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連載
ファンタジー的な④
「じゃあ、皆さん、好きなものを選んでください。妥協はダメですよ」
私は店内を見渡しながら、鷹の目の皆さんは商品棚を、見始める。オスヴァルトさんまで興味津々で店内を見渡している。店内に数人がいたが、オスヴァルトさんに驚いている。本当に有名人だね。
まず、防具コーナー。ばらばらの部位で、売られている。自分に合いそうな部位を、中央のテーブルに出して詳しくチェックしていく。
本来の中古の、防具はこうやって揃えるそうだ。見たことある。ところどころ色が違うパーツの革鎧の人。あれおしゃれじゃないのね。しかたないかもしれないが、できれば、きれいに揃った方がいいんだけどなあ。
私は近くにいた、若い店員さんに声をかける。
「すみません」
「はい」
「質のいい防具品が欲しいのですが、彼らが装備するんです」
私が話しかけると、あわててホークさんがこちらに来る。
「ユイさん。俺達はこれで十分なんですよ」
「何を言ってるんですか? 防具は命を守るんですよ。絶対に妥協しちゃダメですって」
話をしていると、若い店員さんはホークさんの制約紋に気がつく。
「あの奴隷の装備なら、そちらの物でも十分では?」
「だから、妥協しませんって。一式、びしゃっと揃えてください」
「ユイさん。ここので十分ですよ」
「奴隷ですよね? こちらので十分ですよね?」
「だーかーらー」
私とホークさん、若い店員さんでループに入る。
私はいいやつ、ホークさんはばらのやつで十分、若い店員さんは奴隷だからと。ホークさんはしばらくして折れるが、若い店員さんは、出し渋り出す。やはり、奴隷だから、という顔だ。
「ですから、こちらで揃う物でもいいやつを出してくださいって」
「ですから、奴隷の装備ならこちらのでもいいですよね」
ええぃ、頭の硬い店員さんだな。奴隷だからと、装備品はそんなもんだと思い込んでいるようだ。
こうなったら、やるか、虎の威を借る狐作戦。
私の虎の威は、まずビアンカとルージュ。それから後見人のダイチ・サエキ様。後は冒険者ランクがあるが、私自身が一般人と変わりない為、こういった買い物には効果ないかも。依頼とかは制限できるけど。
仕方ない、まず、ビアンカとルージュを呼ぼう。
私が店の入り口に視線を投げると、ゴツンッ、といい音がなる。
振り返ると、頭を抱えて踞る若い店員さんと、杖を持つ高齢の女性。
「お客様が要望されているんだ、それに応えるのが商人としての基礎だよ」
杖を持つ高齢女性が、若い店員さんを一喝。
「大変申し訳ございません。頭の硬い若造でございます。どうかご容赦を」
高齢女性が私に向かって腰を折る。なんだか、すごいベテラン感漂う高齢女性だ。まるで、大きな旅館の大女将みたい。
「いえ、必要なものを売ってさえ頂けたら、それで構いませんので」
「では、具体的に何を必要か教えて頂けたら、私がお見立てしましょう」
「えーっとですね」
まず、防具品一式、妥協なし。武器類も希望を伝える。
「ご予算は?」
「3000万程あります。多少のオーバーは大丈夫です」
とりあえず今の私の冒険者ギルドカードに入っている額だ。現金でも何億かあるけどね。
鷹の目の皆さんが噴き出している。
「ユイさん、桁、桁、おかしいですよっ」
ホークさんが訴えるが、却下。
「ダメですって、ケガしたらどうするんです? せっかく治したんだから」
私の応えに詰まるホークさん。
高齢女性はそんなやり取りを微笑ましく見ている。
「優しいご主人様ですね。お任せください、我がワーグ商店が揃えられる物をお出しします。ミルコ。A-1、C-3、E-4をお持ちしなさい」
「え? A-1? ばあちゃん、あれ出すの?」
ゴツンッ
杖が、若い店員さん、ミルコさんに直撃。ミルコさんはひーひー言いながら、店の奥に。
「相変わらずご健勝ですなベアータ女史」
ミルコさんを見送ると、高齢女性にオスヴァルトさんが声をかける。
「まあ、ウルガー様、こんな老いぼれを覚えて頂き光栄ですわ」
上品にご挨拶する高齢女性、ベアータさん。
知り合いなのかね?
このワーグ商店は、騎士団の人もよく利用すると。国から支給される武器はあるが、やはり、それでは合わない人もいて、そういった人は自前で調達する。若い、また、騎士成り立ての人はお給料も安いため、こちらのワーグ商会に通うそうだ。オスヴァルトさんも若い頃通っていたと。
この高齢女性は先代の店主で、今は引退したが、時折店番をしたり、迷っている人にアドバイスしたりしていると。
なら、ベアータさんに、武装一式おねがいしよう。
ベアータさんは鷹の目の皆さんをチェック。
「まず、は」
棚の引き出しから、取り出したのは、革のジャケットだ。
「こちらは、クリンディアーの革を使用しております。見た目は重いですが、実際は軽く動きやすくなっています。そちらの小柄のお嬢さんにいかがでしょう?」
私は触って見るととても滑らかだ。落ち着いた茶色で、思ったより軽い。確かにエマちゃんは重いのより、軽いのがいいかも。
「試着いいですか?」
「はい」
「エマちゃん、着てみて」
「うん」
エマちゃんは嬉しそうにジャケットを羽織る。サイズは、ちょっと大きいかな?
「どう?」
「うん、軽いし、動きやすい」
「これにする?」
「うんっ」
「じゃあ、これを」
エマちゃんのは確保。後はばらで売られていた対の籠手を選ぶ。小柄なエマちゃんのサイズは、バラで売られていたのしかなかった。こちらは、猪系の革だそうだ。
「つぎは」
ベアータさんが次に出したのは、あら? あの模様は?
「フォレストコブラの革を使ったチュニックと籠手です」
やっぱりーッ。いや、でも確か、蛇系はよく鎧や靴に使用されるって聞いたことあるし。うん、そう、命を守るためや。
「先ほどのジャケットより重さはありますが、その分硬度も十分ですし、丈も長いので、太ももまでカバー出来ます。そちらの少年にいかがでしょう?」
さわりたくないけど、ちょっと触ると、やっぱりちょっと重いかな。でも、硬度あるなら仕方ないかね。
「テオ君、試着してん」
「はーい」
テオ君が蛇柄のチュニックを着る。あははははーん、蛇柄ー。袖は七分丈、裾は太ももを覆う長さだけど、横にスリット入っているから動きやすいようだ。籠手もサイズいい様子。まあ、嬉しそうなテオ君。蛇柄ー。
「テオ君、どう? 重いなら別のでも」
「これで大丈夫ですっ」
うわあっ、テオ君の笑顔炸裂し、私を直撃する。蛇柄ー。
「じゃあ、これを」
テオ君のを確保。後は剣を下げるベルトを勧められ、ちょっと幅広のベルトをチョイスしてもらい。こちらは、猪系の革で、エマちゃんも同じものを選ぶ。
「つぎは」
ベアータさんは奥の棚の引き出しから出したのは、ワンピースだ。
「こちらは新古品ですね。カラーシープの毛とセイレーンの羽が織り込まれています。少々値が張りますが、魔法使いには適した一品です」
「マデリーンさん、試着ば」
「え? ユイさん、これきっと高いですよ?」
「防具品にケチケチしません。さ、試着試着」
私はマデリーンさんを試着室に押し込む。
その間に、ベアータさんが出したのは、革の鎧一式だ。おお、まさにファンタジー。
「こちらはグランボアの革鎧ですね。硬度もあり、小ですが衝撃吸収と重量軽減の付与があります。そちらの青年にいかがでしょうか」
サイズ的にそうだね。ホークさんとチュアンさんは無理なサイズだ。しかし、きたきた、付与付きの防具品。
「ミゲル君、試着」
「あの、高いと思いますよ」
「はいはい。試着してねー」
遠慮するミゲル君に革鎧を押し付ける。
ホークさんとチュアンさんが手伝って装着。鎧って、ああやって着るのね。籠手とかなら簡単だけど、胴体部分は誰かに横のベルトを締めてもらうんだね。1人でやると大変だ。
「どう?」
「サイズ、いいですけど、た、高いんじゃ…………」
うん、深い茶色の革鎧が似合っている。遠慮するミゲル君だけど、顔を見ただけで、これだ、って顔よ。
「じゃあ、これ」
ミゲル君のは確保、と。
高い、高いと繰り返すミゲル君をスルー。
そうこうしていると、マデリーンさんの試着終了。おお、落ち着いた白のワンピースがよく似合う。ふわっとした袖で、膝上の丈に、スリットが入っていて動きやすそう。
「あら、いいじゃないですか」
「そうですか? でも…………」
「じゃあ、これで」
マデリーンさんのも確保、と。
で、問題は。
ベアータさんがホークさんとチュアンさんを前に、悩む仕草。
「さあ、どうしましょう。こちらの御仁達のサイズが…………値が張りますが」
「構いません」
「ユイさん、ユイさん、俺達はこれでいいです」
ホークさんとチュアンさんは、ばらで売られていたパーツを差し出すが、ダメダメ、サイズ合ってないやん。チュアンさん、絶対入らんよ。
私は店内を見渡しながら、鷹の目の皆さんは商品棚を、見始める。オスヴァルトさんまで興味津々で店内を見渡している。店内に数人がいたが、オスヴァルトさんに驚いている。本当に有名人だね。
まず、防具コーナー。ばらばらの部位で、売られている。自分に合いそうな部位を、中央のテーブルに出して詳しくチェックしていく。
本来の中古の、防具はこうやって揃えるそうだ。見たことある。ところどころ色が違うパーツの革鎧の人。あれおしゃれじゃないのね。しかたないかもしれないが、できれば、きれいに揃った方がいいんだけどなあ。
私は近くにいた、若い店員さんに声をかける。
「すみません」
「はい」
「質のいい防具品が欲しいのですが、彼らが装備するんです」
私が話しかけると、あわててホークさんがこちらに来る。
「ユイさん。俺達はこれで十分なんですよ」
「何を言ってるんですか? 防具は命を守るんですよ。絶対に妥協しちゃダメですって」
話をしていると、若い店員さんはホークさんの制約紋に気がつく。
「あの奴隷の装備なら、そちらの物でも十分では?」
「だから、妥協しませんって。一式、びしゃっと揃えてください」
「ユイさん。ここので十分ですよ」
「奴隷ですよね? こちらので十分ですよね?」
「だーかーらー」
私とホークさん、若い店員さんでループに入る。
私はいいやつ、ホークさんはばらのやつで十分、若い店員さんは奴隷だからと。ホークさんはしばらくして折れるが、若い店員さんは、出し渋り出す。やはり、奴隷だから、という顔だ。
「ですから、こちらで揃う物でもいいやつを出してくださいって」
「ですから、奴隷の装備ならこちらのでもいいですよね」
ええぃ、頭の硬い店員さんだな。奴隷だからと、装備品はそんなもんだと思い込んでいるようだ。
こうなったら、やるか、虎の威を借る狐作戦。
私の虎の威は、まずビアンカとルージュ。それから後見人のダイチ・サエキ様。後は冒険者ランクがあるが、私自身が一般人と変わりない為、こういった買い物には効果ないかも。依頼とかは制限できるけど。
仕方ない、まず、ビアンカとルージュを呼ぼう。
私が店の入り口に視線を投げると、ゴツンッ、といい音がなる。
振り返ると、頭を抱えて踞る若い店員さんと、杖を持つ高齢の女性。
「お客様が要望されているんだ、それに応えるのが商人としての基礎だよ」
杖を持つ高齢女性が、若い店員さんを一喝。
「大変申し訳ございません。頭の硬い若造でございます。どうかご容赦を」
高齢女性が私に向かって腰を折る。なんだか、すごいベテラン感漂う高齢女性だ。まるで、大きな旅館の大女将みたい。
「いえ、必要なものを売ってさえ頂けたら、それで構いませんので」
「では、具体的に何を必要か教えて頂けたら、私がお見立てしましょう」
「えーっとですね」
まず、防具品一式、妥協なし。武器類も希望を伝える。
「ご予算は?」
「3000万程あります。多少のオーバーは大丈夫です」
とりあえず今の私の冒険者ギルドカードに入っている額だ。現金でも何億かあるけどね。
鷹の目の皆さんが噴き出している。
「ユイさん、桁、桁、おかしいですよっ」
ホークさんが訴えるが、却下。
「ダメですって、ケガしたらどうするんです? せっかく治したんだから」
私の応えに詰まるホークさん。
高齢女性はそんなやり取りを微笑ましく見ている。
「優しいご主人様ですね。お任せください、我がワーグ商店が揃えられる物をお出しします。ミルコ。A-1、C-3、E-4をお持ちしなさい」
「え? A-1? ばあちゃん、あれ出すの?」
ゴツンッ
杖が、若い店員さん、ミルコさんに直撃。ミルコさんはひーひー言いながら、店の奥に。
「相変わらずご健勝ですなベアータ女史」
ミルコさんを見送ると、高齢女性にオスヴァルトさんが声をかける。
「まあ、ウルガー様、こんな老いぼれを覚えて頂き光栄ですわ」
上品にご挨拶する高齢女性、ベアータさん。
知り合いなのかね?
このワーグ商店は、騎士団の人もよく利用すると。国から支給される武器はあるが、やはり、それでは合わない人もいて、そういった人は自前で調達する。若い、また、騎士成り立ての人はお給料も安いため、こちらのワーグ商会に通うそうだ。オスヴァルトさんも若い頃通っていたと。
この高齢女性は先代の店主で、今は引退したが、時折店番をしたり、迷っている人にアドバイスしたりしていると。
なら、ベアータさんに、武装一式おねがいしよう。
ベアータさんは鷹の目の皆さんをチェック。
「まず、は」
棚の引き出しから、取り出したのは、革のジャケットだ。
「こちらは、クリンディアーの革を使用しております。見た目は重いですが、実際は軽く動きやすくなっています。そちらの小柄のお嬢さんにいかがでしょう?」
私は触って見るととても滑らかだ。落ち着いた茶色で、思ったより軽い。確かにエマちゃんは重いのより、軽いのがいいかも。
「試着いいですか?」
「はい」
「エマちゃん、着てみて」
「うん」
エマちゃんは嬉しそうにジャケットを羽織る。サイズは、ちょっと大きいかな?
「どう?」
「うん、軽いし、動きやすい」
「これにする?」
「うんっ」
「じゃあ、これを」
エマちゃんのは確保。後はばらで売られていた対の籠手を選ぶ。小柄なエマちゃんのサイズは、バラで売られていたのしかなかった。こちらは、猪系の革だそうだ。
「つぎは」
ベアータさんが次に出したのは、あら? あの模様は?
「フォレストコブラの革を使ったチュニックと籠手です」
やっぱりーッ。いや、でも確か、蛇系はよく鎧や靴に使用されるって聞いたことあるし。うん、そう、命を守るためや。
「先ほどのジャケットより重さはありますが、その分硬度も十分ですし、丈も長いので、太ももまでカバー出来ます。そちらの少年にいかがでしょう?」
さわりたくないけど、ちょっと触ると、やっぱりちょっと重いかな。でも、硬度あるなら仕方ないかね。
「テオ君、試着してん」
「はーい」
テオ君が蛇柄のチュニックを着る。あははははーん、蛇柄ー。袖は七分丈、裾は太ももを覆う長さだけど、横にスリット入っているから動きやすいようだ。籠手もサイズいい様子。まあ、嬉しそうなテオ君。蛇柄ー。
「テオ君、どう? 重いなら別のでも」
「これで大丈夫ですっ」
うわあっ、テオ君の笑顔炸裂し、私を直撃する。蛇柄ー。
「じゃあ、これを」
テオ君のを確保。後は剣を下げるベルトを勧められ、ちょっと幅広のベルトをチョイスしてもらい。こちらは、猪系の革で、エマちゃんも同じものを選ぶ。
「つぎは」
ベアータさんは奥の棚の引き出しから出したのは、ワンピースだ。
「こちらは新古品ですね。カラーシープの毛とセイレーンの羽が織り込まれています。少々値が張りますが、魔法使いには適した一品です」
「マデリーンさん、試着ば」
「え? ユイさん、これきっと高いですよ?」
「防具品にケチケチしません。さ、試着試着」
私はマデリーンさんを試着室に押し込む。
その間に、ベアータさんが出したのは、革の鎧一式だ。おお、まさにファンタジー。
「こちらはグランボアの革鎧ですね。硬度もあり、小ですが衝撃吸収と重量軽減の付与があります。そちらの青年にいかがでしょうか」
サイズ的にそうだね。ホークさんとチュアンさんは無理なサイズだ。しかし、きたきた、付与付きの防具品。
「ミゲル君、試着」
「あの、高いと思いますよ」
「はいはい。試着してねー」
遠慮するミゲル君に革鎧を押し付ける。
ホークさんとチュアンさんが手伝って装着。鎧って、ああやって着るのね。籠手とかなら簡単だけど、胴体部分は誰かに横のベルトを締めてもらうんだね。1人でやると大変だ。
「どう?」
「サイズ、いいですけど、た、高いんじゃ…………」
うん、深い茶色の革鎧が似合っている。遠慮するミゲル君だけど、顔を見ただけで、これだ、って顔よ。
「じゃあ、これ」
ミゲル君のは確保、と。
高い、高いと繰り返すミゲル君をスルー。
そうこうしていると、マデリーンさんの試着終了。おお、落ち着いた白のワンピースがよく似合う。ふわっとした袖で、膝上の丈に、スリットが入っていて動きやすそう。
「あら、いいじゃないですか」
「そうですか? でも…………」
「じゃあ、これで」
マデリーンさんのも確保、と。
で、問題は。
ベアータさんがホークさんとチュアンさんを前に、悩む仕草。
「さあ、どうしましょう。こちらの御仁達のサイズが…………値が張りますが」
「構いません」
「ユイさん、ユイさん、俺達はこれでいいです」
ホークさんとチュアンさんは、ばらで売られていたパーツを差し出すが、ダメダメ、サイズ合ってないやん。チュアンさん、絶対入らんよ。
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