文字の大きさ
大
中
小
119 / 878
連載
軍隊ダンジョン①
戦闘しています、ご注意ください。
「ぎゃぁぁぁぁぁッ」
「わぁぁぁぁぁぁッ」
蟻がッ、サイズのおかしか蟻がッ。蟻がッ。
花くらいのサイズの蟻がッ。びっしり、いるーッ。びっしりーッ。
ノワールは快調に爆走して、蟻を粉砕している。5匹の仔達をルームに避難させておいて、良かったッ。
ビアンカとルージュが魔法を放って蹴散らしてくれるが、何匹か来る。
『ユイ、頑張るのです』
『コウタ、落ち着いて』
呑気なビアンカとルージュ。私達のレベルアップの為に、何匹か通してくれてる。ちゃんと脚を何本か魔法で切り落としてくれてるけど。だけど、サイズがおかしかッ。
これが軍隊蟻だそうだ。
「姉ちゃんッ、ルーム開けてッ」
「張り倒すよッ、観念しいッ、ぎゃぁぁぁぁぁッ」
フライパンで必死に蟻を叩く。
ひーッ。手応えがイヤやあ。
ひーッ。ひーッ。ひーッ。
レベルが上がったけど、それどころではない。
なんとか全部の蟻を撃退。
晃太と並んでお茶を飲む。
「ブヒヒンッ、ブヒヒンッ」
『ノワール、大分上手くなったのです』
『いい調子よ』
「ブヒヒーンッ」
ノワール、絶好調。
なんだ、なんだ、なんだ。
何か指導してるけど、嫌な予感が。
「ビアンカさん、ルージュさん。なんばノワール君に教えとるんね?」
ドロップ品を拾いながら聞いてみた。
『? 魔法なのです』
『ノワールには無属性魔法の身体強化を教えていたのよ』
「へえ? 無属性魔法?」
『誰だって使えるのです』
『そうよ。魔力があれば誰でも簡単に使えるわ』
「ヘエ~」
簡単に言うが、この2人の簡単は、絶対に簡単ではない。
無属性魔法は、器用貧乏な魔法だが、使いこなせたら、火や水等の属性魔法に勝ると。
『ただし、対する属性魔法より高いレベルでなくてはならないのです』
『そう、例えば』
ルージュがリンゴサイズの光を出す。ビアンカが空気の圧縮された塊を出す。同じ大きさだ。
その2つがぶつかると、リンゴサイズの光が勝つ。
『これは同じレベルの無属性魔法なのですが、ただし、えいっ』
空気の圧縮された塊。さっきのより大きい。
リンゴサイズの光と、圧縮された塊がぶつかると、圧縮された塊が勝つ。
『相手より魔法スキルが倍以上なら、無属性魔法が勝つのです』
「相手より倍ならでしょうもん」
『ノワールには、無属性魔法がこの前のオルクの巣で覚醒したから、まず、身体強化を教えたのよ。ノワールの戦闘スタイルからして、その方がいいだろうから』
戦闘スタイルって。
ノワールが強靭な脚で粉砕する。無属性魔法の身体強化は、元々ある能力、ゲームでいうステータスが満遍なく上がると。防御力や攻撃力、スピード等が、満遍なく上がり、ノワールの戦闘に合うと。オルクの巣でも、ハイ・オルクシャーマンの魔法でも、ノワールの無属性魔法が高ければ蹴散らせたらしい。
ノワール、確か、馬車を牽くための魔法馬のはずなのに。
「そう? あんまり、ノワールに変なこと教えんでよ」
「ブヒヒーンッ」
地図片手に進む。
『ボス部屋はまだなのですか?』
『蟻ばっかりでつまらないわ』
「ブヒヒンッ」
「今日、30階までは無理やろ」
地図を広げて晃太が冷静に返している。
軍隊ダンジョンは下層になるにつれ広くなる。マーファの冷蔵庫ダンジョンも上層階は、多少広くなるくらいだったけど。結局、その日、27階の階段までしか移動できなかった。
29階から沼地なので、いろいろ対応しないと。
他に冒険者の方がいないので、ルームを開ける。
お乳タイムとブラッシングを済ませ、母の作ってくれたがめ煮、アジフライで夕御飯。ビアンカとルージュもたらふく食べてる。
「レベル上がったね?」
「えっとなあ、28まで上がったよ。姉ちゃんは?」
「46や。晃太、半分越えたなあ」
「やっとやなあ」
なんだか、上がりにくくなってきた。だけど、神様から戴いた経験値5倍のおかげでこの状況。冒険者の方達は、もっと上がりにくい状況なのに。
『ユイ、足りないのです』
『エビが食べたいわ』
「もう食べたん?」
「ブルブルッ」
『ノワールもニンジン欲しいって言ってるのです』
「もう、仕方なかね」
私はタップタップ。晃太は新しくニンジンを準備した。
次の日も、蟻やら装甲を持つ鹿、猪が出てきたが、我らのビアンカとルージュに勝てる訳ない。せっせとドロップ品を拾う。
晃太の支援を受けながら、多少の戦闘はしたが、フライパンがひしゃげてしまう。
「ねえ、晃太、フライパンにも支援できんね?」
「フ、フライパンにね?」
「そう。できんね? 消費が激しかけん」
「うーん、やってみようかね」
それからフライパンを持ち、悩んでいる。
28階を抜ける頃に、セーフティゾーンで他の冒険者の方達と遭遇した。ビアンカとルージュ、魔法馬のノワールを連れた私達には不審者を見る目だ。ただ、足を怪我をした人がいて、治療中。余計に警戒したようだった。私が中級ポーションが必要か聞くと、譲って欲しいと。1本渡し、金貨5枚もらう。
「あの、多いですよ」
「こんなダンジョンの中で、ポーションを譲ってもらうならこれくらいなら正当額だぞ。あんた、もっとふっかけてもいいくらいだ」
がっちりとした男性、パーティーのリーダーさんが金貨5枚を私に押し付けて、呆れたように言う。
「そうなんですか?」
冷蔵庫ダンジョンでかなり多量のポーションを得たから、まだまだ余裕があるけど。
だけど、金貨5枚はもらいすぎな気がする。
なので、お茶を配ることに。足を怪我した人も、落ち着いたしね。
「どうぞ、どうぞ」
「す、すまない。ポーションを譲ってもらったのに」
「気にしないでください」
「だが、あんた達の水は大丈夫なのか」
「はい。魔法の水筒がありますから」
ストレートティーとリンゴジュースを配る。お茶菓子付き。
「ああ、生き返る…………」
しみじみと呟く皆さん。なんでも軍隊ダンジョンに潜って1ヶ月と。食べる事が出来るのは、硬い黒パンにカチカチビスケット、干し肉、ドライフルーツだ。たまに角ウサギや鹿系、猪系の肉で繋いでいたと。だから、ストレートティーやリンゴジュースでも美味しく感じたんだね。
それからお乳に吸い付いている仔達を見て、ほのぼのしている。
「あんたの従魔はすごいが、こう見ていると魔物も母親なんだな」
しみじみ。
「皆さん。休まれたら進むんですか?」
「いや、今から帰る途中なんだ。29階でワニにやられたからな。ああ、すまん、自己紹介もしてなかったな。俺はダルダール。この『黒柊』のリーダーをしている」
がっちり男性ダルダールさんがそれぞれを紹介してくれる。
足を怪我した人は細マッチョの剣士の人族男性ビーシュさん。魔法使いのコロンフルさんは、ハーフエルフの綺麗な女性。ヒーラーの垂れ耳獣人男性ロタスさん。見習い剣士の人族のワルド君。
「まだ、食料やポーションには余裕があるが、帰りを考えると引くべきだと思ってな。また、挑戦すればいいだけの話」
ダルダールさんはもうちょい、行きたかったそうだが、ビーシュさんがケガをしたことで、後退することを決断したと。こういった引き際の判断が、パーティーの生存率を左右するそうだ。
引き際、いい言葉だ。
うちは、ギリギリまで引き伸ばす傾向があるからね。聞いてます? ビアンカさんや、ルージュさんや。
しばらく休憩。仔達はお昼寝に入ってしまった。
で、うちの稼ぎ頭は散歩と言って駆けていく。セーフティゾーンだから、大丈夫だけど、ルージュの光のリンゴを出してもらう。魔法使いのコロンフルさんが、汗を流している。
「普通、1個とか2個なのよ…………」
10くらい漂ってます。しかも疲れた様子もないルージュに、流石クリムゾンジャガーと呟いている。
しばらくしてダルダールさん達が立ち上がる。ビーシュさんも自分で立ち上がる。
「しかし、本当に助かった。ポーションはあっても、中級をちょうど切らせてたし、ロタスの魔力も残り少なかったからな。本当に感謝する。もし、街であったら声をかけてくれ」
「はい、ありがとうございます。皆さん、お気をつけて」
「ぎゃぁぁぁぁぁッ」
「わぁぁぁぁぁぁッ」
蟻がッ、サイズのおかしか蟻がッ。蟻がッ。
花くらいのサイズの蟻がッ。びっしり、いるーッ。びっしりーッ。
ノワールは快調に爆走して、蟻を粉砕している。5匹の仔達をルームに避難させておいて、良かったッ。
ビアンカとルージュが魔法を放って蹴散らしてくれるが、何匹か来る。
『ユイ、頑張るのです』
『コウタ、落ち着いて』
呑気なビアンカとルージュ。私達のレベルアップの為に、何匹か通してくれてる。ちゃんと脚を何本か魔法で切り落としてくれてるけど。だけど、サイズがおかしかッ。
これが軍隊蟻だそうだ。
「姉ちゃんッ、ルーム開けてッ」
「張り倒すよッ、観念しいッ、ぎゃぁぁぁぁぁッ」
フライパンで必死に蟻を叩く。
ひーッ。手応えがイヤやあ。
ひーッ。ひーッ。ひーッ。
レベルが上がったけど、それどころではない。
なんとか全部の蟻を撃退。
晃太と並んでお茶を飲む。
「ブヒヒンッ、ブヒヒンッ」
『ノワール、大分上手くなったのです』
『いい調子よ』
「ブヒヒーンッ」
ノワール、絶好調。
なんだ、なんだ、なんだ。
何か指導してるけど、嫌な予感が。
「ビアンカさん、ルージュさん。なんばノワール君に教えとるんね?」
ドロップ品を拾いながら聞いてみた。
『? 魔法なのです』
『ノワールには無属性魔法の身体強化を教えていたのよ』
「へえ? 無属性魔法?」
『誰だって使えるのです』
『そうよ。魔力があれば誰でも簡単に使えるわ』
「ヘエ~」
簡単に言うが、この2人の簡単は、絶対に簡単ではない。
無属性魔法は、器用貧乏な魔法だが、使いこなせたら、火や水等の属性魔法に勝ると。
『ただし、対する属性魔法より高いレベルでなくてはならないのです』
『そう、例えば』
ルージュがリンゴサイズの光を出す。ビアンカが空気の圧縮された塊を出す。同じ大きさだ。
その2つがぶつかると、リンゴサイズの光が勝つ。
『これは同じレベルの無属性魔法なのですが、ただし、えいっ』
空気の圧縮された塊。さっきのより大きい。
リンゴサイズの光と、圧縮された塊がぶつかると、圧縮された塊が勝つ。
『相手より魔法スキルが倍以上なら、無属性魔法が勝つのです』
「相手より倍ならでしょうもん」
『ノワールには、無属性魔法がこの前のオルクの巣で覚醒したから、まず、身体強化を教えたのよ。ノワールの戦闘スタイルからして、その方がいいだろうから』
戦闘スタイルって。
ノワールが強靭な脚で粉砕する。無属性魔法の身体強化は、元々ある能力、ゲームでいうステータスが満遍なく上がると。防御力や攻撃力、スピード等が、満遍なく上がり、ノワールの戦闘に合うと。オルクの巣でも、ハイ・オルクシャーマンの魔法でも、ノワールの無属性魔法が高ければ蹴散らせたらしい。
ノワール、確か、馬車を牽くための魔法馬のはずなのに。
「そう? あんまり、ノワールに変なこと教えんでよ」
「ブヒヒーンッ」
地図片手に進む。
『ボス部屋はまだなのですか?』
『蟻ばっかりでつまらないわ』
「ブヒヒンッ」
「今日、30階までは無理やろ」
地図を広げて晃太が冷静に返している。
軍隊ダンジョンは下層になるにつれ広くなる。マーファの冷蔵庫ダンジョンも上層階は、多少広くなるくらいだったけど。結局、その日、27階の階段までしか移動できなかった。
29階から沼地なので、いろいろ対応しないと。
他に冒険者の方がいないので、ルームを開ける。
お乳タイムとブラッシングを済ませ、母の作ってくれたがめ煮、アジフライで夕御飯。ビアンカとルージュもたらふく食べてる。
「レベル上がったね?」
「えっとなあ、28まで上がったよ。姉ちゃんは?」
「46や。晃太、半分越えたなあ」
「やっとやなあ」
なんだか、上がりにくくなってきた。だけど、神様から戴いた経験値5倍のおかげでこの状況。冒険者の方達は、もっと上がりにくい状況なのに。
『ユイ、足りないのです』
『エビが食べたいわ』
「もう食べたん?」
「ブルブルッ」
『ノワールもニンジン欲しいって言ってるのです』
「もう、仕方なかね」
私はタップタップ。晃太は新しくニンジンを準備した。
次の日も、蟻やら装甲を持つ鹿、猪が出てきたが、我らのビアンカとルージュに勝てる訳ない。せっせとドロップ品を拾う。
晃太の支援を受けながら、多少の戦闘はしたが、フライパンがひしゃげてしまう。
「ねえ、晃太、フライパンにも支援できんね?」
「フ、フライパンにね?」
「そう。できんね? 消費が激しかけん」
「うーん、やってみようかね」
それからフライパンを持ち、悩んでいる。
28階を抜ける頃に、セーフティゾーンで他の冒険者の方達と遭遇した。ビアンカとルージュ、魔法馬のノワールを連れた私達には不審者を見る目だ。ただ、足を怪我をした人がいて、治療中。余計に警戒したようだった。私が中級ポーションが必要か聞くと、譲って欲しいと。1本渡し、金貨5枚もらう。
「あの、多いですよ」
「こんなダンジョンの中で、ポーションを譲ってもらうならこれくらいなら正当額だぞ。あんた、もっとふっかけてもいいくらいだ」
がっちりとした男性、パーティーのリーダーさんが金貨5枚を私に押し付けて、呆れたように言う。
「そうなんですか?」
冷蔵庫ダンジョンでかなり多量のポーションを得たから、まだまだ余裕があるけど。
だけど、金貨5枚はもらいすぎな気がする。
なので、お茶を配ることに。足を怪我した人も、落ち着いたしね。
「どうぞ、どうぞ」
「す、すまない。ポーションを譲ってもらったのに」
「気にしないでください」
「だが、あんた達の水は大丈夫なのか」
「はい。魔法の水筒がありますから」
ストレートティーとリンゴジュースを配る。お茶菓子付き。
「ああ、生き返る…………」
しみじみと呟く皆さん。なんでも軍隊ダンジョンに潜って1ヶ月と。食べる事が出来るのは、硬い黒パンにカチカチビスケット、干し肉、ドライフルーツだ。たまに角ウサギや鹿系、猪系の肉で繋いでいたと。だから、ストレートティーやリンゴジュースでも美味しく感じたんだね。
それからお乳に吸い付いている仔達を見て、ほのぼのしている。
「あんたの従魔はすごいが、こう見ていると魔物も母親なんだな」
しみじみ。
「皆さん。休まれたら進むんですか?」
「いや、今から帰る途中なんだ。29階でワニにやられたからな。ああ、すまん、自己紹介もしてなかったな。俺はダルダール。この『黒柊』のリーダーをしている」
がっちり男性ダルダールさんがそれぞれを紹介してくれる。
足を怪我した人は細マッチョの剣士の人族男性ビーシュさん。魔法使いのコロンフルさんは、ハーフエルフの綺麗な女性。ヒーラーの垂れ耳獣人男性ロタスさん。見習い剣士の人族のワルド君。
「まだ、食料やポーションには余裕があるが、帰りを考えると引くべきだと思ってな。また、挑戦すればいいだけの話」
ダルダールさんはもうちょい、行きたかったそうだが、ビーシュさんがケガをしたことで、後退することを決断したと。こういった引き際の判断が、パーティーの生存率を左右するそうだ。
引き際、いい言葉だ。
うちは、ギリギリまで引き伸ばす傾向があるからね。聞いてます? ビアンカさんや、ルージュさんや。
しばらく休憩。仔達はお昼寝に入ってしまった。
で、うちの稼ぎ頭は散歩と言って駆けていく。セーフティゾーンだから、大丈夫だけど、ルージュの光のリンゴを出してもらう。魔法使いのコロンフルさんが、汗を流している。
「普通、1個とか2個なのよ…………」
10くらい漂ってます。しかも疲れた様子もないルージュに、流石クリムゾンジャガーと呟いている。
しばらくしてダルダールさん達が立ち上がる。ビーシュさんも自分で立ち上がる。
「しかし、本当に助かった。ポーションはあっても、中級をちょうど切らせてたし、ロタスの魔力も残り少なかったからな。本当に感謝する。もし、街であったら声をかけてくれ」
「はい、ありがとうございます。皆さん、お気をつけて」
感想 867
あなたにおすすめの小説
「今日限りで君を解雇する」――20年仕えた地味なメイドですが、料理も手紙も暗殺者対策も私がやっていました
「エナメル。今日限りで君を解雇する」
20年仕えた屋敷をクビになった、地味なエルフのメイド・エナメル。
だが、晩餐会の料理も、侯爵への手紙も、調度品の手配も、屋敷を狙う暗殺者の処理も――すべて彼女が陰で支えていたものだった。
エナメルが去ったあと、屋敷は少しずつ綻び始める。
一方の本人は、そんなことも知らず。
「さて。次はどこで雇っていただきましょう」
地味で目立たないベテランメイド・エナメルの、新しい奉公先探しが始まる。
※本作は『メイドのエナメルは今日も静かにお仕えします』シリーズの第1作です。本作単体でもお楽しみいただけます。
異世界転移した僕と彼のスキルは「貯金箱」と「犬」だったので即追放。でもこれが意外と強かった
高校の英語の授業中、勇者召喚で僕たちクラスメイト7名は異世界にやって来た。
目的は魔王討伐では無くて、高難易度ダンジョンの封印?!
でも僕ユイトのスキルは「貯金箱」、エイジは「犬」。
役立たず認定で、二人とも城を追放されてしまった。
のんびり暮らそうとしたけどそうもいかなくなって。
僕たちは奇妙なスキルを駆使して異世界で生き延びる。
緩~いファンタージ物語です。のんびりと書いていきます。
本文はなるべく簡潔に、サクサク進むようにしています。
暇つぶしに読んでいただいて、楽しんでくださると嬉しいです。
なろう様にも投稿。
捨てられた幼女ですが、公爵家に拾われたら家族みんなの愛が重すぎました
幼い頃に母親に捨てられ、孤児院で暮らしていた少女リリア。
「役に立たなければ、また捨てられる」
そう思い、いつも“いい子”でいようとしていた彼女は、ある日、公爵家の馬車を助けたことをきっかけに屋敷へ招かれる。
そこで待っていたのは、娘に甘すぎる公爵夫妻に、妹を構いたがるレオン、そしてリリアを甘やかしたい使用人たち。
戸惑いながらも、少しずつ公爵家に居場所を見つけていくリリア。やがて夫妻から「私たちの娘になってほしい」と告げられて――。
これは、捨てられないために“いい子”でいようとしていた少女が、重すぎるほどの愛情に包まれ、本当の家族を見つけていく物語。
初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました
夫婦となって初めて迎えた夜、セレンティアは夫リオールから「俺には、愛する人がいる」と告げられる。
彼が初夜を済ませた理由は、三年後に白い結婚として婚姻無効を申し立てられないようにするためだった。
けれどリオールは知らなかった。セレンティアの祝福《一日回帰》が、自分自身の身体にも使えることを。
セレンティアは自分の身体の時間を一日前へ戻し、三年間、侯爵家の妻として務めを果たすことを決める。
夫に愛されるためではない。三年後、白い結婚としてこの家を出ていくために。
番の証が出ないと捨てられたので、神様に確かめてもらいます
「番の証が出ぬからだ」
和平のために獣人国へ嫁いで四年。獣王ガイウス様との儀式は三度、三度とも証は出ませんでした。「人間の娘では神は認めぬ」——そう言われて、離宮へ。
雨漏りの下で眠り、井戸をさらい、畑を耕して。泣かなかったのは強いからではありません。獣人には、匂いでわかってしまうから。
嫁ぐ前に三年かけて読み込んだ婚姻法典。その第四章に、こうありました。
『既に誓いを結びたる者が、重ねて他者と誓いを立てんとする時、神は後の誓いを認めず』
——証が出なかったのは、わたしが人間だからではない。
長老会に申し立てたのは、解釈の確認だけ。わたしは悪くない、とは一言も書きませんでした。
遡誓の儀で神殿に浮かんだのは、六年前の秋の「成立」と、わたしの三度の「不成立(重複)」でした。
飛べないと捨てられたので、竜ごと出て行きます
「お前は竜に乗れもしない、ただの妻だろう」
竜騎士団長の夫はそう言って、飛べる従騎士の娘を選びましたわ。
ええ、わたくしは飛べません。十二年、地上におりました。
夜明け前に三十一頭の寝息を数え、歯を磨き、爪の砂を取り、冬に毛布を掛け、契約を編んで。——この国でただひとりの「調律者」として。
竜は、人を乗せない生き物ですのよ。竜自身が「乗せてもいい」と決めない限り。そして竜が誰の言葉で頷いてきたか、あの方は十二年、一度もお考えにならなかった。
離縁されて、わたくしは竜舎を出ました。
三日後から、竜は一頭も飛ばなくなりましたの。
怒っているのではありませんのよ。竜は報復をしませんもの。ただ——寂しいのです。
そして来月は、三年に一度の、契約更新日ですわ。
土下座する王妃の座などいらないので、冒険者に転職します。
「私が愛しているのはエルナ。君だけだ」
エルナは自分の夫でありハーメルン王国の国王であるカメルを愛していた。
彼がどれほど自分より隣国の聖女を優先しようとも。
結婚して二年が経っても初夜を迎えたことがなかろうとも。
しかし。
「エルナ。君に失望した。聖女を陥れていじめるとはな。罪を認め、ひざまずいて謝罪するように」
一年に一度の建国記念宴会であり結婚記念日に、カメルはすべての貴族や外国の使節団が見ている前で、エルナに身に覚えのない罪を認めろと断罪した。
愛が壊れるのは一瞬。
だからこそ、エルナはその場でひざまずいた。頭を地面にこすりつけて謝罪した。
「聖女を陰謀にかけた大罪人エルナは、この時間をもって王妃の座から退き、平民となりますことをお許しください。聖女様とどうかお幸せに」
*ゆるい設定です。不快に思われる方はブラウザバックをお願いします。
婚約破棄を受け入れた瞬間、王太子殿下が青ざめました
王都でもっとも華やかな春の夜会。その中央で、王太子エドワードは冷ややかな目を婚約者へ向けていた。
「リリアーナ・フォン・アルベルト公爵令嬢。君との婚約を、ここで破棄する」
会場が一瞬で静まり返る。
リリアーナは淡い金髪を揺らし、静かに王太子を見つめ返した。
「理由を、お聞きしてもよろしいでしょうか」
「理由など明白だ。君は嫉妬深く、心が狭い。それに比べ、私は真実の愛を見つけた」
そう言ってエドワードが隣へ引き寄せたのは、男爵令嬢のセシリアだった。