文字の大きさ
大
中
小
120 / 878
連載
軍隊ダンジョン②
黒柊の皆さんを見送り、うつらうつらしているとビアンカとルージュが戻ってくる。
なんか咥えてる。
ビアンカは鹿系の角、ルージュはなんと小ぶりの宝箱だった。
『罠はないわ』
「そうね」
ワクワクしながら開ける。中身は現金、金貨が50枚。ビアンカとルージュの食費にしよう。
その日は、セーフティゾーンから少し離れた場所で、ルームを開けた。
カレーライスの夕御飯を済ませて、明日の準備。明日は沼地のフィールドのはず。長靴オッケー。
ただ、ぴすぴす、鼻息を出して寝ている元気達をどうするかだ。安全第一ならルームに避難だけど、他の冒険者の方と鉢合わせると、いろいろ厄介なんだよね。
『ユイ、あのバギーと言うのに、乗せたらいいのです』
「いや、沼地やから、進まんよ」
『私がどうにかするのです』
頼もしかあ。
次の日、いざ、沼地フィールドに。
うん、湿地帯みたいや。ワニ、出そうだし、蚋みたいなのが漂ってる。うわあ、イヤやあ。
「ビアンカ、どうすると?」
『ちょっと待ってなのです。ふー、はあぁぁぁっ』
ビアンカが前肢を一歩前に出すと、地面が一気に凍りつく。
『ふう、長く続かないのです。急ぐのです』
「は、はいはい。晃太、バギー」
「ん」
バギーを出すと、ルリ、クリス、ヒスイはすぐに乗った。元気とコハクは、いつもは降りたそうだが、地面が凍りついたので、大人しくバギーの中に。一杯一杯だ。
晃太の支援を受けて急ぎ足で、駆け抜ける。転けそうや。途中でワニやら蚋が来たが、我らのビアンカとルージュに勝てる分けない。
大半のドロップ品は沼地に落ちたので諦める。ビアンカが魔法で道を延長し、ルージュが方角を確認して最短距離で進めた。昼前でやっと30階直前のセーフティゾーンに。ああ、疲れた。多分普通に進んだら何日もかかるんだろうなあ。
軽く麦美ちゃんのパンでお昼にして、30階に移動する。
『今日中にボス部屋行きたいのです』
『そうね。あっちよ』
「はいはい」
同じ要領で、駆け抜ける。
皆、バギーの中で呑気に寝ているが、逆にありがたい。
夕方にやっと、ボス部屋に。周りは沼地なのに、鋼鉄の扉だ。
つ、疲れた。足が、ぱんぱんや。
『ユイ、ボス部屋行くのです』
『行きましょう、早く、行きましょう』
「ブヒヒンッ。ブヒヒンッ」
「ちょっと、待ってん」
走り抜けたので、私はヘトヘトだ。とりあえず、すぐ近くのセーフティゾーンに。
「一回だけにしてよ。私、疲れとるけん。ノワールはダメよ、巻き込まれそうやからね」
「ブヒヒーンッ」
『ノワール、ここで待っているのです』
『残りなさいノワール』
「ブヒヒン…………」
とぼとぼ、私の元に。ルージュが音が出るだろうからと、まだお眠の仔達に魔法をかける。
それから扉はルージュが開けて、ビアンカが雷女帝(エル・カテリーナ)で飛び込む。
ちゅどおおおおおんっ
ちゅどおおおおおんっ
ちゅどおおおおおんっ
ビアンカがとことこ出てくる。終わりましたか。
『ユイ、コウタ、2匹残しているのです。どうぞなのです』
いらん、気遣いッ。
バギーをルージュに託し、渋い顔の晃太とそっとボス部屋を覗く。
「カブトムシやな」
「そうやな」
ただし、サイズがおかしか。色んなドロップ品が転がっている中で、見上げるように巨体のカブトムシが2匹。あちこちから煙が上がっている。
『ユイ、コウタ、早くしないと消えるのです』
「「ひー」」
ビビりながら、フライパン片手に近付く。
「ビアンカッ、近くにおってね」
『もう虫の息なのです』
「虫だけにねッ」
晃太が突っ込み。
ひーっ、フライパンでちょいちょい。
すると、でっかいカブトムシが消える。
てってれってー。
【レベル47にアップしました】
【レベル48にアップしました】
【ルーム レベル28にアップしました。HP3000追加】
てってれってー。
【レベル49にアップしました】
フライパンちょいちょいで、レベルが上がったよ。凄い罪悪感。
「晃太、上がったね?」
「34や。姉ちゃんは?」
「49や」
「後一歩やな」
よかとしよう。
ドロップ品を拾いながら、晃太がぽつり。
「ビアンカが仕留められんって珍しかな」
「あ、そうやな」
『この魔物は、雷と少し相性が悪かったのです。角で雷を地面に流してダメージを減らしたのです』
「避雷針にしたわけね」
なるほど。
『もう一撃叩き込んだら倒せたのですが、ユイとコウタのレベルをあげないと、神様からヒントを頂けないのです』
そうやったね。
とにかく、今はドロップ品を拾う。
角や甲羅に魔石だ。
〆に出てきた宝箱。
ルージュにチェックしてもらう。
『罠があるわ、待ってね。はい、大丈夫よ』
ぱきり、と音を立てる。
「ありがとうルージュ、晃太、どうぞ」
「ん」
開けると金塊が。おお、宝箱感が。
全部、晃太のアイテムボックスへ。
「えっとなあ、角が13、角大が2、甲羅大小合わせて49、魔石37、大魔石が4や」
「ん、よし。お疲れ様。さ、今日はおしまいよ。ルームに入ろう」
「そやなあ」
それで終わるわけはなかったけどね。
なんか咥えてる。
ビアンカは鹿系の角、ルージュはなんと小ぶりの宝箱だった。
『罠はないわ』
「そうね」
ワクワクしながら開ける。中身は現金、金貨が50枚。ビアンカとルージュの食費にしよう。
その日は、セーフティゾーンから少し離れた場所で、ルームを開けた。
カレーライスの夕御飯を済ませて、明日の準備。明日は沼地のフィールドのはず。長靴オッケー。
ただ、ぴすぴす、鼻息を出して寝ている元気達をどうするかだ。安全第一ならルームに避難だけど、他の冒険者の方と鉢合わせると、いろいろ厄介なんだよね。
『ユイ、あのバギーと言うのに、乗せたらいいのです』
「いや、沼地やから、進まんよ」
『私がどうにかするのです』
頼もしかあ。
次の日、いざ、沼地フィールドに。
うん、湿地帯みたいや。ワニ、出そうだし、蚋みたいなのが漂ってる。うわあ、イヤやあ。
「ビアンカ、どうすると?」
『ちょっと待ってなのです。ふー、はあぁぁぁっ』
ビアンカが前肢を一歩前に出すと、地面が一気に凍りつく。
『ふう、長く続かないのです。急ぐのです』
「は、はいはい。晃太、バギー」
「ん」
バギーを出すと、ルリ、クリス、ヒスイはすぐに乗った。元気とコハクは、いつもは降りたそうだが、地面が凍りついたので、大人しくバギーの中に。一杯一杯だ。
晃太の支援を受けて急ぎ足で、駆け抜ける。転けそうや。途中でワニやら蚋が来たが、我らのビアンカとルージュに勝てる分けない。
大半のドロップ品は沼地に落ちたので諦める。ビアンカが魔法で道を延長し、ルージュが方角を確認して最短距離で進めた。昼前でやっと30階直前のセーフティゾーンに。ああ、疲れた。多分普通に進んだら何日もかかるんだろうなあ。
軽く麦美ちゃんのパンでお昼にして、30階に移動する。
『今日中にボス部屋行きたいのです』
『そうね。あっちよ』
「はいはい」
同じ要領で、駆け抜ける。
皆、バギーの中で呑気に寝ているが、逆にありがたい。
夕方にやっと、ボス部屋に。周りは沼地なのに、鋼鉄の扉だ。
つ、疲れた。足が、ぱんぱんや。
『ユイ、ボス部屋行くのです』
『行きましょう、早く、行きましょう』
「ブヒヒンッ。ブヒヒンッ」
「ちょっと、待ってん」
走り抜けたので、私はヘトヘトだ。とりあえず、すぐ近くのセーフティゾーンに。
「一回だけにしてよ。私、疲れとるけん。ノワールはダメよ、巻き込まれそうやからね」
「ブヒヒーンッ」
『ノワール、ここで待っているのです』
『残りなさいノワール』
「ブヒヒン…………」
とぼとぼ、私の元に。ルージュが音が出るだろうからと、まだお眠の仔達に魔法をかける。
それから扉はルージュが開けて、ビアンカが雷女帝(エル・カテリーナ)で飛び込む。
ちゅどおおおおおんっ
ちゅどおおおおおんっ
ちゅどおおおおおんっ
ビアンカがとことこ出てくる。終わりましたか。
『ユイ、コウタ、2匹残しているのです。どうぞなのです』
いらん、気遣いッ。
バギーをルージュに託し、渋い顔の晃太とそっとボス部屋を覗く。
「カブトムシやな」
「そうやな」
ただし、サイズがおかしか。色んなドロップ品が転がっている中で、見上げるように巨体のカブトムシが2匹。あちこちから煙が上がっている。
『ユイ、コウタ、早くしないと消えるのです』
「「ひー」」
ビビりながら、フライパン片手に近付く。
「ビアンカッ、近くにおってね」
『もう虫の息なのです』
「虫だけにねッ」
晃太が突っ込み。
ひーっ、フライパンでちょいちょい。
すると、でっかいカブトムシが消える。
てってれってー。
【レベル47にアップしました】
【レベル48にアップしました】
【ルーム レベル28にアップしました。HP3000追加】
てってれってー。
【レベル49にアップしました】
フライパンちょいちょいで、レベルが上がったよ。凄い罪悪感。
「晃太、上がったね?」
「34や。姉ちゃんは?」
「49や」
「後一歩やな」
よかとしよう。
ドロップ品を拾いながら、晃太がぽつり。
「ビアンカが仕留められんって珍しかな」
「あ、そうやな」
『この魔物は、雷と少し相性が悪かったのです。角で雷を地面に流してダメージを減らしたのです』
「避雷針にしたわけね」
なるほど。
『もう一撃叩き込んだら倒せたのですが、ユイとコウタのレベルをあげないと、神様からヒントを頂けないのです』
そうやったね。
とにかく、今はドロップ品を拾う。
角や甲羅に魔石だ。
〆に出てきた宝箱。
ルージュにチェックしてもらう。
『罠があるわ、待ってね。はい、大丈夫よ』
ぱきり、と音を立てる。
「ありがとうルージュ、晃太、どうぞ」
「ん」
開けると金塊が。おお、宝箱感が。
全部、晃太のアイテムボックスへ。
「えっとなあ、角が13、角大が2、甲羅大小合わせて49、魔石37、大魔石が4や」
「ん、よし。お疲れ様。さ、今日はおしまいよ。ルームに入ろう」
「そやなあ」
それで終わるわけはなかったけどね。
感想 867
あなたにおすすめの小説
「今日限りで君を解雇する」――20年仕えた地味なメイドですが、料理も手紙も暗殺者対策も私がやっていました
「エナメル。今日限りで君を解雇する」
20年仕えた屋敷をクビになった、地味なエルフのメイド・エナメル。
だが、晩餐会の料理も、侯爵への手紙も、調度品の手配も、屋敷を狙う暗殺者の処理も――すべて彼女が陰で支えていたものだった。
エナメルが去ったあと、屋敷は少しずつ綻び始める。
一方の本人は、そんなことも知らず。
「さて。次はどこで雇っていただきましょう」
地味で目立たないベテランメイド・エナメルの、新しい奉公先探しが始まる。
※本作は『メイドのエナメルは今日も静かにお仕えします』シリーズの第1作です。本作単体でもお楽しみいただけます。
異世界転移した僕と彼のスキルは「貯金箱」と「犬」だったので即追放。でもこれが意外と強かった
高校の英語の授業中、勇者召喚で僕たちクラスメイト7名は異世界にやって来た。
目的は魔王討伐では無くて、高難易度ダンジョンの封印?!
でも僕ユイトのスキルは「貯金箱」、エイジは「犬」。
役立たず認定で、二人とも城を追放されてしまった。
のんびり暮らそうとしたけどそうもいかなくなって。
僕たちは奇妙なスキルを駆使して異世界で生き延びる。
緩~いファンタージ物語です。のんびりと書いていきます。
本文はなるべく簡潔に、サクサク進むようにしています。
暇つぶしに読んでいただいて、楽しんでくださると嬉しいです。
なろう様にも投稿。
捨てられた幼女ですが、公爵家に拾われたら家族みんなの愛が重すぎました
幼い頃に母親に捨てられ、孤児院で暮らしていた少女リリア。
「役に立たなければ、また捨てられる」
そう思い、いつも“いい子”でいようとしていた彼女は、ある日、公爵家の馬車を助けたことをきっかけに屋敷へ招かれる。
そこで待っていたのは、娘に甘すぎる公爵夫妻に、妹を構いたがるレオン、そしてリリアを甘やかしたい使用人たち。
戸惑いながらも、少しずつ公爵家に居場所を見つけていくリリア。やがて夫妻から「私たちの娘になってほしい」と告げられて――。
これは、捨てられないために“いい子”でいようとしていた少女が、重すぎるほどの愛情に包まれ、本当の家族を見つけていく物語。
初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました
夫婦となって初めて迎えた夜、セレンティアは夫リオールから「俺には、愛する人がいる」と告げられる。
彼が初夜を済ませた理由は、三年後に白い結婚として婚姻無効を申し立てられないようにするためだった。
けれどリオールは知らなかった。セレンティアの祝福《一日回帰》が、自分自身の身体にも使えることを。
セレンティアは自分の身体の時間を一日前へ戻し、三年間、侯爵家の妻として務めを果たすことを決める。
夫に愛されるためではない。三年後、白い結婚としてこの家を出ていくために。
番の証が出ないと捨てられたので、神様に確かめてもらいます
「番の証が出ぬからだ」
和平のために獣人国へ嫁いで四年。獣王ガイウス様との儀式は三度、三度とも証は出ませんでした。「人間の娘では神は認めぬ」——そう言われて、離宮へ。
雨漏りの下で眠り、井戸をさらい、畑を耕して。泣かなかったのは強いからではありません。獣人には、匂いでわかってしまうから。
嫁ぐ前に三年かけて読み込んだ婚姻法典。その第四章に、こうありました。
『既に誓いを結びたる者が、重ねて他者と誓いを立てんとする時、神は後の誓いを認めず』
——証が出なかったのは、わたしが人間だからではない。
長老会に申し立てたのは、解釈の確認だけ。わたしは悪くない、とは一言も書きませんでした。
遡誓の儀で神殿に浮かんだのは、六年前の秋の「成立」と、わたしの三度の「不成立(重複)」でした。
飛べないと捨てられたので、竜ごと出て行きます
「お前は竜に乗れもしない、ただの妻だろう」
竜騎士団長の夫はそう言って、飛べる従騎士の娘を選びましたわ。
ええ、わたくしは飛べません。十二年、地上におりました。
夜明け前に三十一頭の寝息を数え、歯を磨き、爪の砂を取り、冬に毛布を掛け、契約を編んで。——この国でただひとりの「調律者」として。
竜は、人を乗せない生き物ですのよ。竜自身が「乗せてもいい」と決めない限り。そして竜が誰の言葉で頷いてきたか、あの方は十二年、一度もお考えにならなかった。
離縁されて、わたくしは竜舎を出ました。
三日後から、竜は一頭も飛ばなくなりましたの。
怒っているのではありませんのよ。竜は報復をしませんもの。ただ——寂しいのです。
そして来月は、三年に一度の、契約更新日ですわ。
土下座する王妃の座などいらないので、冒険者に転職します。
「私が愛しているのはエルナ。君だけだ」
エルナは自分の夫でありハーメルン王国の国王であるカメルを愛していた。
彼がどれほど自分より隣国の聖女を優先しようとも。
結婚して二年が経っても初夜を迎えたことがなかろうとも。
しかし。
「エルナ。君に失望した。聖女を陥れていじめるとはな。罪を認め、ひざまずいて謝罪するように」
一年に一度の建国記念宴会であり結婚記念日に、カメルはすべての貴族や外国の使節団が見ている前で、エルナに身に覚えのない罪を認めろと断罪した。
愛が壊れるのは一瞬。
だからこそ、エルナはその場でひざまずいた。頭を地面にこすりつけて謝罪した。
「聖女を陰謀にかけた大罪人エルナは、この時間をもって王妃の座から退き、平民となりますことをお許しください。聖女様とどうかお幸せに」
*ゆるい設定です。不快に思われる方はブラウザバックをお願いします。
婚約破棄を受け入れた瞬間、王太子殿下が青ざめました
王都でもっとも華やかな春の夜会。その中央で、王太子エドワードは冷ややかな目を婚約者へ向けていた。
「リリアーナ・フォン・アルベルト公爵令嬢。君との婚約を、ここで破棄する」
会場が一瞬で静まり返る。
リリアーナは淡い金髪を揺らし、静かに王太子を見つめ返した。
「理由を、お聞きしてもよろしいでしょうか」
「理由など明白だ。君は嫉妬深く、心が狭い。それに比べ、私は真実の愛を見つけた」
そう言ってエドワードが隣へ引き寄せたのは、男爵令嬢のセシリアだった。