173 / 876
連載
偽善者①
晃太の支援魔法のスキルアップの依頼は順調だ。毎回受けてくれる冒険者パーティーの皆さんいい方ばかりだ。
『ルベル・アケル』の後に引き受けてくれたのは、御用聞きでお世話になった『クラベル』だった。『クラベル』はCランクパーティーの為、かなりの戦力がある。なんとノワールが開けた20階のヘビ部屋にも挑戦して、無事に終了した。
流石だなあ。
パチパチ。パチパチしながら、疲れた様子の晃太を連れてボス部屋の外に出る。
近くのセーフティゾーンで、ごろりとしたビアンカに寄りかかって休む晃太。私はアイテムボックスからお茶を出して飲ませる。20階ともなると中々他の冒険者パーティーは見かけない。
しばらくして『クラベル』の皆さんが出てきた。
改めて『クラベル』は総勢6人。
リーダーのアーロンさんは細マッチョの人族剣士。火・無属性魔法で身体強化をメインにしている。サブ・リーダーのブルーノさんはごついマッチョの人族男性。タンクだそうで、無属性魔法で身体強化が主。中年男性はフィトさん、パーティーの中でもベテランで、斥候で弓と剣を使う。もちろん無属性魔法を使え、発動系、発現系を使える。エリアナさんは魔法使い、見た目私くらいの人族だが、お祖母さんがエルフだそうで、なんとびっくり50歳。パーティー最年長。風・水・闇の魔法を使い、ランクもBランク直前だそうな。そして新人の狐の獣人のクロエちゃんは火魔法を使う剣士、垂れ耳の犬の獣人剣士のルーベン君。
でもって、皆さんよく食べる。
寒いから今日のお昼はトマト鍋にしたら、汁が一滴も残らなかった。一番大きな土鍋で、10人前位の量で、〆はリゾットにしてみた。まあ、美味しくないからって、残されるよりましかな。〆のリゾットに、胡椒をガリガリすると、噴き出された。
「ユ、ユイさん、それ胡椒ですよね? そんな高級品………」
「あ、これですか? 以前安く譲ってもらったんです。気にされないで下さい。さ、冷めますよ」
リゾットは瞬でなくなった、瞬で、良かった。
「皆さん、お疲れ様です」
出てきた皆さんに私はお茶を出す。
「ユイさん、ありがとうございます。コウタさんは、大丈夫ですか?」
リーダーのアーロンさんがお茶を受けとりながら、休んでいる晃太を心配してくれる。
「はい、すぐよくなりますから」
お茶を飲みながら答える晃太。
「しかし、本当にコウタさんの支援魔法はすごいですね」
「皆さんの基礎能力が高いからですよ」
「ご謙遜を」
アーロンさん曰く、ヘビ部屋に『クラベル』が挑むと、こうも簡単には終わらないと。しかもノワールが開けているので、数は倍だ。もちろんビアンカとルージュに、必要時援護してもらっているけど。
「だが、このままいくといざと言う時に、実力を見誤りそうだな」
フィトさんがポツリ。
「何でです?」
「コウタさんの支援があるからと、何時もより前に出て戦えるが、普段は支援なんてない。このままの感覚で、依頼を終わった後の戦闘に注意しなくてはならないと、痛い目に遭うってことですよ」
「な、なるほど」
依頼の直後に注意しないといけないわけか。
『ねえ、ユイ。ノワールが走りたいって。行ってきてもいいかしら?』
ルージュが鼻先を押し付けてくる。
「よかよ、他の冒険者の皆さんに迷惑にならんようにね。あんまり遅くならんでよ」
『分かっているわ』
私はルージュの首にマジックバッグを下げる。ルージュがノワールを連れて、颯爽と走っていく。
しばらく晃太の様子を気にしたり、雑談して過ごしていると、ボス部屋の扉が閉まる。まだ、『クラベル』の皆さんの魔力は回復していないので、我等のビアンカとルージュが挑むことに。ノワールとルージュは私が呼ぶと、数分で戻って来る。
で、ちゅどん、どかん。
直視したくないけど、色々拾う。
最後に出てきた宝箱、ルージュがチェック、罠なし。開けるとお馴染み平べったいビロードの箱。見せてもらったら、小粒のダイヤモンドが並んでいる。キラキラ。
そのダイヤモンドを囲んで、皆さんがごそごそ相談している。
「いいのか?」
「いいさ、フィトのかみさんには、お世話になってんだから」
なんでもフィトさんの奥さんは一般人だが、破れた服を繕ってくれたり、パーティーの財政が厳しい時には色々お世話してくれたそうで。ダイヤモンドの1つを指輪かネックレスにして、プレゼントすることに決まった。フィトさん、嬉しそうだ。
まだ、14:20。どうしようか悩むと、ビアンカとルージュが21階に行きたいと。元気達の牛乳だ。
相談すると、快く了承してくれた。
「こんな好条件の依頼はそうないですしね。俺達にできることならなんでもいってください」
アーロンさんが言うと、皆さん頷いてくれる。
そのまま21階に移動、まっすぐボス部屋に。
「ブヒヒンッ」
『落ち着くのですノワール』
『そうよ、私達が開けるから、数が多いし、晃太の支援も効かないんだから』
あのね、お二人さん。
退屈だ、暇だと、ノワール連れて走り回って、順調に晃太とのレベルの差が空いているんですがね。現在私のレベルは62、晃太が54、ノワールが170。
「ノワール、おとなしくしとかんね。危なかよ」
「ブヒヒン…………」
く、ノワールの哀愁漂う目に、くらり。ビアンカとルージュもくらり。
『仕方ないのです』
『もう、しょうがないわね』
「ブヒヒーンッ」
結局、ビアンカ、ルージュ、ノワールでちゅどん、どかん、バキバキ。
半端ない数のドロップ品集めを、アーロンさん達が手伝ってくれた。
「あの、食べちゃってます」
クロエちゃんがおずおず教えてくれる。ビアンカとルージュがチーズを痛快丸かじりしている。
「よかよ、たくさんあるしね。ビアンカとルージュのおかげやしね」
「は、はい」
全部拾って、と。晃太のアイテムボックスに全て収まる。
最後に出てきた宝箱もルージュがチェック、罠なし。開けると小さなビロードの箱。指輪サイズだ。
アーロンさんに渡そうとすると、微妙な顔された。
「何もしていないんですが」
「そう言った依頼内容ですから」
と、私はビロードの箱をアーロンさんに。
開けると、皆さん息を止める。
私も見せてもらうと、エメラルドに回りを極小粒のダイヤモンドが囲む指輪とピアスが。
あら、素敵。
「綺麗」
「高そう」
クロエちゃんとルーベン君ははしゃいでいる。
「あの、ユイさん、流石にこれは………」
「あ、大丈夫です。どうぞどうぞ」
返そうとするアーロンさんのごつい手を押し返す。
無事に受け取ってくれた。
それから20階に戻り、脱出用魔法陣で冷蔵庫ダンジョンを出た。
期限の2週間が無事に終了。
来週はビアンカとルージュの希望で、上層階に向かうことになる。次回の依頼も『クラベル』が受けてくれることになった。依頼書の手配も済み。
「では、皆さんありがとうございました。次もお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
ギルド前で別れて、パーティーハウスに戻る。
その途中で、
『ユイ』
『童達がついてきてるわ』
「童? 子供ね」
『敵意はないのです』
『すごく焦っているわ』
ビアンカとルージュが教えてくれる。
振り返ると、そこに3人の中学生位の男の子。多分こちらでは成人している年頃だろうが、私にしてみたら子供だ。皆驚いた顔をし、ずいぶんみすぼらしい格好だ。
「どうしたんね?」
私が声をかけると、真ん中の男の子が一瞬詰まったが、一歩前に。
「お、お願いしますッ、貴女が出している依頼に、俺達も参加させてくださいッ」
「「お願いしますッ」」
一斉に頭を下げる。
なんだ、なんだ、ずいぶん切羽詰まった様子だけど。
悪い子ではない様だし、話くらい聞いてもいいかな。
「どうしたの?」
「実は、実は、まとまったお金が必要で………」
真ん中の子が、言いくそうに、話し出す。
「俺達の孤児院が、大変なことになってて」
「え? 教会の孤児院?」
たしか、まだ、工事中のはず。
「違います、そっちじゃないんです。スラム街の孤児院です。無認可の」
『ルベル・アケル』の後に引き受けてくれたのは、御用聞きでお世話になった『クラベル』だった。『クラベル』はCランクパーティーの為、かなりの戦力がある。なんとノワールが開けた20階のヘビ部屋にも挑戦して、無事に終了した。
流石だなあ。
パチパチ。パチパチしながら、疲れた様子の晃太を連れてボス部屋の外に出る。
近くのセーフティゾーンで、ごろりとしたビアンカに寄りかかって休む晃太。私はアイテムボックスからお茶を出して飲ませる。20階ともなると中々他の冒険者パーティーは見かけない。
しばらくして『クラベル』の皆さんが出てきた。
改めて『クラベル』は総勢6人。
リーダーのアーロンさんは細マッチョの人族剣士。火・無属性魔法で身体強化をメインにしている。サブ・リーダーのブルーノさんはごついマッチョの人族男性。タンクだそうで、無属性魔法で身体強化が主。中年男性はフィトさん、パーティーの中でもベテランで、斥候で弓と剣を使う。もちろん無属性魔法を使え、発動系、発現系を使える。エリアナさんは魔法使い、見た目私くらいの人族だが、お祖母さんがエルフだそうで、なんとびっくり50歳。パーティー最年長。風・水・闇の魔法を使い、ランクもBランク直前だそうな。そして新人の狐の獣人のクロエちゃんは火魔法を使う剣士、垂れ耳の犬の獣人剣士のルーベン君。
でもって、皆さんよく食べる。
寒いから今日のお昼はトマト鍋にしたら、汁が一滴も残らなかった。一番大きな土鍋で、10人前位の量で、〆はリゾットにしてみた。まあ、美味しくないからって、残されるよりましかな。〆のリゾットに、胡椒をガリガリすると、噴き出された。
「ユ、ユイさん、それ胡椒ですよね? そんな高級品………」
「あ、これですか? 以前安く譲ってもらったんです。気にされないで下さい。さ、冷めますよ」
リゾットは瞬でなくなった、瞬で、良かった。
「皆さん、お疲れ様です」
出てきた皆さんに私はお茶を出す。
「ユイさん、ありがとうございます。コウタさんは、大丈夫ですか?」
リーダーのアーロンさんがお茶を受けとりながら、休んでいる晃太を心配してくれる。
「はい、すぐよくなりますから」
お茶を飲みながら答える晃太。
「しかし、本当にコウタさんの支援魔法はすごいですね」
「皆さんの基礎能力が高いからですよ」
「ご謙遜を」
アーロンさん曰く、ヘビ部屋に『クラベル』が挑むと、こうも簡単には終わらないと。しかもノワールが開けているので、数は倍だ。もちろんビアンカとルージュに、必要時援護してもらっているけど。
「だが、このままいくといざと言う時に、実力を見誤りそうだな」
フィトさんがポツリ。
「何でです?」
「コウタさんの支援があるからと、何時もより前に出て戦えるが、普段は支援なんてない。このままの感覚で、依頼を終わった後の戦闘に注意しなくてはならないと、痛い目に遭うってことですよ」
「な、なるほど」
依頼の直後に注意しないといけないわけか。
『ねえ、ユイ。ノワールが走りたいって。行ってきてもいいかしら?』
ルージュが鼻先を押し付けてくる。
「よかよ、他の冒険者の皆さんに迷惑にならんようにね。あんまり遅くならんでよ」
『分かっているわ』
私はルージュの首にマジックバッグを下げる。ルージュがノワールを連れて、颯爽と走っていく。
しばらく晃太の様子を気にしたり、雑談して過ごしていると、ボス部屋の扉が閉まる。まだ、『クラベル』の皆さんの魔力は回復していないので、我等のビアンカとルージュが挑むことに。ノワールとルージュは私が呼ぶと、数分で戻って来る。
で、ちゅどん、どかん。
直視したくないけど、色々拾う。
最後に出てきた宝箱、ルージュがチェック、罠なし。開けるとお馴染み平べったいビロードの箱。見せてもらったら、小粒のダイヤモンドが並んでいる。キラキラ。
そのダイヤモンドを囲んで、皆さんがごそごそ相談している。
「いいのか?」
「いいさ、フィトのかみさんには、お世話になってんだから」
なんでもフィトさんの奥さんは一般人だが、破れた服を繕ってくれたり、パーティーの財政が厳しい時には色々お世話してくれたそうで。ダイヤモンドの1つを指輪かネックレスにして、プレゼントすることに決まった。フィトさん、嬉しそうだ。
まだ、14:20。どうしようか悩むと、ビアンカとルージュが21階に行きたいと。元気達の牛乳だ。
相談すると、快く了承してくれた。
「こんな好条件の依頼はそうないですしね。俺達にできることならなんでもいってください」
アーロンさんが言うと、皆さん頷いてくれる。
そのまま21階に移動、まっすぐボス部屋に。
「ブヒヒンッ」
『落ち着くのですノワール』
『そうよ、私達が開けるから、数が多いし、晃太の支援も効かないんだから』
あのね、お二人さん。
退屈だ、暇だと、ノワール連れて走り回って、順調に晃太とのレベルの差が空いているんですがね。現在私のレベルは62、晃太が54、ノワールが170。
「ノワール、おとなしくしとかんね。危なかよ」
「ブヒヒン…………」
く、ノワールの哀愁漂う目に、くらり。ビアンカとルージュもくらり。
『仕方ないのです』
『もう、しょうがないわね』
「ブヒヒーンッ」
結局、ビアンカ、ルージュ、ノワールでちゅどん、どかん、バキバキ。
半端ない数のドロップ品集めを、アーロンさん達が手伝ってくれた。
「あの、食べちゃってます」
クロエちゃんがおずおず教えてくれる。ビアンカとルージュがチーズを痛快丸かじりしている。
「よかよ、たくさんあるしね。ビアンカとルージュのおかげやしね」
「は、はい」
全部拾って、と。晃太のアイテムボックスに全て収まる。
最後に出てきた宝箱もルージュがチェック、罠なし。開けると小さなビロードの箱。指輪サイズだ。
アーロンさんに渡そうとすると、微妙な顔された。
「何もしていないんですが」
「そう言った依頼内容ですから」
と、私はビロードの箱をアーロンさんに。
開けると、皆さん息を止める。
私も見せてもらうと、エメラルドに回りを極小粒のダイヤモンドが囲む指輪とピアスが。
あら、素敵。
「綺麗」
「高そう」
クロエちゃんとルーベン君ははしゃいでいる。
「あの、ユイさん、流石にこれは………」
「あ、大丈夫です。どうぞどうぞ」
返そうとするアーロンさんのごつい手を押し返す。
無事に受け取ってくれた。
それから20階に戻り、脱出用魔法陣で冷蔵庫ダンジョンを出た。
期限の2週間が無事に終了。
来週はビアンカとルージュの希望で、上層階に向かうことになる。次回の依頼も『クラベル』が受けてくれることになった。依頼書の手配も済み。
「では、皆さんありがとうございました。次もお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
ギルド前で別れて、パーティーハウスに戻る。
その途中で、
『ユイ』
『童達がついてきてるわ』
「童? 子供ね」
『敵意はないのです』
『すごく焦っているわ』
ビアンカとルージュが教えてくれる。
振り返ると、そこに3人の中学生位の男の子。多分こちらでは成人している年頃だろうが、私にしてみたら子供だ。皆驚いた顔をし、ずいぶんみすぼらしい格好だ。
「どうしたんね?」
私が声をかけると、真ん中の男の子が一瞬詰まったが、一歩前に。
「お、お願いしますッ、貴女が出している依頼に、俺達も参加させてくださいッ」
「「お願いしますッ」」
一斉に頭を下げる。
なんだ、なんだ、ずいぶん切羽詰まった様子だけど。
悪い子ではない様だし、話くらい聞いてもいいかな。
「どうしたの?」
「実は、実は、まとまったお金が必要で………」
真ん中の子が、言いくそうに、話し出す。
「俺達の孤児院が、大変なことになってて」
「え? 教会の孤児院?」
たしか、まだ、工事中のはず。
「違います、そっちじゃないんです。スラム街の孤児院です。無認可の」
あなたにおすすめの小説
「三番以下を取りなさい」と五年言われ続けたので、公開試験で本気を出しました
歩人
ファンタジー
王立魔法学院、入学時首席のリュシエンヌは、婚約者レイナルト公爵令息から五年間「女は三番以下を取れ」と命じられてきた。学院の序列は国家序列の縮図。レイナルトは常に一位に居続けた。婚約披露を控えた十九歳の春、レイナルトが新しい婚約者を連れて告げる。「お前では並び立てぬ。学力も身分も、足りなすぎる」——リュシエンヌは微笑んで、その翌日の年次公開試験で、五年封じてきた本気を出した。国王臨席の場で、史上最高点。魔法局長官が教授陣に命じる。「過去五年間の彼女の実測点と、もし本気で受けていたら出せた推計点を、公表したまえ」。教授陣は震える手で数字を並べた。レイナルトの「首席」は、全て彼女が譲った場所だった。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
夫の不倫相手に「妻の座を譲れ」と言われたので、譲る代わりに全部置いていきます 〜行き先は老舗旅館。追いかけてきても、もう遅いです〜
なつめ
恋愛
夫の愛人に「妻の座を譲れ」と言い渡された主人公は、怒鳴り返すこともしがみつくこともせず、ただ静かに頷いた。
家のこと、食事のこと、社交のこと、義実家のこと、会社の裏方のこと。 誰も価値を知らなかった“妻の座”の中身を、そっくりそのまま置いて家を出る。
向かった先は、かつて傷ついた自分を受け入れてくれた老舗旅館。 再建に奔走する若旦那とともに働く中で、主人公は初めて「役に立つから愛される」のではなく、「あなた自身がいてほしい」と言われる温かさを知っていく。
一方、主人公を軽んじた元夫の家では、生活も体裁も仕事もじわじわと崩壊を始める。 これは、何も持たずに出ていったはずの女が、自分の人生を取り戻し、最後には新しい恋と居場所を手に入れる再生の物語。
見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです
珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。
その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。
それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。
夫が私にそっくりな下の娘ばかりをかわいがるのですけど!
山科ひさき
恋愛
「子供達をお願い」 そう言い残して、私はこの世を去った。愛する夫が子供達に私の分も愛情を注いでくれると信じていたから、不安はなかった。けれど死後の世界から見ている夫は下の娘ばかりをかわいがり、上の娘をないがしろにしている。許せない。そんな時、私に不思議な声が呼びかけてきて……。
「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」と追放された令嬢——王宮の食器が一枚も焼けなくなった
歩人
ファンタジー
「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」——王宮御用達の食器を焼く伯爵令嬢エルザは、婚約者の第二王子に手の荒れを嗤われて追放された。十二歳から十年間、王宮の全ての食器を手ずから焼いてきた。彼女の食器は特殊な土と焼成技術で魔力を通し、毒に触れると色が変わる。料理の温度も保つ。追放から三ヶ月後、晩餐会で新しい食器を使ったところ、毒が検知されず隣国の大使が倒れた。外交問題に発展する中、第二王子が「食器くらい誰でも焼ける」と窯に立った結果、出来上がったのは歪んだ灰色の皿だった。
「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした
しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」
十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。
会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。
魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。
※小説家になろう様にも投稿しています※
私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです
天宮有
恋愛
子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。
数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。
そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。
どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。
家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。