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連載
覚醒④
夕御飯の後、片付けて、鷹の目の皆さんはそうそうに就寝。疲れているだろうしね。
私はコハクとヒスイが心配で従魔の部屋に入る。いつもなら夕御飯の後軽く遊ぶのだけど、元気もルリもクリスも寝ている。
「コハク、大丈夫かね?」
静かにお腹が上下している。
なんだろう、先代犬の最期を思い出してしまう。ミックスの中型犬。こうやって横たわって、静かに横たわり、家族の見守る中で息を引き取った。
思い出す。
「大丈夫よね?」
『私達もこうだったわね』
『そうなのです。ゴブリンの巣に叩き落とされた後、私達もそうだったのです』
『あの後、全身痛かったわね』
『母様がずっと付きっきりになってくれたのです』
『おそらくコハクもしばらくあちこち痛みがでるはずだけど。一度は経験することよ』
「そうな」
痛みって、筋肉痛かね。
そっとコハクを撫でる。ぷしゅー、と鼻息が出る。ヒスイはもぞもぞ。二人揃って鼻をペロリ。あ、大丈夫みたい。
あ、そう言えば、コハクは前から分かっていたけど、土属性魔法。ヒスイは今日覚醒したが風属性魔法だった。どちらもルージュにはない属性だけど。
ぐっすりと寝ているコハクとヒスイを、ルージュが優しく見ている。
『コハクとヒスイは、あの人の属性を引き継いだわね』
ルージュの口から出た。
初めて出た、ルージュの伴侶の話。
もう出会ってから1年以上経っている。ずっと気になっていた。ビアンカとルージュの口から他の誰かの話が出たのは僅かだ。ビアンカの両親、お兄さん、主様、彼女さん。これだけだ。
出会った時、そんな伴侶らしき存在はいなかった。産後の死亡率が高い種族なら、出産直後の雌個体を雄個体が守るのではないのかなって。だけど、いなかった。
聞いていいかな?
もう、聞いていいかな?
「ねえ、ビアンカ、ルージュ。あなた達の伴侶はどうしたの?」
すう、と私を見るビアンカとルージュ。
『そうなのですね』
『話してなかったわね』
ふいに、寂しそうな顔をするビアンカとルージュ。
「辛いなら、よかよ」
『いいのです』
『そうね。話しておくわ』
そっと、晃太が覗いていた。
ビアンカとルージュが生まれ育った魔境から出た。それはビアンカを産み、ルージュを種族かかわらず育てた母親、リルさんが後を託した彼女さんが子供を育み出した事だ。彼女さんの眼差しを見て、自分達も伴侶を得て子供がほしくなった。
ただ、問題は。
フォレストガーディアンウルフのお兄さん。
2人の話から、ちょーっとシスコン臭のするお兄さんは、ビアンカとルージュの伴侶候補を片っ端から撃退。種族的に、ビアンカもルージュも美人な為に、言い寄る雄が多かったが、お兄さんが全部撃退。このままでは行き遅れる。う、私の称号やん。やはり、魔物として子孫を残す、という考えがあった2人だけど、そのお兄さんがいる限り、無理な気がしたと。
なので、思いきって2人で魔境を出て、あちこち旅をして、別の魔境を管理していた同族を伴侶としたと。父親が高齢だった事もあり、少し年上の伴侶だった。お互いの伴侶を気にして、会うことを避けていた。
しばらくして、同時期にビアンカとルージュは妊娠。
『あれは元気達を産む、1か月くらい前の事なのです』
『魔の森の南方面で魔力の暴発のような事があって』
元気達を産む1か月前、あら? あら? 逆算すると、私達がちょうどディレナスを出た頃じゃない? まさかね? 魔力の暴発ってまさかね。
『魔力の暴発は、私達の住む魔境にも及んだのです』
『私達の伴侶は、危険を報せる咆哮を上げて、途中で途切れたわ』
それはつまり、ビアンカとルージュの伴侶の死を示していた。
その魔力の暴発による被害は破壊もそうだが、煙害と一酸化炭素中毒だったと。ビアンカとルージュは大きくなったお腹を庇いながら、非常時に決めていた地点で、合流し、移動した。
いくら上位魔物であるフォレストガーディアンウルフとクリムゾンジャガーでも、出産直前、そして出産後の母個体の死亡率が高い。本来なら伴侶が守るのだが、もうそれはない。
ビアンカとルージュは逃げながら考えた。
自分達を何の見返りもなく守り、産まれる仔達を守ってくれる存在。
ちょーっとシスコン臭のするお兄さんしかいない。
そのお兄さんを頼って、故郷に向かって移動。
まず、ビアンカが出産、数日後にルージュが出産。
お互いを庇いながら何とか進んでいたが、やはり、出産直後の無理が来た。
いつもなら遅れを取ることはない熊にも、襲われて、仔達だけで逃がそうとしたが。
産まれた時から小さかったヒスイが遅れた。生後半年の生存率が半分の種族であるクリムゾンジャガー。ルージュは産んだ時から、薄々勘づいていた。ヒスイは半年越せないと。だからと言って諦めたくない。ルージュは精一杯ヒスイを大事に育てた。自分を育ててくれたリルさんの様に。
半年を越すどころか、その前にあの熊だ。
『ユイが来なかったら、ヒスイはあの熊に食い殺されていたわ』
『そうなのです。元気達もどうなっていたか』
ちょうどあの時か。
ビアンカとルージュの話からして、ものすごく嫌な予感があった。
その魔力の暴発。ものすごく嫌な予感がする。心当たりが有りすぎる。
「なあ、ビアンカ、ルージュ。その魔力の暴発ってどこね? ディレナス?」
柵の外で晃太が聞くと、私は心臓が跳ねる。
『ディレナス?』
『さあ、名前なんてないわ。魔境は魔境だもの』
「いや、そうやなくて」
晃太が従魔の部屋に入って来て、地図を広げる。
「ここが現在地。ここがアルブレン、姉ちゃんと契約した街な。ここがわいらがおった場所な。ビアンカとルージュがいた場所はどこな?」
地図を覗き込むビアンカとルージュ。
『距離的に、この辺りなのですかね?』
『そうね。この山の形からしてそうね』
私と晃太が頭を抱える。
ディレナスやッ、あのディレナスやッ。
魔力の暴発は、華憐達が起こした、厄災やっ。
『どうしたのです?』
『ユイ、コウタ、どうしたの?』
「あ、あのね、ビアンカ、ルージュ。私達がこっちに召喚されたのは言ったよね」
『そうだったのです』
『聞いたわよ。母様のマスターと同じ世界から召喚されたって』
「私達と一緒に召喚された家族がおってね。それがビアンカとルージュが言う魔力の暴発を起こした張本人や」
それまでに至る経緯を説明する。
目を細めて黙って聞くビアンカとルージュに、言い様のない圧を感じながら。
「ごめん、ビアンカ、ルージュ。私が華憐達を止めていたら……」
「姉ちゃん違うやろ。ビアンカ、ルージュ。そん人は、生後間もない自分の子供を放っておくような人なんや。それ以外にもいろいろ問題起こしておるんやから」
晃太が、謝り頭を抱える私の前に手を出す。
「たとえ、姉ちゃんがあん人に注意したって、その魔力の暴発を起こしたはずや。もし、姉ちゃんが近くにおれば、そん責任ば姉ちゃんに被せて逃げたはずや」
ふう、と息をつくビアンカとルージュ。
『分かったのです』
『そうね。ユイ達は元々悪くないし』
『そのカレンとかは許せないのですが』
『あの人はもう帰って来ないわ。でも、その暴発が防ぎようのない事なら、そいつらのお陰でユイ達と出会えたし』
『そうね。ユイが来てくれなければ、あの熊の餌になっていたのです』
「お、怒ってない、の?」
『ユイに? どうしてなのです?』
『そうよ、怒るのはそのカレンってやつらでしょ? ユイはヒスイを助けてくれたわ。それだけじゃない。あの熊に襲われなかったとしても、半年のボーダーを越せなかったわ。ユイ達と出会わなかったら、ヒスイはもたなかったはず』
『そうなのです。ルリとクリスもどちらかは越せなかったかしれなかったのです』
しみじみと言うビアンカとルージュ。
ああ、怒って、従魔契約破棄とかなるとどうしようと思っていた。もうビアンカもルージュも仔達も家族だし、生活の一部だ。
良かった。ああ、良かった。
しかし、まさかビアンカとルージュの住んでいた魔境にも影響を及ぼしてたとは。どんだけの破壊力があったんやろ? それに、この厄災の影響を耳にするのが、これで最後になるだろうか?
なんて考えていると、晃太とビアンカ、ルージュの話が進む。
「なら、コハクとヒスイの属性魔法は伴侶がもっとったん?」
『そうね。風と土属性があったわ。後は私と同じ火属性ね』
『私の伴侶には風と木と光があったのです』
「でもクリスは火魔法使えるばい? なんで?」
『属性魔法は引き継ぐ可能性は半分なのです。親が持たないからと言って、覚醒しないとは限らないのです』
「そうなあ」
話を聞きながら、視界の中で元気がごろり。男の子丸出し。
少し気になっていることを聞く。
「ねえ、元気が今日属性魔法覚醒したやん。これは普通なん?」
私の問いに、ビアンカとルージュが顔を見合わせる。
『ちょっと、元気は少し覚醒が早いと言うか、おかしいのです』
『そうね。一般的な覚醒の仕方でもないし、元気の歳で複数属性が覚醒するのはあまりないのよね』
「へぇ」
元々生後1年で1つ属性魔法が覚醒。成体になるまでにもう1つ覚醒するかどうかだ。その後に覚醒するとしたら10歳までだと。まあ、例外はあるらしいけど。
生後1年でビアンカはまず風属性が、その後にルージュは火属性が覚醒した。2人とも次の属性魔法が覚醒したのは成体になった直後で、噂のお兄さんもそれくらいで、その時お兄さんは立て続けて2つ覚醒したと。
え、元気、すでに3つもあるけど。
しかも最初に覚醒したのは、風の上位魔法の雷だった。普通は風属性が覚醒した後に、後発的に覚醒するそうだけど、中には覚醒しないことが多いそうだ。
「元気の覚醒が早いって事?」
『そうなのですね。早すぎるのです、ちょっと心配なのです。もしかしたら、コハクとヒスイに触発されただけかもしれないのですが』
『魔力操作力が甘いのに、複数属性魔法があると、元気の性格なら乱発して枯渇を繰り返すかも』
『暴発のリスクもあるのです。魔力操作の訓練をするのです』
『そうね。その方がいいわ』
ビアンカとルージュによる指導計画が立てられていった。
まあ、後日、上手く行かず、へっへっと話を聞いていない元気に、ビアンカの雷が落ちたのだった。
私はコハクとヒスイが心配で従魔の部屋に入る。いつもなら夕御飯の後軽く遊ぶのだけど、元気もルリもクリスも寝ている。
「コハク、大丈夫かね?」
静かにお腹が上下している。
なんだろう、先代犬の最期を思い出してしまう。ミックスの中型犬。こうやって横たわって、静かに横たわり、家族の見守る中で息を引き取った。
思い出す。
「大丈夫よね?」
『私達もこうだったわね』
『そうなのです。ゴブリンの巣に叩き落とされた後、私達もそうだったのです』
『あの後、全身痛かったわね』
『母様がずっと付きっきりになってくれたのです』
『おそらくコハクもしばらくあちこち痛みがでるはずだけど。一度は経験することよ』
「そうな」
痛みって、筋肉痛かね。
そっとコハクを撫でる。ぷしゅー、と鼻息が出る。ヒスイはもぞもぞ。二人揃って鼻をペロリ。あ、大丈夫みたい。
あ、そう言えば、コハクは前から分かっていたけど、土属性魔法。ヒスイは今日覚醒したが風属性魔法だった。どちらもルージュにはない属性だけど。
ぐっすりと寝ているコハクとヒスイを、ルージュが優しく見ている。
『コハクとヒスイは、あの人の属性を引き継いだわね』
ルージュの口から出た。
初めて出た、ルージュの伴侶の話。
もう出会ってから1年以上経っている。ずっと気になっていた。ビアンカとルージュの口から他の誰かの話が出たのは僅かだ。ビアンカの両親、お兄さん、主様、彼女さん。これだけだ。
出会った時、そんな伴侶らしき存在はいなかった。産後の死亡率が高い種族なら、出産直後の雌個体を雄個体が守るのではないのかなって。だけど、いなかった。
聞いていいかな?
もう、聞いていいかな?
「ねえ、ビアンカ、ルージュ。あなた達の伴侶はどうしたの?」
すう、と私を見るビアンカとルージュ。
『そうなのですね』
『話してなかったわね』
ふいに、寂しそうな顔をするビアンカとルージュ。
「辛いなら、よかよ」
『いいのです』
『そうね。話しておくわ』
そっと、晃太が覗いていた。
ビアンカとルージュが生まれ育った魔境から出た。それはビアンカを産み、ルージュを種族かかわらず育てた母親、リルさんが後を託した彼女さんが子供を育み出した事だ。彼女さんの眼差しを見て、自分達も伴侶を得て子供がほしくなった。
ただ、問題は。
フォレストガーディアンウルフのお兄さん。
2人の話から、ちょーっとシスコン臭のするお兄さんは、ビアンカとルージュの伴侶候補を片っ端から撃退。種族的に、ビアンカもルージュも美人な為に、言い寄る雄が多かったが、お兄さんが全部撃退。このままでは行き遅れる。う、私の称号やん。やはり、魔物として子孫を残す、という考えがあった2人だけど、そのお兄さんがいる限り、無理な気がしたと。
なので、思いきって2人で魔境を出て、あちこち旅をして、別の魔境を管理していた同族を伴侶としたと。父親が高齢だった事もあり、少し年上の伴侶だった。お互いの伴侶を気にして、会うことを避けていた。
しばらくして、同時期にビアンカとルージュは妊娠。
『あれは元気達を産む、1か月くらい前の事なのです』
『魔の森の南方面で魔力の暴発のような事があって』
元気達を産む1か月前、あら? あら? 逆算すると、私達がちょうどディレナスを出た頃じゃない? まさかね? 魔力の暴発ってまさかね。
『魔力の暴発は、私達の住む魔境にも及んだのです』
『私達の伴侶は、危険を報せる咆哮を上げて、途中で途切れたわ』
それはつまり、ビアンカとルージュの伴侶の死を示していた。
その魔力の暴発による被害は破壊もそうだが、煙害と一酸化炭素中毒だったと。ビアンカとルージュは大きくなったお腹を庇いながら、非常時に決めていた地点で、合流し、移動した。
いくら上位魔物であるフォレストガーディアンウルフとクリムゾンジャガーでも、出産直前、そして出産後の母個体の死亡率が高い。本来なら伴侶が守るのだが、もうそれはない。
ビアンカとルージュは逃げながら考えた。
自分達を何の見返りもなく守り、産まれる仔達を守ってくれる存在。
ちょーっとシスコン臭のするお兄さんしかいない。
そのお兄さんを頼って、故郷に向かって移動。
まず、ビアンカが出産、数日後にルージュが出産。
お互いを庇いながら何とか進んでいたが、やはり、出産直後の無理が来た。
いつもなら遅れを取ることはない熊にも、襲われて、仔達だけで逃がそうとしたが。
産まれた時から小さかったヒスイが遅れた。生後半年の生存率が半分の種族であるクリムゾンジャガー。ルージュは産んだ時から、薄々勘づいていた。ヒスイは半年越せないと。だからと言って諦めたくない。ルージュは精一杯ヒスイを大事に育てた。自分を育ててくれたリルさんの様に。
半年を越すどころか、その前にあの熊だ。
『ユイが来なかったら、ヒスイはあの熊に食い殺されていたわ』
『そうなのです。元気達もどうなっていたか』
ちょうどあの時か。
ビアンカとルージュの話からして、ものすごく嫌な予感があった。
その魔力の暴発。ものすごく嫌な予感がする。心当たりが有りすぎる。
「なあ、ビアンカ、ルージュ。その魔力の暴発ってどこね? ディレナス?」
柵の外で晃太が聞くと、私は心臓が跳ねる。
『ディレナス?』
『さあ、名前なんてないわ。魔境は魔境だもの』
「いや、そうやなくて」
晃太が従魔の部屋に入って来て、地図を広げる。
「ここが現在地。ここがアルブレン、姉ちゃんと契約した街な。ここがわいらがおった場所な。ビアンカとルージュがいた場所はどこな?」
地図を覗き込むビアンカとルージュ。
『距離的に、この辺りなのですかね?』
『そうね。この山の形からしてそうね』
私と晃太が頭を抱える。
ディレナスやッ、あのディレナスやッ。
魔力の暴発は、華憐達が起こした、厄災やっ。
『どうしたのです?』
『ユイ、コウタ、どうしたの?』
「あ、あのね、ビアンカ、ルージュ。私達がこっちに召喚されたのは言ったよね」
『そうだったのです』
『聞いたわよ。母様のマスターと同じ世界から召喚されたって』
「私達と一緒に召喚された家族がおってね。それがビアンカとルージュが言う魔力の暴発を起こした張本人や」
それまでに至る経緯を説明する。
目を細めて黙って聞くビアンカとルージュに、言い様のない圧を感じながら。
「ごめん、ビアンカ、ルージュ。私が華憐達を止めていたら……」
「姉ちゃん違うやろ。ビアンカ、ルージュ。そん人は、生後間もない自分の子供を放っておくような人なんや。それ以外にもいろいろ問題起こしておるんやから」
晃太が、謝り頭を抱える私の前に手を出す。
「たとえ、姉ちゃんがあん人に注意したって、その魔力の暴発を起こしたはずや。もし、姉ちゃんが近くにおれば、そん責任ば姉ちゃんに被せて逃げたはずや」
ふう、と息をつくビアンカとルージュ。
『分かったのです』
『そうね。ユイ達は元々悪くないし』
『そのカレンとかは許せないのですが』
『あの人はもう帰って来ないわ。でも、その暴発が防ぎようのない事なら、そいつらのお陰でユイ達と出会えたし』
『そうね。ユイが来てくれなければ、あの熊の餌になっていたのです』
「お、怒ってない、の?」
『ユイに? どうしてなのです?』
『そうよ、怒るのはそのカレンってやつらでしょ? ユイはヒスイを助けてくれたわ。それだけじゃない。あの熊に襲われなかったとしても、半年のボーダーを越せなかったわ。ユイ達と出会わなかったら、ヒスイはもたなかったはず』
『そうなのです。ルリとクリスもどちらかは越せなかったかしれなかったのです』
しみじみと言うビアンカとルージュ。
ああ、怒って、従魔契約破棄とかなるとどうしようと思っていた。もうビアンカもルージュも仔達も家族だし、生活の一部だ。
良かった。ああ、良かった。
しかし、まさかビアンカとルージュの住んでいた魔境にも影響を及ぼしてたとは。どんだけの破壊力があったんやろ? それに、この厄災の影響を耳にするのが、これで最後になるだろうか?
なんて考えていると、晃太とビアンカ、ルージュの話が進む。
「なら、コハクとヒスイの属性魔法は伴侶がもっとったん?」
『そうね。風と土属性があったわ。後は私と同じ火属性ね』
『私の伴侶には風と木と光があったのです』
「でもクリスは火魔法使えるばい? なんで?」
『属性魔法は引き継ぐ可能性は半分なのです。親が持たないからと言って、覚醒しないとは限らないのです』
「そうなあ」
話を聞きながら、視界の中で元気がごろり。男の子丸出し。
少し気になっていることを聞く。
「ねえ、元気が今日属性魔法覚醒したやん。これは普通なん?」
私の問いに、ビアンカとルージュが顔を見合わせる。
『ちょっと、元気は少し覚醒が早いと言うか、おかしいのです』
『そうね。一般的な覚醒の仕方でもないし、元気の歳で複数属性が覚醒するのはあまりないのよね』
「へぇ」
元々生後1年で1つ属性魔法が覚醒。成体になるまでにもう1つ覚醒するかどうかだ。その後に覚醒するとしたら10歳までだと。まあ、例外はあるらしいけど。
生後1年でビアンカはまず風属性が、その後にルージュは火属性が覚醒した。2人とも次の属性魔法が覚醒したのは成体になった直後で、噂のお兄さんもそれくらいで、その時お兄さんは立て続けて2つ覚醒したと。
え、元気、すでに3つもあるけど。
しかも最初に覚醒したのは、風の上位魔法の雷だった。普通は風属性が覚醒した後に、後発的に覚醒するそうだけど、中には覚醒しないことが多いそうだ。
「元気の覚醒が早いって事?」
『そうなのですね。早すぎるのです、ちょっと心配なのです。もしかしたら、コハクとヒスイに触発されただけかもしれないのですが』
『魔力操作力が甘いのに、複数属性魔法があると、元気の性格なら乱発して枯渇を繰り返すかも』
『暴発のリスクもあるのです。魔力操作の訓練をするのです』
『そうね。その方がいいわ』
ビアンカとルージュによる指導計画が立てられていった。
まあ、後日、上手く行かず、へっへっと話を聞いていない元気に、ビアンカの雷が落ちたのだった。
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