もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
119 / 869
連載

軍隊ダンジョン①

しおりを挟む
 戦闘しています、ご注意ください。




「ぎゃぁぁぁぁぁッ」
「わぁぁぁぁぁぁッ」
 蟻がッ、サイズのおかしか蟻がッ。蟻がッ。
 花くらいのサイズの蟻がッ。びっしり、いるーッ。びっしりーッ。
 ノワールは快調に爆走して、蟻を粉砕している。5匹の仔達をルームに避難させておいて、良かったッ。
 ビアンカとルージュが魔法を放って蹴散らしてくれるが、何匹か来る。
『ユイ、頑張るのです』
『コウタ、落ち着いて』
 呑気なビアンカとルージュ。私達のレベルアップの為に、何匹か通してくれてる。ちゃんと脚を何本か魔法で切り落としてくれてるけど。だけど、サイズがおかしかッ。
 これが軍隊蟻だそうだ。
「姉ちゃんッ、ルーム開けてッ」
「張り倒すよッ、観念しいッ、ぎゃぁぁぁぁぁッ」
 フライパンで必死に蟻を叩く。
 ひーッ。手応えがイヤやあ。
 ひーッ。ひーッ。ひーッ。
 レベルが上がったけど、それどころではない。
 なんとか全部の蟻を撃退。
 晃太と並んでお茶を飲む。
「ブヒヒンッ、ブヒヒンッ」
『ノワール、大分上手くなったのです』
『いい調子よ』
「ブヒヒーンッ」
 ノワール、絶好調。
 なんだ、なんだ、なんだ。
 何か指導してるけど、嫌な予感が。
「ビアンカさん、ルージュさん。なんばノワール君に教えとるんね?」
 ドロップ品を拾いながら聞いてみた。
『? 魔法なのです』
『ノワールには無属性魔法の身体強化を教えていたのよ』
「へえ? 無属性魔法?」
『誰だって使えるのです』
『そうよ。魔力があれば誰でも簡単に使えるわ』
「ヘエ~」
 簡単に言うが、この2人の簡単は、絶対に簡単ではない。
 無属性魔法は、器用貧乏な魔法だが、使いこなせたら、火や水等の属性魔法に勝ると。
『ただし、対する属性魔法より高いレベルでなくてはならないのです』
『そう、例えば』
 ルージュがリンゴサイズの光を出す。ビアンカが空気の圧縮された塊を出す。同じ大きさだ。
 その2つがぶつかると、リンゴサイズの光が勝つ。
『これは同じレベルの無属性魔法なのですが、ただし、えいっ』
 空気の圧縮された塊。さっきのより大きい。
 リンゴサイズの光と、圧縮された塊がぶつかると、圧縮された塊が勝つ。
『相手より魔法スキルが倍以上なら、無属性魔法が勝つのです』
「相手より倍ならでしょうもん」
『ノワールには、無属性魔法がこの前のオルクの巣で覚醒したから、まず、身体強化を教えたのよ。ノワールの戦闘スタイルからして、その方がいいだろうから』
 戦闘スタイルって。
 ノワールが強靭な脚で粉砕する。無属性魔法の身体強化は、元々ある能力、ゲームでいうステータスが満遍なく上がると。防御力や攻撃力、スピード等が、満遍なく上がり、ノワールの戦闘に合うと。オルクの巣でも、ハイ・オルクシャーマンの魔法でも、ノワールの無属性魔法が高ければ蹴散らせたらしい。
 ノワール、確か、馬車を牽くための魔法馬のはずなのに。
「そう? あんまり、ノワールに変なこと教えんでよ」
「ブヒヒーンッ」

 地図片手に進む。
『ボス部屋はまだなのですか?』
『蟻ばっかりでつまらないわ』
「ブヒヒンッ」
「今日、30階までは無理やろ」
 地図を広げて晃太が冷静に返している。
 軍隊ダンジョンは下層になるにつれ広くなる。マーファの冷蔵庫ダンジョンも上層階は、多少広くなるくらいだったけど。結局、その日、27階の階段までしか移動できなかった。
 29階から沼地なので、いろいろ対応しないと。
 他に冒険者の方がいないので、ルームを開ける。
 お乳タイムとブラッシングを済ませ、母の作ってくれたがめ煮、アジフライで夕御飯。ビアンカとルージュもたらふく食べてる。
「レベル上がったね?」
「えっとなあ、28まで上がったよ。姉ちゃんは?」
「46や。晃太、半分越えたなあ」
「やっとやなあ」
 なんだか、上がりにくくなってきた。だけど、神様から戴いた経験値5倍のおかげでこの状況。冒険者の方達は、もっと上がりにくい状況なのに。
『ユイ、足りないのです』
『エビが食べたいわ』
「もう食べたん?」
「ブルブルッ」
『ノワールもニンジン欲しいって言ってるのです』
「もう、仕方なかね」
 私はタップタップ。晃太は新しくニンジンを準備した。
 次の日も、蟻やら装甲を持つ鹿、猪が出てきたが、我らのビアンカとルージュに勝てる訳ない。せっせとドロップ品を拾う。
 晃太の支援を受けながら、多少の戦闘はしたが、フライパンがひしゃげてしまう。
「ねえ、晃太、フライパンにも支援できんね?」
「フ、フライパンにね?」
「そう。できんね? 消費が激しかけん」
「うーん、やってみようかね」
 それからフライパンを持ち、悩んでいる。
 28階を抜ける頃に、セーフティゾーンで他の冒険者の方達と遭遇した。ビアンカとルージュ、魔法馬のノワールを連れた私達には不審者を見る目だ。ただ、足を怪我をした人がいて、治療中。余計に警戒したようだった。私が中級ポーションが必要か聞くと、譲って欲しいと。1本渡し、金貨5枚もらう。
「あの、多いですよ」
「こんなダンジョンの中で、ポーションを譲ってもらうならこれくらいなら正当額だぞ。あんた、もっとふっかけてもいいくらいだ」
 がっちりとした男性、パーティーのリーダーさんが金貨5枚を私に押し付けて、呆れたように言う。
「そうなんですか?」
 冷蔵庫ダンジョンでかなり多量のポーションを得たから、まだまだ余裕があるけど。
 だけど、金貨5枚はもらいすぎな気がする。
 なので、お茶を配ることに。足を怪我した人も、落ち着いたしね。
「どうぞ、どうぞ」
「す、すまない。ポーションを譲ってもらったのに」
「気にしないでください」
「だが、あんた達の水は大丈夫なのか」
「はい。魔法の水筒がありますから」
 ストレートティーとリンゴジュースを配る。お茶菓子付き。
「ああ、生き返る…………」
 しみじみと呟く皆さん。なんでも軍隊ダンジョンに潜って1ヶ月と。食べる事が出来るのは、硬い黒パンにカチカチビスケット、干し肉、ドライフルーツだ。たまに角ウサギや鹿系、猪系の肉で繋いでいたと。だから、ストレートティーやリンゴジュースでも美味しく感じたんだね。
 それからお乳に吸い付いている仔達を見て、ほのぼのしている。
「あんたの従魔はすごいが、こう見ていると魔物も母親なんだな」
 しみじみ。
「皆さん。休まれたら進むんですか?」
「いや、今から帰る途中なんだ。29階でワニにやられたからな。ああ、すまん、自己紹介もしてなかったな。俺はダルダール。この『黒柊』のリーダーをしている」
 がっちり男性ダルダールさんがそれぞれを紹介してくれる。
 足を怪我した人は細マッチョの剣士の人族男性ビーシュさん。魔法使いのコロンフルさんは、ハーフエルフの綺麗な女性。ヒーラーの垂れ耳獣人男性ロタスさん。見習い剣士の人族のワルド君。
「まだ、食料やポーションには余裕があるが、帰りを考えると引くべきだと思ってな。また、挑戦すればいいだけの話」
 ダルダールさんはもうちょい、行きたかったそうだが、ビーシュさんがケガをしたことで、後退することを決断したと。こういった引き際の判断が、パーティーの生存率を左右するそうだ。
 引き際、いい言葉だ。
 うちは、ギリギリまで引き伸ばす傾向があるからね。聞いてます? ビアンカさんや、ルージュさんや。
 しばらく休憩。仔達はお昼寝に入ってしまった。
 で、うちの稼ぎ頭は散歩と言って駆けていく。セーフティゾーンだから、大丈夫だけど、ルージュの光のリンゴを出してもらう。魔法使いのコロンフルさんが、汗を流している。
「普通、1個とか2個なのよ…………」
 10くらい漂ってます。しかも疲れた様子もないルージュに、流石クリムゾンジャガーと呟いている。
 しばらくしてダルダールさん達が立ち上がる。ビーシュさんも自分で立ち上がる。
「しかし、本当に助かった。ポーションはあっても、中級をちょうど切らせてたし、ロタスの魔力も残り少なかったからな。本当に感謝する。もし、街であったら声をかけてくれ」
「はい、ありがとうございます。皆さん、お気をつけて」
しおりを挟む
感想 836

あなたにおすすめの小説

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

「君は完璧だから、放っておいても大丈夫」と笑った夫。~王宮から私が去ったあと「愛していた」と泣きついても、もう手遅れです~

水上
恋愛
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫だ」 夫である王太子はそう笑い、泣き真似が得意な見習い令嬢ばかりを優先した。 王太子妃セシリアは、怒り狂うこともなく、静かに心を閉ざす。 「左様でございますか」 彼女は夫への期待というノイズを遮断し、離縁の準備を始めた。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」

まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。 【本日付けで神を辞めることにした】 フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。 国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。 人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。 「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」 アルファポリスに先行投稿しています。 表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。