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偽善者①
晃太の支援魔法のスキルアップの依頼は順調だ。毎回受けてくれる冒険者パーティーの皆さんいい方ばかりだ。
『ルベル・アケル』の後に引き受けてくれたのは、御用聞きでお世話になった『クラベル』だった。『クラベル』はCランクパーティーの為、かなりの戦力がある。なんとノワールが開けた20階のヘビ部屋にも挑戦して、無事に終了した。
流石だなあ。
パチパチ。パチパチしながら、疲れた様子の晃太を連れてボス部屋の外に出る。
近くのセーフティゾーンで、ごろりとしたビアンカに寄りかかって休む晃太。私はアイテムボックスからお茶を出して飲ませる。20階ともなると中々他の冒険者パーティーは見かけない。
しばらくして『クラベル』の皆さんが出てきた。
改めて『クラベル』は総勢6人。
リーダーのアーロンさんは細マッチョの人族剣士。火・無属性魔法で身体強化をメインにしている。サブ・リーダーのブルーノさんはごついマッチョの人族男性。タンクだそうで、無属性魔法で身体強化が主。中年男性はフィトさん、パーティーの中でもベテランで、斥候で弓と剣を使う。もちろん無属性魔法を使え、発動系、発現系を使える。エリアナさんは魔法使い、見た目私くらいの人族だが、お祖母さんがエルフだそうで、なんとびっくり50歳。パーティー最年長。風・水・闇の魔法を使い、ランクもBランク直前だそうな。そして新人の狐の獣人のクロエちゃんは火魔法を使う剣士、垂れ耳の犬の獣人剣士のルーベン君。
でもって、皆さんよく食べる。
寒いから今日のお昼はトマト鍋にしたら、汁が一滴も残らなかった。一番大きな土鍋で、10人前位の量で、〆はリゾットにしてみた。まあ、美味しくないからって、残されるよりましかな。〆のリゾットに、胡椒をガリガリすると、噴き出された。
「ユ、ユイさん、それ胡椒ですよね? そんな高級品………」
「あ、これですか? 以前安く譲ってもらったんです。気にされないで下さい。さ、冷めますよ」
リゾットは瞬でなくなった、瞬で、良かった。
「皆さん、お疲れ様です」
出てきた皆さんに私はお茶を出す。
「ユイさん、ありがとうございます。コウタさんは、大丈夫ですか?」
リーダーのアーロンさんがお茶を受けとりながら、休んでいる晃太を心配してくれる。
「はい、すぐよくなりますから」
お茶を飲みながら答える晃太。
「しかし、本当にコウタさんの支援魔法はすごいですね」
「皆さんの基礎能力が高いからですよ」
「ご謙遜を」
アーロンさん曰く、ヘビ部屋に『クラベル』が挑むと、こうも簡単には終わらないと。しかもノワールが開けているので、数は倍だ。もちろんビアンカとルージュに、必要時援護してもらっているけど。
「だが、このままいくといざと言う時に、実力を見誤りそうだな」
フィトさんがポツリ。
「何でです?」
「コウタさんの支援があるからと、何時もより前に出て戦えるが、普段は支援なんてない。このままの感覚で、依頼を終わった後の戦闘に注意しなくてはならないと、痛い目に遭うってことですよ」
「な、なるほど」
依頼の直後に注意しないといけないわけか。
『ねえ、ユイ。ノワールが走りたいって。行ってきてもいいかしら?』
ルージュが鼻先を押し付けてくる。
「よかよ、他の冒険者の皆さんに迷惑にならんようにね。あんまり遅くならんでよ」
『分かっているわ』
私はルージュの首にマジックバッグを下げる。ルージュがノワールを連れて、颯爽と走っていく。
しばらく晃太の様子を気にしたり、雑談して過ごしていると、ボス部屋の扉が閉まる。まだ、『クラベル』の皆さんの魔力は回復していないので、我等のビアンカとルージュが挑むことに。ノワールとルージュは私が呼ぶと、数分で戻って来る。
で、ちゅどん、どかん。
直視したくないけど、色々拾う。
最後に出てきた宝箱、ルージュがチェック、罠なし。開けるとお馴染み平べったいビロードの箱。見せてもらったら、小粒のダイヤモンドが並んでいる。キラキラ。
そのダイヤモンドを囲んで、皆さんがごそごそ相談している。
「いいのか?」
「いいさ、フィトのかみさんには、お世話になってんだから」
なんでもフィトさんの奥さんは一般人だが、破れた服を繕ってくれたり、パーティーの財政が厳しい時には色々お世話してくれたそうで。ダイヤモンドの1つを指輪かネックレスにして、プレゼントすることに決まった。フィトさん、嬉しそうだ。
まだ、14:20。どうしようか悩むと、ビアンカとルージュが21階に行きたいと。元気達の牛乳だ。
相談すると、快く了承してくれた。
「こんな好条件の依頼はそうないですしね。俺達にできることならなんでもいってください」
アーロンさんが言うと、皆さん頷いてくれる。
そのまま21階に移動、まっすぐボス部屋に。
「ブヒヒンッ」
『落ち着くのですノワール』
『そうよ、私達が開けるから、数が多いし、晃太の支援も効かないんだから』
あのね、お二人さん。
退屈だ、暇だと、ノワール連れて走り回って、順調に晃太とのレベルの差が空いているんですがね。現在私のレベルは62、晃太が54、ノワールが170。
「ノワール、おとなしくしとかんね。危なかよ」
「ブヒヒン…………」
く、ノワールの哀愁漂う目に、くらり。ビアンカとルージュもくらり。
『仕方ないのです』
『もう、しょうがないわね』
「ブヒヒーンッ」
結局、ビアンカ、ルージュ、ノワールでちゅどん、どかん、バキバキ。
半端ない数のドロップ品集めを、アーロンさん達が手伝ってくれた。
「あの、食べちゃってます」
クロエちゃんがおずおず教えてくれる。ビアンカとルージュがチーズを痛快丸かじりしている。
「よかよ、たくさんあるしね。ビアンカとルージュのおかげやしね」
「は、はい」
全部拾って、と。晃太のアイテムボックスに全て収まる。
最後に出てきた宝箱もルージュがチェック、罠なし。開けると小さなビロードの箱。指輪サイズだ。
アーロンさんに渡そうとすると、微妙な顔された。
「何もしていないんですが」
「そう言った依頼内容ですから」
と、私はビロードの箱をアーロンさんに。
開けると、皆さん息を止める。
私も見せてもらうと、エメラルドに回りを極小粒のダイヤモンドが囲む指輪とピアスが。
あら、素敵。
「綺麗」
「高そう」
クロエちゃんとルーベン君ははしゃいでいる。
「あの、ユイさん、流石にこれは………」
「あ、大丈夫です。どうぞどうぞ」
返そうとするアーロンさんのごつい手を押し返す。
無事に受け取ってくれた。
それから20階に戻り、脱出用魔法陣で冷蔵庫ダンジョンを出た。
期限の2週間が無事に終了。
来週はビアンカとルージュの希望で、上層階に向かうことになる。次回の依頼も『クラベル』が受けてくれることになった。依頼書の手配も済み。
「では、皆さんありがとうございました。次もお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
ギルド前で別れて、パーティーハウスに戻る。
その途中で、
『ユイ』
『童達がついてきてるわ』
「童? 子供ね」
『敵意はないのです』
『すごく焦っているわ』
ビアンカとルージュが教えてくれる。
振り返ると、そこに3人の中学生位の男の子。多分こちらでは成人している年頃だろうが、私にしてみたら子供だ。皆驚いた顔をし、ずいぶんみすぼらしい格好だ。
「どうしたんね?」
私が声をかけると、真ん中の男の子が一瞬詰まったが、一歩前に。
「お、お願いしますッ、貴女が出している依頼に、俺達も参加させてくださいッ」
「「お願いしますッ」」
一斉に頭を下げる。
なんだ、なんだ、ずいぶん切羽詰まった様子だけど。
悪い子ではない様だし、話くらい聞いてもいいかな。
「どうしたの?」
「実は、実は、まとまったお金が必要で………」
真ん中の子が、言いくそうに、話し出す。
「俺達の孤児院が、大変なことになってて」
「え? 教会の孤児院?」
たしか、まだ、工事中のはず。
「違います、そっちじゃないんです。スラム街の孤児院です。無認可の」
『ルベル・アケル』の後に引き受けてくれたのは、御用聞きでお世話になった『クラベル』だった。『クラベル』はCランクパーティーの為、かなりの戦力がある。なんとノワールが開けた20階のヘビ部屋にも挑戦して、無事に終了した。
流石だなあ。
パチパチ。パチパチしながら、疲れた様子の晃太を連れてボス部屋の外に出る。
近くのセーフティゾーンで、ごろりとしたビアンカに寄りかかって休む晃太。私はアイテムボックスからお茶を出して飲ませる。20階ともなると中々他の冒険者パーティーは見かけない。
しばらくして『クラベル』の皆さんが出てきた。
改めて『クラベル』は総勢6人。
リーダーのアーロンさんは細マッチョの人族剣士。火・無属性魔法で身体強化をメインにしている。サブ・リーダーのブルーノさんはごついマッチョの人族男性。タンクだそうで、無属性魔法で身体強化が主。中年男性はフィトさん、パーティーの中でもベテランで、斥候で弓と剣を使う。もちろん無属性魔法を使え、発動系、発現系を使える。エリアナさんは魔法使い、見た目私くらいの人族だが、お祖母さんがエルフだそうで、なんとびっくり50歳。パーティー最年長。風・水・闇の魔法を使い、ランクもBランク直前だそうな。そして新人の狐の獣人のクロエちゃんは火魔法を使う剣士、垂れ耳の犬の獣人剣士のルーベン君。
でもって、皆さんよく食べる。
寒いから今日のお昼はトマト鍋にしたら、汁が一滴も残らなかった。一番大きな土鍋で、10人前位の量で、〆はリゾットにしてみた。まあ、美味しくないからって、残されるよりましかな。〆のリゾットに、胡椒をガリガリすると、噴き出された。
「ユ、ユイさん、それ胡椒ですよね? そんな高級品………」
「あ、これですか? 以前安く譲ってもらったんです。気にされないで下さい。さ、冷めますよ」
リゾットは瞬でなくなった、瞬で、良かった。
「皆さん、お疲れ様です」
出てきた皆さんに私はお茶を出す。
「ユイさん、ありがとうございます。コウタさんは、大丈夫ですか?」
リーダーのアーロンさんがお茶を受けとりながら、休んでいる晃太を心配してくれる。
「はい、すぐよくなりますから」
お茶を飲みながら答える晃太。
「しかし、本当にコウタさんの支援魔法はすごいですね」
「皆さんの基礎能力が高いからですよ」
「ご謙遜を」
アーロンさん曰く、ヘビ部屋に『クラベル』が挑むと、こうも簡単には終わらないと。しかもノワールが開けているので、数は倍だ。もちろんビアンカとルージュに、必要時援護してもらっているけど。
「だが、このままいくといざと言う時に、実力を見誤りそうだな」
フィトさんがポツリ。
「何でです?」
「コウタさんの支援があるからと、何時もより前に出て戦えるが、普段は支援なんてない。このままの感覚で、依頼を終わった後の戦闘に注意しなくてはならないと、痛い目に遭うってことですよ」
「な、なるほど」
依頼の直後に注意しないといけないわけか。
『ねえ、ユイ。ノワールが走りたいって。行ってきてもいいかしら?』
ルージュが鼻先を押し付けてくる。
「よかよ、他の冒険者の皆さんに迷惑にならんようにね。あんまり遅くならんでよ」
『分かっているわ』
私はルージュの首にマジックバッグを下げる。ルージュがノワールを連れて、颯爽と走っていく。
しばらく晃太の様子を気にしたり、雑談して過ごしていると、ボス部屋の扉が閉まる。まだ、『クラベル』の皆さんの魔力は回復していないので、我等のビアンカとルージュが挑むことに。ノワールとルージュは私が呼ぶと、数分で戻って来る。
で、ちゅどん、どかん。
直視したくないけど、色々拾う。
最後に出てきた宝箱、ルージュがチェック、罠なし。開けるとお馴染み平べったいビロードの箱。見せてもらったら、小粒のダイヤモンドが並んでいる。キラキラ。
そのダイヤモンドを囲んで、皆さんがごそごそ相談している。
「いいのか?」
「いいさ、フィトのかみさんには、お世話になってんだから」
なんでもフィトさんの奥さんは一般人だが、破れた服を繕ってくれたり、パーティーの財政が厳しい時には色々お世話してくれたそうで。ダイヤモンドの1つを指輪かネックレスにして、プレゼントすることに決まった。フィトさん、嬉しそうだ。
まだ、14:20。どうしようか悩むと、ビアンカとルージュが21階に行きたいと。元気達の牛乳だ。
相談すると、快く了承してくれた。
「こんな好条件の依頼はそうないですしね。俺達にできることならなんでもいってください」
アーロンさんが言うと、皆さん頷いてくれる。
そのまま21階に移動、まっすぐボス部屋に。
「ブヒヒンッ」
『落ち着くのですノワール』
『そうよ、私達が開けるから、数が多いし、晃太の支援も効かないんだから』
あのね、お二人さん。
退屈だ、暇だと、ノワール連れて走り回って、順調に晃太とのレベルの差が空いているんですがね。現在私のレベルは62、晃太が54、ノワールが170。
「ノワール、おとなしくしとかんね。危なかよ」
「ブヒヒン…………」
く、ノワールの哀愁漂う目に、くらり。ビアンカとルージュもくらり。
『仕方ないのです』
『もう、しょうがないわね』
「ブヒヒーンッ」
結局、ビアンカ、ルージュ、ノワールでちゅどん、どかん、バキバキ。
半端ない数のドロップ品集めを、アーロンさん達が手伝ってくれた。
「あの、食べちゃってます」
クロエちゃんがおずおず教えてくれる。ビアンカとルージュがチーズを痛快丸かじりしている。
「よかよ、たくさんあるしね。ビアンカとルージュのおかげやしね」
「は、はい」
全部拾って、と。晃太のアイテムボックスに全て収まる。
最後に出てきた宝箱もルージュがチェック、罠なし。開けると小さなビロードの箱。指輪サイズだ。
アーロンさんに渡そうとすると、微妙な顔された。
「何もしていないんですが」
「そう言った依頼内容ですから」
と、私はビロードの箱をアーロンさんに。
開けると、皆さん息を止める。
私も見せてもらうと、エメラルドに回りを極小粒のダイヤモンドが囲む指輪とピアスが。
あら、素敵。
「綺麗」
「高そう」
クロエちゃんとルーベン君ははしゃいでいる。
「あの、ユイさん、流石にこれは………」
「あ、大丈夫です。どうぞどうぞ」
返そうとするアーロンさんのごつい手を押し返す。
無事に受け取ってくれた。
それから20階に戻り、脱出用魔法陣で冷蔵庫ダンジョンを出た。
期限の2週間が無事に終了。
来週はビアンカとルージュの希望で、上層階に向かうことになる。次回の依頼も『クラベル』が受けてくれることになった。依頼書の手配も済み。
「では、皆さんありがとうございました。次もお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
ギルド前で別れて、パーティーハウスに戻る。
その途中で、
『ユイ』
『童達がついてきてるわ』
「童? 子供ね」
『敵意はないのです』
『すごく焦っているわ』
ビアンカとルージュが教えてくれる。
振り返ると、そこに3人の中学生位の男の子。多分こちらでは成人している年頃だろうが、私にしてみたら子供だ。皆驚いた顔をし、ずいぶんみすぼらしい格好だ。
「どうしたんね?」
私が声をかけると、真ん中の男の子が一瞬詰まったが、一歩前に。
「お、お願いしますッ、貴女が出している依頼に、俺達も参加させてくださいッ」
「「お願いしますッ」」
一斉に頭を下げる。
なんだ、なんだ、ずいぶん切羽詰まった様子だけど。
悪い子ではない様だし、話くらい聞いてもいいかな。
「どうしたの?」
「実は、実は、まとまったお金が必要で………」
真ん中の子が、言いくそうに、話し出す。
「俺達の孤児院が、大変なことになってて」
「え? 教会の孤児院?」
たしか、まだ、工事中のはず。
「違います、そっちじゃないんです。スラム街の孤児院です。無認可の」
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