窓会で同級生に言われたことを思い出した。

小説といえば、大学二年生の時に一度だけ、奥渋谷のアートショップで販売するためのZINEを編集している友人から頼まれて、短編小説を書いたことがある。指定されたテーマが「恋」だったので、困った私は、恋人のためにマフラーを編んでいた絵画科の同級生に話を聞いて文章を書いたのだ。『初恋の果実』というタイトルで、その冊子に掲載されたことを今でも覚えている。後に、その同級生から「全くもう、私をネタにするんじゃないよ、恥ずかしいじゃんか」と憤慨された私は、お詫びとして一週間分のランチを学食で奢ることによって、赦されたのだった。

リビングの時計の針は十七時を過ぎていた。帰宅しようと思い、男女の笑い声とグラスのぶつかる音に囲まれながらソファで寛いでいるムラモトに挨拶をした。リビングの扉を閉めると、フランク・シナトラの歌が消えた。廊下を通り、玄関のドアを開けると、慌てた様相の彼が追いかけて来た。

「忘れるところだった、御免ね、少ないけど、ギャラ、ギャラ、またお願いしますよ。メリークリスマス、良いお年を」と彼は眼を細めながら言い、茶色の封筒を私に手渡した。

エレベーターの中で封筒の中を確認すると、一万円札が二枚入っていた。

* * *

自宅のマンションがある南大沢駅へは新宿で京王線への乗り換えが必要だ。品川駅から外回りの山手線に乗ったけれど、新宿駅へは行かずに途中の渋谷駅で電車を降りた。車両に揺られながらカミタニとの会話を振り返っていた私は、奥渋谷のアートショップに行きたくなったのだ。久し振りに訪れたその店でエドワード・ホッパーの画集を買った。ムラモトに貰った二万円から代金を支払うと、今年は思いがけずサンタクロースからのクリスマスプレゼントを受け取った気分になった。

少し遠回りして、年末の賑わう街の空気を堪能しようと思った。渋谷駅には戻らず、画集の入ったビニール袋をぶら下げながら、ケヤキ並木通りを抜けた後、代々木公園通りを原宿駅方面へと歩く。神宮橋の信号を右折して、表参道駅へと続く緩やかな坂を、銀杏の木に巻き付けられた電飾と人混みの渦の中に身を紛らわせながら進む。

途中、ショーウィンドウに映る特徴のない自分の顔と眼が合った。

「どこにでもいそうな髪型、服装だね」と、向こうの世界の私が語りかけてくる。匿名の私は、夥しい数の電飾の粒で覆われた表参道のイルミネーションと、絶え間なく行き交う人々の白い息の渦の中に、自分を溶かして混ぜ合わせていった。

ほらね、もう、誰も私を探せない。
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