かぐや姫奇譚?ー求婚者がダメンズばかりなんですがー

青太郎

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1 追放されました?

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「お前は罪を犯しました。よって穢れた下界へと追放となります」

光り輝く荘厳な宮殿の庭園にて響き渡る断罪の声。

そんな声と共に何かを取り上げられた感覚を覚えた瞬間に意識がハッキリとした。

庭園には見た事もない美しい花々が咲き乱れ、其々が自ら光を放ち光り輝いている。
夜とも昼ともわからない不思議な色の空には清澄な空気が流れ、地上では見た事のない生き物が争いもなく穏やかに寛いでいる。

女性の声に反応して、近くにいた色鮮やかな小鳥達が一部飛び立った。


「罪が償われれば、再び天界へと帰還する事も出来るでしょう」

美しく威厳のある声に思わず顔を上げるとそこには麗しい天女様。

何とも美しく神々しい姿で佇んでいる。

そして、自分の両側には容姿端麗な人間味のない使用人達。

片方は羽衣を手に持っている。
先程、何かを取り上げられた気がしたがきっとソレなのだろう。

ぼんやりと周りを見渡すがここが一体何処なのか理解出来ない。

解るのは何かを責められている事だけ。


「万が一、罪を重ねる様な事があれば二度と戻る事は出来ません」

麗しい顔に不釣り合いな厳しい表情をする天女様は表情と同じく厳しい声音でそう言い渡す。

しかし、そう言われてもそもそも状況が理解出来ていないのだ。


「…もちろん、私もその様な事態を望んでいるわけではありません。
自分がどんな罪を犯したのかを理解し、罪に対しての償いを終えれば再び迎えに参りましょう」

こちらの様子に気付いているのかいないのか、天女様は話を続ける。

「お前が穢れた下界でも過ごせる様に少しだけ施しを与えました」

天女様の表情と声が少しだけ柔らかくなった気がした。

「頑張って償いなさい」

一方的な会話はそこで終わった。

一言も声を発せずしてそこで再び意識がなくなった。





次に目が覚めたのは何処かの何もない小さな部屋の中。

中はとても快適で、まるで空調完備のしっかり整った部屋の中にでもいるようだ。

一体ここは何処で自分はどういった状況なのか…。

少し考え込み始めた瞬間、声が聞こえた。

『あなたは誰?』

可愛い女の子の澄んだ声。
ビクッとしてキョロキョロと周りを見渡しても誰もいない。

気のせいだったのかと思ったその瞬間また声が聞こえた。

『あなたは誰?』

「いや。そっちこそ誰だよ」

つい言葉を発したが、その声の高さに驚いた。

「は?何だコレ」

思わず自分の喉を触った手を見てまた驚いた。

「…手が…なんか小さい…?」

『まだ、下界に馴染んでないからです』

呟いた独り言に返事が返ってきた。

「っ!…誰だよ。一体どこに…」

『私はあなたの中に居ます』

「…っ!」

声は耳から聞こえていたのではなく頭の中で響いていたのだ。

思わず頭に手をやるが特に効果はない。

「頭の中で声がする…」

『…』

「…一体どうなってんだ…」

『…あなたは、私を補助する為の人格ではないのですか?』

「…は?」

何もわからない今の状況についてこの謎の声は更なる謎の問い掛けを発する。

この状況について何か知っているのか。

「どういう意味だ?」

『あなたは、下界へと追放された私を補助する為の人格ではないのですか?』

さっきより少しだけ補填された再度の問いかけに引っかかる。

「…ついほう…追放か。
そういえば、やたら綺麗な人に追放を宣言されたな…。」

ひょっとしてソレに関係があるのか?


『私は罪を犯し、天界から下界へと落とされました。
…しかし、羽衣を奪われたと同時にあなたに身体の主導権を奪われました』

謎の声の話す内容全て気になる事ばかりだ。

しかし、1番気になったのは…

「…え。…ひょっとしてお前が俺の中に居るんじゃなくて俺がお前の中に居るのか…?」

『その通りです。
下界に落とされた私の為の補助人格かと思いましたが、もし違うとしたらあなたは一体誰なのですか?』

「いや、そんな事言われても…。
…自分は普通の…日本に住んでる男で…
…あれ?」

普通に働いていた社会人だと思うが、自分の詳しい事を思い出そうとしても何故か思い出せない。

地球の日本の情報は思い出せるが自分の事になると全くダメだ。

『あなたは下界の者なのですか?』

「…下界。…まぁ、たぶん…」

下界という表現には引っかかるが一応そうなるのか?

『では、私の為に選ばれでもしたのでしょう。
穢れた下界で過ごす為の一時的な処置かもしれません』

…穢れた…下界。
いちいち言い方が引っかかるが、そもそもここは何処なのか。

「…全く状況が理解出来てないんだが、説明してくれないか?」

『…ふぅ』

わかりやすいため息にイラつきが増す。

『…私は天界でも高貴な身分の姫なのです』

「え、姫なの?」

だからちょっと偉そうなのか。


『…天界にて罪を犯したので罪を償う為、下界へと落とされました』

高貴な姫が罪を犯して追放…

…。


…これは、少し前に流行った追放ものではないか?

自分に関する記憶はないのに余計な記憶はしっかりあるようだ。


「ひょっとして冤罪…?」

『いえ、罪は犯しました』

…。

罪は犯したのか…。

…いや、止むに止まれぬ事情があるのかも。


「一体、何の罪を?」

『不義密通です』

…。

不義密通…

…一番関わりたくないモノがキター。



『正確には密通はしておりませんが…』

いや、してないのなら何か事情が…

『密通しようと誘ったら通報されました』


…誘ったのかよ。


「…い、いや。でも、未遂で追放はちょっと罪が重くないか?」

『私の婚約者が天界の王の息子だったのです』

「なんで、浮気しようとしたの⁉︎」

このお姫様大丈夫なのか?

『…』

…。

「…な、…なんかほら、特別な理由でもあるのか…?」

むしろ、あって欲しいという気持ちを込めて問いかける。

『…愛というものがわからなくて…』

少しだけシュンとした声で返事が聞こえる。

「…いやいや、わざわざ他で浮気しなくても婚約者で確かめれば良かっただろ。
…それとも婚約者に不満でもあったのか?」

ひょっとしたら、とんでもない相手だったとか?

『…彼は親の決めた婚約者ではありますが、身分に相応しい文武両道の非の打ち所がない御方です。
不満だなんてとんでもないことです。
しかし身分が尊い為、簡単に会うことはできません。
…確かめたくともなかなか会うことも出来ず…』


…婚約者に対しての悪い感情は無いようだ。

…寂しかったのか…

…まぁ、それで許される事でもないが。


『ですので、近場で知的好奇心を埋めようとしました』

いや、ダメだろ。

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