もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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連載

隠れて護衛⑩

 バタバタと出発する準備。
 あの後、ダイニングキッチンでフリーズしていたら、ホークさんが心配してきた。
 だけど、昨日に比べたら随分いい、きっと超絶イッケメンの時空神様が何かしてくれたんや。うん。イッケメンやったなあ。流石神様、イッケメーン。
「ユイさん? さっきから何を呟いているんですか?」
 ホークさんの目が、本当に心配している。色んな意味で。怪しい人を見る目に感じたのは、気のせい。
 寝坊助の晃太を叩き起こし、バタバタ準備。
「優衣、晃太、大丈夫ね?」
 サブ・ドアから来た母が開口一番。
「わいは、よかよ」
「私も、さっき、時空神様が来てくれて、魔法みたいなのかけてくれたけん。昨日よか、よかよ」
「そうな」
 私達の答えに、少し安心した様子の母。後ろにいた父も安心した様子。
「クゥンクゥン」
 花が相変わらず、ぽちゃぽちゃボディでローリング。もふもふ。ぽちゃぽちゃ。あははははん、かわいかあ。ビアンカと比べられない歯の口で、はみはみ。あははははん、癒しや。かわいかあ。
 母と朝御飯の準備をする。完全にいい訳ではないが、味噌汁だけ、飲み干す。ちゃんと味がした。
「今日からフェリアレーナ様と合流やから、サブ・ドアを開けられんかもしれんよ」
「よかよ、仕方なかね」
 片付けて、出発準備。私はエマちゃんの傷口チェック。うん、乾燥していい感じに瘡蓋になってる。腕の内出血も随分吸収されている。回復魔法もいいけど、擦り傷くらいで使うと自然回復力が弱くなる。そして自然に治るのに比べて、傷痕が残る可能性があるそうだ。エマちゃんのかわいか顔に傷痕残るなんていかん、いかん。母が浄化をして、念のために、薄くワセリンを塗る。ガーゼ付けると、元気が狙うんだよね。まだ眠そうな仔達を馬車にのせて、両親と花をマーファに見送り、宿をチェックアウト。
 さあ、合流や、と思ったら問題発生。
「え? 通れないんですか?」
 トッパの警備の人が申し訳なさそうな顔。そして道にはたくさんの人々。
「昨日、輿入れ行列が襲撃されたので、出発するまで通行規制を広げることになりまして」
 本来の規制範囲より拡大して、トッパ自体の出入りを、数時間元々出発予定の馬車限定してできないように制限すると。
 ああ、日本でもそうやったなあ。
 いかん、どうしよう。
「ホークさん、どうしましょう?」
「そうですね…………通行規制、困りましたね。いっそトッパから出た輿入れ行列に合流するか、もしくは門付近まで行ってみるか」
 ホークさんはノワールの手綱を持って悩む仕草。お見送りの人達は、私達に気が付かず、今か今かとフェリアレーナ王女を待っている。皆さん、一目見て、手を振ってお見送りしたいんやね。なんせ、王女様やもん。気持ち分かるよ。私もこんな状況じゃなければ、小さな旗振ってお見送りしたいもん。
「うーん…………行けそうですか? 人垣すごいですが」
「そうですね、裏から回るにしても、この人混みではぐれないか、そちらが心配ですね」
 お見送りが終わったら、一斉に帰るだろう人達。うわあ、人波に揉まれそう。いや、元気が興奮しないか心配や。まあ、馬車内で寝てるけど。うちの馬車大型だから、裏道は厳しいしなあ。元気達が寝てるから、晃太のアイテムボックスには入れられないし、ここでルームも開けられないし。
「仕方ありません。後から街道で合流しましょう。ノワールならすぐに追い付けますし」
「そうですね」
 仕方なかね。
『ユイ、どうしたのです?』
『行かないの? 私が道を作るわよ』
 やめて、通った後は血の道が出来ると呼ばれるクリムゾンジャガーや。まあ、のしのし人垣を進むんだろうけど、やめて。
「あんま、目立ちたくないんよ。しばらくしてから、トッパから出るけん、それまでここで待機。はぐれたくないし」
『仕方ないのです』
『そうね。ふわあ、一眠りしようかしら』
「多分大騒ぎになるよ。あ、ルージュ、昨日みたいな人達、近くにおらんよね?」
 私の言葉に、説明してくれた警備の人がひきつる。
『昨日の? ちょっと待ってね。……………いないはいないけど、小さな害意はあるわ。この人混みの誰かを狙っているみたい。強い害意ではないから、傷付けないとは思うけど』
 なんやそれ?
「姉ちゃん、スリやなかね?」
「ああ、なるほど。スリがいるかもしれません。注意を。私達はしばらくしてからトッパを出ます」
「はい、ありがとうございますっ」
 警備の人は走っていき、スリ、ひったくりにご注意をーっ、と声が上がる。
 私達は固まって、じっとすることに。人垣の中、一度じっとしていられずグズりだした小さな女の子が、こちらに気が付いて触りたいとグズる。父親が真っ青でダメだといったが、私がどうぞと言って恐る恐るビアンカを女の子は触って上機嫌。ペコペコした父親と帰っていった。
 しばらくして大歓声があがる。
 ああ、フェリアレーナ様が宿泊先からでてきたんやね。
『うるさいのです』
『何を興奮しているんだか』
「王女様なんて、そうそう身近で見れんけんね」
 私だって見たいよ。旗を振ってお見送りしたいよ。
 だけど人々の歓声で、馬車で寝ていた仔達が覚醒。馬車のドアをバリバリするので開けると、元気を先頭にして飛び出す。元気とコハクはリード装着。
「わんわん」
「ガゥガゥ」
『ねぇね、うるちゃい~』
『くりちゅ、ねむちゃい~』
『ねえね、ねえね~、ひすいもねむい~』
「はいはい、かわいかね」
 でれれん。コハクが最近にゃんにゃん率が低くなってる。しょうがないだろうけど。
「もう少ししたら、落ち着くからね。ちょっと我慢して」
 三姉妹はぶー、となってる。ビアンカとルージュの、ぶー、そのままやん。かわいかね、もう。
 元気とコハクはあくびをして、んーっと伸び。かわいかね。
 で、
「わぉぉぉぉーんっ」
「がるぅぅぅぅっ」
 何故咆哮する? しかも足をバタバタさせる。
 ビアンカやルージュに比べたら声量は少ないが、そこそこボリュームのある。
「ちょっと、元気、コハク、やめんね」
「わぉぉぉぉーんっ」
「がるぅぅぅぅっ」
「連呼せんでっ」
『遊びたいみたいのですね』
『走りたいようよ』
「やめて」
 出会った頃のサイズなら、走り回るにも場所は困らなかったが、現在大型となった元気とコハクが走り回るとなると、場所を選ぶ。ぶつかると単なる転倒ではすまない。下手したら原付バイク以上の威力だ。
 それにせっかくトッパの皆さんが、フェリアレーナ王女の為にお見送りに来てるのに、水を差しそう。
「元気、コハク、静かにせんね」
 余りしたくないけど、元気の口をそっと掴む。晃太がコハクに、しーっと言ってる。まあ、それくらいじゃ無理だった。
 元気はブルブルと顔を振って、私の手を振り払う。元気はへっへとして、私の顔をべろんべろんして、再び吼える。
「わぉぉぉぉーんっ、わぉぉぉぉーんっ」
「がる、がるぅぅぅぅっ」
「ちょっと本当にやめてよ」
『静かにするのです』
『元気、コハク、お止めなさい』
 ビアンカとルージュが注意すると、ぶー、となるコハク。あははん、ルージュそっくり。だが、元気は変わらずわぉんわぉん。しまいにはルリとクリスとヒスイまでごねだす。鷹の目の皆さんも総出で諌めてくれる。三人娘はぶー、となりながらも大人しくなってきた。
 ふいに、私は周りの異常な状況を察知。あれだけの歓声が止んでいる。
『ユイ、来るのです』
『雌よ』
 ビアンカとルージュの言葉、振り返る。
 分厚い人垣が、まるで有名な映画の海のように割れていた。その向こうに、こちらに向かって数人が歩み寄ってきた。あれはマーファの騎士の皆さんよね。それから、その騎士の皆さんに守られるように、一人の女性がいた。人垣の皆さんは、一斉に深く会釈の姿勢。中には膝を突く人も。
 私は隣の晃太を肘でつつく。
「晃太や」
「なんやね?」
「あの、綺麗な人、誰やねん」
 そう、女性。癖のない、輝くような金髪、優しいオレンジ色の瞳、透き通るような白い肌は、決して蒼白くはなく、生き生きとしている。顔パーツがすばらしい、すらりと伸びた姿勢も、気品のよい微笑みも、何もかも素晴らしい。輝くように美しい。
 某大国の映画で綺麗な女優さんを見てきたけど、この女性は一線を越える美しさがある。女の私が、惚れるような美しさ。
「ミス・ユニバースも白旗振るような美人さんは?」
「王女様たい、フェリアレーナ様たい。ああ、綺麗な人やなあ」
 晃太が、ほわわわん、と答える。
 あ、あの絶世の美人さんが、フェリアレーナ王女。アルティーナ帝国皇帝が実の妹を犠牲にしてまで、手に入れようとしている女性。
 確かに、傾国の美女と言われても、納得するような美貌だ。歩く姿はユリの花だ。ああ、綺麗、キラキラしてる。
 キラキラしている綺麗な人が、こちらに向かって、え、こっち来てる。
「ユイさん、ユイさん、膝を突いてください」
 ホークさんが小声で言ってくる。
 あ、そうよね、そうよね。
「晃太、拝もう」
「そやな」
 私と晃太は揃って両膝突いて、掌合わせて、拝みの姿勢。鷹の目の皆さんも、膝を各々突いている。
 あわわわ、綺麗やー。本当に綺麗やー。
 これは、拝まんといかん。はい、拝みます。
 フェリアレーナ王女様は、私達の前で止まる。
 仔達も空気を読んでくれたのか、静かに、いや、ならない。
「わんっ」
 元気が後ろ足で立つが、リードをビアンカが押さえてびくともしない。いくら私達を知っているとは言え、流石にマーファの騎士の皆さんが警戒体勢。本当に止めて。気を利かせたビアンカが元気を抱き込んで伏せる。
 マーファの騎士の皆さんの間から、フェリアレーナ王女様が一歩前に。シンプルな黄色のロング丈のワンピースのスカートを摘まんで、フェリアレーナ王女様がお辞儀。
 ひゃーっ、王女様がお辞儀ーっ。美しいーっ。隣で晃太が、綺麗な人やなーと繰り返す。
「おはようございます。ユリアレーナ国王、セレドニアが娘、フェリアレーナでございます」
 きゃーっ、綺麗な声ーっ。私は女性の声で初めてちょっと興奮する。
「ミ、ミズサワデス」
 我ながら、日本語が苦手な外国人みたいな返事や。内心はへへー、みたいな感じになる。時代劇で見る、へへー、だ。
「昨日は助けて頂きありがとうございます」
「イエイエソンナ」
 私は、結局、役立たずだったし。晃太が綺麗な人やなー、と繰り返す。元気がわんわん。
「皆様、今からどちらに?」
「マーファニ、カエロウカト。マホウバノアシモ、イイヨウデスカラ」
「まあ、私達もマーファに向かっていますのよ」
 わあ。某大国の映画の女優さん顔負けに、いかにも偶然と驚くフェリアレーナ王女様。晃太が綺麗人やなあと繰り返す。うん、綺麗な人やー。目の保養になる。仕草一つ一つが、品がいい。
「良かったらご一緒しません?」
「ヨロコンデッ」
 合流作戦が、こんな形になるなんて。散々悩んだのにっ。大根だからって悩んだのにっ。まあ、よか、無事合流できた、結果よければすべてよし。
 フェリアレーナ王女様は、護衛のマーファの騎士さんに確認。もちろんオッケーだ。
「テイマーのミズサワ殿なら、何の問題もございません」
 ですって。良かった、良かった。連絡が行ってるだろうしね。
「では、参りましょう」
 そういって、フェリアレーナ王女様が私の手を包む。
 ……………………
 あ、鼻血出そう。興奮が頭に来て、鼻血が、鼻血が出そう。
「セザール様からお手紙で貴女のお話を伺っております。本当にありがとうございます。これで、やっとセザール様の元に嫁ぐことができます」
 ああ、フェリアレーナ王女様のお顔が美し過ぎて。それで、心から嬉しそうで。ああ、良かった、本当に良かった。昨日、いろいろあったけど、結果的に、フェリアレーナ王女様は、セザール様の元に嫁げる。いや、マーファまで気を緩められない。よし、頑張らんと。
「私は、当然の事をしたまでです」
 言葉が直った。
 フェリアレーナ王女様が、手を引き上げてくれ、私は立ち上がる。背丈は私より高い、テオ君くらいかな。
「マーファまで、どうぞ宜しくお願いします」
「こちらこそ、フェリアレーナ王女様」
「わんっ」
 元気が吠える。それにフェリアレーナ王女様は微笑む。
「ふふ、噂をお伺いしてますが、本当に可愛らしいですわね」
「すみません、やんちゃでよく吠えるんです」
「マーファに到着するまでに、仲良しになれるでしょうか?」
「元気は本当にやんちゃなんです。飛びかかりますから」
 飛びかかって、綺麗なお肌に傷でも入ったら大変。
 フェリアレーナ王女様は、綺麗にうふふと笑う。
 晃太が綺麗な人やなー、と呟く。
 それから、私達は輿入れ行列の後に続いて、トッパを無事に出ることになった。
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